電子契約書の作り方と仕組みについて|導入する際のチェックポイントも
更新日: 2022.12.9
公開日: 2022.6.10
YOSHIDA
電子契約書は、誰でも使いやすいことに加えて、印刷代や収入印紙代を削減できるといったメリットが沢山あります。今回は、電子契約書の作り方や仕組みについて解説します。
この記事を読むことで、電子契約の作り方や導入方法について理解を深めることができます。
こちらの資料では、電子帳簿保存法に基づいた電子取引データの保管要件について、2022年1月施行に対応した内容でご紹介しておりますのでぜひダウンロードしてご確認ください。
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・電子帳簿保存法の法解釈
・対象となる電子取引データの保管方法
・法改正の流れと今後の変化 など
目次
1.電子契約書とは
電子契約書とは、インターネット上で契約書を電子化し、取引先と契約を締結できるサービスです。
これまで、契約書のやり取りは紙がメインで、押印や署名だけに出社していたことも多々ありました。
しかし、近年、電子契約書が普及してきたことにより、そのようなことだけに出社する必要がなく、かつ、収入印紙などのコスト削減にもつながり、新たな契約書業務の在り方を実現しています。
2.電子契約書の仕組み
ここでは、電子契約書の仕組みについて解説します。
2-1.公開鍵暗証技術について
公開鍵暗証技術とは、安全に電子契約書のやり取りを実現するために、用いられる技術のことです。
簡単に説明すると、契約書の内容を暗号化し、暗号のパスワードを特定の人にだけ共有し、その人だけが見ることができます。
この公開鍵暗証技術を活用することによって、電子契約書の作成者や契約内容を改変されないようにすることを実現しています。
2-2.電子署名について
電子署名とは、デジタル上で、紙の契約書における署名の役割を果たすものです。
電子契約書では、ファイルそのものに直接署名をすることができません。デジタルの署名を画像として追加することは可能ですが、それでは本人の意志であるとは証明することができません。
そこで、電子署名という技術を利用することで、署名時に捺印者の情報を記録することが可能となります。つまり、契約書の内容に同意していることが本人の意思だということを明らかにできるということになります。
3.電子契約書の作り方
電子契約書は、自社で作ることも可能ですが、本格的に利用する企業には、電子契約システムの利用をおすすめします。契約書の作成から締結までのフローを一つのシステム上で対応することができます。テンプレートが用意されていたり、電子署名やタイムスタンプを付与できたりするので、非常に便利です。
また、契約に関する法律は多く存在し、法改正に適切に対応していくには多大な労力がかかります。その点、電子契約システムでは、法改正などにもスムーズに対応することができます。
4.電子契約書を作るときに覚えておきたいこと
ここでは、電子契約書を作るときに覚えておきたいことを紹介します。
しっかり理解して作成しないと、最悪の場合、違法とみなされる可能性があるため、注意しましょう。
4-1.e-文書法の要件を満たす必要がある
e-文書法とは、民間企業が法律で保管を定められている契約書に関して、紙の契約書だけでなく、電子化しPDFでの保存も求める法律です。e-文書法の定めた要件を満たすには、以下の4つに気を付ける必要があります。
1つ目は、「見読性」です。
電子データや印刷した紙書面が、明瞭な状態であるかどうかです。
契約書が必要となった際にいつでも確認することができ、出力できる状態であることが重要です。
2つ目は、「完全性」です。
電子契約書の内容の改変や消失を防止し、何か発生してしまった場合はその事実が判断できる状態で保存されているかどうかです。タイムスタンプ機能を利用すると、締結日の改変を防ぐことができます。
3つ目は、「検索性」です。
膨大な契約書の中から、必要な書類をすぐに用意することができるかです。
契約書の種類や締結日に応じて、探しやすい状態にしておく必要があります。
4つ目は、「機密性」です。
第三者からデータの改ざんや不正アクセスがないように保管されているかどうかです。
いつ誰がそのデータにアクセスしたかが分かる状態で保管する必要があります。
4-2.電子契約書の保管方法は電子帳簿保存法に従う
電子帳簿保存法とは、税金関係の帳簿や書類を電子で保存することを認める法律のことです。
また電子帳簿保存法では、7年間契約書のデータを保管しておく義務や、契約書内容をいつでも検索して閲覧できるようにしておく必要があります。
電子帳簿保存の適用を受けるためには、税務署へ3か月前に申請書と各種書類を提出する必要があります。
4-3.取引先から許可を得る
「電子契約書」と「紙の契約書」では、締結までの流れが異なります。
そのため、取引先には電子契約書で今後取引することができるか、事前に確認しておきましょう。
5.電子契約書の導入前にするべきこと
ここでは、電子契約書の導入前にするべきことについて解説します。
5-1.契約書の種類と部数の把握
契約書の「種類」と「部数」を把握しておくことで、システムにどれくらいの容量が必要なのか」「どういった機能があればスムーズに業務を進められるか」を明らかにすることができ、最適な環境で電子契約書を導入することができます。
5-2.どの電子契約システムを利用するのか
電子契約システムにはさまざまな機能があります。
それぞれ強みが異なりますので、自社にあったものを導入するようにしましょう。
5-3.社員や取引先に連絡
社員や取引先に、事前に電子契約書を導入することを伝えておくことで、導入後の業務もスムーズに取り組むことができます。
また、臨機応変に社員や取引先に電子契約書の講座を開くことで、より深く機能について理解してもらえます。
6.電子契約書を導入する際のチェックポイント
電子契約書を導入する際のチェックポイントを抑えておくことで、自社に最適なシステムを選択することができます。ここでは、電子契約書を導入する際のチェックポイントを紹介します。
6-1.使いこなせる機能であるか
そもそも電子契約システムを導入しても使いこなすことができなければ意味がありません。
そのため、事前に使えそうかどうかしっかり見定めておきましょう。
また、電子契約システムの使用にどうしても不安がある場合は、サポート体制が整っているものを利用するようにしましょう。
6-2.利用料が適切であるか
電子契約システムの利用料は、「月額固定制」あるいは「従量課金制」がほとんどです。
自社で利用する際に月額固定で支払うか、使用した分だけ支払うか、どちらの料金体系で支払うのが適切であるか見極めるようにしましょう。
6-3.法改正に柔軟に対応しているか
電子契約システムが法改正に柔軟に対応できるかどうかは非常に重要です。
なぜなら、法改正に対応していないことにより、知らないうちに違法になっている可能性があるためです。
導入時には法改正に対応できるようになっているか、確認するようにしましょう。
6-4.セキュリティが整っているか
電子契約書の内容は重要性の高い情報がほとんどであるため、外部に流れてしまっては危険です。
また、インターネット上での契約対応は、いつデータの改変がおこなわれるなど、何が起こるかわかりません。万が一の際に備えて、セキュリティ面は重視しておきましょう。
7.電子契約書のメリット
ここでは、電子契約書のメリットについて解説します。
7-1.費用削減
電子契約書は紙でのやり取りが不要になるため、印刷代や収入印紙代を抑えることができます。
費用を抑えたい方は、電子契約書を導入することをおすすめします。
7-2.業務生産性の向上
紙での契約書の場合、相手の入力に不備があった際には、その都度郵送や訪問をして、修正依頼を出さなくてはなりません。
しかし、電子契約書だとそのようなことをする必要がなく、メールを再送信するだけで解決することができます。
7-3.コンプライアンスの強化
電子契約書の導入により、契約書内容の改変を防ぐことができます。
また、データとして管理しているため、紙での契約書のような外に持ち出した際の紛失リスクも避けることが可能になります。
8.電子契約書のデメリット
ここでは、電子契約書のデメリットを解説します。
8-1.書面での締結が義務付けられている契約書がある
契約書の中には、紙でしか締結できないものもあります。
例えば、「任意後見契約書」や「訪問販売等で交付する書面」などが該当します。
このような紙での契約書でしか対応できない契約書を電子契約書で作成してしまうと、無効になってしまうため、気をつけましょう。
8-2.取引先が電子契約書を受け入れていない可能性がある
電子契約書はまだ社会に普及しきっているサービスではありません。
そのため、取引先が電子契約書に対応していないといったケースは多々あります。取引先での導入率を踏まえて、社内に導入するかどうかを判断した方がよいでしょう。
8-3.電子契約書の締結方法を取引先に説明しなければならない
電子契約システムはさまざまなものがあり、操作性や機能もそれぞれ異なります。
仮に、取引先が電子契約書を取り扱った経験があるとしても、同じ電子契約サービスを使用しているとは限りません。
そのため、取引先にその都度、電子契約書の締結方法について説明する必要が出てきます。
9.電子契約書を導入し、契約業務の工数を削減しよう
今回は電子契約書の作り方について説明したうえで、導入する際のチェックポイントやメリット・デメリットについて解説しました。
電子契約書を導入することで、取引先企業とのやり取りや収入印紙などのコストを削減することができ、企業に新しい契約書の在り方を実現します。現状の紙での契約書に関して、不安がある企業はぜひ1度電子契約書の導入を検討してみてください。
こちらの資料では、電子帳簿保存法に基づいた電子取引データの保管要件について、2022年1月施行に対応した内容でご紹介しておりますのでぜひダウンロードしてご確認ください。
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