企業のストレスチェックが意味ないとされる理由は?改善方法をわかりやすく解説
更新日: 2025.2.6
公開日: 2025.2.6
OHSUGI
「ストレスチェックが意味ないとされる理由を知りたい」
「意味ないとされるストレスチェックの改善方法を知りたい」
上記のようなお悩みをもつ方も多いでしょう。
ストレスチェックとは、法律に基づき会社が全従業員に実施する、従業員のストレス状態を調べるための簡単な回答選択式の検査です。
従業員の回答を医師の補助者が回収し、医師や保健師などが従業員のストレス状態を評価・分析します。労働者が50以上いる事業所は、法律により年1回ストレスチェックを実施しなければなりません。
しかしながら、ストレスチェックを意味ないと感じる従業員は多いといわれています。
そこで本記事で、ストレスチェックが意味ないとされる理由や意味ないストレスチェックを改善する方法について見ていきましょう。
また、ストレスチェックを実施する際の注意点や従業員はストレスチェックを拒否できるのかについて気になる方も、ぜひご覧ください。
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1. ストレスチェックが意味ないとされる理由
ストレスチェックが意味ないとされる理由は、以下の4つです。
- 受検する従業員が少ないため
- 正直に回答する従業員が少ないため
- 従業員が検査結果を確認するだけで終わることが多いため
- 産業医面談を拒否する従業員が多いため
各理由の詳細を見ていきましょう。
1-1. 受検する従業員が少ないため
ストレスチェックが意味ないとされる理由の一つは、受検する従業員が少ないためです。
従業員のストレスチェックの受検には、法的な義務がありません。従業員の意思で受検を拒否できるため、ストレスチェックの実施自体に意味がないと考える従業員もいるでしょう。
従業員がストレスチェックを受検しない理由は、以下のようにさまざまです。
- 忙しいため
- 面倒くさいため
- 受ける意味を感じないため
受検率が低い場合、職場環境の改善に役立つ集団分析の正確性にも問題が生じます。結果、会社にとってもストレスチェックが意味ないものになるでしょう。
1-2. 正直に回答する従業員が少ないため
正直に回答する従業員が少ないことも、ストレスチェックが意味ないとされる理由の一つです。
会社や周囲にストレス過多状態を知られることや、人事評価に悪影響を与えると不安に感じる従業員が適当に回答する場合があります。
しかしながら、検査結果は人事評価に影響を与えず、個人情報のため医師の面接指導を受ける場合を除き会社が内容を知ることはありません。
ストレスチェックに関する情報不足から、適当に回答する従業員がいることも理解しておきましょう。
1-3. 従業員が検査結果を確認するだけで終わることが多いため
従業員が検査結果を確認するだけで終わることが多いことも、ストレスチェックが意味ないとされる理由です。
検査後の対応は従業員に任せられているため、検査結果が高ストレスの場合でも何もしない従業員は多く見受けられます。
ストレスチェックの目的の一つが、自身では気づきにくい心の健康不良を従業員自身で早期発見し、改善に役立てることです。
早期発見には役立つものの、ストレス過多状態の改善につながりにくい点もストレスチェックを意味ないと感じる要因の一つでしょう。
また、検査へ適当に回答している場合はストレスチェックの結果も意味ないため、従業員が検査結果を確認するだけで終わります。
1-4. 産業医面談を拒否する従業員が多いため
ストレスチェックが意味ないとされる理由には、産業医面談を拒否する従業員が多いこともあります。
高ストレス者判定を受けた従業員が、産業医面談を受けるかどうかは自己判断です。そのため、以下のような理由から産業医面談を拒否する従業員も多く見受けられます。
- 会社に知られたくないため
- 忙しいため
- 面倒くさいため
産業医面談とは医師による面接指導のことで、面接指導を受ける場合には従業員から会社への申出が必要です。
産業医面談後には、医師が会社へ面接指導した従業員に関する就業上の措置の要否・内容などについて意見しなければなりません。
会社にメンタルヘルスの不調を知られるため、不当な扱いを受けることへの不安から産業医面談を拒否する従業員もいます。
高ストレス判定を受けたものの産業医面談を受けず、何もしないまま放置する従業員が多いことも、ストレスチェックが意味ないとされる要因です。
2. 意味ないと感じる従業員はストレスチェックを拒否できる
従業員が意味ないと感じる場合、従業員はストレスチェックを拒否できます。
会社に対する全従業員へのストレスチェックの実施義務は法律で定められていますが、従業員の受検に関する定めはありません。
従業員に受検を拒否された場合でも、会社からの強制や不当な取り扱いは厳禁です。
厚生労働省が2024年3月末に公表した2023年のストレスチェックの受検率は、約79%でした。
従業員がなぜストレスチェックを拒否するのかについても検討し、受検を促す対策を講じましょう。例えば、結果は本人への直接通知で人事評価には影響しないなどの細かな情報の提供です。
参考:令和5年 ストレスチェックの実施状況|厚生労働省 静岡労働局
3. 意味ないストレスチェックを改善する4つの方法
意味ないとされるストレスチェックを改善する方法は、以下の4つです。
- 目的や個人情報の取扱いを周知徹底する
- 全従業員に受検してもらう仕組みを作る
- 職場環境の改善に役立てる
- メンタルヘルス対策を実施する
各方法を詳しく見ていきましょう。
3-1. 目的や個人情報の取扱いを周知徹底する
意味ないとされるストレスチェックを改善する方法の一つは、目的や個人情報の取扱いを周知徹底することです。
検査前の従業員への周知徹底により、検査に関する知識不足や誤解から受検を拒否する従業員が減ります。
結果、受検率の向上や検査に正直に回答する従業員の増加が見込まれるでしょう。
すると、より多くの従業員が自身のストレス状態を正確に把握でき、メンタルヘルス不調の予防に役立てられます。
3-2. 全従業員に受検してもらう仕組みを作る
全従業員に受検してもらう仕組みを作ることも、意味ないとされるストレスチェックを改善する方法です。
検査の時期や検査方法などにも気を配りつつ実施計画を立てると、忙しさから受検を避ける従業員が減ります。
例えば、各部署の繁忙期の実施を避けたりオンライン検査を採用したりなどです。
受験率が上昇すれば、従業員自身による心の健康不良の早期発見や改善に役立つでしょう。
3-3. 職場環境の改善に役立てる
職場環境の改善に役立てることも、意味ないとされるストレスチェックを改善する方法の一つに挙げられます。
ストレスチェックの結果を用いた集団分析結果を活かすと、個人で解決するのが難しい職場に存在するストレス要因の除去を組織主体で実行できるためです。
結果、従業員のメンタルヘルス不調の予防につながる効果的な職場環境の改善を実現できます。
3-4. メンタルヘルス対策を実施する
メンタルヘルス対策を実施することも、意味ないとされるストレスチェックを改善する方法の一つです。
相談窓口の設置をはじめ、組織全体でメンタルヘルス対策を検討・実施することで、産業医面談を拒否した従業員の検査後のサポートができます。
会社のフォロー体制が整っていれば、検査結果の確認だけで終わり、ストレスチェックを意味ないと考える従業員も減るでしょう。
4. ストレスチェックを実施する際の注意点
ストレスチェックを実施する際の注意点は、以下の3つです。
- 実施の時期や方法を検討する
- 個人情報を適切に管理する
- 検査結果による不当な扱いをしない
各注意点について見ていきましょう。
4-1. 実施の時期や方法を検討する
ストレスチェックを実施する際の注意点の一つは、実施の時期や方法を検討することです。
全従業員にストレスチェックを受検してもらうために、決算前後や繁忙期を避けつつ実施時期を検討します。
また、検査の手間を減らすためにオンライン検査や外部委託など、実施方法についても検討しましょう。
4-2. 個人情報を適切に管理する
個人情報を適切に管理することも、ストレスチェックを実施する際の注意点です。
検査を外部委託しない場合には、医師や保健師の補助者として以下のような業務を従業員が担当します。
- 質問票の回収
- データ入力
- 結果送付
また、従業員が産業医面談を受けた場合には、面接指導の結果を事業所で5年間保存しなければなりません。
従って、個人情報の適切な取扱方法や管理方法についても事前の検討が必要です。
4-3. 検査結果による不当な扱いをしない
ストレスチェックを実施する際の注意点として、検査結果による不当な扱いをしないことも挙げられます。
不当な配置転換や解雇など、以下を理由とした会社から従業員への不利益な扱いは法律で禁じられているためです。
- ストレスチェックを受検しないこと
- 検査結果の会社への提供に同意しないこと
- 産業医面談へ申し出たこと
- 産業医面談への申し出がないこと
従業員が産業医面談を受ける場合は会社に申請するため、申請者が産業医面談を受けることを会社が知ることになります。
個人情報の扱い方にも注意しつつ、検査結果による不当な扱いが生じないように気を配りましょう。
5. 意味あるストレスチェックで従業員の健康を守ろう
ストレスチェックが意味ないとされる理由として、手間や評価への影響を考え、受検したり正直に回答したりする従業員が少ないことが挙げられます。
また、検査結果の確認だけで終わったり産業医面談を拒否したりして、ストレス状態の改善につながらないことも理由の一つです。
意味あるストレスチェックの実施を目指すためには、検査前の周知徹底により、正直な回答者や受検者数の増加を狙いましょう。
結果、精度の高い集団分析結果から、効果的な職場環境の改善対策を検討・実施できます。
本記事で解説している実施の際の注意点も参考にしながら、ぜひ意味あるストレスチェックの実施を目指してください。
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