退職金にかかる税金は?計算方法や退職金控除についても解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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退職金にかかる税金は?計算方法や退職金控除についても解説

老後まで積立する

「退職金に税金はかかるの?」

「退職金にかかる税金の計算方法は?」

上記のようにお悩みではありませんか。

退職金は、金額や働いた期間により税金がかかります。経理・労務担当者は、退職金にかかる税金を把握し、適切に対応することが大切です。

本記事では退職金にかかる税金の種類や課税方法、計算方法を紹介します。従業員の状況にあわせた対応への理解を深めたい方は、ぜひご一読ください。

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1. 退職金にかかる税金の種類

クエッションマークを浮かべる女性

退職金にかかる税金の種類は以下の3つです。

  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 復興特別所得税

3つの税金について詳しく解説します。

1-1. 所得税

退職金にかかる税金として所得税があります。

所得税とは個人の所得にかかる税金のことです。毎年1月1日から12月31日の所得から所得控除を引いた金額に、税率を適用して算出します。

1-2. 住民税

退職金にかかる税金として住民税があります。

住民税は、毎年1月1日現在に住んでいる都道府県・市区町村に納める税金のことです。住民税には、都民税や道府県民税、市町村民税、特別区民税の種類があります。

一定の所得を超える人すべてが納める均等割と、前年の所得に応じた税率をかける所得割の合計が税額です。

1-3. 復興特別所得税

退職金にかかる税金として復興特別所得税があります。

復興特別所得税とは、東日本大震災の影響で創設された税金のことで、所得税の付加税に該当します。2037年までの課税と決まっており、2037年までの退職金には復興特別所得税がかかります。

2. 退職金の受け取り方で課税方法が変わる

お金を並べている様子

退職金は受け取り方で課税方法が変わります。受け取り方は以下の2種類です。

受け取り方 所得区分 課税方法
一時金で受け取る 退職所得 その所得のみに独自の税率や計算式を適用して税金を計算する方法(分離課税)
年金形式で受け取る 雑所得 そのほかの所得と合算して税金を計算する方法(総合課税)

受け取り方により、所得区分が異なり、所得税と住民税の計算方法が変わります。従業員がどちらの受け取り方を希望するかを確認したうえで計算することが大切です。

3. 退職金控除額の計算方法

計算している様子

退職金の控除額の計算方法を、以下の3つの受け取り方ごとに解説します。

  1. 一時金として受け取る
  2. 年金として分割で受け取る
  3. 一時金と年金を併用する

退職金にかかる税金を計算するためには、課税所得を算出するために控除額を計算する必要があります。退職金の受け取り方により控除額の計算方法が異なるため、それぞれご覧ください。

3-1. 一時金として受け取る

一時金として退職金を受け取る際の控除額の計算方法は以下のとおりです。

勤続年数 退職所得控除の計算式
20年以下 40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
20年以上 800万円+70万円×(勤続年数‐20年)

勤続年数によって計算式が異なるため、間違えないように注意してください。

3-2. 年金として分割で受け取る

年金として分割で退職金を受け取る際の公的年金等控除額は以下のとおりです。

年齢 年金などの収入金額 公的年金等控除額
65歳未満 130万円未満 60万円
130万~410万円未満 収入金額×25%+275,000円
410万~770万円未満 収入金額×15%+685,000円
770万~1,000万円未満 収入金額×25%+1,455,000円
1,000万円以上 1,955,000円
65歳以上 330万円未満 110万円
330万~410万円未満 収入金額×25%+275,000円
410万~770万円未満 収入金額×15%+685,000円
770万~1,000万円未満 収入金額×25%+1,455,000円
1,000万円以上 1,955,000円

上記の中からご自身が当てはまる部分が控除額に該当します。

3-3. 一時金と年金を併用する

一時金と年金を併用する場合は、一時金で受け取るものは退職所得控除、年金として受け取るものは公的年金等控除額で計算します。

前述のそれぞれの計算方法をもとに金額を算出しましょう。

4. 退職金にかかる税金の計算方法

計算で悩む女性

退職金にかかる税金の計算方法を以下の2つに分けて解説します。

  • 一時金として受け取る
  • 年金として分割で受け取る

退職金の税金に関する計算方法をそれぞれご覧ください。

4-1. 一時金として受け取る

退職金を一時金として受け取る場合の所得税・復興特別所得税の計算方法は以下のとおりです。

課税退職所得額 (退職金額(源泉徴収前の金額)‐退職所得控除額)×1/2
所得税額 課税退職所得額×所得税率-控除額
復興特別所得税額 所得税額×復興特別所得税の税率(2.1%)

課税退職所得額ごとの所得税率・控除額は以下を参照してください。

引用:退職金と税|国税庁

一時金として受け取る場合は分離課税に該当するため、ほかの所得とは分けて課税されます。さらに、退職所得控除の差し引きも可能です。

ほかにも確定給付企業年金や、企業型確定拠出年金に加入している方が一括で受け取る場合、退職金と合算して計算しなければいけません。

次に、退職金を一時金として受け取る場合の住民税額の計算方法です。

住民税額 課税退職所得額×住民税率

住民税率は従業員が居住する地域の公式サイトで確認しましょう。

4-2. 年金として分割で受け取る

退職金を年金として分割で受け取る際の所得税・復興特別所得税の計算方法は以下のとおりです。

公的年金等の雑所得額 退職金などの年金と公的年金などの収入金額‐公的年金等控除額
課税所得額 公的年金等の雑所得額+そのほかの所得額
所得税額 課税所得額×所得税率
復興特別所得税額 所得税額×復興特別所得税の税率(2.1%)

年金として分割で受け取る場合は雑所得になるため、ほかにも雑所得に該当するものがあれば合算して計算しなければいけません。

雑所得を計算する際には受け取る年金額から公的年金等控除額を差し引けます。

次は、退職金を年金として分割で受け取る際の住民税の計算方法です。

住民税額 課税所得額×住民税率

こちらも住民税率は従業員が居住する地域の公式サイトで確認しましょう。

5. 退職金にかかる税金の一例

お金の上にTAXの積み木

退職金にかかる税金を3つの例に分けて紹介します。

  1. 一時金600万・勤続年数15年
  2. 一時金850万・勤続年数12年
  3. 一時金2,500万・勤続年数30年

それぞれの計算方法をご覧ください。

5-1. 一時金600万・勤続年数15年

勤続年数15年の方が、退職金600万円を一時金として受け取る場合、所得税や住民税はかかりません。

退職所得控除額が15年×40万円=600万円で、退職金がすべて控除されて退職所得が0円になるためです。

そのため、勤続年数が15年で退職金が600万円の方は、そのまま手元に残ります。

5-2. 一時金850万・勤続年数12年

勤続年数12年の方が、退職金850万円を一時金として受け取る場合、所得税は9万4,442円、住民税は18万円かかります。

まずは所得税の計算からご覧ください。

所得税 計算方法
退職所得控除額 40万円×12年=480万円
課税退職所得額 (850万‐480万)×1/2=185万円
所得税の控除額、税率 控除額0円、税率5%※
所得税額 課税退職所得額×税率‐控除額
185万円×5%‐0円=9万2,500円
復興特別所得税 所得税額×復興特別所得税の税率
9万2,500円×2.1%=1,942円
所得税額と復興特別所得税の合計 9万4,442円

※出典:退職金と税|国税庁

続いては住民税の計算をご覧ください。

住民税 計算方法
住民税額 課税退職所得額×住民税率
185万円×10%=18万円

つまり、勤続年数が12年で一時金850万円の方の退職金の手取りは890万5,540円です。

5-3. 一時金2,600万・勤続年数31年

勤続年数31年の方が退職金2,600万円を一時金として受け取る場合、所得税は51万3,052円、住民税は46万5,000円かかります。

所得税の計算方法は以下のとおりです。

所得税 計算方法
退職所得控除額 800万+70万円×(31‐20)=1,570万円
課税退職所得額 (2,500万‐1,570万)×1/2=465万円
所得税の税率、控除額 控除額:42万7,500円、税率20%※
所得税額 課税退職所得額×税率‐控除額
465万円×20%‐42万7,500円=50万2,500円
復興特別所得税 所得税額×復興特別所得税の税率
50万2,500円×2.1%=1万552円
所得税額と復興特別所得税の合計 51万3,052円

※出典:退職金と税|国税庁

続いては住民税の計算方法をご覧ください。

住民税 計算方法
住民税額 課税退職所得額×住民税率
465万円×10%=46万5,000円

つまり、勤続年数が31年で一時金2,600万円の方の退職金の手取りは2,502万1,948円です。

6. 退職金にかかる税金の納税方法

税を計算している

退職金にかかる所得税と住民税は、源泉徴収で納めるケースが多いです。通常の給料やボーナスなどと同様に、天引きで徴収されたあとの金額が振り込まれるため、基本的に確定申告も必要ありません。

退職金を支給後、従業員に「退職所得の受給に関する申告書」の提出を依頼します。提出が完了することで、所得税や復興特別所得税の課税関係が終了となる運びです。

申告書を提出しないと退職金に対して20.42%の所得税が課税されるため、忘れずに従業員に案内してください。

7. 退職金の税金を正しく計算しよう

ガッツポーズをする男性

退職金は、働いた期間と受け取る金額によって所得税と住民税が発生します。一時金として退職金を受け取るか、年金として受け取るかによっても税金の計算方法が異なります。

発生する税金を計算したうえで、どちらの方法で退職金を受け取るのか、従業員に確認してください。退職金の税金を適切に収めるためにも、事前の準備をしておきましょう。

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給与計算は間違いが許されない、確認作業が何回も必要な業務です。 また、給与明細の発行や、封入作業、郵送作業など従業員一人ひとりに対しての対応に手間がかかっている方も多いのではないでしょうか。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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