労働時間管理を正確におこなうためのガイドラインを徹底解説 | jinjerBlog

労働時間管理を正確におこなうためのガイドラインを徹底解説

従業員の労働時間を適切に管理・把握することの目的は、「給与計算を正確に行うため」「長時間労働を防ぎ、従業員の健康を守るため」の2つが挙げられます。

しかし、働き方改革が進む前は労働時間の管理が適切に行われておらず、残業代の未払いや過労死が大きな社会問題となっていました。

このため、2017年に適正な労働時間管理を行うために使用者は具体的にどのような措置をとらなければならないのか、ガイドラインが設けられました。企業は原則このガイドラインに沿って労働時間管理をしなくてはなりません。

本記事では、労働時間管理を適切に行うための方法やポイント、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」について、わかりやすく解説していきます。

【関連記事】労働時間について知らないとまずい基礎知識をおさらい!

労働時間に関する疑問をこの一冊ですぐに解決!
【一問一答】労働時間でよくある質問を徹底解説

この記事をご覧になっているということは、労働時間の管理に関してお悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

ジンジャーは日々、人事担当者様から多くの質問をいただき、弊社の社労士が回答させていただいております。

その中でも多くいただいている質問を32ページにまとめました。

【資料にまとめられている質問】

・労働時間と勤務時間の違いは?
・年間の労働時間の計算方法は?
・労働時間に休憩時間は含むのか、含まないのか?
・労働時間を守らなかったら、どのような罰則があるのか?

労働時間に関する疑問を解消するため、ぜひ「【一問一答】労働時間でよくある質問を徹底解説」をご参考にください。

1. 労働時間管理を適切に行うポイント7つ

ここでは、労働時間を適切に行うためにチェックしておきたいポイントをご紹介します。基本的なことも含まれていますが、しっかりと確認しておきましょう。

1-1. 勤怠管理システムを導入する

労働時間管理を成功させる方法として、大きな効果を持つのが勤怠管理システムの導入です。

パソコンだけでなくスマホやタブレットからアクセスできる勤怠管理システムがあれば、日々の出勤・退勤時間の打刻や経費の申請などもすませることができます。

勤怠管理に欠かせない従業員の名簿管理や出退勤の打刻データも自動的に保存されるため、人事担当者の労力を軽減できるのもポイントです。

1-2. 働いた時間に応じて給与や手当を支払う

労働時間管理・勤怠管理の一番の目的は、正確な給与計算を行い、従業員に賃金を支払うことです。

労働があった分、賃金の支払い義務があることは労働基準法でも定められていることですので、たとえ「計算間違い」だったとしても、賃金が適切に支払われなければ法律違反となります。

賃金が適切に支払われないことは従業員の不満や不信感を募らせ、人材の流失につながるだけでなく、社会的な信用を損なうことや訴訟リスクにもつながりかねません。曖昧な方法による労働時間管理ではなく、しっかりとルールを定め正確に労働時間を把握できるようにしなければなりません。

1-3. 法律の上限を超えないように残業時間を管理する

働き方改革関連法の施行にともなって、これまで実質無制限だった残業時間にも罰則付きの上限ができました。

もし、法律によって定められた残業時間の上限を超えて従業員を働かせてしまった場合、労働基準法違反になります。

「タイムカードを集計してみたら残業時間の上限を超過していた」ということが起こらぬよう、企業の勤怠管理担当者は今まで以上に従業員の労働時間を厳格に把握し管理する必要があります。

もし上限規制の時間を超過してしまった場合、罰則自体は半年以下の懲役または30万円以下の罰金ですが、「労働基準法を守れない会社」という事実は、企業にとって大きな不利益となってしまいます。

悪評が広まった結果、有望な新入社員やスキルや経験を持った中途社員の応募が減り採用ができなくなってしまうと、忙しい部署の人数を増やして残業を減らすという根本的な対処ができません。

残業時間を減らすためのルールづくりや人材雇用にも時間がかかるため、人事担当者はできるだけ早く残業時間の管理に手をつけましょう。

1-4. 長時間労働を予防できるように適切な雇用と人員配置をする

過労死などの問題を減らすため、過度の長時間労働は法律で禁止されました。

しかし、現実的に考えて、現場の人手が足りない場合、一人あたりの労働時間を伸ばしてもらう必要があります。

そこで必要になってくるのが、新しい人材の雇用・適切な人員配置・そして労働生産性の向上です。

従業員数を増やせば、一人あたりの労働時間や残業時間を減らすことができます。

また、忙しい部署とそうでない部署、人材の能力を見たうえでの適切な人員配置ができれば、人数を変えなくても仕事の労力を減らすことができるでしょう。

ただし、人材雇用も人員配置も、人事の独断で対処できる問題ではありません。

積極的に従業員や各部署の上長と面談をして社内の人間関係や得意・不得意を把握したり、経営者側に雇用を呼びかけるためのデータを集めたりする必要も出てきます。

チームやプロジェクト内の相性によっても発揮できる実力に差が出てくるので、法改正後はこれまで以上に人事と各部署の密な連携が重要です。

新しい勤怠管理システムを導入し、社内ルールや出退勤の打刻、経費の精算手続きなどの簡略化を通して生産性を高めるといった対策を取る場合も、経営陣や他部署との協力体勢が求められます。

労働関連法の法改正は非常に影響が大きいため、「人事だけで対応できる」「自分の上司や経営陣が考えればよい」という考えを捨てて、長時間労働対策に取り組みましょう。

【関連記事】労働基準法の改正による労働時間規制に企業がおこなうべき対策とは

1-5. 労働条件を変更する場合は従業員の同意を取る

社内の労働条件や労働環境を変更する場合、従業員の同意を得る必要があります。ある程度規模の大きな企業だと、従業員の同意を取り付けるだけでも大変です。

客観的に考えて合理的で従業員が得をする変更でも、必ず従業員が同意してくれるとは限りません。

矢面に立つ人事担当者は、数字としての労働時間管理に加えて、「どうやって従業員の同意を得るか」を考えたり、各部署の上司と連携を取って同意を取り付けるための根回しをしたりすることも意識しましょう。

1-6. 労働環境を改善することで従業員のモチベーションを保つ

労働時間管理を進める際、問題になるのが思ったよりも社内の人間が協力してくれないことです。

多くの人間は、慣れ親しんだ環境や手続きの仕方を変えることを避けようとします。

変化の幅が大きければ大きいほど社内で反発が生まれてしまうので、変化に同意してくれる雰囲気づくりをするためにも、従業員のモチベーション管理に注意を払いましょう。

ポイントは、労働時間管理の適正化による従業員側のメリットをわかりやすく伝えることです。

勤怠管理が楽になる、経費精算の手続きが楽になるなど、実利的なメリットがあれば、従業員の協力を得やすくなるでしょう。

また、労働時間管理の改善による変更点や疑問点をまとめて、周知するのもおすすめです。

人事だけでなく、各従業員が法改正や労働基準法について詳しくなれば、労働時間の間違った打刻を修正したり、勤怠管理に関する質問に答えたりする時間を減らすことができます。

1-7. 労働時間管理の重要性を経営層にプレゼンする

勤怠管理システムを導入したり、労働時間管理に向けて就業規則や労使協定を変更したりするためには、経営陣の承認が必要不可欠です。

ただし、立場の高い人全員が正確な労働時間管理の重要性を理解してくれるとは限りません。

人事主導で勤怠管理を刷新する場合は、従業員と同じく経営層に対する労働時間管理の重要性やメリットのプレゼンが必要です。

また、基準を越える長時間労働は、労働基準法違反であり処罰の対象となります。

労働時間管理を軽視した場合のリスクも同時に主張して、経営層の承諾を手に入れましょう。

2. 労働時間管理で行わなければならない措置7つを解説

ここまで、労働時間を適切に管理するためのポイントをご紹介しました。しかし、実際に労働時間を管理する際はどのような方法で行えばよいかあまりイメージがついていない方もいらっしゃるでしょう。

ここからは、2017年に定められた労働時間を適切に管理するためのガイドラインをわかりやすく解説いたします。

なお、このガイドラインの対象企業は労働時間にかかる労働基準法の規定が適用される全事業場になります。ただし、労働基準法第41条に定める者とみなし労働時間が適用される労働者は例外とされていますが、健康を守るための措置や適切な労働時間管理は必要になりますので、注意しましょう。

【参考】「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)

2-1. 始業と終業時間の確認・記録

使用者は、従業員の労働時間を適切に把握するため、始業と終業の時間を労働日ごとに確認して記録しなくてはなりません。

ただ単に労働時間のみを把握していると、残業や深夜労働、休日出勤のあった時間を把握できず、割増賃金の支払いを行うことができなくなってしまいます。

したがって、労働日ごとに始業と終業の時間を確認して記録する必要があります。

2-2. 自己申告での勤怠管理は原則不可

従業員の始業と終業時刻を確認し記録する方法として、ガイドラインでは以下の2つ定めています。

使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。

使用者や勤怠管理の担当者が、従業員の始業・終業時刻を直接確認して記録する方法です。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間などを使って出退勤の時間を管理する場合は、必要に応じて残業申請書などと突き合わせて実際の労働時間に誤りがないかを確認するようにします。

上記の決まりからもわかるように、原則として自己申告による労働時間管理は認められていません。したがって、従業員にExcelや出勤簿へ出退勤の時刻を記入させている企業では、異なる方法で労働時間を管理することが求められています。

2-3. やむを得ず自己申告制で始業・就業の確認と記録をする場合

とはいえ、どうしても自己申告で労働時間を把握せざるを得ない事業場やタイミングもあるでしょう。その場合は、以下の措置を講じなくてはなりません。

自己申告制の対象となる従業員に対し、十分な説明を行うこと。

従業員へは、労働時間の定義や自己申告制の運用方法やルール、自己申告によって従業員にとって不利益な取り扱が行われることはないことなどを説明しなくてはなりません。

勤怠管理担当者へガイドラインの内容を説明すること。

勤怠管理を行う担当者は、ガイドラインの内容を理解する必要があるため、従業員へ説明した内容に加え、ガイドラインの内容についても十分に説明しなくてはなりません。

自己申告のあった時間と実際の労働時間に乖離がないかを調査し、補正すること。

自己申告制によって労働時間管理を行う場合は、実態と自己申告とに乖離が起きていないかを定期的に調査し、確認することが望ましいとされています。

特に、執務室への入退出履歴など自己申告以外に従業員の労働時間が分かる記録やデータを有している場合、その記録と突き合わせ著しい乖離が起きているときは、労働時間の実態を調査して正しい労働時間に補正しなくてはなりません。

自己申告した労働時間を超えて従業員が事業場にいる理由を申告させる場合、内容が適切か確認すること。

労働時間の定義は「労働者が使用者の指揮命令下にある時間」とされています。この定義に照らし合わせると、従業員側は「労働時間でない」と把握していても、労働時間にあてはまる場合があります。

そのため、自己申告と実際の労働時間に乖離が起きた理由を従業員に申告させる場合、報告された時間が労働時間でないとされていても、使用者の指揮命令下にあったと判断できる場合は労働時間として扱わなければなりません。

労働時間の自己申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

自己申告制は、従業員が正しい労働時間を申告していることを前提に成り立っています。そのため、上限を超える時間外労働は認めないなど、正しい労働時間の申告をためらわせるような制度を設けてはなりません。

また、実際は残業時間の上限の超過しているにもかかわらず、記録上は上限を超えていないとみせるために、わざと短い労働時間を申告していることが習慣的に行われていないかを確認する必要があります。

2-4. 賃金台帳には項目別に労働時間を記入すること

使用者は各事業場ごとに賃金台帳を作成することが労働基準法で定められていますが、この台帳にはただ総労働時間や支払った賃金を記録しておけば良いものではありません。

賃金台帳には従業員の労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった給与計算をするにあたり必要な事項やその賃金を全て分けて記入しなくてはなりません。

もし項目別に内容が記入されていない場合や、虚偽の労働時間数を記入した場合は労働基準法違反にあたり処罰されるため、正確に記入しましょう。

2-5. タイムカードなど労働時間の記録に関する書類は5年間保存すること

「タイムカードは5年保管しなければならない」と把握している方は多いと思いますが、実は保管義務のある書類はタイムカードに限りません。

賃金台帳や残業申請書、残業命令書やその報告書など、従業員の労働時間の記録に関する書類は全て5年間保管しなくてはなりません。

なお、保管期間の起算日はその書類に最後の記載がされた日となります。書類は全て一律に「期が変わった日に破棄する」などの運用で管理していると、労働基準法違反になってしまう恐れがあるため注意しましょう。

【関連記事】タイムカードの保管期間は5年!タイムカードの保管について徹底解説!

2-6. 勤怠管理責任者の職務は労働時間とその管理の適正化をすること

勤怠管理をおこなう部署の責任者やその役員の職務は、労働時間を把握し給与を支払うことだけにとどまりません。適切な方法で労働時間が管理されているのかや、過度な長時間労働が行われていないかを把握し、問題があればどのような対策を行うべきか、検討しなくてはなりません。

2-7. 労働時間等設定改善委員会を活用する

自己申告制によって労働時間の管理が行われている場合などにおいては、必要に応じて委員会を設け労働時間の管理方法についての問題点や解決策などを労使間で協議することが望まれています。

3. 正確な労働時間管理を妨げる課題点は古い社内ルールとタイムカードの押し忘れ

正確な労働時間管理を進める際の課題は、『就業規則や労使協定に内容があいまいになっている』『タイムカードを導入していても押し忘れてる従業員がいる』などの理由が挙げられます。

3-1. 就業規則や労使協定の内容があいまいになっている

そもそも、会社の就業規則や労使協定の内容に隙があったり、あいまいだったりするケースも少なくありません。

会社を立ち上げたときに作った就業規則をそのまま使っており、実情と合っていない企業も多いです。

就業規則や労使協定の内容と異なる業務命令を出すことはできないので、適切な労働時間管理ができるように社内の決まりごとを調整しましょう。

3-2. タイムカードを導入していても押し忘れる従業員がいる

タイムカードがあっても、従業員が押し忘れていれば意味はありません。問題のある従業員と面談をしても、確実に打刻をしてくれるようになるとは限らないので、作業を楽にするために勤怠管理システムの導入をおすすめします。

4. 法改正に対応するなら、勤怠管理システムの導入がおすすめ

法改正に対応した適切な勤怠管理を行うなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

ガイドラインが定めている「客観的な記録」は勤怠管理システムでの記録も含まれています。また、勤怠管理システムで簡単に打刻できるようになれば、打刻漏れも減って確認作業にかかる時間を減らすことができます。

さらに、システムであれば従業員の労働時間がリアルタイムで把握できるため、「タイムカードを各店舗から集めて集計してみたら、残業時間の上限を超過していた」という問題を防ぐことができます。

また、労働時間に関する記録は全てシステム内に蓄積されるため、書類を保管しておくスペースもいりませんし、紛失のリスクもありません。

とはいえ、「システムってなんだか難しそう…」「導入するのに時間がかかるのでは?」「うちの就業規則にあわせて管理できるの?」と疑問点も多いでしょう。

そのような方に向け、勤怠管理システムでできることや、導入までの流れをまとめた無料のガイドブックをご用意しております。ご希望の方は、下のボタンから資料請求ページをご覧ください。

5. 労働時間管理を正確におこなって法改正に対応しよう

働き方改革によって、労働時間の把握といった労働時間管理の必要性が高まりました。これまで違法にならなかった長時間残業も法律違反になるため、人事の対応は必要不可欠です。

ただし、労働時間管理を正確におこなうためには、社内ルールの見直しや勤怠管理システムの導入が必要になります。各従業員の努力だけで対応するのは困難なので、日々の勤怠管理を楽にしてくれる勤怠管理システムの導入を考えましょう。

勤怠管理システムの導入で工数削減を実現

近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。

今回のように、労働時間の管理に関する疑問を毎回調べながら解決している手間が、勤怠管理システムの導入を検討することで、

・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・100項目以上の労働時間を修正できる

など、人事担当者様の工数削減につながります。

「導入を検討するといっても、何から始めたらいいかわからない」という人事担当者様のために、勤怠管理システムを導入するために必要なことを21ページでまとめたガイドブックを用意しました。

人事の働き方改革を成功させるため、ぜひ「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご参考にください。