取締役会議事録も電子署名できる?法務省の見解を元にポイントを解説! - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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取締役会議事録も電子署名できる?法務省の見解を元にポイントを解説!

取締役会議事録の電子署名の導入にあたっては、電子証明書の取得などハードルの高いものがありましたが、法務省が新しい見解を示したことにより、電子署名の導入がしやすくなりました。今回の記事では、法務省の見解を元にポイントを解説していきます。

関連記事:電子署名で取締役会議事録への押印が可能に!どんなメリットがある?

取締役会議事録は電子化可能?電子署名は活用できる?

電子契約

2020年5月の法務省の見解により、取締役会議事録にも「電子署名」の利用が認められました。デジタル社会の実現に向けて法整備が進み、電子化が促進されています。

ジンジャーサインでは具体的に取締役会議事録に電子署名が活用可能な根拠、電子化のメリット等について資料でまとめました。是非ダウンロードしてご確認ください。

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1.取締役会議事録とは?

取締役会議事録とは、取締役会で話し合われた内容を記録したもので、取締役会の意思決定を裏付けする重要な書面でもあります。そのため、登記申請や融資を受ける際の資料としても使用されることがあります。

取締役会議事録は、会社法第369条第3項及び第4項によって作成が義務付けられているので、取締役会開催の度に作成しなくてはいけません。

また、取締役会議事録が書面で作成されている場合、取締役会に出席した取締役および監査役は、その議事録に署名(記名)、押印しなければなりません。(会社法369条③後段)

取締役会に出席して決議に参加した取締役が、取締役会議事録の議事の内容に異議をとどめない場合、その決議に賛成したものと法律上推定する旨の規定が会社法で定められています。(会社法369条⑤)

このような法律上の効果が生じる関係から、取締役会議事録への署名(記名)と押印の義務が課せられているのです。

また、取締役会議事録への記載事項についても、会社法施行規則第101条によって定められているため、開催日時や場所、取締役会の議事の経過及び結果などについて漏れなく記載することになっています。

2.取締役会議事録の電子署名の法的要件と法務省の見解

取締役会議事録の電子署名の法的要件に関しては、一部ニュースでも報じられた法務省の新しい見解によって、内容が大きく変わりました。次に詳しく解説します。

2-1.「法務省がクラウド型電子署名を適法認定」のニュースについて

2020年5月31日付けの日本経済新聞に、電子署名に関しての考え方を一変させるニュースが掲載され話題となりました。

そのニュースの内容とは、「法務省が取締役会の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認について、クラウド型の電子署名の使用も認める」というものです。

この新しい見解が発表されたことによって、従来の運用によらなくても、取扱役会議事録の電子署名を取り扱うことができるようになりました。

では、新しい見解が示されるまでは、どのような運用になっていたのでしょうか。次に詳しくみていきましょう。

2-2.往来の運用について

従来も、取締役会議事録を電子文書にする場合は、会社法施行規則第225条によって出席した取締役と監査役の署名又は記名捺印に代わる措置として、電子署名の使用が認められていました。

しかし、電子署名の使用にあたっては、同条によって定められた以下の要件を満たしている必要があります。

・当該情報が当該措置をおこなった者の作成に係るものであることを示すためのものであること
・当該情報について改変がおこなわれていないかどうかを確認することができるものであること

つまり、電子契約事業者が提供するクラウド型のような電子署名サービスでは、前述の要件を満たさないとされ、使用が認められていない状況でした。

これまでは認証局で本人確認が取れた電子証明書を付与した電子署名のみが、法的に本人性・非改ざん性が認められていました。

2-3.法務省民事局の新見解

しかし、法務省が2020年5月29日付けで経団連などに送った電子署名の取扱いに関する文書の中で、クラウド型のような電子契約事業者が提供する電子署名であっても、取締役会議事録への有効性を認めるという、新しい見解を示しました。

【法務省の新見解】
‘会社法上、取締役会に出席した取締役及び監査役は、当該取締役会の議事録に署名又は記名押印をしなければならないこととされています(会社法第369条第3項)。また、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合には、署名又は記名押印に代わる措置として、電子署名をすることとされています(同条第4項、会社法施行規則第225条第1項第6号、第2項)。

当該措置は、取締役会に出席した取締役又は監査役が、取締役会の議事録の内容を確認し、その内容が正確であり、異議がないと判断したことを示すものであれば足りると考えられます。したがって、いわゆるリモート署名(注)やサービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービスであっても、取締役会に出席した取締役又は監査役がそのように判断したことを示すものとして、当該取締役会の議事録について、その意思に基づいて当該措置がとられていれば、署名又は記名押印に代わる措置としての電子署名として有効なものであると考えられます。’[注1]

[注1] 取締役会議事録に施す電子署名についての法務省見解|一般社団法人 新経済連盟

この新しい見解によって、電子契約事業者が提供しているクラウド型のような電子署名を利用することが可能となり、今までハードルの高かった取締役会議事録の電子化が導入しやすくなりました。

取締役会議事録の電子化ができれば、今まで出席者全員分の署名や捺印集めにかかっていた時間やコストを削減することができます。

ただし、取締役会議事録を電子化するにあたっては、閲覧権限を設定できないと、従業員全員が閲覧できてしまいますので注意も必要です。

2-4.なぜ改善されたのか

しかし、法務省はなぜ今回このような新しい見解を示したのでしょうか。

それは、テレワークを推進していく中で、押印手続を簡素化させたいという、経済界からの強い要望があったことが考えられます。

新型コロナウィルス蔓延防止の観点から、自宅で勤務するテレワークが推奨されましたが、押印の為だけに出社しなくていけないといったケースが発生し、電子署名による押印手続の簡素化への必要性を訴える声がニュースでも取り上げられました。

法務省も取締会に出席した取締役・監査役が議事録の内容を確認し、異議がないことを示すものであれば足りると判断しており、今回認められたのではないかと考えられます。

取締役会議事録は電子化可能?電子署名は活用できる?

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3.法務省が定めた「電子署名に使用できる電子証明書」の利用方法

次に、電子署名を使用した取締役会議事録で登記申請する場合の流れについて紹介します。登記申請のために取締役会議事録を添付する場合は、利用できる電子契約事業者の電子署名サービスの種類が限られてきます。詳しくは法務省のホームページでご確認下さい。

取締役会議事録作成から登記申請までの流れは、大きく以下のとおりです。

1. 取締役会議事録を作成し、出席した取締役・監査役の電子署名を取締役議事録に記録する

2. 会社の電子証明書の取得。オンライン申請する場合には、会社の商業登記電子証明書などの付与が必要となりますので、法務局等で取得しなくてはいけません

3. ①に②で取得した会社の電子証明書を付与する

4. 取締役会議事録以外にも添付書類がある場合は、その添付書類にも電子署名を付与する

5. 登記申請する。司法書士などへ依頼する場合は、委任状を含めて一式を預ける

4.取締役会議事録を登記申請に添付する場合の注意点

法務省によって、取締役会議事録に電子契約事業者の電子署名サービスの使用が認められ、利便性が向上しました。しかし、登記申請に取締役会議事録を使用するにあたっては、利用できる電子契約事業者の電子署名サービスが限られています。

他にも注意すべき点がありますので、次に詳しく説明します。

4-1. 商業登記電子証明書の取得

電子契約事業者が提供する電子署名を利用する場合は、商業登記電子証明書の取得も必要となります。

これは、取締役会の出席者の中に法務局へ印鑑登録している者がいる場合には、商業登記規則第102条6項によって取得が必須とされているものになります。

4-2. オンライン申請が必要

前述でも説明しました商業登記電子証明書を取得した後は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使用して、商業登記電子証明書を取締役会議事録に付与する必要があります。あらかじめ、法務省のホームページよりダウンロードしておきましょう。

ここまで取締役会議事録の電子化について法的な根拠や方法について解説してきましたが、当サイトでは、取締役会議事録の利用方法や注意点、メリットなどをまとめた資料を無料で配布しております。

いつでも内容を確認したい方や、取締役会議事録における電子署名に対応していきたいがあるご担当者様は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

▼こちらからダウンロードできます。
登記・供託オンライン申請システム|法務省

5.取締役会議事録にクラウド型電子署名の使用も可能に

従来は取締役会議事録を電子化するには、認証局から電子証明書を発行してもらった電子署名によって、出席した取締役・監査役の署名をしなくてはなりませんでした。

しかし、法務局が2020年5月に、取締役会議事録に関して新見解を示したことから、電子署名に対する考え方が一変し、電子契約事業者が提供するクラウド型のような電子署名を使用できるようになりました。

これによって、業務効率は改善されましたが、登記申請する場合に限っては、まだ利用できる電子署名の種類や申請方法に制限がありますので注意が必要です。

また、登記申請や取締役会議事録といった機密性の高い情報に関しては閲覧権限を設定して情報を管理する必要があります。そのため、閲覧制限の機能があるクラウド型サービスの活用を検討するとよいでしょう。

取締役会議事録は電子化可能?電子署名は活用できる?

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