「産後パパ育休」と「育休」は併用できる?知っておきたい制度のポイントと実務対応 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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「産後パパ育休」と「育休」は併用できる?知っておきたい制度のポイントと実務対応

親子少子化が進む中で、子どもを安心して産み育てられる社会の実現に向けた環境整備が進められています。

男性の育児休業取得促進も、有効な取り組みの一つとして注目されています。ワークライフバランスの実現や女性の就業継続を支援するため、働き方改革に取り組む企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、産後パパ育休の基本的な仕組みを説明するとともに、ほかの休業制度との違いや併用可否、企業が対応すべき実務ポイントについて解説します。

\ 2025年施行の育児・介護休業法改正 /
対策は万全ですか?

4月から施行された育児・介護休業法の改正では、子の看護休暇の拡大をはじめ、子の年齢に応じた柔軟な働き方への措置などが取り入れられました。

これによって、企業側にも柔軟な働き方の実現に向けた対応が強く求められます。そのため、人事労務担当者は特に改正ポイントを正しく理解しておくべきです。

しかし、「結局何をどう整備すればいいのか分からない」「うちの就業規則、今のままで大丈夫?」と悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。

そんな方に向けて、当サイトでは改正箇所をわかりやすく図解し、出産前から年齢別に利用できる制度をまとめた資料を無料配布しています。

制度を“知っている”だけで終わらせず、“対応できる”企業になるために。ぜひこちらから資料をダウンロードの上、法改正への備えにお役立てください。

1.  産後パパ育休とは?

はてな

産後パパ育休とは、2022年の育児・介護休業法改正により新設された育児休業制度です。

育児への関与を望む男性の増加や、母親の身体的・精神的負担を軽減する必要性を背景に、より柔軟に育児休業を取得できる仕組みとして設けられました。

産後パパ育休の特徴は、以下の通りです。

・出産後8週間以内に最大で4週間(28日)取得できる

・2回に分けて分割取得できる

・申請は休業開始の2週間前まで

・労使協定により育休中の就業も可能

原則として、すべての労働者が対象ですが、入社1年未満の正社員や、申請から8週間以内に雇用関係が終了する見込みのある労働者は対象外です。

2. 産後パパ育休とほかの育休制度との違い

親子

休業制度には産後パパ育休のほかに、通常の育児休業とパパママ育休プラスが設けられています。それぞれの違いについて解説します。

  • 通常の育児休業との違い
  • パパママ育休プラスとの違い

2-1. 通常の育児休業との違い

育児休業は、1歳未満の子どもを育てるための休業制度です。性別問わず利用でき、夫婦同時に取得できます。

これまでの育児休業は1回しか取得できない仕組みでしたが、2022年の法改正により2回まで分割取得ができるようになりました。

産後パパ育休との主な違いは、以下の3点です。

産後パパ育休 育児休業
対象期間 出産後8週間以内に最大で4週間 子どもが1歳になるまで(1歳の誕生日前日)
申請期限 休業開始の2週間前まで 休業開始の1ヵ月前まで
休業中の就業 労使協定により可能 原則不可

なお、育児休業については、保育所に入所できないなど一定の要件を満たす場合、最長で子どもが2歳になるまで延長できます。

2-2. パパママ育休プラスとの違い

パパママ育休プラスは、夫婦で協力して育児に取り組めるよう設けられた、育休期間の延長制度です。男性の育児参加を促進する目的もあります。

最大の特徴は、夫婦が共に育休を取得することで、育休の対象期間を「子どもが1歳2ヵ月になるまで」に延長できる点です。

申請期限や休業中の就業、分割取得の可否は通常の育休と同様ですが、以下の要件を満たす必要があります。

・子どもが1歳になるまでに配偶者が育休を取得している(同時取得でも可)

・本人の育休開始日は、子どもの1歳の誕生日より前に設定

・本人の育休開始日が、配偶者の育休(産後パパ育休を含む)初日以降

ただし、1歳2ヵ月まで育休を利用できるのは、後から取得した配偶者に限ります。また、育休の取得可能期間は、1人あたり最大1年間(産後休業含む)という点に変わりはありません。

3. 産後パパ育休と育休は併用可能

育休

育児に関する休業制度はさまざまですが、産後パパ育休とほかの育休は併用が可能です。

複数の育休を併用して取得する際の一般的なスケジュールや、申請時の注意点を確認しておきましょう。

  • 取得スケジュール例
  • 育休申請時の注意点

3-1. 取得スケジュール例

以下は、産後パパ育休と育休を併用した一般的な取得スケジュールの例です。

母親は出産後8週間まで産前産後休業を取得し、父親は産後パパ育休を取得します。母親の産休が終了して育休へと移行するタイミングで、父親も育休の取得が可能です。

母親 父親
出産後 産前産後休業を取得(8週間) 産後パパ育休を取得(4週間)
8週間以降 育休を取得 育休を取得

また、分割取得を利用する方法もあります。産後パパ育休と育休を分割すれば、家庭の都合や職場の状況に応じた柔軟な運用が可能です。夫婦で交互に育休を取得することで、仕事と育児の両立を実現できます。

このような制度によって、従業員は職場とのつながりを保ちながら育児に専念しやすくなります。職場復帰への不安を軽減でき、企業側はイメージ向上や離職防止などにつながるでしょう。

3-2. 育休申請時の注意点

企業には、社員に対して育児休業制度の内容を周知し、取得の意向を個別に確認することが義務付けられています。面談や書面などの方法で、本人と直接やり取りする必要があります。

た、産後パパ育休や育休にはそれぞれ申出期限が定められているため、事前に確認しておくことが重要です。

・育児休業:休業開始の1ヵ月前まで

・産後パパ育休:休業開始の2週間前まで

なお、産後パパ育休については、労使協定を締結している場合に限り、申出期限を1ヵ月前までに設定できます。また、分割取得を希望する場合は、最初にすべての取得予定をまとめて申し出る必要があります。

4. 産後パパ育休・育休を取得する男性社員は増えている

育休

男性の育児休業取得率は年々増加しています。

厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は30.1%と、前年度(17.13%)から13.0ポイント増加しました。

また、同調査では、男性の育休取得率を公表している企業は全体の20.2%にとどまっていることが分かります。

これまでは、従業員1,000人超えの企業に限って、育児休業等取得状況の公表が義務付けられていました。2025年4月1日からは、従業員数300人を超える企業にも公表の義務が拡大されています。

さらに、厚生労働省の別調査では、育休取得率の公表により「男性育休の取得率向上」「職場内の雰囲気改善」などの効果が報告されています。

今後は、企業による情報開示の拡大を通じて、男性の育休取得促進や女性の継続就業支援にもつながることが期待されるでしょう。

参考:「令和 5年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省

参考:「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」 (速報値)|厚生労働省

5. 産後パパ育休・育休利用時に企業が押さえるべきポイント

ポイント

社員が産後パパ育休・育休を利用する際の企業の対応として、社会保険料や給付金の手続きがあります。それぞれ確認しておきましょう。

  • 社会保険料の免除
  • 各種給付金の取り扱い

5-1. 社会保険料の免除

育休中は、社員・企業の双方の社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除される制度があります。

社会保険料の免除を受けるには、「育児休業等取得者申出書」を年金事務所または健康保険組合へ提出しましょう。

免除の主な要件は、以下の通りです。

・月末時点で育休期間である

・月内に育休取得日数が14日以上ある

また、賞与や期末手当にかかる保険料も、連続して1ヵ月を超える育休を取得している場合には免除対象です。

産後パパ育休は最長でも4週間と短期間であるため、原則として社会保険料の免除対象には含まれません。産後パパ育休中は、通常通り保険料の納付が必要となる点に注意しましょう。

5-2. 各種給付金の取り扱い

育休中の社員に対して、賃金の支払い義務はありませんが、一定の要件を満たせば雇用保険から給付金が支給されます

円滑に受給するためには、企業による資格確認および申請手続きが必要です。所轄のハローワークへ必要書類を提出しましょう。

主な給付金は、次の3つです。

出生時育児休業給付金 ・産後パパ育休を取得した場合に支給

・賃金日額×休業期間の日数(最長28日分)×67%

育児休業給付金 ・育休を取得した場合に支給

・賃金日額×休業期間の日数×67%(育休開始から6ヵ月以降は50%)

出生後休業支援給付金

(2025年4月1日に新設)

・夫婦ともに14日以上の育休(産後パパ育休含む)を取得した場合に支給

・賃金日額×休業期間の日数(最長28日分)×13%

企業が適切に手続きを行うことで、社員の経済的不安を軽減できるとともに、育休取得を促進する環境づくりにもつながります。

6. 育休を取得しやすい職場づくりで企業価値を高めよう

男女

育児・介護休業法の改正によって、企業には「子育てしやすい環境の整備」が求められています。男性社員の育休取得が進むことで、従業員の働きやすさが高まり、エンゲージメント向上や企業イメージの強化にもつながります。

育休を取得しやすい職場づくりは、社員一人ひとりのライフステージを支えるだけでなく、企業全体の持続的な成長にも貢献する取り組みといえるでしょう。

自社の育休制度や運用体制を見直し、従業員が安心して育休を取得できる環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

\ 2025年施行の育児・介護休業法改正 /
対策は万全ですか?

4月から施行された育児・介護休業法の改正では、子の看護休暇の拡大をはじめ、子の年齢に応じた柔軟な働き方への措置などが取り入れられました。

これによって、企業側にも柔軟な働き方の実現に向けた対応が強く求められます。そのため、人事労務担当者は特に改正ポイントを正しく理解しておくべきです。

しかし、「結局何をどう整備すればいいのか分からない」「うちの就業規則、今のままで大丈夫?」と悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。

そんな方に向けて、当サイトでは改正箇所をわかりやすく図解し、出産前から年齢別に利用できる制度をまとめた資料を無料配布しています。

制度を“知っている”だけで終わらせず、“対応できる”企業になるために。ぜひこちらから資料をダウンロードの上、法改正への備えにお役立てください。

jinjer Blog 編集部

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