使途不明金とは?意味や税務処理における注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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使途不明金とは?意味や税務処理における注意点を解説

打ち合わせをしている様子税務処理を行っていると、使途不明金が出てくる場合があります。

業務に利用したお金は原則として経費として計上することが可能ですが、使途不明金は経費になりませんので、なるべく出さないように注意する必要があります。

今回は使途不明金の意味と、使途秘匿金との違い、使途不明金を処理する際の注意点について解説します。

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1. 使途不明金とは?

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使途不明金とは、その名の通り、使い途がわからないお金のことです。

会計処理を行う場合、通常は支払先、支払金額、使途をそれぞれ記録します。たとえばAさんにデザイン料として5万円の報酬を支払った場合、支出先は「Aさん」「、支払金額は「5万円」、使途は「デザイン料」となります。

これらは一般的に領収書に記載し、それぞれの項目を証明することになりますが、使途が明記されておらず「Aさんに5万円を支払った」という事実のみが記載されている場合、その5万円は使い途のわからない使途不明金とみなされます。

大抵の場合は領収書が発行されるので、使途不明金は滅多に出ませんが、交際費や接待費、雑費など、領収書が発行されにくいケースは使途不明金が出やすいと言われています。

1-1. 使途不明金を出すことのリスク

消費税法では、課税事業者は帳簿を備え付けた上で、これに取引を行った年月日、内容、金額、相手方の氏名または名称などの必要事項を整然とはっきり記載する必要があると定めています。[注1]

使途不明金の場合、上記のうち「取引を行った内容」が不明なので、正式な帳簿書類として認められません。

経費として計上するためには帳簿への記載が必要不可欠ですので、使途不明金を出すと当該取引を経費として処理できなくなります。

確定申告においては、課税の対象となる事業所得を算出する際、総収入金額から必要経費等を差し引いて計算します。

必要経費が少ないと、それだけ課税対象となる事業所得も多くなり、納税額が多くなってしまいます。

税金対策のためには、必要経費をきちんと計上することが大切ですので、使途不明金はなるべく出さないようにするのがベストです。

[注1]帳簿の記載事項と保存|国税庁

2. 使途不明金と使途秘匿金の違い

使途不明金と似ている用語に「使途秘匿金」があります。

使途がわからないお金という点は共通していますが、意図せずわからなくなってしまった使途不明金とは異なり、使途秘匿金は意図的に使途を記載していない=隠していることを意味します。

使途不明金と使途秘匿金の境界は曖昧とされていますが、租税特別措置法では、使途秘匿金について、相応の理由がなく以下の項目を帳簿書類に記載していないものを指すと定義しています。[注2]

  • 相手方の氏名または名称
  • 相手方の住所または所在地
  • 支払いの事由

[注2]租税特別措置法|e-Gov法令検索

2-1. 使途秘匿金を出すリスク

使途不明金の場合、主なペナルティは経費として計上できないことによる課税所得額の増加にあります。

一方、使途秘匿金は、意図せず使い途のわからない支出が出てしまった使途不明金よりも悪質な行為と認識されるため、上記のペナルティに加え、重加算税が課せられます。

具体的には、租税特別措置法第62条1の規定により、使途秘匿金の額に40%を上乗せした金額を法人税に加算することになります。[注2]

たとえば使途秘匿金が10万円あった場合、10万円×40%=4万円を法人税の合計額に加算することになります。

なお、使途秘匿金の重加算税は特別税額の扱いになるため、もともとの法人税額の有無に関係なく課税されます。

つまり、赤字経営で法人税額が0であった場合でも、使途秘匿金の重加算税は納税する義務がありますので要注意です。

[注2]租税特別措置法|e-Gov法令検索

2-2. 使途秘匿金に該当しないケース

使途秘匿金は、贈与、供与その他これらに類いする目的のためにする金銭以外の資産の引き渡しも含む法人がした金銭の支出のうち、前述した3つの記載がないものを指します。

ただし、資産の譲り受けその他の取引の対価の支払いとしてされたものであることが明らかなものは、使途秘匿金には該当しません。[注2]

もちろん、すべてが例外なく除外されるわけではなく、当該支出にかかる金銭または金銭以外の資産が当該取引の対価として相当であると認められるものに限定されます。

また、相手方の氏名等を記載していないことが、相手方の氏名等を秘匿するためでないと認められた場合は、使途秘匿金に含めないという規定もあります。

[注2]租税特別措置法|e-Gov法令検索

3. 使途不明金を処理するときの注意点

注意

使途不明金を処理する際に注意したいポイントを3つご紹介します。

3-1. 損金不算入として申告する

確定申告の際、使途不明金は「損金不算入」として申告することになります。

損金不算入とは、会計上は費用として計上されるものの、税法上は損金にならないことを意味します。

会社の決算書上では、使途不明金は「報酬」や「手数料」などと処理することになりますが、申告書では損金不算入とし、税金の対象とする必要があります。

3-2. 要件を満たしていても使途不明金になるケースがある

交際費や接待費については、経費として認められる金額に上限があります。

上限はその会社の資本金額によって異なり、資本金が1億円以下の法人が交際費・接待費として計上できるのは800万円までか、あるいは飲食費の50%までとなります。

一方、資本金額が1億円以上の法人の場合は、飲食費の50%を損金として算入することが可能です。

いずれの場合も、1人あたりの飲食費が5,000円以下であることが要件となります。

上限を超えた分は使途不明金扱いとなり、損金不算入として申告することになります。

3-3. 故意でない場合も使途不明金になるので注意

記録ミスや領収書の紛失などのトラブルはどの会社にも起こり得ることですが、必要事項が記載された領収書がない場合は、一律使途不明金扱いとなります。

決して故意でなかったとしても、経費とは認められず、課税対象となりますので注意しましょう。

4. 使途不明金を出さないためには

注意

使途不明金の発生を防ぐためには、必要事項を記載した領収書をきちんと管理しておくことが大切です。

原本のままでは紛失のリスクが高くなりますので、スキャナ保存などで電子化し、データとして保管しておくのも一つの方法です。

また、必要事項が記載されていない領収書をもらった際は、不足した情報をメモしておくことをおすすめします。

領収書の内容を書き換えるのは違法に当たりますが、余白に足りない情報を追加すること自体に問題はありません。

記載漏れがあった場合、領収書の発行元に問い合わせて足りない分を追記してもらう方法もありますが、時間が経過すると対応してもらえなくなる場合が多いので、こまめに領収書のチェックを行うとよいでしょう。

5. 使途不明金をなるべく出さないよう注意しよう

注意する男性

使途不明金を出してしまうと、当該支出を経費として計上することができず、事業所得が増える原因となります。

領収書に相手方の氏名または名称、取引の内容、相手方の住所、所在地、金額などの必要事項が記載されていないと、どんな理由があっても使途不明金扱いとなりますので、書類に不備がないようこまめにチェックすることが大切です。

なお、意図的に支出の使途を隠した場合は使途秘匿金とみなされ、経費として計上できないだけでなく、使途秘匿金の40%が重加算税として所得税に加算されるので注意しましょう。

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jinjer Blog 編集部

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