育成就労制度とは?2027年4月施行の概要や技能実習・特定技能との違いを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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育成就労制度とは?2027年4月施行の概要や技能実習・特定技能との違いを解説

日本の介護施設で働く外国人介護者

2027年(令和9年)4月、外国人材受け入れの仕組みが大きく変わります。1993年から約30年にわたり続いてきた「技能実習制度」が発展的に解消され、新たに「育成就労制度」がスタートするためです。育成就労制度は、国際貢献を目的としてきた技能実習制度とは異なり、人手不足分野における「人材育成」と「人材確保」を正面から掲げた制度です。

本記事では、育成就労制度の概要や技能実習制度・特定技能制度との違い、受け入れ企業がおさえておきたいポイント、施行までに準備すべきことをわかりやすく解説します。

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1.  令和9年4月1日施行|育成就労制度の概要

はてなと手

育成就労制度とは、日本の人手不足分野において、就労を通じて外国人材を計画的に育成し、その分野の人材を確保することを目的とした新しい在留制度です。

令和6年6月21日に公布された改正入管法等により創設され、令和9年4月1日から施行されます。これに伴い、技能実習制度は発展的に解消され、原則として育成就労制度に置き換わります。施行に向けた準備はすでに大詰めを迎えており、外国人雇用の受け入れ企業にとっては、残された準備期間で自社の体制を整えることが急務となっています。

参考:育成就労制度|出入国在留管理庁

1-1. 育成就労制度の目的

育成就労制度の目的は、育成就労産業分野において、日本での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成・確保することです。

1993年に創設された技能実習制度は、開発途上国等への技術移転による国際貢献であり、名目上は人材確保の手段ではありませんでした。

しかし実態としては、技能実習生が人手不足を補う貴重な働き手となっており、制度目的と運用実態の乖離や転籍が原則認められない仕組みなどによる人権侵害・失踪が長年の課題でした。

こうした課題を踏まえ、新しく創設される育成就労制度では外国人材を日本の産業を長期的に支える「労働者」として明確に位置づけ、人材育成と人材確保の両立を目的としています。この点が、約30年続いた技能実習制度からの最大の変更点です。

1-2. 対象分野と在留期間

育成就労制度の対象分野は、次の17分野に定められました。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. リネンサプライ
  4. 工業製品製造業
  5. 建設
  6. 造船・舶用工業
  7. 自動車整備
  8. 宿泊
  9. 鉄道
  10. 物流倉庫
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業
  15. 林業
  16. 木材産業
  17. 資源循環

特定技能の19分野のうち、「航空」「自動車運送業」は国内での育成になじまないなどの理由から対象外となりました。技能実習制度の対象だった90職種をすべて引き継ぐわけではないため、従来受け入れていた職種でも対応する分野がなければ受け入れられなくなる可能性があります。

参考:育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針|出入国在留管理庁

在留期間は、育成就労計画に基づく原則3年です。3年間で特定技能1号水準の技能と日本語能力を身につけ、特定技能1号へ移行することが想定されています。なお、特定技能1号の試験に不合格となった場合は、再受験のため最長1年の在留継続が可能です。

2. 技能実習制度や特定技能との違いは?

はてなと吹き出し

育成就労制度を理解するうえで、既存の「技能実習制度」「特定技能」との違いをおさえておかなければなりません。それぞれ整理して見ていきましょう。

参考:育成就労制度の概要|厚生労働省

2-1. 特定技能との違い

特定技能制度は、2019年に創設された、人手不足分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。育成就労制度の施行後も、特定技能制度は適正化を図ったうえで存続します。両制度の主な違いは次のとおりです。

項目 育成就労制度 特定技能制度
目的 人材育成と人材確保 人手不足分野における即戦力人材の確保
対象分野 17分野 12分野
在留期間 原則3年 1号:通算5年

2号:更新上限なし

求められる水準 日本語能力N5相当以上 日本語能力N4相当以上

1号:相当程度の知識・経験が必要な技能
2号:熟練した技能

本人意向による転籍・転職 一定の要件を満たせば可能 同一分野内で可能
支援・監理 監理支援機関 登録支援機関

重要なのは、育成就労と特定技能が対立する制度ではなく、連続するひとつのキャリアパスとして設計されていることです。育成就労(3年)で特定技能1号水準まで育成し、試験に合格すれば特定技能1号(5年)へ、さらに熟練すれば在留期間の更新制限がない特定技能2号へと移行できます。

育成就労の対象分野や業務区分は特定技能と原則一致しているため、育成した人材にそのまま同じ業務で長く活躍してもらえる仕組みです。

育成就労制度の概要

引用:育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)(P2)|出入国在留管理庁

2-2. 技能実習制度との違いと経過措置

技能実習制度は、育成就労制度の創設に伴い発展的に解消される制度です。両制度の主な違いは次のとおりです。

項目 育成就労制度 技能実習制度
目的 人材育成と人材確保 技能移転による開発途上国等への国際貢献
対象 17分野 19分野(90職種)
在留期間 原則3年 最長5年
求められる水準 日本語能力N5相当以上 なし
本人意向による転籍・転職 一定の要件を満たせば可能 原則不可
支援・監理 監理支援機関 監理団体

なお、施行日(2027年4月1日)をまたぐ受け入れについては、次のいずれかに該当する場合、経過措置が設けられています。

  1. 施行日前に入国し、施行日時点で現に技能実習をおこなっている場合は、引き続き技能実習をおこなうことができます。
  2. 施行日前に技能実習計画(施行日から3ヵ月以内に開始するものに限る)の認定の申請をしている場合は、施行日以後に技能実習生として入国できることがあります。

経過措置により技能実習を続ける場合は技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労への移行はできません。

現在技能実習生を受け入れている企業は、自社の実習生が経過措置に該当するのか、いつまで技能実習として在留できるのかを確認したうえで、育成就労または特定技能への切り替えを見据えた計画を立てておくことが大切です。

関連記事:外国人技能実習生の労働時間の上限について注意すべきこと

3. 受け入れ企業向け|育成就労制度のポイント

育成就労制度のポイント

引用:まずはこれから!育成就労制度 ~受入れ企業/受入れ機関向け解説~ 【出入国在留管理庁】(YouTube)|出入国在留管理庁 / ISA

ここからは、外国人材を受け入れる企業の視点で、育成就労制度のポイントを5つに整理して解説します。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について|厚生労働省

3-1. 外国人のキャリアアップが明確化される

育成就労制度では、外国人材のキャリアパスが制度として明確化されました。育成就労(3年)で特定技能1号水準の人材を育成し、その後は特定技能1号、さらに特定技能2号へと段階的にステップアップできる仕組みです。

特定技能1号へ移行するためには、技能検定試験3級や特定技能1号評価試験への合格に加え、日本語能力A2相当以上(JLPTのN4等)が求められます。

受け入れ企業にとっては、育成就労計画に沿って人材を育成することで、育成後も同じ業務区分で継続して活躍してもらいやすくなります。技能実習制度で課題となっていた「特定技能へ円滑に移行できないケース」が生じにくくなり、長期的な人材育成を見据えた採用・定着が期待できます。

3-2. より広い範囲の業務がおこなえるようになる

技能実習制度では、認定を受けた職種・作業の範囲内でしか業務に従事できず、柔軟な人員配置が難しい場面もありました。

一方、育成就労制度では、特定技能と同じ「業務区分」を単位として運用されます。主たる技能を計画的に育成しながら、業務区分内の関連業務にも従事できるため、技能実習制度より柔軟な配置が可能になります。

ただし、従事できる業務は分野ごとの業務区分で定められているため、自社業務がどの区分に該当するか事前に確認しておきましょう。

3-3. 日本語能力の習得目標達成が必須になる

育成就労制度では、日本語能力の向上が制度の中に組み込まれています。

就労開始までに日本語能力A1相当以上の試験(JLPTのN5等)合格または講習受講をすることが求められており、就労開始後も試験受験や日本語学習を通じて段階的なレベルアップを目指します。特定技能1号への移行時にはA2相当以上、特定技能2号ではB1相当以上が目標となります。

日本語能力は業務上のコミュニケーションだけでなく、職場への定着や地域での生活にも大きく影響します。学習時間の確保や教材・講座の提供など、日本語学習を支援できる体制を整えておくことが大切です。

3-4. 一定の要件を満たせば本人意向による転籍が可能になる

技能実習制度からの最も大きな変更点のひとつが転籍(転職)ルールです。技能実習制度では本人の意向による転籍は原則認められていませんでしたが、育成就労制度では一定の条件を満たせば認められます。主な要件は次のとおりです。

  • 転籍先が同一の業務区分内であること
  • 一定水準の技能および日本語試験に合格し、能力を修得していること
  • 直近の育成就労期間が一定期間(分野ごとに1年以上2年以下の範囲)を超えていること
  • 転籍にあたって、民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと
  • 転籍先の育成就労実施者が実績・費用負担など一定の受け入れ要件を満たしていること

受け入れ企業にとっては人材流出への不安もありますが、待遇や職場環境、日本語学習支援が充実した企業は外国人材から選ばれやすくなります。今後は、賃金や労働環境の整備、キャリア面談などを通じた定着支援がこれまで以上に重要になるでしょう。

参考:育成就労制度Q&A(Q48)|出入国在留管理庁

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転籍制度の導入を不安に感じる企業も多いと思いますが、まず見直したいのは、賃金や待遇よりも勤怠管理です。残業代の計算ミスによる未払賃金や、36協定を超える長時間労働などの法令違反は、外国人材の定着を妨げる要因になりかねません。

また、近年は転籍先を探す外国人材の間で、SNSや外国人コミュニティを通じて職場の情報が共有されるケースも少なくありません。施行前に勤怠データを点検し、法令違反のリスクを解消したうえで、昇給ルールやキャリアパスをわかりやすく示すことが大切です。こうした取り組みは「選ばれる企業」「定着する企業」への第一歩となり、転籍制度の導入を定着率向上のチャンスに変えてくれるはずです。

解説:特定社会保険労務士 内山 美央

3-5. 受け入れの手続きの相違点

外国人材の受け入れ手続きは、在留資格認定証明書の申請や査証取得など、基本的な流れは従来と大きく変わりません。

一方で、育成就労制度では、外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。計画には、育成期間や技能・日本語能力の目標などを定め、認定後も計画どおり育成がおこなわれているか確認を受けます。

また、日本語学習支援をはじめとする受け入れ環境の整備も求められます。従来以上に「雇用する」だけでなく、「計画的に育成する」という視点で受け入れ体制を整えることが必要です。

4. 育成就労制度の関係機関

笑顔の女性

育成就労制度では、複数の関係機関が登場します。ここでは、特に関わりの深い4つの関係機関を解説します。

参考:育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)(P3)|出入国在留管理庁

4-1. 育成就労実施者(受け入れ機関)

育成就労実施者とは、育成就労外国人を雇用して育成をおこなう受け入れ企業のことです。育成就労計画を作成して外国人育成就労機構の認定を受け、計画に基づいて業務・技能・日本語の育成を実施します。

長期にわたって産業を支える人材として育成・雇用することが役割とされており、受け入れ人数枠や育成・支援体制、分野別協議会への加入などの要件を満たす必要があります。試験の合格率などの育成実績は、優良な受け入れ機関としての認定にも関わり、優良認定を受けると手続きの簡素化などの優遇措置があります。

4-2. 育成就労外国人

育成就労制度で働く外国人労働者は「育成就労外国人」とよばれます。技能実習制度の「技能実習生」とは異なり、人材育成の対象であると同時に、労働関係法令が適用される労働者として位置付けられています。

就労開始前に日本語能力A1相当以上の試験合格または相当する講習の受講が必要で、3年間の育成期間を通じて特定技能1号水準の技能修得を目指します。

4-3. 送り出し機関

送り出し機関は、育成就労を希望する外国人の募集や事前研修などを現地でおこなう海外の機関です。

育成就労制度では、日本と送出国政府との間で新たに二国間取決め(MOC)を作成し、原則としてMOCを作成した国からのみ、受け入れをおこないます。悪質な送り出し機関を排除するとともに、外国人本人が支払う手数料が不当に高額とならないよう、手数料を受け入れ企業と外国人が適切に分担する仕組みが導入されます。

来日のために多額の借金を抱えるという技能実習制度の課題への対応であり、受け入れ企業にとっては手数料負担のあり方が変わる点に留意が必要です。

4-4. 監理支援機関

監理支援機関は、育成就労外国人と育成就労実施者(受け入れ機関)の間で、雇用関係成立のあっせんや、育成就労が適正に実施されているかの監査などをおこなう機関です。技能実習制度における監理団体に相当します。企業が単独で受け入れる単独型育成就労の場合を除き、受け入れには監理支援機関の関与が必要です。

監理支援機関は許可制で、許可基準は監理団体よりも厳格化されます。受け入れ企業と密接な関係を持つ役職員の監理業務への関与が制限されるほか、外部監査人の設置が義務化されるなど、独立性・中立性の確保が求められます。

現在の監理団体であっても、新たに監理支援機関としての許可を受けなければ監理支援事業をおこなうことはできません。現在監理団体を利用している企業は、その団体が監理支援機関の許可を取得する予定かどうか、早めに確認しておきましょう。

5. 育成就労制度の開始に向けて受け入れ企業が準備すること

クエスチョンマーク

2027年4月の施行に向けて、受け入れ企業は次のような準備を進めておきましょう。確認事項は複数あるため、行政書士や社会保険労務士、外国人雇用を支援する企業などと連携して対応を進めるとよいでしょう。

  • 自社が対象分野・業務区分に該当するか確認する
    分野別運用方針で定められた17分野・業務区分を確認し、自社が育成就労外国人を受け入れられるか把握します。現在の技能実習職種に対応する分野がない場合は、受け入れ方針の見直しも必要です。
  • 監理支援機関との連携体制を確認する
    監理支援機関を利用する場合は、現在の監理団体が許可を取得する予定か、監査・支援体制やサポート内容に変更がないかを確認しておきましょう。
  • 育成就労計画と育成体制を整備する
    主たる技能や3年間の育成目標、指導体制を整理し、育成就労計画の認定に向けた準備を進めます。試験受験を見据えた育成スケジュールの設計も重要です。
  • 日本語学習を支援できる体制を整える
    日本語能力の向上を支援するため、学習時間の確保や教材・講座の提供など、継続的に学べる環境を整備しましょう。
  • 雇用条件や定着支援を見直す
    適正な賃金や労務管理体制を整えるとともに、転籍制度を踏まえ、待遇や職場環境、キャリアパスの充実など、選ばれる企業となるための取り組みも重要です。
  • 受け入れ中の技能実習生への対応を検討する
    経過措置を確認したうえで、現在受け入れている技能実習生については、技能実習の継続や特定技能への移行など、本人の意向も踏まえながら今後の対応を検討しましょう。

施行日までには、監理支援機関の許可申請をはじめ、制度の運用に関する詳細が順次公表される予定です。出入国在留管理庁や厚生労働省の最新情報を定期的に確認し、余裕を持って受け入れ準備を進めましょう。

関連記事:外国人を雇用する方法とは?手順・メリット・注意点をわかりやすく解説

6. 育成就労制度の施行に向けて受け入れ体制を整えよう

談笑する男女

育成就労制度は、約30年続いた技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野における人材の育成・確保を目的としてスタートする新制度です。受け入れ分野は特定技能と原則一致する17分野となり、育成就労から特定技能1号・2号へと連続するキャリアパスが制度として明確化されました。

受け入れ企業にとっては、育成就労計画の作成や日本語学習支援などの新たな義務が加わる一方、業務範囲の拡大や特定技能との接続により、外国人材を長期的な戦力として育成しやすくなります。同時に、本人意向による転籍が可能になることで、待遇や職場環境の魅力が人材定着を左右する時代になります。

制度改正を単なる法改正情報として捉えるのではなく、外国人材の採用・育成・定着を見据えた中長期的な人材戦略を設計する機会として、今から受け入れ体制を整えていきましょう。

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