産後パパ育休とは?育児休暇との違いや手続きのポイントを解説
更新日: 2025.6.2
公開日: 2024.10.14
jinjer Blog 編集部
「産後パパ育休を社員に取得させたいが育児休業との違いがわからない」
「男性社員の育休を促進したい」
このようなお悩みはありませんか。産後パパ育休は2022年に新しく追加された育休制度で、最大4週間取得できます。しかし、まだ新しい制度のため詳しい内容を知らない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、産後パパ育休とは何か、育児休業やパパママ育休プラスと比較しながら解説します。取得手続きや普及に向けて企業がすべきことも解説するので、男性社員の育休を促進する参考にしてください。
4月から施行された育児・介護休業法の改正では、子の看護休暇の拡大をはじめ、子の年齢に応じた柔軟な働き方への措置などが取り入れられました。
これによって、企業側にも柔軟な働き方の実現に向けた対応が強く求められます。そのため、人事労務担当者は特に改正ポイントを正しく理解しておくべきです。
しかし、「結局何をどう整備すればいいのか分からない」「うちの就業規則、今のままで大丈夫?」と悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、当サイトでは改正箇所をわかりやすく図解し、出産前から年齢別に利用できる制度をまとめた資料を無料配布しています。
制度を“知っている”だけで終わらせず、“対応できる”企業になるために。ぜひこちらから資料をダウンロードの上、法改正への備えにお役立てください。
1. 産後パパ育休とは
2022に創設された制度で、育児休業取得のニーズが高い出生直後に休みを取りやすいよう導入されました。産後パパ育休の利用中でも労使協定を締結すれば就業でき、柔軟性の高い制度です。
2. 産後パパ育休と育児休業の違い
産後パパ育休は休暇取得中に就業できる一方、育児休業は原則就業できないという違いがあります。
育児休業とは、父親と母親の両方を対象に、原則子どもが1歳になるまで、最長で2年休暇を取得できる制度です。もともとは1回のみの取得でしたが、産後パパ育休の創設と同じタイミングで2回に分割できるようになりました。
産後パパ育休と育児休業を組み合わせることで、父親と母親の両方が協力して育児しやすくなります。
3. 産後パパ育休とパパママ育休プラスの違い
パパママ育休プラスとは、両親がともに育児休業を取得する際に、通常は子どもが1歳になるまでの育児休業を1歳2ヵ月まで延長できる制度です。
パパママ育休プラスの利用には以下の条件があります。
- 子どもが1歳に達するまでに配偶者が育児休業を取得している
- 本人(パパ、もしくはママ)の育児休業開始予定日が子の1歳の誕生日以前である
- 本人の育児休業開始予定日が配偶者の育児休業の初日以降である
産後パパ育休は出生直後に父親が取得するものですが、パパママ育休プラスは父親と母親が育児休暇のタイミングをずらすことで休業期間を延長できるものです。
4. 【人事・労務担当者】産後パパ育休の手続き
産後パパ育休の導入にあたり、人事・労務担当者は以下の手続きが必要です。
- 就業規則の改定
- 取得意向の確認
- 育児休業給付金の申請
- 社会保険料の免除
- 育休取得状況の公表
4-1. 就業規則の改定
産後パパ育休について就業規則に記載しましょう。主に以下の項目の記載が必要です。
- 産後パパ育休の付与要件
- 産後パパ育休の取得に必要な手続き
- 産後パパ育休の期間
- 産後パパ育休取得中の賃金の支払いの有無
- 産後パパ育休の取得中に通常と異なる賃金が支払われる場合、その決定と計算・支払い方法、賃金の締め切りと支払い時期
就業規則の改定後は変更内容について従業員に周知しましょう。
4-2. 取得意向の確認
産後パパ育休の存在と内容を従業員に説明したうえで、取得意向を確かめましょう。従業員が取得を希望する場合は、あわせて以下の事項も確認するとスムーズな休業・復職を促せます。
- 出産予定日
- 産後パパ育休の取得予定期間
- 産後パパ育休取得中の就業予定
- 育児休業の取得有無・予定期間
- 業務の引き継ぎ内容
- 復職後の働き方の希望
- 休業や復職にあたり現時点で周囲に配慮してほしいこと
復職後の働き方の希望や配慮してほしいことは、子どもが小さいうちは何度か内容が変わる可能性があります。必要に応じて上司との定期的な面談を設けるなど、子育てと仕事の両立がしやすいようサポートしましょう。
4-3. 出生時育児休業給付金の申請
社員が産後パパ育休を取得する場合、出生時育児休業給付金を申請しましょう。申請は社員の意向を受けて、企業側がハローワークに申請する必要があります。
申請にあたって以下の書類が必要です。
- 育児休業給付受給資格確認票
- 出生時育児休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 出産日または出産予定日が確認できるもの
- 通帳またはキャッシュカードのコピー
- 休業開始時賃金月額証明書に記載した内容が全て確認できる賃金台帳または給与明細
- 休業開始時賃金月額証明書に記載した内容が全て確認できる出勤簿またはタイムカードのコピー
- 支給対象期間を含む月の賃金台帳と出勤簿
- 出生時育児休業申出書のコピー
出産日または出産予定日が確認できるものには、母子健康手帳のコピーや、医師による出産予定日証明書のコピーなどがあります。
4-4. 社会保険料の免除
社会保険料の免除を年金事務所に申請しましょう。産後パパ育休の取得中の社会保険料は、本人負担分と会社負担分の両方が免除の対象です。社会保険は、以下の場合に免除されます。
- その月の末日が育休期間中である場合
- 同一月内で14日以上育休取得した場合
- 賞与は連続して1ヵ月を超える育休を取得した場合
産後パパ育休は最大で4週間までと決まっているため、賞与は社会保険料免除の対象にはなりません。
社会保険料の免除を受けるには、「育児休業等取得者申出書」を提出します。なお、予定より早く復職する場合、「産前産後休業取得者変更届」と「育児休業等取得者終了届」の提出が別途必要です。
4-5. 育休取得状況の公表
従業員が1,000人を超える企業の場合、男性社員の育児休業の取得割合、または育児休業と育児目的休暇の取得割合を公表する必要があります。会社のホームページなど、だれでも閲覧できる場所での公表が義務付けられているので、以下の人数を把握して育休取得状況を公表しましょう。
- 配偶者が出産した男性社員の数
- 産後パパ育休や育児休業を取得した男性社員の数
- 小学校就学前の子どもの育児のために休暇を取得した男性従業員数
5. 産後パパ育休の普及に向けてすべきこと
産後パパ育休の普及に向けて、会社全体で以下に取り組みましょう。
- 業務の属人化解消
- 管理職の意識改革
- 業務委託や派遣社員の活用
- 育休中や復職後の相談窓口の開設
- 経営者による積極的な育児参加の呼びかけ
5-1. 業務の属人化解消
引き継ぎを簡単にするため、業務の属人化を解消しましょう。産後パパ育休の取得にあたり、引き継ぎが必ず発生します。引き継ぎの大変さは周りの社員からの理解を妨げる原因です。
共通のマニュアルを作成する、ITツールを導入して業務をシステム化するなどして、業務の属人化を解消しましょう。
5-2. 管理職の意識改革
男性の育児参加や産後パパ育休の大切さなどの理解を深める研修を開き、管理職の意識改革を実施しましょう。
産後パパ育休の取得を渋る原因の一つは、休業により仕事の評価が下がるのではないかなどの懸念です。部下を評価する管理職側が産後パパ育休に対してネガティブなイメージを持っていると、部下が安心して休業できず、育児に参加できません。
社内全体の意識改革の最初のステップとして、とくに管理職を対象に意識改革を進めましょう。
5-3. 業務委託や派遣社員の活用
産後パパ育休によりほかの社員の負担が増えないよう、業務委託や派遣社員も活用しましょう。社内の人材だけでは引き継ぎ分の業務を補えないこともあります。負担が大きいと産後パパ育休への理解が得られず、取得も進みません。
外注できる部分は外部の人材を頼り、社内の負担を軽くしましょう。
5-4. 育休中や復職後の相談窓口の開設
育休中や復職後の悩みを相談できる窓口を開設しましょう。仕事と子育ての両立や復職後の仕事の仕方など、新米パパにはさまざまな悩みがあります。悩みが原因で仕事を辞めるリスクもあるため、企業側の積極的な支援が大切です。
専用の窓口を作ったり先輩パパに相談できる機会を作ったりして、会社全体でサポートしましょう。
5-5. 経営者による積極的な育児参加の呼びかけ
産後パパ育休の取得や子育てへの参加の重要性について、経営者から積極的に社員に呼びかけましょう。経営者が直接社員に呼びかけることで会社の本気度が伝わります。
会社全体に新米パパをサポートする雰囲気が広がるよう、まずは経営者がお手本となる姿勢を見せましょう。
6. 産後パパ育休で男性社員の子育てを応援しよう
産後パパ育休は父親の育児参加を促す制度です。生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に時間を過ごせるよう、立場や年齢に関係なく会社全体で普及に取り組みましょう。
業務の属人化を解消したり、専用の相談窓口を作ったりして、休業や復職がスムーズにできるよう努めてください。
4月から施行された育児・介護休業法の改正では、子の看護休暇の拡大をはじめ、子の年齢に応じた柔軟な働き方への措置などが取り入れられました。
これによって、企業側にも柔軟な働き方の実現に向けた対応が強く求められます。そのため、人事労務担当者は特に改正ポイントを正しく理解しておくべきです。
しかし、「結局何をどう整備すればいいのか分からない」「うちの就業規則、今のままで大丈夫?」と悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、当サイトでは改正箇所をわかりやすく図解し、出産前から年齢別に利用できる制度をまとめた資料を無料配布しています。
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