売買契約書も電子化できる?|不動産業界を中心にすすむ電子契約 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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売買契約書も電子化できる?|不動産業界を中心にすすむ電子契約

社会全体のデジタル化を目指すデジタル改革関連法により、2022年5月に売買契約書を始めとする不動産関連文書の電子化が認められました

不動産業界は法的な規制から業務の電子化が制限されてきましたが、今後はオンラインを活用した不動産売買も活発になっていくことでしょう。

この記事では法改正により規制が緩和される不動産関連の法律や、不動産業界における電子化のメリットなどについて解説します。

関連記事:電子契約は不動産取引で使用できる?法改正で変わったことも解説! | jinjerBlog

「この書類は電子化できる?できない?」
【弁護士監修】でデジタル改革関連法を徹底解説!

デジタル関連法案

2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。

とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。

新たに電子契約できるようになった書類について法的根拠をもとに解説しているほか、電子契約を用いた実際の業務フローや電子署名の導入手順までを網羅的に解説しており、これ一冊で電子契約について理解できるため、書類の電子化に興味があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

1.売買契約書とは

売買契約書とは、ある商品の売買がおこなわれる際に、その売買の条件やルールを当事者が確認できる形で文書にしたものです。

また、過去におこなわれた売買の事実を証明するための文書でもあります。

1-1.主な売買契約書の種類

売買契約書にはいくつかの種類に分けられますが、大きく分類すると以下の3つです。

● 不動産売買契約書・動産売買契約書
● 債券や株式の譲渡契約書
● 知的財産の譲渡に関する契約書

本来、民法では売買契約書の作成を義務付ける法律はなく、口頭での約束であっても売買契約は成立します。

そのため、スーパーやコンビニ等の小売店での買い物では契約書の作成を省略することが一般的です。

しかし、土地や建物を始めとする不動産や、購入後に登録や名義の変更が必要となる動産の売買、もしくは株式や債券の譲渡がおこなわれる場合は、その金額が高額であることから売買契約書を作成します。

また、著作権のような知的財産は表面上それが正しく譲渡されたか分かりにくいことから、譲渡の証拠として売買契約書が必要です。

特に不動産売買はトラブルのリスクが高く、「宅地業者取引業法(宅建業法)」や「借地借家法」によって売買契約書の作成が義務付けられています。

契約書に当事者が署名・押印することで、その売買に同意があったことを証拠として残すことができます。

1-2.不動産売買では宅建業法37条書面と同一扱い

不動産売買における売買契約書は、多くの場合で宅建業法37条書面と同一に扱われます。

宅建業法37条で規定される書面(通称37条書面)とは、不動産の売買が成立した際に宅建業者、いわゆる不動産屋が売主と買主に交付する書類です。

37条書面に記載が義務付けられる事項は売買契約に必要な事項と合致します。

そのため、業務効率化の観点から実務においては37条書面を売買契約書とみなすことが一般的です。

その内容には以下の内容の記載が義務付けられています。

【記載が必須の事項】
● 契約当事者の氏名(法人の場合は法人名及び代表者名)・住所
● 宅地建物の所在、種類、構造を特定するために必要な表示
● 建物の構造上主要な部分について当事者双方が確認した事項(中古の場合)
● 売買の代金額、支払期日、支払い方法
● 宅地、または建物の引き渡し時期
● 所有権移転登記の時期

【取り決めがあれば記載する事項】
● 代金・交換差金以外で発生する金銭授受の金額や支払期日、およびその目的
● 損害賠償の予定・違約金の内容
● 住宅ローンが成立しなかった場合の措置
● 天災、その他不可抗力による損害の負担
● 瑕疵担保責任(不動産に不具合があった場合の責任の所在)
● 宅地建物の租税公課の負担

関連記事:宅建業法の改正について2つのポイントで解説 | jinjerBlog

2.不動産売買における電子化の現状

不動産関連は契約書の電子化が最も遅れている分野のひとつでした。

以前は、先述した「不動産売買契約書(宅建業法37条書面)」や宅地建物の契約に不可欠な「重要事項説明書(宅建業法35条書面)」は、依然として「押印」や「書面(紙)による交付」が義務付けられていました。

しかし、「脱ハンコ」や「ペーパーレス社会」の実現を目的としたデジタル改革関連法の成立により、2022年に状況が大きく変わりました。

2022年5月に「押印義務の廃止」や「書面交付義務の緩和」を盛り込んだ改正法の施行がされたこたとで、重要事項説明書や賃貸借契約書などが電子化できるようになりました。(詳しくは2章で解説)

これにより、不動産業界の電子化が一気に進むことは間違いありません。

関連記事:重要事項説明書の電子化はいつから可能?|不動産取引における電子化の現状 | jinjerBlog

3.法改正で不動産取引の電子化が解禁!

2021年5月12日の国会で成立し、9月に施行されたデジタル改革関連法は、社会全体のデジタル化による国民の生活利便性向上を目的とした一連の法律の総称です。

不動産関連では宅建業法を含む48におよぶ法律の改正が盛り込まれており、改正法施行後は不動産取引の諸手続きがオンラインで完結できるようになりました。

3-1.押印義務が廃止される法律と対象となる文書

法改正により不動産関連文書に対する押印義務が廃止されました。

なお、法改正後も引き続き「記名」が必要ですが、記名は自筆以外の方法で名前を書くことですのでオンラインで対応可能です。(「署名」の場合は手書きでの記入が必須です。)

● 宅地武者取引業法:35条の5・7
– 重要事項説明書

● マンション管理正常化推進法:75条の5
– マンション標準管理委託契約書

● 不動産特定共同事業法:24条の2、25条の2ほか
– 不動産特定共同事業契約に関わる書類

● 不動産鑑定評価法:39条の2
– 鑑定評価書

● 建物区分所有法:42条の3ほか
– 集会の議事録

● 建築士法:20条の1・2
– 設計図書 [注1]

[注1]「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」|内閣官房HP

上記の不動産関連法に加え、公認会計士や社会保険労務士の業務についても同様に押印義務が廃止されました。

これにより不動産業界における業務の多くで「脱ハンコ」が進むことでしょう。

3-2.書面交付義務が緩和される法律と対象となる文書

法改正により契約書や議事録の電子化が認められる不動産関連法は以下の通りです。

● 民法:486条の2
– 受取証書

● 借地借家法:22条の2、38条の2
– 定期借地権の書面(公正証書を除く)
– 定期建物賃貸借契約書

● 宅地建物取引業法:34条の2、35条の8・9、37条の4・5
– 媒介契約書面
– 重要事項説明書
– 不動産売買契約書

● マンション管理適正化推進法:72条の7
– 重要事項説明書 [注2]

[注2]「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」|内閣官房HP

なお、法改正施行後も文書自体が不要になる訳ではありません。

紙媒体の書面を用いない場合は電子媒体の文書データ作成義務があります。

なお、電子データで文書を管理する場合はタイムスタンプなどの非改ざん性を証明できる電子技術の導入も必須です。

本章では不動産取引でも書類の電子化が解禁されたことについて解説しましたが、当サイトでは、不動産取引の電子化の具体的な内容や電子化することで企業が得られるメリットなどをまとめた資料を無料で配布しております。

法改正前後での変化も図を用いながら解説しておりますので、不動産取引の電子化に対応していきたい方は、こちらから「デジタル改革関連法 不動産関連書類の電子化解禁マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。

4.売買契約書を電子化するメリット

契約書の電子化や契約そのものをオンライン化(電子契約)することによるメリットは以下の3つです。

● 訪問・対面取引の削減により業務効率改善
● 印紙代が不要で大幅なコストカットができる
● 膨大な契約書・書籍が一元管理できる

4-1.訪問・対面取引の削減により業務効率改善

売買契約書を電子化することにより、完全オンラインによるリアルタイムの非対面契約が可能になります。

従来でも書類の郵送による非対面契約は可能ではありましたが、書類のやり取りに時間が掛かるため決して効率の良いやり方ではありませんでした。

しかし、電子契約書であればすれば電子メールやチャットにより即座に書類の交換ができます。

ビデオ通話をつなぎながら書類の交換ができれば作業効率は対面時と変わりません。

むしろ訪問の手間が省けることにより業務効率が大幅に改善します。

4-2.印紙代の削減による大幅なコストカット

不動産業界にとって特に大きなメリットとなるのが印紙代のコストカットです。

土地や建物の売買は特に契約金額が大きいため、契約書に掛かる印紙税も一般的な契約書とは比べ物になりません。

多額の印紙税を何とかしたいと思われる方も多いでしょう。

ところが、契約書のような課税文書であっても、電子的に記録されているものであれば課税の対象にはなりません

これは印紙税法によって課税対象は「書面によって交付された文書」と規定されているためです。

契約書の電子化によって全ての印紙税を除外できれば非常に強力なコストカットが実現できます。

4-3.膨大な文書の一元管理

契約書を電子化してデータベース化することにより全ての契約書の一元管理が可能です。

各契約を書面のみで保管している場合、その契約の進捗状況や有効期限を正確に管理することは容易ではありません。

また、契約書を保管しておくためのスペースも必要になります。

電子契約書であれば、自社で抱える膨大な量の契約書をデータベース化し、体系的に管理できます。

契約の進捗ごとにデータを抽出したり、有効期限が迫った契約にアラートを表示させたりすることも可能です。

また、契約書を物理的に保管する必要がないため、オフィスのスペースを有効活用できます。

5.不動産取引を電子化する注意点

不動産取引を電子化する際の注意点は以下の3つです。

● 相手方によっては電子契約の承諾が必要
● トラブル防止のためにはセキュリティ対策が必須
● 業務フローの明確化と再構築が必要

業務を電子化させるメリットは非常に大きく、社員の働き方そのものを大きく変えることになります。

しかし、従来とはまた違うタイプのトラブルも起こり得るため、しっかりとポイントを押さえて仕組みを運用することが大切です。

5-1.相手方によっては電子契約の承諾が必要

契約の相手方によっては電子契約に懐疑的な姿勢を示されるケースがあります。

また、契約相手が企業である場合、電子契約に対応する決済フローがなければ紙媒体での契約書を希望されるケースも珍しくありません。

電子契約のニーズが高まっているとはいえ、まだ社会全体に浸透しきっているとは言えない状況です。

紙の契約書があるという安心感を重視する方は一定数いることでしょう。

社内のペーパーレス化を実現するためには、相手方に電子契約への理解と協力を要請することが大切です。

5-2.トラブル防止のためにはセキュリティ対策が必須

契約書を電子化して保管することは、コンピュータウィルスやサイバー攻撃といったネットワーク上の脅威にさらされる可能性があることを意味します。

電子データの暗号化やサーバーのセキュリティ強化により、契約書データの漏洩や改ざんを防がなければなりません。

また、万が一の際もデータを消失しないように、定期的にバックアップを取ることも重要です。

適切なセキュリティ対策を施し、電子化のリスクをマネジメントしましょう。

5-3.業務フローの明確化と再構築が必要

単に売買契約書を電子化しただけでは不動産取引の完全オンライン化にはなりません。

不動産売買に直接かかわる重要事項説明・売買契約締結・媒介契約締結はもちろんのこと、駐車場や更新・退去等の関連する契約もまとめて電子化する必要があります。

不動産売買の完全オンライン化を目指すのであれば、業務フローの明確化と再構築が不可欠です。

自社の業務や各業務に関わる契約書類を洗い出し、電子化に合わせた新たな業務フローの構築や従業員向けマニュアルの整備といった準備を進めていきましょう。

6.ついに不動産業界のDX化が現実に

法的な制限から電子化への対応が遅れていた不動産業界ですが、デジタル改革関連法の成立を受けその状況も終わりを迎えました。

各種書類の押印義務の廃止、書面交付義務の緩和といった法改正により、非対面による不動産の電子契約も認められるようになったのです。

電子化解禁により不動産取引を取り巻く環境も大きく変わることが予想されます。他社に後れを取らぬよう電子化に向けた準備を進めましょう。

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2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。

とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。

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