ストレスチェックの活用で職場が変わる!集団分析を組織改善に繋げる具体策
更新日: 2026.9.9 公開日: 2026.3.19 jinjer Blog 編集部

ストレスチェックは法令に基づき実施する仕組みですが、集団分析などを通じて職場のストレス要因を把握し、働きやすい環境づくりや組織改善に活用できます。
本記事では、ストレスチェックの結果を職場環境改善や組織改革に活かすための具体的な方法と、実施する際のポイントをわかりやすく解説します。
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. なぜストレスチェックの活用が今求められているのか


ストレスチェックの結果は、集団分析などを通じて職場環境の改善に活用することが重要です。ストレスチェックでは、個人のセルフケアや医師による面接指導だけでなく、仕事の量や周囲のサポートなど個人の努力だけでは改善が難しい要因にも目を向ける必要があります。
結果を適切に分析し、職場環境の改善につなげることで、従業員の健康保持に加え、離職防止や生産性向上につながる可能性があります。人的資本経営の観点からも、従業員の健康や職場環境に関するデータを活用することが大切です。
関連記事:ストレスチェックとは?必要性・メリット・効果を高める方法を解説
1-1. 心身の不調による労働損失の解消
一見、通常どおり勤務しているように見えても、心身の不調によって生産性が低下している状態を「プレゼンティズム」とよびます。
ストレスチェックを活用して、本人が気づきにくいストレスの兆候や職場のストレス要因を把握し、早期に対策を講じることはこうした生産性低下の予防につながります。
また、プレゼンティズムによる生産性損失は、アブセンティズム(欠勤)による損失を上回る場合があるとされています。
ストレスチェックで高い健康リスクが示された部署では、業務量や職場環境などを確認し、必要に応じて改善することで、従業員の健康維持と組織の生産性向上につなげられます。
1-2. 人材流出の防止と採用ブランディング
ストレスチェックの結果を適切に分析し、積極的にメンタルヘルス対策に取り組むことは、「従業員を大切にする企業」というイメージの形成にもつながります。
さらに、ストレスチェックを経営改善の手がかりとして活用することで、従業員の定着やエンゲージメントの向上も期待できるでしょう。例えば、職場環境の改善実績を採用活動や企業認定などの対外的な取り組みに活用する方法があります。
1-3. 【2028年4月1日施行】従業員50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化
2028年4月1日から、労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されます。
これまでストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられ、50人未満の事業場では努力義務とされていました。法改正により、これまで努力義務だった小規模事業場にも実施義務が生じるので早めの準備が重要です。
また、ストレスチェックを法令上の義務として実施するだけでなく、その結果を職場環境の改善やメンタルヘルス対策に活用することで、より実効性のある取り組みにつなげられます。
関連記事:50人未満の事業所もストレスチェック義務化!いつからやるべきかや罰則などを解説
2. ストレスチェック活用の中核「集団分析」の進め方


集団分析とは、ストレスチェックの結果を部署や年代などの集団ごとに集計し、ストレスの特徴や傾向を分析することです。集団分析は法律上の努力義務ですが、職場のストレス状況を把握し、職場環境の改善につなげるうえで重要です。
集団分析をおこなう際は、個人が特定されないよう配慮する必要があります。集計・分析の単位における実際の受検者数(有効なデータ数)が10人を下回る場合は、個人が特定されるおそれがあるため、原則として事業者は集団分析結果の提供を受けてはいけません。その場合は、集団の単位を見直すなど、個人が特定されない方法で分析することが必要です。
なお、50人未満の小規模事業場では、従業員のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されています。外部委託する場合は、集団分析も委託するのかあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
参考:ストレスチェックの 「集団分析 」を適切に実施しましょう!|厚生労働省
参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
2-1. 標準職業ストレス調査票(仕事のストレス判定図)の活用
集団分析には、厚生労働省が示している「職業性ストレス簡易調査票」を活用できます。この調査票には、仕事上のストレス要因、心身の反応、周囲からの支援などを把握する項目が含まれています。
また、調査結果を「仕事のストレス判定図」に反映することで、職場ごとのストレス状況を視覚的に把握できます。
| 判定図の種類 | 横軸 | 縦軸 | 健康リスクが高い方向 |
|---|---|---|---|
| 量-コントロール判定図 | 仕事の量的負担 | 仕事のコントロール(裁量権・自由度など) | 右下(負担が大・コントロールが小) |
| 職場の支援判定図 | 上司の支援 | 同僚の支援 | 左下(上司支援が小・同僚支援が小) |
判定図では、横軸と縦軸の値から職場の状況を判定します。「100」は全国平均を基準とした健康リスクの基準値で、数値が高いほど健康リスクが高いことを示します。
集団分析を活用すれば、個人の印象や感覚だけでは捉えにくい職場のストレス要因や健康リスクを、集団単位のデータとして把握し、職場環境の改善につなげられます。
2-2. データの経年比較で施策の効果を検証
単年度の結果を眺めるだけでなく、前年や前々年のデータと比較することが重要です。例えば、「残業削減施策を導入した結果、量的負担のスコアがどう変化したか」を追うことで、実施した人事施策の有効性を客観的に評価できます。施策の効果が出ていれば、それは人事部署の成果として経営層へ報告する際の強力なエビデンスとなります。
また、特定の部署で急激に数値が悪化した場合は、管理職の交代や業務内容の変更といった環境の変化がストレス要因になっているおそれがあります。定期的な比較分析をおこなうことで、深刻な問題に発展する前に組織的なフォローが可能となります。数値の変化を「組織のアラート」として捉え、早期にヒアリングをおこなうなどの機動的な対応が、最悪の事態を防ぐ鍵となります。
3. ストレスチェックを効果的に活用するための基盤づくり


ここでは、ストレスチェックを単に実施するだけで終わらせず、結果を職場環境の改善や従業員のメンタルヘルス対策に活用するための基盤づくりについて紹介します。
参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
3-1. 実施の目的を従業員に正しく伝える
ストレスチェックを効果的に活用するには、十分な受検率を確保し、職場の実態を適切に把握できるデータを得ることが重要です。
ストレスチェックは事業者に実施義務がありますが、従業員に受検義務があるわけではありません。制度の目的や意義が理解されていないと、受検率が低下し、集団分析などをおこなっても職場の実態を十分に把握できないおそれがあります。
そのため、制度の目的や結果の活用方法を丁寧に説明するとともに、個人情報の取り扱いや、受検・未受検を理由とする不利益な取り扱いがないことなどを周知し、従業員が安心して受検できる環境を整えることが大切です。
関連記事:ストレスチェックは意味ない?理由や対策を知って効果的に実施しよう
3-2. 高ストレス者へのフォロー体制を整備する
ストレスチェックの結果、高ストレス状態にあると判定された従業員に対して、適切なフォローをおこなえる体制を整えておくことも重要です。
特に、従業員が「結果を企業に知られるのではないか」「人事評価に影響するのではないか」と不安を感じると、面接指導の申出をためらう可能性があります。
そのため、結果の通知から面接指導の申出までの流れやその取り扱いについて、あらかじめ従業員にわかりやすく説明しておくことが大切です。
また、面接指導後は、医師の意見を踏まえて必要に応じた就業上の措置を検討するなど、受検後の対応まで含めたフォロー体制を整備することが求められます。
関連記事:ストレスチェック後の産業医面談の内容とは?流れ・目的・拒否された場合の対応を解説
3-3. システムを活用してデータ分析の環境を整える
ストレスチェックは1年以内ごとに1回実施する必要があります。毎年の結果を適切に管理し、経年変化を把握できる仕組みを整えることで、制度を継続的に活用しやすくなります。
専用システムを活用すれば、受検案内や受検状況の管理、集団分析などの業務を効率化できます。また、継続的にデータを蓄積・分析することで、職場のストレス状況を把握し、職場環境の改善にも役立てられるでしょう。
ただし、ストレスチェックの結果には従業員の健康に関する重要な情報が含まれています。そのため、システムを導入する際は、個人情報の保護やアクセス権限、データの保管方法などを確認し、関係者以外が個人結果を閲覧できないよう適切に管理しましょう。
参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
3-4. 「分析」から「職場改善」へつなげる
ストレスチェックでは、分析結果をもとに職場のストレス状況や課題を把握し、具体的な職場環境の改善につなげることが重要です。課題が見つかった場合は、従業員の意見も取り入れながら実施可能な改善策を検討しましょう。
例えば「部署全体の残業をゼロにする」といった壮大な目標を掲げるのではなく、「水曜日をノー残業デーにする」「定例会議を30分短縮する」など、具体的で実施しやすい施策から取り組むことが考えられます。
また、改善策を実施して終わりにするのではなく、その後の職場の状況や次回のストレスチェックの結果などを踏まえ、施策の効果を確認することも大切です。効果が十分でなければ、原因や課題を改めて検討し、必要に応じて対策を見直しましょう。
4. 現場を動かす具体的な職場環境改善のポイント


ストレスチェックは結果を確認するだけでなく、職場の課題を把握し、従業員や管理職と共有しながら改善につなげることが重要です。ここでは、ストレスチェック結果を現場の職場環境改善につなげるための具体的なポイントを紹介します。
4-1. 実施と結果共有のタイミングを工夫する
ストレスチェックを効果的に活用するには、従業員が受検しやすい環境を整えることが重要です。
実施時期を決める際は、単に企業側の都合だけでなく、従業員が落ち着いて回答できるか、受検期間を十分に確保できるかといった点も考慮しましょう。
また、メールや社内ポータルなどで事前に案内し、回答方法や所要時間をわかりやすく伝えておくことも、受検を促すうえで有効です。
実施後は、結果を適切かつ速やかに本人へ通知することが重要です。結果通知が遅れると、従業員が自身のストレス状態を振り返り、セルフケアや必要な相談につなげる機会も遅れてしまうので注意しましょう。
4-2. 匿名アンケートや対話を通じてストレス要因を特定する
集団分析では職場のストレス傾向を把握できますが、数値だけでは具体的な背景や原因まで把握できないことがあります。
例えば「仕事の量的負担が高い」という結果が出ても、その背景が「人手不足」なのか「会議が多い」なのかは、分析結果だけでは判断できません。
そこで、匿名アンケートを活用して従業員の意見を集めたり、安心して意見を出せる対話の場を設けたりすることが有効です。匿名性を確保することで、職場の課題について率直な意見を表明しやすくなります。
また、従業員が職場改善について意見を出す機会を設けることは、改善への当事者意識を醸成することにもつながります。
対話や職場改善を進める際は、人事担当者だけでなく、必要に応じて産業医や産業保健スタッフ、外部の専門家などから助言や支援を受けることも検討するとよいでしょう。
4-3. 管理職へのフィードバックと意識改革
管理職には、集団分析の結果だけを伝えるのではなく、職場のどのような点がストレス要因となっているのか、その背景や改善の方向性まで共有しましょう。
この際「管理ができていない」と管理職を責めるのではなく、ストレスチェックの結果を職場改善に活用するデータとして捉えることが大切です。結果を自身の評価と受け止めると、防衛的になり、課題の共有や改善策の検討が進みにくくなる可能性があります。
また、研修などを通じて、管理職のラインによるケアやメンタルヘルスへの理解を深めてもらうことも大切です。日頃から部下の変化に気づき、必要に応じて相談や支援につなげられるよう、相談しやすい職場づくりへの意識を高めましょう。
5. ストレスチェックを「実施するだけ」から「職場改善の手段」へ


ストレスチェックは法令遵守のための事務作業ではなく、職場のストレス状況を把握し、職場環境の改善につなげるための仕組みです。結果を分析し、従業員の意見も踏まえて改善策を実行することで、ストレス要因の軽減やメンタルヘルスの向上が期待できます。
また、集団分析の結果は、個人が特定されない形で経営会議や部課長会議などに共有し、職場の課題を検討する材料として活用できます。ストレスチェックを実施して終わりにせず、継続的な職場改善につなげていきましょう。



従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
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しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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