電子印鑑は代表者印として有効?電子印鑑の法的効力や注意点について解説 | jinjerBlog

電子印鑑は代表者印として有効?電子印鑑の法的効力や注意点について解説

タブレットとハンコ

電子印鑑は、デジタル化が認められている取引に使う場合、法的効力が保証されています。そのため、代表社印の電子印鑑化も可能です。ただし、実印と同等の効力を得るためには、電子署名やタイムスタンプの付与が必要なため注意しましょう。

この記事では、代表者印と社印の役割や違いや電子印鑑の法的効力、電子印鑑を使用する上での注意点を解説します。

1.会社の実印である代表者印とは?社印との違いを解説

紙とハンコ

会社で利用する印鑑を総称して社判といいますが、代表者印と社印では、法的効力や利用する場面が異なります。
ここでは代表者印と社印の違いや、他にどのような印鑑があるのかを解説します。

1-1.代表者印(丸印)

代表者印や役職印、会社実印、丸印と呼ばれ、会社で押す印鑑の中では特段重要度の高い印鑑です。
会社設立時には代表者が印影を法務局に届け出る義務があり、印鑑登録をすることで法人実印となります。

丸形の印鑑を使用するケースが多く、外枠に法人名、うち枠に「代表取締役印」など役職名が入ります。
代表者印は法人名義が変更する際は、法務局で改印手続きが必要です。なお、氏名は入らないため、代表取締役変更時には特に手続きは必要ありません。

代表者印を押印するケースとしては、印鑑証明が必要な手続きや、重要性の高い契約締結時、法的手続きが該当します。具体的な手続きは以下のとおりです。

・不動産売買契約書
・抵当権などの設定契約書
・官公庁の入札届出書類
・企業買収契約書

1-2.社印(角印)

会社印や社印、角印などと呼ばれ、会社の中では認印に相当する印鑑です。
法務局に届け出る義務はないため代表者印ほどの効力はないものの、実務上は頻繁に利用します。
角印内に法人名が書かれているタイプのものが主流です。

なお、社印も会社名が入るため、法人名の変更時には作り変える必要があります。
企業活動に必要な書類に対し、会社が発行した信頼性の担保として押印するケースが多いでしょう。押印する具体的な書類は以下のとおりです。

・請求書
・納品書
・見積書
・領収書
・社内文書

1-3.その他の社判

代表社印や社印以外にも、会社では以下のような印鑑を利用します。

会社銀行印:
法人銀行口座を開設する際、銀行に届け出る印鑑。口座からの出金など資金管理の際に必要です。

住所印:
会社名や住所、電話番号、メールアドレスなどが入った横判。封筒に押印したり、郵送物の差出人欄に押印したりして使います。

割印:
原本と写しなど、2つの文書の関係性を示すために押される印鑑です。割印専用に縦長に作られたものもあります。

2.電子印鑑の法的効力

賢そうな人の机

電子印鑑も一定の条件を満たすことで、実印同等の法的効力を得られます。
ここでは、電子印鑑の作り方と法的効力を得られる条件、電子印鑑は代表者印として利用できるかを解説します。

2-1.電子印鑑の作り方

電子印鑑には以下のとおり、無料・有料、2つの作り方があります。

(1)無料の電子印鑑の作り方
印影を画像データに取り込み電子文書に添付する
WordやExcelで印鑑画像を作成する
無料ツールで電子印鑑を作成する

(2)有料の電子印鑑の作り方
電子契約サービスを導入し電子署名やタイムスタンプを付与する

法的効力を得るためには、有料サービスなどと契約し、電子署名のような改ざん防止措置を施さなければいけません。

2-2.電子印鑑の法的効力は電子署名法により保障される

通常の印鑑は民事訴訟法第228条4項の「私文書は、本人(中略)の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という条文により、法的効力が保証されています。

対して、電子印鑑の法的効力は、以下の電子署名法第3条により担保されています。
「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(中略)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(中略)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」[注1]

[注1]「押印に関するQ&A」|経済産業省

ただし、ここで記載されている電子署名とは、単なる電子的に行ったサインではない点に注意が必要です。
同条が規定する電子署名と認められるためには、第三者機関の発行した電子証明書の付与が必要です。電子証明書とは、電子的な身分証明書に相当するものです。

このため、電子印鑑には以下の2つの仕組みの付与により、裁判などでも有効な法的効力を得ることができます。

電子署名:署名の本人性と非改ざんの担保
タイムスタンプ:文書の存在性と非改ざんの担保

なお、タイムスタンプはベースとなる電子文書がその時刻に存在し、以降改ざんされていない証明として必要です。

2-3.電子印鑑が代表者印として有効なケース

以上のように、適正な電子証明書を付与した電子署名を添付できる場合、電子印鑑も代表社印と同様の使い方ができます。

特に、契約書は電子的な方法での締結と保管が認められているため、代表社印を電子化すれば、スピーディーな処理が可能となります。

また、地方自治体によっては、電子証明書を活用した電子入札を導入しているケースもあります。
以上のように、契約の電子化が認められているシーンでは、電子印鑑を代表者印同等の活用が可能です。

3.電子印鑑を使用する上での注意点

注意する女性

電子印鑑を代表社印として利用する場合、電子化が認められていない契約があること、取引先への対応が必要なことなどに注意しましょう。また、電子契約の導入では、セキュリティ対策の確認も必要です。

3-1.電子化が認められていない契約がある

行政手続きの電子化が進む一方、地方自治体の電子入札の普及率は高くありません。また、事業用定期借地契約などは公正証書を添付するため、書面による契約が必要です。

以上のように、会社の行う手続きでは、現在でも電子化されていないものが多々あります。それらの手続きでは電子印鑑は使用できません。

3-2.取引先で電子印鑑を認めているか

e-文書法や電子帳簿保存法の整備が進んだため、電子契約だけでなく、企業取引に必要な多くの書類の電子化が可能です。しかし、取引先によっては電子印鑑の使用を認めず、電子契約に対応してないケースもあります。

また、電子契約の種類によっては、書面での手続きを希望されたとき、電子的方法を強要することを禁止しています。取引先との契約に電子印鑑を使いたいときは、事前に使用可能かどうか確認が必要です。

3-3.セキュリティ対策は施されているか

先述のとおり、電子印鑑は印影の画像データのように、セキュリティ対策が施されていないものには法的効力がほぼありません。しかし、有料の電子契約サービスを導入すれば安心かといえばそうとは限らず、ベンダーによりセキュリティレベルに違いがあります。

通信は暗号化されているか、電子証明書はどのように発行しているか、認定タイムスタンプを付与しているかなど、どのようなセキュリティ対策を施しているかの確認も必要です。

4.電子印鑑は代表者印としても有効に使える!

小さい茶色いハンコ

電子印鑑は法的効力が保証されているため、代表者印のように使うこともできます。そのためには、電子署名やタイムスタンプなど、セキュリティ対策も合わせて必要なため注意しましょう。

なお、代表者印を使う契約の中には、電子化されていないものもあるため、デジタル化が可能かどうかも事前に確認しましょう。