試算表とは?主な役割や見方、決算書類との違いをわかりやすく解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.8.2
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試算表は、企業の経理業務に活用する集計表のことをいいます。決算の確定作業の際には、取引をまとめた仕訳帳から総勘定元帳への転記が正しくなされているかを検証するために、試算表を用いて確認作業をします。
本記事では、試算表がもつ主な役割やその種類、記帳の具体的な方法をご紹介いたします。また、試算表を見る場合のチェックポイントについてもご説明いたします。
目次
1. 試算表とは仕訳帳から総勘定元帳への転記内容を確認する集計表のこと!
試算表とは、仕訳帳から総勘定元帳への転記が問題なくおこなわれているかを確認するために作成する集計表のことをいいます。
事業の中で取引が発生したときには、都度仕訳帳に記録します。そして、日々仕訳帳に記載した取引は、勘定科目ごとに作成する総勘定元帳に転記する必要があります。
決算期には年間の取引を集計して残高を確認する作業が必要です。年に一度、この時期にのみ確認をおこなう場合、どうしてもミスが起きやすくなってしまいます。仕訳の内容や転記にミスがあると、決算にもずれが生じることになり、場合によっては大きな不利益を被ることになります。
決算の確定作業に入る段階で試算表を作成すれば、仕訳や転記が正確にされているかどうかを詳しく検証できます。
2. 試算表がもつ主な役割3つ
試算表には、仕訳や転記にミスがないかを確認するという意味合いがあります。さらに、融資の際に試算表を提出したり、試算表をチェックして経営の予測を立てたりすることもあります。
試算表の具体的な役割を3つの項目に分けて見ていきましょう。
2-1. 経理上のミスがないかを確認する
試算表は借方と貸方の数値を必ず一致させる必要があります。試算表を作成したときに数字が一致しなかったときには、仕訳のミスや計算ミス、転記ミスなどが起きているということになります。
決算書を作るときにミスが見つかった場合、取引の内容を振り返ってミスを正すことは時間と労力が必要になります。とはいえ、曖昧にしたまま処理をしてしまった場合、あとから大きなトラブルが起きる可能性も考えられます。
こまめに試算表を作って内容をチェックすることで、経理上のミスを防ぐことができます。
2-2. 資金調達の参考資料にする
金融機関の融資を受ける際に試算表を求められるケースは少なくありません。
資金調達にあたって決算書を活用する例もありますが、決算書はあくまで前年度の財務の結果です。金融機関が企業の現況を正確に把握し予測を立てるためには、より具体性の高い試算表が最適であるといえます。
融資の際に金融機関から試算表を求められたときにすぐ提出できるよう、丁寧に作成し適切に保管しておくことが重要です。
2-3. 経営の指標にする
試算表を作成し続けることには、企業の経営状態や業績が把握しやすくなるというメリットもあります。
前年度の試算表があれば、同時期と比較して業績が上向きになっているか否かなどを確認できます。もし業績が下向きになっていた場合、試算表のチェックをきっかけに早い段階で改善策を講じることができ、経営上のリスクを最小限に抑えられます。
年度末にも、試算表をチェックするだけで利益率がある程度予測でき、スムーズに決算を進めることができます。
3. 試算表の3つの種類
経理担当者が扱う試算表には、合計試算表と残高試算表、合計残高試算表という3つの種類があります。それぞれの試算表の特徴や違いを把握し、自社に合ったものを作成しましょう。
3-1. 合計試算表
合計試算表は、借方の合計と貸方の合計をそれぞれ記入する基本的な試算表です。
中央に現金や売掛金といった勘定科目を記載し、左側に借方、右側に貸方の数字をそれぞれ記載していきます。仕訳ごとの貸借は必ず一致するため、借方合計と貸方合計も必ず一致します。合計試算表を作るときにはまず、総勘定元帳に記載されている金額を確認し、勘定科目に応じて借方と貸方に分け計算していきます。
続いて、合計試算表への転記をおこないます。
合計試算表は転記ミスや転記漏れが起きていないかを確認するのに便利です。ただし、残高をすぐに把握することができないという特徴もあります。
3-2. 残高試算表
残高試算表には、合計試算表と同じように現金や売掛金などの勘定科目を記載し、左に借方、右に貸方を記載して集計します。ただし残高試算表では、借方と貸方の差額である残高を集計する必要があります。借方合計と貸方合計は必ず一致します。
残高試算表は貸借対照表や損益計算書のベースとなる試算表です。借方残高と貸方残高を一目で把握できるのが残高試算表の良さですが、一方で合計額がわかりにくいというデメリットも考えられます。
3-3. 合計残高試算表
合計残高試算表は、借方と貸方の欄に残高と合計の両方をまとめる試算表です。
まずは総勘定元帳の各勘定科目における借方と貸方の合計金額を計算します。続いて、借方と貸方の合計金額を比較し、より大きな金額になる方から小さい金額を差し引いて残高を計算します。
借方と貸方の合計金額を合計計算表部分に、差し引いた残高は残高計算表の部分に転記していきます。
合計残高試算表は合計額と残高の双方の情報が必要となるため、作成には手間がかかります。とはいえ、合計と残高をすぐに把握できる試算表には、経営状態がわかりやすくなるという良さもあります。
4. 試算表の作成時期や作成のポイント
企業の決算の際には決算書を作成しますが、この決算書は基本的に12ヶ月分の集計ということになります。これに対し、試算表は3ヶ月や6ヶ月など、短いスパンで途中経過をチェックするために作成されます。
試算表を作成する時期に明確な決まりはなく、企業がそれぞれ自由に定めることができます。とはいえ、試算表は取引の整合性を確かめたり業績を確認したりするためのものという意味合いがあるので、できるだけ短いスパンで作成したほうがよいでしょう。
特に、税理士などと連携して会計処理をしているときには、月ごとに試算表を作成するのが最適です。月次試算表を作成しておけば、融資などで必要になったときにもスムーズに手続きを進められます。
関連記事:試算表の作り方や作成時期、作成時のチェックポイントを紹介
5. 試算表と貸借対照表、損益計算書の違いや関係性
試算表と貸借対照表、損益計算書はいずれも企業の経営状況を把握するために作成する書類ですが、作成のタイミングや記載内容が異なります。
試算表は一定期間におこなわれた取引の全てを集積し勘定科目ごとに集計した表のことです。作成のタイミングに明確な規定はありませんが、半期、四半期、1ヵ月単位など決算書類に比べ、短いスパンで作成されます。
貸借対照表は、資産、負債の勘定科目のみをまとめた決算書類のため、決算のタイミングで作成されます。現在の資産の状態、買掛金や売掛金の残高、未払金の残高などを把握できます。
損益計算書は収益、費用、純資産の勘定科目のみをまとめた決算書類で、こちらも決算のタイミングで作成されます。損益計算書では、事業年度における企業の収益性や成長性、経営成績を把握することができます。
6. 試算表を上手に活用して日々の会計処理や経営改善に役立てる
試算表を作成すれば、仕訳や転記のミスを防止することができます。また、試算表をまとめておけば、経営状態をスムーズに把握することが可能となります。
試算表には合計試算表と残高試算表、合計残高試算表という3つの種類があり、それぞれ記載する内容が異なります。経理業務をおこなう際には、それぞれの特徴や使い分けについて把握しておきましょう。
関連記事:月次試算表とは?作成の目的やメリット、作成のポイントを解説
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