契約変更に印紙は必要?貼るべきケースや金額を紹介
更新日: 2023.1.11
公開日: 2022.11.29
jinjer Blog 編集部
締結済みの契約を変更した場合、改めて収入印紙を貼る必要はあるのでしょうか。印紙税法上は、契約金額や契約金額の支払方法、契約金額、請負の期日または期限などの「重要な事項」を変更する場合、覚書や念書などの文書に印紙を貼る必要があります。この記事では、印紙税法における契約変更の定義や、契約変更において印紙が必要なケース、契約変更の際に貼るべき印紙の金額をわかりやすく解説します。
契約書によっては、印紙税を納めなければなりません。この印紙税の金額は、契約書に記載された取引額によって変動します。そのため、間違えて多く貼ってしまった、という経験があるのではないでしょうか。
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1. 契約変更とは?
そもそも契約変更とは、契約当事者の合意にもとづいて、すでに取り決めた契約内容(原契約)を変更することを意味します。契約内容を変更する場合、トラブル防止のために念書や覚書を取り交わし、変更内容を明文化することが一般的です。ここでは、印紙税法における契約変更の定義や、契約変更に必要な「変更契約書」についておさらいします。
1-1. 印紙税法における契約変更の定義
印紙税法基本通達別表第1の「課税物件表の適用に関する通則5」によると、「契約の内容の変更」は以下の通り定義されています。[注1]
「契約の内容の変更」とは、既に存在している契約(以下「原契約」といいます)の同一性を失わせないで、その内容を変更することをいいます。この場合において、原契約が文書化されていたか、単なる口頭契約であったかは問いません。
引用:変更契約書|国税庁
つまり、書面契約や口頭契約、さらには近年普及しつつある電子契約を問わず、すでに取り決めた契約内容(原契約)を変更するのが「契約の内容の変更」です。契約内容を後から変更する場合は、原則として相手方の合意が必要になります。
[注1] 変更契約書|国税庁
1-2. 契約変更に必要な「変更契約書」とは
原契約書の内容を変更するとき、念書や覚書などの「変更契約書」を取り交わすことが一般的です。変更契約書を作成する目的は3つあります。
- 相手方との合意の事実を明らかにするため
- 原契約書との同一性を保つため
- 契約変更に法的拘束力を与えるため
変更契約書は、契約変更があった事実を明らかにしながら、原契約書との同一性を保つための文書です。また、変更契約書は念書や覚書などの表題で作成されますが、契約書と同等の法的拘束力を持つ場合があります。特に「契約上重要な事項を変更する変更契約書」は、印紙税法上の課税文書として扱われ、新しく収入印紙を貼る必要があります。[注1]
[注1] 変更契約書|国税庁
2. 契約変更において印紙が必要なケース
契約変更において印紙が必要なのは、原契約書の「重要な事項」を変更し、念書や覚書などの変更契約書を交付するケースです。原契約書の重要な事項は、印紙税法基本通達別表第2の「重要な事項の一覧表」で例示されています。ここでは、印紙税法上の「重要な事項」の定義や、契約変更の際に印紙が必要になるケースをいくつか紹介します。
2-1. 原契約書の「重要な事項」を変更する場合は印紙が必要
印紙を貼る必要があるのは、印紙税法で定められた課税文書です。念書や覚書などの変更契約書も、原契約書の「重要な事項」を変更する場合は課税文書に該当し、所定の金額の印紙を貼る必要があります。[注2]
「覚書」や「念書」等の表題を用いて、原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書(以下「変更契約書」といいます)が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定することとされています。すなわち、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しないことになります。
引用: No.7127 契約内容を変更する文書|国税庁
この「重要な事項」は、基本通達別表第2の「重要な事項の一覧表」で例示されています。例えば、原契約書の契約金額や契約金額の支払方法、請負の期日または期限を変更する場合、変更契約書に印紙を貼る必要があります。課税文書の区分によって、何が「重要な事項」に該当するかが異なるため、必ず確認しておきましょう。[注3]
区分 | 重要な事項(例) |
第1号の1文書 |
|
第1号の2文書のうち、地上権または土地の賃借権の譲渡に関する契約書 | |
第15号文書のうち、債権譲渡に関する契約書 | |
第1号の3文書 |
|
第1号の4文書 |
|
第2号文書 |
[注3] 重要な事項の一覧表|国税庁
3. 契約変更において貼るべき印紙の金額
それでは、契約内容を変更するとき、具体的にどの程度の金額の印紙を貼るべきでしょうか。変更契約書に貼るべき印紙の金額は、原則として変更後の契約金額に合わせます。また、変更契約書が印紙税法上のどの課税文書に分類されるかを考慮し、印紙税額の一覧表を参照する必要があります。ただし、原契約書の契約金額を変更する場合は、以下の2つのケースに分けて印紙の金額を計算しましょう。[注4]
- 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合
- 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合
[注4] No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁
3-1. 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合
変更契約書に変更前の契約金額が記載されている場合、変更前との差額がわかる場合は差額分の印紙を、変更後の金額しかわからない場合は変更後の金額分の印紙を貼る必要があります。[注4]
- 変更金額が記載されている場合
イ 変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その増加金額が記載金額になります。
ロ 変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなります。 - 変更後の金額のみが記載され、変更金額が明らかでないときは、変更後の金額が記載金額となります。
[注4] No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁
3-2. 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合
一方、変更契約書に変更前の契約金額が記載されていない場合、変更後の金額がわかる場合はその金額の印紙を、変更金額(差額)のみ記載されている場合は差額分の金額の印紙を貼る必要があります。[注4]
- 変更後の金額が記載されているときは、変更後の金額が記載金額となります。
- 変更金額のみが記載されているときは、変更前の金額を増額するものおよび減額するもののいずれもその変更金額が記載金額となります。
このように、金額が変更された場合は変更後の金額を適用して印紙税を納める必要があります。もし貼り忘れてしまった場合は、納付漏れとして過怠税を納めなければなりません。そのため、変更のたびに確認するようにしましょう。
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[注4] No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁
4. 契約書の「重要な事項」を変更する場合は印紙を貼る必要がある
契約金額や契約金額の支払方法、請負の期日または期限など、原契約書の「重要な事項」を変更する場合は、念書や覚書などの変更契約書に印紙を貼る必要があります。原契約書の重要な事項は、印紙税法基本通達別表第2の「重要な事項の一覧表」で確認することが可能です。契約変更において貼るべき印紙の金額、「変更前の契約金額を記載した契約書が作成されているかどうか」で変わります。収入印紙に関するトラブルを防止するため、契約変更の際に印紙を貼るべきケースや、印紙の金額の計算方法を確認しておきましょう。
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