厚生年金の経過的加算とは?計算方法や増やし方をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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厚生年金の経過的加算とは?計算方法や増やし方をわかりやすく解説

貯金箱

「経過的加算とは何か?」

「経過的加算の計算方法は?」

上記の疑問をお持ちではありませんか。

厚生年金の経過的加算とは、年金の受給を公平におこなうための仕組みです。60歳以降に働くか、働かないかのポイントにもなります。

企業の経理担当の方は、従業員に質問される場合もあるため、正しく理解しておくことが大切です。

本記事では、厚生年金の経過的加算の基本的な情報と、計算方法、受給するメリットや経過的加算の増やし方を解説します。年金の受給額が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

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1. 厚生年金の経過的加算とは

老人

厚生年金の経過的加算とは、国民年金を40年納付したにもかかわらず、納付した年齢の関係で満額受給できない場合に不公平を解消する仕組みです。

厚生年金の受給開始年齢が上がったときの経過措置としてつくられました。ただし、経過措置としての役目はほぼ終了しています。

現在は、国民年金を収めた年齢によって、受給金額に不公平を生じさせないための役割が大きいです。

国民年金は、20~60歳までの40年間納めることで満額受給できます。受給額に反映されるのは、20~60歳の期間に納入した分のみです。

一方で、厚生年金に加入すると年金の1階部分である国民年金も納めることになります。企業に勤め、厚生年金を納付している方のなかには、20歳前や60歳以降の方もいるでしょう。

そのような方が国民年金を40年納付したにもかかわらず、納付した年齢の関係で満額受給できない場合に対応するための仕組みが経過的加算です。

参考:[年金制度の仕組みと考え方] 第3 公的年金制度の体系(年金給付)|厚生労働省

2. 経過的加算の対象者|もらえる人・もらえない人

書類

経過的加算の対象者は、以下の条件をすべて満たした方です。

  • 20~60歳の間で厚生年金を納付した期間が40年(480ヵ月)に満たない方
  • 20歳前または60歳以降にも厚生年金に加入していた方

ほかにも、年金受給開始年齢引き上げの経過措置として、特別支給の老齢厚生年金を受け取っていた方は経過的加算を受け取れます

ここから紹介するのは、経過的加算がもらえる人・もらえない人の例です。さまざまなパターンを見比べてみてください。

2-1. 18歳から58歳まで厚生年金に加入していた人はもらえる

18歳から58歳まで厚生年金に加入していた方は、経過的加算をもらえます。この方が厚生年金と国民年金を納付し始めたのは18歳です。

しかし、国民年金の対象年齢は20~60歳なので、年金受給額は20歳から60歳の38年(456ヵ月)で計算されます

一方で、実際にこの方が国民年金を納めた期間は満期分と同じ40年(480ヵ月)であり、年金を満額受け取れないのは不公平です。したがって、この方は国民年金2年分の経過的加算を受け取れます。

2-2. 20歳~62歳まで厚生年金に加入していた人はもらえない

20歳~62歳まで厚生年金に加入していた人は、経過的加算をもらえません。厚生年金の1階部分である国民年金は、20~60歳の40年(480ヵ月)で満額となります。

国民年金は、満期を超えて納付しても受給額には反映されません。したがって、どこにも差額は生じず損もしていないので受給の必要はありません

2-3. 22歳~62歳まで厚生年金に加入していた人はもらえる

22歳~62歳まで厚生年金に加入していた人は、経過的加算をもらえます。この方は、国民年金の満期と同じ40年(480ヵ月)、厚生年金、国民年金の両方を納付しました。

しかし、国民年金の対象となる20~60歳の期間内には38年(456ヵ月)しか年金を納付していません

満額分収めたのにもかかわらず、38年(456ヵ月)分しか受給できないのは不公平です。したがって、この方は2年分の経過的加算を受け取れます。

3. 厚生年金の経過的加算が設けられた背景

老人

厚生年金の経過的加算が設けられた背景には、厚生年金の受給開始年齢の引き上げが関係しています。

60歳から65歳に受給開始年齢が引き上げられた際、混乱を避けるために60歳から64歳の方には「特別支給の老齢厚生年金」が支給されることとなりました。65歳からは「老齢厚生年金」に切り替わる流れとなっています。

特別支給の老齢年金は、以下の2つの要素で成り立ちます。

特別支給の老齢年金額=定額部分(加入期間に応じた金額)+ 報酬比例部分(在職時の報酬に比例した金額)

65歳になり老齢厚生年金に切り替わる際は、報酬比例部分が老齢厚生年金、定額部分が老齢基礎年金に置き換えられます。

しかし、特別支給の老齢年金から老齢厚生年金に切り替わる際に差額が生じ、65歳から受給する老齢年金が、特別支給の老齢年金よりも少なくなる場合がありました。その際の差額を解消するために設けられたのが「経過的加算」です。

4. 経過的加算と加給年金の違い

書類

経過的加算とか加給年金の違いを表にまとめました。

経過的加算 加給年金
受給できる方 ・特別支給の老齢厚生年金と老齢厚生年金に差額がある方

・20歳前、または60歳以降にも厚生年金に入っており、かつ国民年金の納付期間が40年(480年)に満たない方

65歳になったときに、65歳未満の配偶者、または18歳到達年度の末日までの子どもがいる方
受給金額 定額部分から受け取れる老齢基礎年金額を引いた額 ・配偶者:234,800円(受給権者の年齢によって特別加算がつく場合もある)

・1人目・2人目の子ども:各234,800円

・3人目以降の子ども:各78,300円

(子どもは、1級・2級の障害状態にある場合は20歳未満)

(いずれも年間で支給される額)

受給条件 厚生年金に加入していた方 20年以上厚生年金に加入期間していた方
受給期間 生涯受け取れる ・配偶者が65歳になるまで

・子どもが18歳になった年度の末日まで

加給年金は、家族を扶養するために支給されるものです。配偶者が65歳になると配偶者自身が年金を受け取れるため、加給年金は打ち切られます。子どもが18歳以上になった場合も同様です。

参考:加給年金額と振替加算|日本年金機構

5. 経過的加算の計算方法

老人

経過的加算の計算方法は以下のとおりです。

経過的加算=(1)特別支給の老齢厚生年金のなかの定額部分-(2)厚生年金の老齢基礎年金分

(1)の部分の求め方:1,701円※×1.0×被保険者期間の月数(上限は480ヵ月)

※昭和31年4月1日以前が誕生日の方は1,696円

(2)の部分の求め方:※816,000円×20~60歳の間の被保険者期間の月数÷480

※昭和31年4月1日以前が誕生日の方は813.969円

上記の計算は、令和6年度に日本年金機構が発表している数値を用いています。数値は変動する可能性もあるので注意してください。

参考:老齢年金ガイド|日本年金機構

6. 経過的加算を受給するメリット

メリット

経過的加算により得られるメリットは、国民年金加入期間が40年に満たない方でも、年金受給額を満額・または満額に近づけられる点です。

年金の受取額が少ない方も、経過的加算により受給額を増やせる可能性があります。20~60歳の間に年金を納められなかったと諦めず、60歳からも積極的に働き、厚生年金を納付すると良いでしょう。

7. 経過的加算額を増やすには

老人

国民年金の免除期間がある方や、国民年金の未納期間がある方は、60歳以降も働き厚生年金を納めることで経過的加算を増額できます。しかし、国民年金の上限である40年(480ヵ月)に達した場合、それ以上加算額は増えません。

一方で、老齢厚生年金は長く納めるほど受給額が増えていきます。年金額を少しでも増やしたい方は、国民年金の満額にこだわらず厚生年金を納付し続けるのも良い方法です。

8. 経過的加算について理解し従業員に説明できるようにしておこう

オフィス

経過的加算は、厚生年金の受給開始年齢が引き上げられたときに、経過措置として設けられました。現在では、国民年金の納付期間が満期に満たない方が、対象年齢である20~60歳に縛られずに、満期まで納入できる仕組みとして機能しています

経過的加算について理解すれば、60歳以降も働きつづけようと考える方もいるでしょう。従業員から経過的加算について質問された場合には、従業員の国民年金の納付期間に注目して、アドバイスをすると良いでしょう。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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