CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?業務フローを解説
更新日: 2023.2.22
公開日: 2023.2.21
jinjer Blog 編集部
契約業務の課題解決につながるのが、CLM(契約ライフサイクルマネジメント)と呼ばれる手法です。CLMとは、契約の申し込みからアフターフォローまでの流れをフロー化し、最適化する取り組みを指します。CLMはバックオフィス業務と最先端のテクノロジーを組み合わせるDX(デジタルトランスフォーメーション)の観点からも注目されています。この記事では、CLMの考え方や具体的な業務フローをわかりやすく解説します。
1. CLM(契約ライフサイクルマネジメント)とは?
企業の契約業務にはさまざまな課題があります。
- 個々の契約内容をすばやく把握したい
- 法務部門などの他部署との連携をとりたい
- 契約更新日の確認漏れを防止したい
- 契約に関するリスクをコントロールしたい
こうした課題の解決につながるのが、CLM(契約ライフサイクルマネジメント)です。CLMを実施する目的やリーガルテックとの違いを解説します。
1-1. CLMは契約業務を最適化する取り組み
CLM(Contract Lifecycle Management)は、日本語で契約ライフサイクルマネジメントや契約ライフサイクル管理と呼ばれ、契約業務を最適化するマネジメント手法を指す言葉です。契約業務には、契約の申し込みから契約締結後のアフターフォローまで、さまざまな工程があります。契約業務のすべてのプロセス(=ライフサイクル)を業務フローとして標準化し、各工程の抜けや漏れを防いだり、業務をスピードアップしたりするのがCLMの特徴です。また、契約管理システムや電子契約システムなど、契約業務のライフサイクルを管理する機能を持ったシステムのことをCLMと呼ぶ場合もあります。
1-2. リーガルテックとの違い
CLMと関連のある言葉に「リーガルテック」があります。リーガルテックは法務(Legal)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、企業の法務部門に最先端のIT技術を取り入れ、業務課題を解決する取り組みを指します。契約業務の効率化を目指すという点で、CLMとリーガルテックは似ています。しかし、リーガルテックは契約書のリーガルチェック(法的な妥当性の確認)や、コンプライアンスの審査など、主に法務部門の関わる仕事を対象としています。企業が取り交わす契約のなかには、法務部門の審査を経由しないものもたくさんあります。CLMは法務部門が関わる契約だけでなく、企業が取り交わすすべての契約を対象として、契約プロセスを最適化することを目指す取り組みです。
1-3. CLMを実施する3つの目的
そもそも、なぜCLMを実施する必要があるのでしょうか。CLMを実施する目的は大きく分けて3つあります。
- 契約業務ですべきことを標準化する
- 他部署との役割分担を明確化する
- 案件ごとのステータスを可視化する
契約業務といっても、契約の申し込み、契約書の作成、相手企業との交渉、社内での調整や承認、契約書の管理や更新など、さまざまな工程があります。CLMの実施により、各プロセスですべきことが共有され、契約業務を標準化することができます。また、契約の内容によっては、法務部門など他部署との連携が必要になります。CLMを実施することで、他部署と連携するタイミングが明確化され、役割分担がはっきりします。
CLMには、契約ごとの進捗状況やステータスが可視化されるというメリットもあります。個々の契約内容をすばやくチェックしたり、契約更新日などの確認漏れを未然に防止したりすることが可能です。契約担当者のスキルに依存した契約管理には限界があります。CLMの手法を取り入れ、契約プロセスの標準化に取り組みましょう。
2. CLMの具体的な業務フロー
CLMでは、契約のライフサイクルを5つの工程に分けることが一般的です。それぞれのプロセスですべきことや効率化すべき点を簡単にみていきます。
契約の発生
まずは契約の発生により、契約書の作成が必要になったところから契約のライフサイクルがスタートします。契約書の作成を依頼する場合は、相手企業とのやりとりをスムーズに進めるため、契約書のひな形を提供するか、契約書のドラフトを作成する必要があります。
CLMでのポイント | ● 契約書のひな形がある場合は、相手企業に提供する ● ひな形がない場合は、過去の例を参考にしてドラフトを作成する |
契約書の作成
相手方との合意に基づいて、実際に契約書の作成を開始します。契約内容によっては、「現行の法令に違反する条項がないか」「自社にとって不利な条項がないか」など、法務部門によるリーガルチェックを実施します。
交渉や調整
契約書に変更すべき点がある場合は、相手企業と交渉します。相手企業から契約書の修正を依頼された場合は、社内で調整を行い、粘り強く契約内容の検討を重ねていきます。このプロセスで大切なのが、契約書のバージョン管理を行い、変更点をリアルタイムに追跡できるようにすることです。修正履歴を残しておくことで、内部不正がないかチェックできるだけでなく、次回契約書を作成する際の参考例にもなります。
契約書の承認
契約内容が確定したら、社内で承認を行います。契約書に記名押印を行い、契約を締結します。電子契約の場合は、電子契約システムなどを用いて電子署名を行い、契約書を電子データで交付します。
書面契約の場合 | 契約書を2部作成し、記名押印したものを相手企業に郵送する |
電子契約の場合 | 契約書に電子署名を行い、契約書の電子データを相手企業に送付する |
契約書の管理や更新
契約は締結したら終わりではなく、契約書をきちんと保管する必要があります。契約には有効期限や更新日が設定されているため、管理台帳やデータベースなどで契約書を管理し、契約更新の抜けや漏れがないように注意します。とくに自動更新ありの契約の場合は、不要な契約が自動更新されないように契約更新日を把握しておきましょう。
3. CLMを行ううえでの注意点
CLMを行ううえでの注意点は3つあります。
- 契約書を一元管理するソリューションが必要
- 紙の契約書のペーパーレス化が必要
- 契約書を安全に管理するためのセキュリティが必要
CLMを実現するには、契約管理システムや電子契約システムなど、契約業務の効率化につながるデジタルツールの導入が必要不可欠です。契約ごとの進捗状況やステータス、契約更新日や自動更新の有無などを手作業で管理するのは限界があります。たとえば、契約更新日が近づくとリマインドを送信するシステムや、契約更新日をまとめて検索できるシステムがあれば、契約更新の抜け・漏れを防止できます。
紙の契約書をペーパーレス化し、電子データで管理する仕組みも必要です。紙の契約書と電子データの契約書が混在していると、契約書を二重に管理する手間が発生します。契約書は国税関係帳簿書類に該当するため、電子帳簿保存法に対応した契約管理システムが必要です。
また、契約書を安全に管理するため、セキュリティを強化する必要もあります。たとえば、契約書を保管するサーバートラブルの対策や、相手企業と契約書をやりとりするときの通信暗号化など、セキュリティ対策が充実したツールを選びましょう。契約書の一元管理、紙の契約書のペーパーレス化、契約管理のセキュリティ強化など、自社に足りない部分をITソリューションで補うことが大切です。
4. CLMの流れや必要性を知り、契約業務のDXに着手しよう
CLM(契約ライフサイクルマネジメント)は、契約の申し込みから締結後のアフターフォローまでの流れを一つのライフサイクルととらえ、業務フローとして整理する取り組みです。各工程ですべきことを標準化することで、契約業務の抜けや漏れをなくし、業務効率化の実現を目指します。CLMを実現するには、契約管理システムや電子契約システムを始めとしたデジタルツールの導入が必要です。CLMの流れや必要性を知り、契約業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に着手しましょう。
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