従業員数が増加したときに対応すべきこととは?労働基準法で定められた企業がやるべき「義務」と「報告」
更新日: 2024.1.17
公開日: 2022.5.25
jinjer Blog編集部
今までは問題なかった業務でも従業員が増加してくると、対応しきれなくなる業務もあるのではないでしょうか?
また、従業員数が増加することによって、新しく行政に提出が必要な書類もあります。
そこで、本記事では従業員数が増えたタイミングで「対応しなければならないこと」「見直すべき業務」についてまとめましたので、ご参照ください。
「従業員が増えてきて集計作業に時間がかかっている」「従業員情報の管理が煩雑になってきた」という方に向け、当サイトでは本記事の内容をまとめた「従業員数が増えたときに対応すべきことガイド」を無料で配布しております。
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1.従業員数10人以上で義務化されている対応事項
本章では、従業員数が10名に以上になった場合、労働安全衛生法などに定められている対応事項について解説します。
1-1.就業規則の作成
10名以上の従業員を雇用する場合、「就業規則の作成」が義務付けられています。
就業規則は、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意記載事項」から成り立ちます。
就業規則を作成する際は、「絶対的必要記載事項」を記載するだけでなく、労働者代表から意見を聴取する、労働基準監督署に届出る、従業員全員に周知するなどの処理が必要です。
1-2.「従業員の代表」の選定
10名以上の従業員がいる事業所には、 「安全衛生推進者・衛生推進者」を選任する必要があります。
「安全衛生推進者・衛生推進者」の対象となる業種は下記の業種です。
①安全衛生推進者
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、
通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
②衛生推進者
上記以外の業種(社会福祉施設、飲食店、食料品小売業、教育研究業など)
また、50人以上の事業場では、安全衛生業務の技術的事項等を管理する「(安全管理者)衛生管理者・産業医」の選任が必要となります。
1-3.従業員数50人未満の努力義務
「ストレスチェックの実施」「医師等による健康管理」などは、義務化されてはいませんが、50人未満の場合でも実施が望ましいとされています。
努力義務とされているこれらの対応は、実施していなかった場合でも罰則はありません。
しかし、従業員とのトラブルが発生した時、「企業側の対策・対応」がきちんと行われていたことの証明として取り扱われます。
ストレスチェックの実施は、50名以上になった時に義務化されていますので、実施の手順に「慣れる」ためにも 人数が少ないうちから実施するのが良いでしょう。
2.従業員数50人以上で義務化されている対応事項
事業場の従業員数が50人以上になると、会社として行わなければならない「義務」や「報告」が新たに発生します。従業員の安全と健康を守るために「労働安全衛生法」などに定められています。
2-1.産業医の選定
従業員数が50人を超えた事業場は、「産業医の選任」が必要となります。
企業は、事業場の規模に応じて、以下の人数の産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。
(1)労働者数50人以上3,000人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
(2)労働者数3,001人以上の規模の事業場 ・・・ 2名以上選任
また、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、次に掲げる業務に常時 500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。
2-2.衛生委員会の設置
衛生委員会は、労働安全衛生法により従業員50人以上の事業場は業種に関係なく設置することが義務づけられています。衛生委員会の目的は、企業内で労使がともに労働災害防止の取り組みを行うことです。
衛生委員会は法律により月に1回以上必ず開催し、職場の環境について話し合い、調査審議した結果を事業者に報告する義務があります。
2-3.定期健康診断結果報告書の提出
企業は1年以上雇用している、またはする予定の従業員が1人でもいる場合、健康診断を実施しなければなりませんが、事業場の労働者数が50人になった時点から健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務が新たに生じます。
健康診断の対象となるのは、「1年以上雇用している、またはする予定・ 週労働時間が正社員の4分の3以上の労働者(パートやアルバイトも含む)」であるため、注意が必要です。
2-4.ストレスチェックの実施、結果報告
ストレスチェックの対象となるのは健康診断と同じく、1年以上雇用している、またはする予定・ 週労働時間が正社員の4分の3以上の労働者(パートやアルバイトも含む)です。
ストレスチェックと高ストレス者に対する面接指導の実施、その結果を報告書として労働基準監督署へ提出することが義務づけられています。
報告書について、提出期限は明確に定められていませんが、 あまりにも長い間報告が遅れた場合には「報告を怠った」として労基署から連絡や注意を受けることがあります。
年に1回必ず行うようになるため、実施に必要な社内体制・最新の制度情報はしっかり確認しておく必要があります。
3.従業員数が増えたタイミングで「見直すべき」こと
前章までは、従業員数が増えたタイミングで「対応しなければならないこと」について解説しました。
本章では、従業員数が増えたタイミングで「見直すべき業務」について解説します。
3-1.勤怠データの集計作業
勤怠データの集計作業は従業員の給与計算にも関わるため、集計ミスが許されない業務です。
そのため、ダブルチェックなどの確認作業が多くなり、集計作業に時間がかかっている担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
従業員が増えれば増えるほど、確認する作業でかかる時間は多くなるので、見直すべき作業でしょう。
3-2.勤怠管理から給与計算までの連携方法
従業員の労働時間を集計した次に発生する業務は、給与計算です。
特に月末・月初になると給与計算業務に追われる人事担当者の方々もいらっしゃるのではないでしょうか。
従業員数が増えると給与計算をしなければならない量も増え、月末・月初も慌ただしく対応しなければなりません。
そこで、システムを利用して勤怠管理から給与計算までの連携をスムーズにするのが良いでしょう。
システムの導入により、どのように業務が効率化できそうか管理画面をもとに確認したいというご担当者様は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
3-3.従業員情報の管理方法
従業員情報の管理は従業員数が多くなるほど、管理が煩雑になります。
複数のExcelファイルで管理している場合は、最新の従業員情報が更新できておらず、住所・扶養家族・加入保険などの従業員情報をすぐに把握することができないといった課題も多く耳にします。
そこで従業員数が増加した際には、人事管理システムを利用して、従業員情報を集約するのが良いでしょう。
ジンジャーでは1つのデータベース上で従業員データを一元管理できるため、データベースの名前を更新するだけで、勤怠や給与などのシステムにも自動で更新される上、所属や役職、それらに伴うワークフロー権限など、従業員様のご情報のすべてを自動更新し、業務効率を引き上げることが可能になります。