外国人技能実習生の労働時間の上限とは?育成就労制度の概要や外国人材の労務管理の注意点 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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外国人技能実習生の労働時間の上限とは?育成就労制度の概要や外国人材の労務管理の注意点

作業する男性

外国人技能実習生は日本の技術や知識を学ぶために来日し、将来的には母国に戻って習得した技術を生かして経済発展に貢献することが期待されている人材です。2017年からは外国人技能実習機構が設立され、技能実習生がよりよい環境で働けるよう制度の適正化が進められてきました。

一方で、労働基準監督署がおこなった調査では実習先事業所のうち約7割で労働基準関連法違反が見つかるなど、外国人技能実習生の受け入れ先の企業が必ずしも関連法令に則って雇用しているわけではないことがわかっています。

さらに、2027年4月には技能実習制度に代わる新しい制度として「育成就労制度」の施行が予定されており、外国人材の労務管理は大きな転換期を迎えています。

本記事では、外国人技能実習生の労働時間の上限、育成就労制度の概要、注意点をわかりやすく解説します。

残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

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1. 外国人技能実習生の労働時間の上限

虫眼鏡

はじめに、外国人技能実習生の労働時間に適用されるルールを確認します。「技能実習生専用の特別な上限規制」は存在せず、日本人と同じ基準で管理する点がポイントです。

ただし、技能実習計画上は、合理的な理由のない時間外労働・休日労働・深夜労働が原則として想定されておらず、労働基準法だけでなく技能実習計画との整合性も確認する必要があります。

1-1. 外国人技能実習生にも36協定や労働関係法令が適用される

外国人技能実習生は、受け入れ先の企業と雇用契約を結んで働く労働者です。そのため、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働契約法などの労働関係法令が、日本人と同様に適用されます。国籍や在留資格を理由に、労働条件を不利に取り扱うことは認められません。

労働基準法第32条では、法定労働時間が1日8時間・1週40時間と定められています。この時間を超えて時間外労働または法定休日労働させる場合は、労使間でいわゆる36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

時間外労働には25%以上(月60時間を超える部分は50%以上)の割増賃金の支払いも必要です。

さらに、36協定を締結しても時間外労働は無制限にはならず、時間外労働の上限は定められています。

区分 上限
原則 月45時間・年360時間
特別条項を締結した場合 時間外労働 年720時間以内
時間外労働+休日労働の合計 月100時間未満
時間外労働+休日労働の2ヵ月平均から6ヵ月平均までの各平均 80時間以内
時間外労働が月45時間を超えられる回数 年6回まで

関連記事:36協定とは?基礎知識から残業上限規制や締結・届出、違反リスクまで完全解説

2. 育成就労制度が創設!技能実習制度との関連性

はてな

技能実習制度は、2027年4月に育成就労制度に変わります。制度の名称が変わっても、労働時間管理の上限は変わりません。

2-1. 育成就労制度の概要

育成就労制度は、2027年4月から始まる制度です。技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を見直し、日本の人手不足分野における人材の育成と確保を目的として創設されました。

育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準に達する人材を育成します。受入れ対象は育成就労産業分野に限られ、育成就労計画にもとづいて技能や日本語能力の向上を支援する仕組みです。技能実習制度で原則として認められていなかった本人意向による転籍も、一定の要件を満たす場合に認められます。

参考:育成就労制度|出入国在留管理庁

関連記事: 育成就労制度とは?2027年4月施行の概要や技能実習・特定技能との違いを解説

2-2. 育成就労制度でも労働時間の上限は同様

育成就労制度に移行しても、労働基準法をはじめとする労働関係法令はこれまでどおり適用され、1日8時間・1週40時間の法定労働時間や、36協定による時間外労働の上限規制も変わりません。育成就労だからといって、特別な上限規制は設けられていないため注意しましょう。

なお、2026年6月14日には改正外国人雇用管理指針の適用が始まりました。外国人労働者への公正な待遇、日本語学習の支援などを見直す内容が含まれています。育成就労制度の開始を待たず、技能実習生を含む外国人材の雇用管理に反映しましょう。

関連記事:労働時間管理を正確におこなうためのガイドラインを徹底解説

参考:外国人雇用管理指針改正の主なポイント|厚生労働省

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技能実習制度から育成就労制度へ移行しても、労働時間管理の土台は変わりません。人事担当者は、在留資格の変更だけに目を向けず、育成就労計画、雇用契約、就業規則、36協定、勤務カレンダー、勤怠設定の内容が一致しているかを点検しましょう。

母国語ややさしい日本語でルールを説明し、本人の理解を確かめた記録も残しておくと、監理団体や行政機関へ運用状況を説明しやすくなります。判断に迷う場合は、管理支援機関や社労士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

解説:社会保険労務士

3. 外国人技能実習制度における労働時間管理のポイント

時計とPC作業する男性

労働時間の上限が日本人と同じでも、言語や雇用慣行の違い、技能実習計画との整合性など、技能実習生の管理では配慮が必要です。人事担当者は、周知、システム、計画、在留資格の4つの観点から運用を確認しましょう。

3-1. 労働時間管理の方法を丁寧に周知する

技能実習生を受け入れるときは、始業・終業時刻、打刻方法、休憩、休日、残業の申請方法、勤怠修正の手順を、本人が理解できる方法で周知します。労働条件通知書や就業規則を渡すだけではなく、具体例を用いて理解を確かめることが大切です。

例えば、企業が義務付けているにもかかわらず「制服へ着替えた後に打刻する」「終業の打刻後に清掃する」といった運用では、企業の指揮命令下にある勤務時間が記録から漏れる可能性があります。始業前の朝礼、準備作業、終業後の片付けが労働時間に該当する場合は、正しく打刻するよう周知しましょう。

やむをえず自己申告制を採用する場合は、正しく申告する方法を説明し、入退場記録、パソコンの使用記録などと自己申告の時間に差があるときは、実態を調査し必要に応じて勤怠を修正してください。

参考:外国人の方に人事・労務を説明する際にお困りではないですか?|厚生労働省

関連記事:勤怠管理の方法や方法別のメリット・デメリット、勤怠管理の目的を解説

3-2. 母国語対応できるシステムを活用する

勤怠管理システムを選ぶ際は、技能実習生が理解できる言語で、出退勤の打刻、休暇申請、勤怠実績の申請などをおこなえるかを確認します。本人が自分の労働時間や残業時間を確認できる仕組みがあれば、打刻漏れや認識の違いに早く気づけます。

ただし、多言語対応のシステムを導入するだけでは、適切な管理は実現しません。システム上の記録と実際の勤務に差がないかを、月ごとに確認することをおすすめします。

3-3. 技能実習計画との整合性にも注意する

技能実習生は、外国人技能実習機構の認定を受けた技能実習計画に沿って実習する仕組みです。時間外労働や休日労働、深夜労働は原則として想定されておらず、やむを得ない業務上の事情などでおこなう場合も、技能の修得に必要な最小限の時間にとどめる必要があります。

36協定を締結・届出していても、技能実習計画を確認せずに残業を増やせるわけではありません。外国人技能実習機構の運用要領では、月ごとの時間外労働が45時間を超えるように延長する場合は届出が必要とされています。時間外労働と休日労働の合計が月80時間を超えるように延長しようとする場合には、変更認定が必要です。

次の手順で計画と実績を照合しましょう。

  1. 毎月の所定労働時間、時間外労働、休日労働、深夜労働を集計する
  2. 技能実習計画、勤務カレンダー、36協定で定めた時間と照合する
  3. 差が生じる見込みがある段階で、技能実習責任者と監理団体へ連絡する
  4. 必要な変更認定または届出を確認し、手続きの記録を保存する

参考:技能実習制度運用要領|外国人技能実習機構

3-4. 留学生や家族滞在の資格外活動許可28時間と混同しない

外国人の労働時間を確認する際、「週28時間まで」という基準を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、この基準は、在留資格「留学」や「家族滞在」などの外国人が、資格外活動許可を受けて働く場合に適用される上限です。技能実習生の労働時間上限ではありません。

技能実習生は、認定された技能実習計画と雇用契約にもとづき、在留資格で認められた活動に従事します。資格外活動許可の週28時間を基準に所定労働時間や残業時間を設定するのではなく、労働基準法、36協定、技能実習計画の3つを確認してください。

4. 技能実習生の労働時間を適切に管理する方法

ポイントのブロック

技能実習生の労働時間を適切に管理するには、客観的な記録、残業時間の上限に近づく前のアラート、本人が理解しやすい運用を組み合わせることが重要です。

4-1. 客観的な記録が残る勤怠管理方法を採用する

労働時間の把握は、改ざんや記録漏れのリスクが少ない客観的な方法でおこなうことが原則です。紙の出勤簿への手書きや、打刻データをエクセルへ手作業で転記する運用では、運用によっては代理記入・転記ミス・データ改変のリスクが高まり、監督指導の際に労働時間の実態を証明できないおそれもあります。

技能実習生の勤怠管理では、ICカード、本人認証ができる端末、、パソコンの使用記録などを用い、客観的な記録が残る方法を選ぶことをおすすめします。1台の端末を複数人で使う場合は、代理打刻を防ぎ、本人を正しく識別できる設定が必要です。

打刻の修正が必要な場合は、修正前の時刻を消去せず、本人の申請、修正理由、管理者の承認、修正後の時刻が残る仕組みにします。

客観的な記録と本人からの勤怠申請も定期的な照合が必要です。差が見つかったときは、単なる打刻ミスと判断せず、始業前作業や休憩中の対応をおこなっていないかを確認しましょう。

4-2. 残業時間の上限をアラートで防ぐ

時間外労働の上限規制は、月45時間・年360時間の原則に加え、特別条項を締結した場合でも月100時間未満・複数月平均80時間以内・年720時間以内など複数の基準を同時に満たす必要があり、手作業での管理には限界があります。集計が月末に間に合わず、気付いたときには上限を超えていたという事態は避けなければなりません。

アラート機能を備えた勤怠管理システムであれば、残業時間をリアルタイムで自動集計し、上限に近づいた時点で本人と管理者の双方に通知できます。通知を受けた管理者が業務を調整することで、上限超過を未然に防げる可能性が高まります。

4-3. 技能実習生が理解しやすい運用ルールを整える

労働時間管理を確実に機能させるには、ルールを「伝わる形」で示す工夫が欠かせません。労働基準法では就業規則の周知が義務付けられていますが、日本語のみでは技能実習生が内容を正確に読み取ることは困難です。母国語に翻訳した就業規則や、勤怠、割増賃金の仕組みなどを、実習生がいつでも確認できるようにします。

言葉による説明を補う手段として、イラストの活用も有効です。例えば、時計の文字盤を色分けして「働く時間」と「自由に過ごせる休憩時間」を視覚的に示せば、日本語の細かなニュアンスが伝わらなくても、1日のスケジュールをひと目で把握できます。指示を待っている手待時間や作業服への着替え時間が労働時間に含まれるかどうかといった、判断を間違いやすい場面でも、イラストで具体的に示しておくと誤解を防げるでしょう。

5. 外国人技能実習生も適切に労働時間を管理しよう

時計

外国人技能実習生には、日本人労働者と同じく労働基準法などの労働関係法令が適用され、1日8時間・1週40時間の法定労働時間や36協定による時間外労働の上限も同一の基準で管理しなければなりません。技能実習生だからといって特別な上限ルールはなく、留学生などに適用される資格外活動許可の週28時間とも異なる点に注意が必要です。

2027年4月に施行される育成就労制度では、本人の意向による転籍が可能になるなど、外国人材が働く環境を選べるようになります。労働時間を適切に管理し、安心して働ける職場を整えることは、法令遵守にとどまらず、外国人材から選ばれる企業になるための重要な投資といえるでしょう。

多言語対応やアラート機能を備えた勤怠管理システムも活用しながら、客観的で透明性の高い労働時間管理の体制を整えていきましょう。

残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
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