業務委託契約書は電子契約できる?|文書の電子化に関する法律も紹介 | jinjerBlog

業務委託契約書は電子契約できる?|文書の電子化に関する法律も紹介

人材不足あるいは技術的な問題によって、自社で処理できない、または処理できるが効率が悪い業務がある場合、外部の業者に業務を委託することになります。

その場合、自社と委託先の間で業務委託契約を締結し、契約書を取り交わすのが一般的です。

昨今はさまざまな契約・文書の電子化が進んでいますが、業務委託契約書も電子化することが可能なのでしょうか。

今回は、業務委託契約書の基礎知識や、電子契約の可否、電子化するメリットについて解説すると共に、文書の電子化に関する法律もまとめました。

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2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。

とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。

新たに電子契約できるようになった書類について法的根拠をもとに解説しているほか、電子契約を用いた実際の業務フローや電子署名の導入手順までを網羅的に解説しており、これ一冊で電子契約について理解できるため、書類の電子化に興味があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

デジタル関連法案

1.業務委託契約書とは

業務委託契約書とは、自社の業務を外部業者に委託する際に取り交わす契約書のことです。

業務委託契約書には、業務の発注者(委託者)は、受注者(受託者)に対して業務を委託することをいいます。
受注者は委託された業務を遂行することによって、発注者から報酬を受け取る旨などが記載されています。

業務委託を締結するにあたり、契約書の取り交わしは必須ではありませんが、仮に口頭のみで業務委託契約を締結すると、後から委託した業務の内容や報酬、支払い条件などを巡って「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあります。

委託する側もされる側も、自社の権利や利益がきちんと担保されるよう、業務委託をおこなうときは必ず業務委託契約を締結し、委託する業務の内容や報酬、支払い条件、成果物の権利、再委託の可否などの項目を盛り込んだ業務委託契約書を発行することが大切です。

1-1.業務委託契約書も電子化が可能

業務委託契約は、民法第643条に定められた「委任」、同法第656条の「準委任」、または同法第632条の「請負」のいずれかに分類されます。

委任・準委任は、当事者の一方が法律行為(準委任は法律行為でない事務)をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生ずる、と定められています。[注1]

一方の請負についても、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束することによって、その効力を生ずるとしています。

つまり、いずれのケースでも大切なのは当事者同士が契約内容を了承していることであって、必ずしも書面の発行や取り交わしは必要ありません。

書面の電子化は法律の壁によって不可能となっているケースもいくつか見受けられますが、業務委託契約に関してはそもそも書面の発行が義務づけられていないため、業務委託契約書を電子データとして発行・送付し、オンライン上で契約を締結する「電子契約」をおこなうことが可能となっています。

契約書の様式や形式にも特に決まりはないため、極端にいえばWordで作成した業務委託契約書を受託先に送付するだけでもよいのですが、単なる文書ファイルは容易に編集できるため、知らない間に契約内容が改ざんされる可能性があります。

その場合、口頭契約と同じように「書いた・書かない」の水掛け論に発展してしまうおそれがありますので、業務委託契約書を電子化する場合は、セキュリティ性の高い電子契約サービスを利用するのが基本です。

2.文書の電子化に関する法律一覧

業務委託契約書をはじめとする文書の電子化には、主に以下のような法律が関連しています。

1.電子署名法
2.IT書面一括法
3.e-文書法
4.電子帳簿保存法

ここでは、以上4つの法律の概要をご紹介します。

2-1. 電子署名法

2001年4月1日から施行された法律で、正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」といいます。

それまで、特定の文書が効力を生じるには、手書きによる署名・押印が義務づけられていました。

しかし、電子署名法の施行により、本人による一定の要件を満たす電子署名が施された電子文書については、手書きで署名・押印した紙の文書と同等に通用するものとみなされるようになりました。[注2]

2-2. IT書面一括法

電子署名法と同時期に施行された法律で、正式名称を「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といいます。

原則は「紙」という考え方に変わりはないものの、送信者側・受信者側がともに電子的手段でのやり取りを希望している場合に限り、書面(紙)による手続きを電子的手段(電子メールなど)に代えておこなうことを可能としています。[注3]

2-3. e-文書法

2005年4月から施行された法律で、別名「電子文書法」とも呼ばれています。

「民間事業者等がおこなう書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等がおこなう書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の総称で、民間事業者等に対して書面での保管が法的に義務づけられている文書について、電子化された文書ファイルでの保存を認めています。[注4][注5]

もともと電子データとして作成された文書はもちろん、紙で作成された書類をスキャナなどでイメージ化し、電子的に保存することも可能となっています。

2-4. 電子帳簿保存法

1998年7月に施行された法律で、正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。

その名の通り、所得税法や法人税法、消費税法といった国税関係の法律によって規定されている帳簿書類を、電子書面として保存することが認められています。[注6]

同法は1998年に施行されて以降、複数回にわたって改正がおこなわれており、2005年には同年に施行されたe-文書法の影響によってスキャナ保存制度が追加されました。
また、2015年にはスキャナ保存制度の要件緩和、2016年にはデジタルカメラや携帯電話での撮影許可、2020年にはクラウドシステムなどのサービス利用の認可などがそれぞれ追加・改正されています。[注7]

そして2022年1月からは、税務署長の事前承認制度の廃止、タイムスタンプの付与期限の延長のほか、スキャン前の自筆署名およびスキャン後の定期的な検査を不要とするなど、適用要件が大幅に緩和されています。[注8]

3.業務委託契約書を電子化するメリット

業務委託契約書を電子化すると、相手がどこにいても、スピーディに契約を締結できるようになります。

書面(紙)の場合、相手に手渡すか、あるいは郵送するかのどちらかになりますが、前者はわざわざアポイントメントを取らなければなりませんし、後者は郵送によるタイムラグが生じてしまいます。

電子データなら、インターネット環境下であれば、いつでもどこでも受信し、内容を確認して返送することができるため、場所や時間にとらわれず、スムーズに契約を締結できます。

また、請負に関する契約書の場合、記載された契約金額が1万円以上の場合、200円~60万円の印紙税を支払う必要があります。[注9]

しかし、電子化された文書は、印紙税法でいうところの課税文書の作成にあたらないことから、業務委託契約書を電子化した場合、印紙税を丸ごと節税できます。[注10]

3-1.業務委託契約書の電子化の具体例

業務委託契約は、業種や法人・個人にかかわらず、幅広いケース・パターンで交わされるものです。

たとえば、商品のキャッチコピーや広告デザインをフリーのコピーライターやデザイナーに単発案件として業務委託している場合、発注のたびに業務委託契約を紙の文書で締結するのはかなりの手間と時間がかかりますし、保管する書類も膨大な量に上ります。

業務委託契約書を電子化すれば、インターネット上でコピーライターやデザイナーを探し、そのままネット上で業務委託を依頼から契約することも可能ですし、PCやサーバー上に保管すれば、書類がかさばる心配もありません。

また、メーカーは製造工場などと継続的に業務委託契約を締結するケースが多いですが、有期契約の場合は定期的に更新手続きをおこなう必要があります。

電子契約サービスの中には、契約期限が間近に迫るとアラートで報せてくれる機能が備わっており、更新漏れを未然に防ぐことができます。

このほかにも電子契約サービスにはさまざまな機能が備わっていますが、実際に導入する際は社内規定を作成したり、社内フローの整備が必要になります。

当サイトでは、電子契約サービスの選び方や導入に際して考慮しなくてはならない項目についてまとめた資料を無料で配布しております。電子契約の導入にご興味のある方は、こちらから「電子契約の始め方ガイドブック 」をダウンロードしてご確認ください。

4.業務委託契約書は電子契約が可能!関連法律への理解が大切

業務委託契約書は、法律による規制がないため、現時点で電子化することが可能です。

業務委託契約書は必ず作成しなければならないものではありませんが、口頭での契約はトラブルに発展するリスクが高くなりますので、契約書の作成・発行は必須といわれています。

委託契約のたびに紙の契約書を発行し、相手方に記名・押印してもらうのは手間がかかりますが、業務委託契約書を電子化すれば、相手がどこにいてもスピーディに契約を締結することが可能です。

単純に早い・便利というだけでなく、印紙税の節約にもなりますので、外部業者への業務委託を日常的におこなっている場合は、業務委託契約の電子化を検討してみましょう。

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2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。

とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。

新たに電子契約できるようになった書類について法的根拠をもとに解説しているほか、電子契約を用いた実際の業務フローや電子署名の導入手順までを網羅的に解説しており、これ一冊で電子契約について理解できるため、書類の電子化に興味があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

デジタル関連法案

[注1]e-Gov法令検索|民法(明治二十九年法律第八十九号)
[注2]e-Gov法令検索|電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)
[注3]首相官邸|書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律案(仮称)について
[注4]首相官邸|民間事業者等がおこなう書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の概要
[注5]首相官邸|民間事業者等がおこなう書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の概要
[注6]e-Gov法令検索|電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成十年法律第二十五号)
[注7]国税庁|過去の電子帳簿保存法の改正
[注8]国税庁|電子帳簿保存法が改正されました
[注9]国税庁|印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
[注10]国税庁|請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(別紙)