顧問契約書にも印紙を貼るべき?必要性や注意点を紹介
更新日: 2023.1.11
公開日: 2022.11.29
jinjer Blog 編集部
顧問契約を締結するときに作成するのが顧問契約書です。例えば、顧問税理士に税務書類の作成を依頼したり、顧問弁護士にリーガルチェックを依頼したりするときに顧問契約を締結します。顧問契約書には、収入印紙を貼るべきケースとそうでないケースがあります。「顧問契約の際に成果物が発生するか」「3か月以上の継続的な顧問契約かどうか」など、判断に悩むポイントが多いため、顧問契約書に印紙が必要なケースをきちんと把握しておきましょう。この記事では、顧問契約書の種類や印紙を貼るべきケース、印紙を貼るときの注意点を解説します。
契約書によっては、印紙税を納めなければなりません。この印紙税の金額は、契約書に記載された取引額によって変動します。そのため、間違えて多く貼ってしまった、という経験があるのではないでしょうか。
また、購入場所も限られているため、買いに行くのが面倒と感じる人も多いでしょう。
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1. 顧問契約書とは?
そもそも顧問契約とは、どのようなときに取り交わす契約なのでしょうか。顧問契約は業務委託契約の一種で、専門的な資格やスキルを持った相手(法人や個人事業主)に対し、業務を委託するときに結ぶ契約です。顧問契約を締結するときに作成するのが「顧問契約書」です。つまり、顧問契約書は外部の専門家に業務を依頼するときに取り交わす契約書を意味します。顧問契約書を締結するのは、弁護士、税理士、社会保険労務士などの士業や国家資格取得者にかぎらず、経営アドバイザーやコンサルタントを始めとしたコンサルティング業務も対象です。
1-1. 顧問契約には3種類ある
顧問契約は大きく分けて「委任契約」「準委任契約」「請負契約」の3種類あります。顧問契約の区分は、顧問契約書に収入印紙を貼るべきかどうかを判断するときに必要になります。
「委任契約」
委任契約は民法第643条で定められた契約です。契約の相手方に対し、契約実務や商業・法人登記など、法律行為を依頼するときに締結するのが委任契約です。[注1]
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
引用:民法|e-Gov法令検索
「準委任契約」
準委任契約は民法第656条で定められた契約です。委任契約と違い、法律行為に該当しない事務業務などを委託するときに締結します。[注1]
第643条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
引用:民法|e-Gov法令検索
「請負契約」
請負契約は民法第632条で定められた契約です。契約の相手方に対し、成果物の対価として報酬を支払う契約が請負契約に当てはまります。
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
引用:民法|e-Gov法令検索
[注1] 民法|e-Gov法令検索
2. 顧問契約書に印紙が必要なケース
顧問契約書に収入印紙が必要なケースは、大きく分けて「請負契約を締結する場合」「3か月以上の継続的な顧問契約を締結する場合」の2つです。委任契約や準委任契約を締結する場合、印紙を貼る必要はありません。また、請負契約を締結する場合でも、書面契約ではなく電子契約を締結する場合は印紙が不要です。顧問契約書に印紙が必要なケースとそうでないケースを詳しく解説します。
2-1. 請負契約の場合は印紙が必要
顧問契約書に印紙が必要なのは、顧問契約のなかでも請負契約を締結するケースです。請負契約を締結する場合、顧問契約書が印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)とみなされます。顧問契約書に記載された契約金額が1万円未満の場合をのぞいて、国税庁ホームページの「印紙税額の一覧表」に応じた金額の印紙を貼る必要があります。[注2]
記載された契約金額 | 税額 |
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 1,000円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
[注2]No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
2-2. 3か月以上の継続的な顧問契約は印紙が必要
法人間で締結する顧問契約など、3か月以上の継続的な契約する場合、顧問契約書は印紙税法上の第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当します。国税庁ホームページの「印紙税額の一覧表」によると、印紙税額は一律で4,000円です。ただし、契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのない顧問契約は当てはまりません。[注3]
[注3] No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
2-3. 委任契約や準委任契約の場合は印紙が不要
顧問契約の種類が委任契約や準委任契約の場合は、顧問契約書が非課税文書となるため、印紙を貼る必要がありません。例えば、顧問弁護士への法律相談や契約書のリーガルチェックなどは、分類上は委任契約に当てはまります。顧問契約を締結する場合は、契約書の内容をきちんと確認することが大切です。
2-4. 電子契約を締結する場合は印紙が不要
また、契約書が課税文書として扱われるのは、契約書を書面で交付する場合に限られます。電子契約サービスなどを導入し、電子契約で顧問契約を締結する場合、契約の種類にかかわらず印紙を貼る必要がありません。
このように、契約の種類や期間、締結方法によって印紙を貼るかどうかがわかります。また、契約書を先方が用意している場合もあるため、どちらが貼るべきか迷うこともあるでしょう。
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3. 顧問契約書に印紙を貼るときの注意点
顧問契約書に印紙を貼るときの注意点は3つあります。
- 業務内容が「委任」か「請負」かを区別する
- 個人間の顧問契約か法人間の顧問契約かを確認する
- 第7号文書か第2号文書かを判断する
まずは、顧問契約書に記載された業務内容が「委任」か「請負」かを区別しましょう。判断するポイントは、委託した業務に成果物が求められるかどうかです。例えば、顧問弁護士にリーガルチェックを依頼する場合、具体的な成果物が発生するわけではありません。一方、顧問税理士に税務書類の作成を委託する場合、成果物が発生するため請負契約に当てはまります。また、個人間の顧問契約ではなく、法人に顧問契約をお願いする場合、1年以上の継続的な契約を締結するケースが多くなります。法人間の顧問契約の場合は、「委任」か「請負」だけでなく、顧問契約書が第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するかどうかも確認しましょう。ただし、顧問契約書が第7号文書と第2号文書(請負に関する契約書)の両方に該当する場合は注意が必要です。顧問契約書に契約金額が明記されている場合は、第7号文書ではなく第2号文書とみなし、印紙税額を計算する必要があります。印紙は必要か不要か、判断が難しいケースが多いため、顧問契約書の内容や課税文書としての区分をきちんと確認しましょう。
4. 顧問契約書に印紙を貼るべきケースとそうでないケースを確認しよう
弁護士や税理士、コンサルタントなど、外部の専門家に業務を委託するときに取り交わすのが顧問契約書です。顧問契約書の内容によっては、所定の金額の収入印紙を貼る必要があります。例えば、顧問契約書の内容が顧問契約に当てはまる場合や、3か月以上の継続的な顧問契約を締結する場合は印紙が必要です。一方、委任契約や準委任契約を締結する場合や、契約の締結方法が電子契約の場合は印紙を貼る必要がありません。顧問契約書の記載内容をきちんと確認し、印紙を貼るべきかどうかを判断しましょう。
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