給付付き税額控除とは?メリット・デメリットと人事実務への影響を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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給付付き税額控除とは?メリット・デメリットと人事実務への影響を解説

働く女性

近年では、所得に応じたきめ細かな支援を実現する仕組みとして「給付付き税額控除」への関心が高まっています。

2026年6月には国が制度に関する中間とりまとめ案を公表し、2026年7月14日には2029年度の本格導入が実現する見通しとなりました。

本記事では、給付付き税額控除の仕組みや導入の背景、メリット・デメリットに加え、人事担当者が押さえておきたい実務への影響や最新動向についてわかりやすく解説します。

参考:社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第16回)|内閣官房
参考:給付付き税額控除、令和11年度に本格導入へ 各党が最終案を「前向きに評価」 国民会議|産経新聞

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1. 給付付き税額控除とは

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給付付き税額控除とは、「税額控除」と「現金給付」を組み合わせた制度です。

税額控除とは、納めるべき税金そのものから一定額を差し引いて税負担を軽くする仕組みで、例えば所得税が10万円の人に10万円の税額控除があれば税金はゼロになります。

一方で、もともとの納税額が少ない人は、控除額が大きくても差し引ける税金に限りがあるため、控除の効果が途中で頭打ちになってしまいます。例えば控除額が10万円でも納税額が3万円なら、減税効果は3万円までにとどまります。

そこで給付付き税額控除では、税額を差し引いて税金がゼロになった後、なお控除額が残る場合に、その残りを現金で受け取れるようにする考え方です。これにより、所得税の負担が小さい人にも支援が届きやすくなるとされています。

なお、6月の実務者会議では、当面は「給付」に一本化した仕組みとし、本格導入までの「つなぎ」として運用する意見が出されましたが、2027年7月13日の会議ではこの議論は見送られました。

2026年7月16日の次回会議で、各党が最終意見を交わし、合意すると見られています。

参考:給付付き税額控除のイメージ|内閣官房

1-1. 給付付き税額控除の仕組みと対象者

図2

引用:給付付き税額控除のイメージ|内閣官房

給付付き税額控除は、すべての人が一律に支給対象となる制度ではありません。原則として所得水準に応じて給付額が決まります。

制度設計としては、勤労意欲を高める観点から、勤労所得が一定水準に達するまでは給付額を段階的に引き上げ、その後は一定額での支給を維持する仕組みが検討されています。また、非課税水準以下の所得については正確な把握が難しいことから、誤支給を防ぐために定額で給付する方式が想定されています。

一方で、総所得が一定額を超える場合には、公平性の観点から所得に応じて給付額が段階的に減額され、最終的には一定の所得水準で支給が終了する設計となっています。さらに、18歳以下の子どもを扶養している世帯については、子どもの人数に応じて給付額が上乗せされる方向で検討されています。

支援額については、諸外国の制度水準を参考にしつつ、恒久財源の確保とあわせて検討・決定されます。また、支給が終了する所得水準は、純負担率の国際比較などを踏まえて設定される見通しです(2026年6月時点)。

なお、単身者や自営業者・フリーランスに加え、就労しており純負担率が現役世代並みの中低所得の高齢者についても、対象に含まれる方向で検討されています。

参考:社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第16回)|内閣官房

2. 給付付き税額控除の中間とりまとめ案のポイント

はてなと虫眼鏡

2026年6月24日に開催された社会保障国民会議の実務者会議では「給付付き税額控除等に関する中間とりまとめ案」が示されました。未確定事項も含むため、参考情報として、取りまとめ案の主なポイントを紹介します。

なお、この章は2026年7月16日以降の各党の最終合意後に更新される予定です。

参考:社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第16回)|内閣官房

2-1. 2029年度から「所得に応じたきめ細かな給付」を本格導入

2029年度(令和11年度)からは「所得に応じたきめ細かな給付」を柱とする新たな制度を本格的に導入する方針です。

この制度は毎年度実施する仕組みとして制度設計が進められており、就労意欲を損なわない仕組みや、いわゆる「年収の壁」への対応を踏まえ、個人単位で給付をおこなうことが想定されています。

制度の運営に当たっては、国と地方自治体が連携して役割を分担することとされています。具体的には、全国共通のシステム整備や制度運営の基盤は国が担い、申請受付や相談対応など住民に身近な窓口業務は、地方自治体が担う方向で整理されています。

2-2. 将来的な制度設計と今後の方向性

中間とりまとめ案では、2029年度の制度導入を最終目標とするのではなく、その先の制度の充実も視野に入れています。

具体的には、金融所得や預貯金の利子、資産の保有状況などを段階的に給付額へ反映できる制度への発展を検討するとともに、デジタル技術を活用した迅速かつ効率的な給付体制の構築を目指す方針です。

また、当面は現金給付を中心とした制度を運用する一方で、将来的には本来の「給付付き税額控除」として、給付と税額控除を組み合わせた仕組みの導入についても引き続き検討するとしています。

さらに、「給付付き税額控除」の導入だけではすべての課題を解決することは難しいことから、社会保障制度や税制の見直しに加え、第3号被保険者制度や被用者保険の適用拡大など、「年収の壁」の解消に向けた関連制度の改革についても、あわせて進めていく方針が示されています。

3. 給付付き税額控除への関心が高まっている理由とメリット

メリットのブロック

給付付き税額控除は、税額控除と現金給付を組み合わせることで、所得に応じた支援をきめ細かくおこなう仕組みとして注目が集まっています。その背景には、直近の制度運用の経験や、格差是正への政策ニーズの高まりがあります。

3-1. 定額減税の運用経験から見えてきた問題点の解決

現在、給付付き税額控除の導入が検討されている背景には、2024年の「定額減税」で明らかになった課題への対策という側面があります。

当時の制度は、所得税の納税者には「減税」、非課税世帯には「給付金」という二段階の対応が必要でした。この仕組みは非常に複雑であり、支援のスピードや公平性の面で課題が残りました。

また、企業では毎月の源泉徴収事務に定額減税への対応が加わり、人事担当者の負担が増加しました。こうした過去の混乱を教訓に、より公平で、かつ企業の事務負担を抑えた「恒久的な仕組み」の構築が求められています。

【2024年定額減税と給付付き税額控除の比較】

比較項目 2024年定額減税 給付付き税額控除(検討案)
制度の性質 物価高対策としての「一時的」な措置 格差是正などを目的とした「恒久的な制度」
支援の対象 納税者と非課税世帯で制度が分断 納税額に関わらず全所得層が同一制度の対象
支援の手法 減税しきれない分は自治体が給付 減税しきれない分を国が直接現金給付
人事実務 給与計算や年末調整での複雑な控除事務 行政の直接給付による企業負担の軽減を模索

関連記事:【2024年6月】定額減税とは?対象者や減税額・給付金をわかりやすく解説

3-2. 中低所得者への効果的な支援策としての期待

日本では所得税に累進課税が採用されているため、所得税の減税だけでは、もともとの納税額が少ない人や所得税を納めていない人に十分な支援が行き届きにくいという課題があります。

また、物価高騰が長期化するなか、「働いているにもかかわらず生活が苦しい」とされるワーキングプア層への支援も重要な政策課題となっています。

給付付き税額控除は、減税しきれない分を現金で給付する仕組みです。納税額を超える分も給付されるので、低所得者を含む幅広い所得層へ支援を届けられる点が大きな特徴です。

また、所得に応じて給付額が段階的に設定されるため、「年収の壁」を意識した就労調整の抑制も期待されています。企業にとっても、パート・アルバイト従業員の「働き控え」が減少し、人手不足の緩和につながる可能性があります。

なお、このような制度は日本独自のものではありません。海外では、アメリカの「勤労所得税額控除(EITC)」、イギリスの「ユニバーサル・クレジット」、韓国の「勤労奨励税制(EITC)」などが導入されており、低所得者への生活支援と就労促進を両立する制度として運用されています。

関連記事:所得税の累進課税制度とは?年収別の計算事例や税負担軽減のポイントを紹介

3-3. 給付付き税額控除にデメリットはある?

給付付き税額控除を適切に運用するためには、給与だけでなく、株式の譲渡益や配当所得、不動産所得などの資産性所得を含めた幅広い所得情報を正確かつ迅速に把握し、それに基づいて給付額を決定する仕組みを整備する必要があります。

また、所得に応じて給付額を算定する制度は設計が複雑になりやすく、行政手続きやシステム整備にかかるコストが増加するほか、制度を継続的に運営するための安定した財源の確保も課題です。

さらに、支援が段階的に減少する設計の場合、「所得が少し増えると支援が減る」という逆転現象が生じる可能性もあります。これが就労インセンティブに影響するリスクも指摘されています。

このように、きめ細かい支援が可能である一方で、制度の複雑さと運用負荷のバランスが重要な検討ポイントとなっています。

4. 給付付き税額控除が人事実務に与える影響

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現時点では制度の詳細が確定していないため、断言できる点は限られます。ただし、2024年の定額減税の際に企業が源泉徴収・控除処理を担った事例を参考にすると、一定の業務負担が生じる可能性は十分にあります。

4-1. 各種手当や福利厚生を見直すきっかけになる

給付付き税額控除が導入されれば、所得水準に応じたきめ細かな支援が可能となり、中低所得層に対してより実態に即した支援の充実が期待されます。

その結果、所得再分配や生活支援を担う公的制度の役割が大きくなれば、企業が福利厚生として支給している生活補助的な各種手当についても、その在り方を見直すきっかけになる可能性があります。

一方で、給付付き税額控除が導入されたとしても、企業が支給する各種手当の役割がすぐに失われるわけではありません。家族手当などは生活支援だけでなく、人材確保や企業独自の福利厚生としての役割も担っているためです。

制度導入後は、公的支援と企業の福利厚生をどのように組み合わせ、従業員にとってより効果的な支援体制を構築していくかが重要な検討課題になるでしょう。

4-2. 従業員対応の負担が増える

給付付き税額控除が導入された場合、従業員からの問い合わせが増えることが想定されます。現時点では制度の詳細が確定していないので、具体的な回答は準備できませんが、例えば次のような質問が寄せられる可能性があります。

  • 「自分はいくらもらえるのか」
  • 「手続きが必要か、自動でもらえるのか」
  • 「育休中・時短勤務中でも対象になるか」
  • 「扶養家族がいる場合の加算はどうなるか」

回答の内容は今後の制度設計によって変わるため、現段階では顧問税理士などの専門家と連携しながら情報収集を続け、制度が固まった段階でのQ&Aや説明資料の整備をおすすめします。

4-3. 給与計算・年末調整の運用変更に備える必要がある

給付付き税額控除の具体的な制度設計によっては、給与計算や年末調整の実務にも一定の影響が及ぶ可能性があります。

例えば、仮に給与の源泉徴収と連動する制度設計が採用された場合、源泉徴収の計算方法の見直しが必要となる可能性があります。また、年末調整で給付額を精算する仕組みが導入されれば、新たな事務対応も求められるでしょう。

一方、現時点の中間とりまとめ案では「給付」を中心に運用する方針が示されており、企業が給与計算や年末調整で給付額を直接計算する仕組みは想定されていません。さらに、マイナンバーや公金受取口座を活用したデジタル化も検討されています。

そのため、現在の方針どおりに制度が導入されれば、企業の実務負担は比較的限定的となる可能性があります。ただし、制度の内容は今後変更される可能性があるので、給与計算ソフトの対応も含め、引き続き法改正の動向を注視することが重要です。

5. 給付付き税額控除の最新動向を確認しよう

注意のイメージ

給付付き税額控除は、本来、税額控除と現金給付を組み合わせた恒久的な制度として構想されています。2026年7月13日の実務者会議では、2029年度からの制度の本格導入が実現する見通しとなりました。

制度では国がデジタル技術を活用して給付をおこなうことが想定されているので、企業の給付事務の負担は限定的とする見方もあります。一方で、従業員からの問い合わせ対応や、制度設計によっては給与計算・年末調整の実務見直しが必要となる可能性があるため、今後の動向を注視することが重要です。

\従業員が増えても、給与計算はもっとシンプルにできる/ 給与計算のミスや手作業、もう終わりにしませんか?

労務担当者の実務の中で、給与計算は出勤簿を基に正確な計算が求められる一方で、Excelからの手入力や別システムからのデータ共有の際、毎月のミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、昇格や人事異動に伴う給与体系の変更や、給与計算に関連する法令改正があった場合、更新すべき情報も多く、管理方法とメンテナンスにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな担当者の方には、人事労務から勤怠管理までが一つになったシステムの導入がおすすめです。

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  • 勤怠データをワンクリックで取り込めるため、勤怠の締めから給与計算までをスムーズに自動化できる

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jinjer Blog 編集部

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