給与のデジタル払いとは?銀行振込との違いとメリット・デメリットを解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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給与のデジタル払いとは?銀行振込との違いとメリット・デメリットを解説

スマホを操作する男性

給与デジタル払い制度は、従業員の利便性を高める制度です。導入すれば、企業のイメージアップにもつながるでしょう。

この記事では、給与デジタル払い制度がいつから始まったかといった基本情報と銀行振込との違い、メリットやデメリットを紹介します。

キャッシュレス決済を利用している従業員が多い企業の方は、ぜひ参考にしてください。

【給与デジタル払いの基本と導入手順が丸わかり!】

給与デジタル払いについて、「そもそもどんな仕組みなのか」「自社にも導入するべきかどうか」と悩んでいませんか?

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このマニュアルを読むことで、給与支払いをデジタル化するメリットが明確になり、導入に必要な労使協定の締結や就業規則の変更といった対応手順をステップごとに理解できます。給与デジタル払いを初めて知る方でも、導入の検討材料として役立つだけでなく、スムーズに手続きを進められる内容になっています。

給与デジタル払いを導入するか迷っている方や、具体的な手順を知りたい方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。

1. 給与デジタル払い制度とは

スマホと通帳を見比べる画像

給与デジタル払い制度とは、企業から従業員に支払う賃金をデジタルマネーで支払う制度です。

従来の労働基準法では、給与は現金払いが原則となっており、銀行口座への給与振り込みは、従業員が希望した場合のみ認められていました。

しかし、キャッシュレス決済の普及により、令和5年4月に労働基準法の一部が改正され、デジタル払いが可能となりました。

従業員は、給与の支払い方法として銀行振り込みとデジタルマネーを選べます。一部だけをデジタルマネーで受け取ったり、受け取った給与を現金化したりすることも可能です。

ただし、給与デジタル払いに利用できるのは、厚生労働省が認めた資金移動業者だけとされています。口座の上限額は100万円以下です。上回った金額は指定した口座へ出金されます。

参考:厚生労働省 | 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

参考:厚生労働省 | 賃金のデジタル払いが可能になります

2. 給与デジタル払いが認められた資金移動業者

会計を見せる黄色い服を着た男

給与デジタル払いが認められた資金業者は、令和7年4月時点では以下のみです。

  • PayPay株式会社
  • 株式会社リクルートMUFGビジネス
  • 楽天Edy株式会社

加えて、厚生労働省による審査中の資金業者も存在しており、今後給与のデジタル払いを認められた資金移動業者は増えていくことが予想されます。より利便性が高くなり、利用者も増えていくことでしょう。

参考:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省

3. 給与デジタル払いと銀行振込の違い

緑色の通帳とスマホを見比べる画像

給与デジタル払いと銀行振込の違いを以下の表にまとめました。

受取方法 給与デジタル払い 銀行振込
受取先 銀行口座 決済アプリ口座
口座の上限金額 100万円 なし
破綻した場合の保証金額 100万円まで 1000万円
払い戻し時の手数料 従業員が自己負担(ATM手数料) 払い戻さずにそのまま使用可能

現金化は月1回まで無料

資金の使い道 支払い・送金 支払い・送金・預金など

給与デジタル払いで使用する決済アプリ口座は、銀行に比べて口座の上限金額が低く設定されています。あくまで支払いや送金のための資金を管理するものとされており、貯蓄には向きません。

給料をデジタル払いで受け取る方は、使う見込みのある金額のみをデジタルマネーで受け取ることが求められます。

参考:厚生労働省 | 賃金のデジタル払いが可能になります

4. 給与デジタル払いが推進されている理由

カフェで話し合う人

給与のデジタル払いが推進されている理由は以下のとおりです。

  • 給与のデジタル払いを希望する人が増えた
  • 社会のデジタル化を実現するため
  • 外国人労働者の働きやすさを向上するため

昨今ではキャッシュレス決済の普及が進み、さらなる利便性を求めて給与のデジタル払いを希望する方が増えました。

また、経済産業省でもキャッシュレス決済の普及に向けた取組みがおこなわれており、将来的な目標は世界最高水準の80%です。給与デジタル払いの推進は、キャッシュレス決済のさらなる普及のためでもあります。

加えて、給与デジタル払いは、外国人労働者の働きやすさの向上にも関わっています。外国人労働者は言語や滞在期間、信用情報の不足などの理由で、給与振込用の銀行口座を開設するのが難しい場合が多いです。

しかし、多言語に対応しているキャッスレス口座なら容易に開設できます。母国への送金もスムーズにおこなえるでしょう。

参考:キャッシュレス決済の普及に向けた取組について|経済産業省

5. 給与デジタル払いのメリット

メリット

給与デジタル払いは企業、従業員それぞれにメリットがもたらされます。

ここでは企業、従業員にもたらされるメリットについて解説します。

5-1. 企業側のメリット

給与デジタル払いによって企業側にもたらされるメリットは次のとおりです。

  • 多様な人材を確保できる
5-1-1. 多様な人材を確保できる

給与デジタル払いに対応することで、多様な人材確保につながります。

キャッシュレス決済の普及を受けて、給与のデジタル払いも注目されています。そのため、給与デジタル払いを導入しているかどうかは、就職や転職の際に企業を選ぶ際の重要な要素となる可能性があるでしょう。人材不足に悩む企業にとっては人材確保の強力な手段として期待できます。

5-2. 従業員のメリット

給与デジタル払いによって期待できる従業員のメリットは次のとおりです。

  • お金を管理しやすい
  • 現金チャージの手間が省ける
  • 給与残高は補償される
5-2-1. お金を管理しやすい

給与デジタル払いを利用する際は、従業員と事業者の間であらかじめ同意書を交わすことが義務づけられています。同意書では、従業員が受け取る金額について、次のように自由に上限を決めることが可能です。

  • 日常生活の支払いはデジタルマネーで受け取り、貯蓄用の口座には銀行振込を設定する
  • 副業の収入はデジタルマネーで、本業は銀行口座で受け取る

このように用途に応じた受け取り方法を選択することで、よりお金を管理しやすくなります。

5-2-2. 現金チャージの手間が省ける

キャッシュレス決済を日頃から利用している従業員にとって、現金からのチャージ操作は大きな手間となります。しかし、給与をデジタルマネーとして受け取れば、その都度のチャージが不要になります。加えて、デジタル給与払いに対応する「指定資金移動業者」には、少なくとも毎月1回は手数料負担なしでATMなどから払い出しによって現金化できる仕組みが設けられています。そのため、必要なときに現金としての引き出しも可能です。

5-2-3. 給与残高は補償される

従業員によっては、移動業者が破綻するリスクを考慮してデジタル給与払いに抵抗感を覚えている可能性があります。 しかし、指定資金移動業者が破綻した場合でも、給与として受け取った残高は保証機関によって弁済されます。弁済の方法は事業者ごとに異なるものの、破綻時の保護体制が整えられているため、安心して利用できる仕組みといえます。

6. 給与デジタル払いのデメリット

デメリット

給与デジタル払いのデメリットも、メリットと同じく企業、従業員で異なります。

導入にあたってはメリットだけでなく、デメリットも把握しておきましょう。

6-1. 企業側のデメリット

給与デジタル払いを導入したことで企業に発生するデメリットは次のとおりです。

  • 振込の手間が増える
  • システム連携の手数料が必要
  • セキュリティリスクが生じる
6-1-1. 振込の手間が増える

給与デジタル払いは、あくまで給与支払方法の選択肢のひとつであり、企業が従業員に強制できるものではありません。そのため、従業員がデジタル払いを希望しない場合には、従来どおり銀行振込などの方法で支払う必要があります。デジタル払いを望む従業員とそうでない従業員が混在すると、それぞれ別々に対応しなければならず、業務量が増加する可能性があります。

6-1-2. システム連携の手数料が必要

デジタル給与払いを導入するには、指定資金移動業者との自動連携ができる体制が必要です。多くの場合、給与システムを提供するベンダーと指定資金移動業者が連携して仕組みを整えますが、既存の給与システムによっては改修や追加のシステム構築が必要になる可能性があります。

6-1-3. セキュリティリスクが生じる

給与デジタル払いは銀行振込と比較してセキュリティ上のリスクが高まる可能性があります。例えば、スマホの紛失やパスワードの漏洩、ウイルスによる不正出金などが考えられます。

このようなセキュリティリスクを考慮して、企業が従業員に事前の説明が必要です。状況に応じてはセキュリティリスクについてのガイドライン作成も求められるでしょう。

6-2. 従業員側のデメリット

従業員側のデメリットとして以下が挙げられます。

  • 資金移動業者が限られている
  • デジタル払い用の口座は上限がある
6-2-1. 資金移動業者が限られている

給与デジタル支払いのデメリットは、資金移動業者が限られているところです。キャッシュレス決済を利用している方は、すでに多くのサービスから自分の使いやすいものを選んで使用しています。

しかし、従業員が給与デジタル払いに利用できるのは、企業と従業員のあいだで労使協定を締結した資金移動業者だけです。

従業員が普段使っているキャッシュレス決済サービスと、会社が利用しているものが異なることは多々あります。今まで使っていたキャッシュレス決済にこだわりたい従業員は、メリットを得ることが難しいでしょう。

6-2-2. デジタル払い用の口座は上限がある

銀行振込と異なり、デジタル給与の口座には現時点で100万円という上限が設定されています。あくまで送金や決済を目的とした口座であり、預金が主目的の銀行口座とは性質が異なるためです。
もし残高が100万円を超えた場合は、あらかじめ登録しておいた金融機関口座に自動送金されますが、その際に送金手数料が発生する可能性があります。従業員がデジタル給与を利用する場合は、事前に受け取る金額と利用目的を明確にし、手数料負担を含めた管理の方法をきちんと周知することが重要です。

7. 給与デジタル払いを導入する手順

握手する人

給与デジタル支払いを導入する手順は以下のとおりです。

  1. 利用する資金移動業者を選ぶ
  2. 従業員との間に労使協定を締結する
  3. 就業規則を改定する
  4. 従業員に詳しく説明をする
  5. 利用したい従業員に同意書を提出してもらう

それぞれの手順を詳しく解説します。

7-1. 利用する資金移動業者を選ぶ

デジタル給与払いを導入するには、資金移動業者の選定が必要です。資金移動業者を選ぶ際は従業員のニーズや給与システムとの連携、セキュリティ対策に着目しましょう。

また、万が一、不正利用があった際の補償内容も確認しておくことが大切です。

7-2. 従業員との間に労使協定を締結する

デジタル給与払い導入には従業員との労使協定締結が欠かせません。労使協定では次のような点を盛り込みます。

  • デジタル給与払いの開始時期
  • デジタル払い可能な給与の範囲や金額
  • 利用する資金移動業者
  • デジタル給与払いを適用する従業員の範囲

7-3. 就業規則を改定する

労使協定の締結だけでなく、給与についての就業規則も改定が必要です。従業員が同意した場合にデジタル給与払いが可能な点、銀行振り込みとの併用が可能な点などを盛り込みましょう。

就業規則を改定する際は労働者側からの意見書、労働基準監督署への届け出が求められます。

7-4. 従業員に詳しく説明をする

デジタル給与払いの仕組みや利用方法、リスクや補償制度などについて、従業員に分かりやすく説明することも欠かせません。事前にセキュリティや手数料に関する注意点を周知しておけば、不正出金やトラブルを防ぐ体制を整えられます。

7-5. 利用したい従業員に同意書を提出してもらう

給与デジタル払いは、希望者のみが利用するものです。希望者には、同意書を提出してもらい、給与デジタル払いを開始する必要があります。一方、給与デジタル払いを利用しない従業員に対しては、従来どおり銀行振り込みを継続しましょう。

同意書には次のような点を盛り込みます。

  • デジタル給与払いとする給与の金額
  • 従業員が希望する資金移動業者
  • デジタル給与払いへの変更時期
  • 上限額を超えた際の送金する口座情報

8. 給与デジタル払いのメリット・デメリットを理解して導入を検討しよう

集まって笑う人々

給与デジタル払い制度とは、賃金をデジタルマネーで支払う制度です。キャッシュレス決済をはじめとした、社会のデジタル化を背景に推進されています。

現在の指定業者のシステムでは、給与デジタル払いを導入したとしても業務に大きな負担が増えることはなさそうです。

給与デジタル払いの導入により従業員はキャッシュレス決済をより効率的に利用できるようになります。企業のイメージアップも期待できるでしょう。

制度が定着するかは、それぞれの企業によって異なります。企業は給与デジタル払いのメリット・デメリットを理解し、自社に合っているかをよく考えて導入を検討しましょう。

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jinjer Blog 編集部

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