jinjer HR Tech総研 ウィズコロナ時代の働き方を発表!
更新日: 2022.11.24
公開日: 2020.7.21
MEGURO
HRに関するコラムやニュースの配信、新サービス開発などを通じて社会課題を解決する「jinjer HR Tech総研」(事務局:株式会社ネオキャリア内、本社:東京都新宿区、所長:松葉治朗)は、HRに関する2020年上半期の振り返りおよび2020年下半期の展望に関するレポートを公開いたします。
1、リモートワーク時代の到来
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で企業のリモートワーク化が進み、日本においてもリモートワーク時代への突入を余儀なくされました。そのことから、多くの企業は、バックオフィスの業務効率化を目的に、採用、勤怠、経費精算、コンディション管理、コミュニケーションなど、ツールの見直しを図りました。新型コロナウイルスの感染拡大は企業の人事と経営のあり方を変える契機となり、我々HR Techプロダクトを開発・運営する事業会社にとっても、様々な柔軟な対応を求められた上半期でもありました。
①リモートワーク関連サービスのリリースが相次いだ2020年上半期
2020年上半期でのHR Techサービスに関わるリリースは78件と前年同時期比で130% (※1)でした。リモートワーク向けのレポーティングツール、コミュニケーション不足を解決するための音声雑談ツール、パフォーマンス可視化ツールなど、リモートワークを支援するサービスが数多くリリースされたのが大きな特徴として挙げられます。海外企業に目を向けると、新型コロナウイルスの第ニ波に備えながらも段階的に経済活動を本格化させるために、AIを使った温度センサーや、コロナウイルス感染者追跡ツールなどのサービスリリースをしていました。
また、一定期間サービスを無償で提供するサービス事業社も相次ぎ、100を超えるサービス (※2)が実際にリモートワークを推進する国内企業に提供され、電子契約、ワークフロー (※3)、パルスサーベイ、Web会議、Web採用、eラーニングなどのツールが急速に普及したと推測されます。
このようにコロナ禍において、働き方の変化に伴ったサービスの登場や、リモートワークを支援するサービスのアップデートやリリースが相次いだ上半期となりました。
(※1)(※2) ジンジャー HR Tech 総研調べ
(※3) 人事向けSaaS型プラットフォームサービス「ジンジャー」は、 申請業務を電子化する「ジンジャー ワークフロー」を6月5日(金)にリリース:https://hcm-jinjer.com/news/news-13096/
②今後のクラウドサービスとパルスサーベイの普及
大企業の場合、勤怠管理や人事管理などを自社の特殊な運用に合わせてカスタマイズした製品を用いて行われるオンプレミスのケースが多いのが現状です。好況時はコストをかけてオンプレミスでカスタマイズを進める傾向がありますが、不況時はコスト削減を重要視する傾向があり、コロナ禍においてはカスタマイズ費用を削減し、低コストで導入できるHRクラウドサービスへ移行するケースが増加することが予測されます。
新型コロナウイルスを契機にリモートワーク体制を整えるにあたり、PC環境やWeb会議などのICTやコミュニケーションツールの見直しが最優先に行われました。そして、ウィズコロナ時代に重要になってくるのは、リモートワーク下での社員のコンディション管理だと考えます。従来、上司がチームメンバーに対して、目視や声がけのコミュニケーションで行っていたマネジメントが、リモートワーク下では難しいため、従業員の意識調査などをおこなうパルスサーベイシステムなどのコンディション管理ツールを導入する企業が増加することが予想されます。コロナ・ショックによる景気後退で、2020年下半期においても人員整理や配置変更など組織再編が行われると同時に、人事業務もニューノーマルな業務やあり方を求められ、大きく様変わりをしていき、それを支援するHR Techサービスが数多くリリースされることでしょう。
③メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ
現在日本では、新卒一括採用と終身雇用をベースにした「メンバーシップ型雇用」が中心ではありますが、欧米などで一般的な、業務内容を「職務記述書(ジョブディスクリプション)」で定める「ジョブ型雇用」へ雇用形態が変わろうとしています。
一部の企業においては、7月末までの出社率を3割程度に抑えることや、完全在宅勤務制度を打ち出す企業も増えてきています。そのことから、リモートワークでも納得感のある人事評価制度である、個人の実力やスキル、結果などで評価をするジョブ型雇用の人事制度を導入する動きもあり、今後も様々なHR Techサービスの導入が企業へ広がることで、業務の可視化と透明化が進み、企業内での職務の明確化を行うことで、ジョブ型雇用へと移行していく企業はこれから増え続けることでしょう。
2、HR TechからWork Techへ
グローバル・インダストリー・アナリストであり、Josh Bersin Academyの学部長でもあるJosh Bersin氏は「コロナのパンデミックが働き方を変え、リモートワークが定着しつつある中で、HR TechからWork Tech(※1)へのシフトがある」(※2)と述べています。
ウィズコロナ時代、企業の人事担当者は在宅勤務のような取り組みを実施するにあたり、従業員が遠隔でも円滑かつ効率的に働くためのツール、すなわち働くにあたって必要なツール(Work Tech)を見直さなければなりません。人事管理、勤怠管理、経費精算をはじめとするHR Platformから、今まさにWeb会議やチャットツールなどのCommunication Platformの見直しがされていき、2020年下半期にかけて、従業員との関わり方やスキルアップの方法を変えていくフェーズに突入したことにより、従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)をどう向上させていくか、そのためにはどのテクノロジーと伴走していくか決定しなければならない局面にきていると言えるでしょう。
(※1)Work Techとは、働き方のDXを実現する総称で、HR Tech以外の全てのX-Techが含まれます。(※2)参照Josh Bersin: The big reset in HR Tech:https://hrmasia.com/josh-bersin-the-big-reset-in-hr-tech/
3、霞が関でも進んでいるWork Tech
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授 岩本 隆 氏
Work Techというワードは欧米でにわかに浸透し始めました。「grooves WORK TECHNOLOGY SUMMIT」がアジア太平洋地域(APAC)では6月30日~7月2日に、バーチャルカンファレンス形式で実施されました。「Work Tech」は、働き方のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するテクノロジーの総称で、人事領域におけるHR Techだけでなく、労務、経理、法務、総務といった間接部門から、営業、販売、製造といった直接部門領域、オフィスやリモートワークを効率化するハードウェアテクノロジーまで、すべてのX-Techが含まれます。
COVIT-19を契機にグローバル規模で、政府、企業、教育機関を含め、従来の物事の進め方、やり方の見直しが迫られています。日本の霞が関でもWork Techが進んでおり、テレワークPT座長の和田義明自由民主党女性局次長は、岸田文雄政務調査会長と平将明内閣府副大臣に「テレワークに関する提言」を手交しました。テレワーク浸透の為に必要なソフト・ハードの見直し、テレワークが職員のパフォーマンスを阻害しないようなICT環境の整備、人事院規則の見直しなど、テレワークを使用できる環境づくりの必要性が強調されておりました。生産性の飛躍的な向上には、テレワーク及びデータを基にした業務の見直し・効率化が今後の企業に必要不可欠となってきており、HR TechだけにとどまらずWork Techの導入が進んでいくことでしょう。
(参照:WorkTechに関するオンラインイベント「grooves WORK TECHNOLOGY SUMMIT」をAPACと日本で開催:https://codezine.jp/article/detail/12442
(参照:テレワーク申し入れ:https://women.jimin.jp/news/2020/200101.html)
<岩本 隆氏プロフィール>
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学・応用科学研究科材料学・材料学専攻Ph.D.。日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)特任教授。外資系グローバル企業での最先端技術の研究開発や研究開発組織のマネジメントの経験を活かし、DIでは、技術系企業に対する「技術」・「戦略」・「政策」の融合による産業プロデュースなど、戦略コンサルティング業界における新領域を開拓。jinjer HR Tech総研アドバイザー。
<jinjer HR Tech総研所長 松葉治朗プロフィール>
経営企画本部 プロダクトデザイン部 部長 / ジンジャー Chief Product Officer
2014年慶應義塾大学経済学部を卒業。人材系ベンチャー企業を経て、ネオキャリアに入社。人事向けプラットフォームサービス「ジンジャー」のローンチと同時に、同サービスのプロダクトオーナーに就任。リリースから約4年で11,000社以上に導入、「HR Tech」のムーブメントを牽引す るプロダクトへと成長に導く。また、HR Techを中心としたX-Techに加え、SaaSやCustomerSuccessの啓発活動も積極的に取り組む。
■jinjer HR Tech総研とは
名称 :jinjer HR Tech総研
所長 :松葉 治朗
事務局 :株式会社ネオキャリア
事業内容:ピープルアナリティクス、HRに関するコラムやニュースの配信、新サービス開発
「jinjer HR Tech総研」とは、HRに関するシンクタンクです。ピープルアナリティクス、コラムや同領域のニュースの配信、トレンドや実態調査を含むマーケットリサーチ、イベント・セミナー情報の提供、新サービス開発などを通じて社会課題を解決すべく取り組んでまいります。