労働基準法の大改正はどうなる?2026年最新動向と主要論点、企業が今すべき対応とは【社労士が解説】 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働基準法の大改正はどうなる?2026年最新動向と主要論点、企業が今すべき対応とは【社労士が解説】

労働基準関係法制研究会のイメージ

1987年の大改正以来となる40年ぶりに労働基準法の大規模な見直しが進められています。「いつから施行されるのか」「どの論点が法改正につながるのか」と気になる人事労務担当者は多いでしょう。結論からいうと、2026年5月時点で労働基準法改正法案は国会へ提出されておらず、施行時期も確定していません。

しかし、現在でも改正の方向性をめぐる議論は続けられています。2026年の通常国会への法案提出は見送られたものの、改正内容が白紙になったわけではないため、実務上どのような影響があるか早めの確認と関連情報の継続的なチェックが必要です。

本記事は、労働基準法の大改正をめぐる2026年最新動向と主要論点、今から企業が検討すべき実務対応を解説します。

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人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?
  • 40年ぶりの大改正:人事担当者が押さえておきたい項目は?

これらの疑問に一つでも不安を感じた方へ。

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1. 労働基準法の大改正はどうなる?2026年最新動向

ガベルとコイン

労働基準法の大幅な見直しは1987年の改正以来約40年ぶりです。

労働基準法の大改正は、2025年1月の研究会報告書で多くの論点が示されたものの、2026年5月時点では法案提出・施行時期ともに確定していません。まずは、報告書で示された内容と現政権の議論の方向性を分けて整理し、現時点で企業がどのように受け止めるべきか確認しましょう。

1-1. 2025年1月の研究会報告書では何が示された?

労働基準法の大改正に関する議論は、厚生労働省が2025年1月8日に公表した「労働基準関係法制研究会報告書」をきっかけに大きく注目されました。報告書では、働き方の多様化、テレワークの普及、副業・兼業の拡大、人手不足、健康確保などを背景に、現行の労働時間法制や労使コミュニケーションの仕組みを見直す必要性が示されています。

当初、報告書では労働者保護を強める方向の論点が多く挙げられていました。例えば、13日を超える連続勤務の禁止、勤務間インターバル制度の義務化、法定休日の特定義務、労働時間情報の開示などです。これらは、長時間労働や休息不足を防ぎ、労務管理をより厳格にすることを目的としたものです。

想定されていたスケジュールでは、2025年内に労働政策審議会での議論を経て、早ければ2026年の通常国会で法案提出、2027年前後の施行が見込まれていました。しかし、2025年12月23日に改正法案の通常国会への提出が見送られたことが報じられました。

これにより、報告書で示された論点は改正法案では修正される可能性が高まっています。報告書の内容を把握しつつも、すべてが義務化される前提で準備するのではなく、自社への影響が大きい論点から段階的に整理するとよいでしょう。

参考:労働基準関係法制研究会報告書|労働基準関係法制研究会

1-2. 現政権は働き方をどう見直そうとしている?

現政権では、日本成長戦略会議のもとに労働市場改革分科会が設置され、働き方改革の総点検や労働市場改革について議論が進められています。2026年2月20日の施政方針演説では、働き方改革の総点検を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業にあたっての健康確保措置、テレワークなど柔軟な働き方の拡大に向けた検討が示されました。

ここで重要なのは、現在の議論が「規制強化」だけではない点です。研究会報告書では労働者保護に重点が置かれていましたが、成長戦略会議の文脈では、企業の生産性向上が重視されています。つまり、今後は単純に労働時間規制を厳しくするだけでなく、生産性向上と健康確保をどう両立するかが焦点になる可能性が高いです。

1-3. 労働基準法改正の施行はいつから?

2026年5月時点で、労働基準法改正法案は国会に提出されていないため、施行時期も未定です。現時点でいえるのは、2025年1月の研究会報告書で論点が示され、2026年に入ってからは労働市場改革分科会などで改めて議論されている事実のみです。

ただし、法案提出後に準備を始めると、就業規則、36協定、勤怠システム、シフト作成ルール、管理職向け研修、従業員説明などを短期間で見直さなければならない可能性があります。施行時期が未定の今こそ、自社の働き方を棚卸ししておくことが大切です。

2. 企業への影響が大きい労働基準法改正の主要論点

カレンダーを持つ手

労働基準法改正の論点は多岐にわたりますが、企業実務への影響が大きいのは、労働時間管理、休日管理、柔軟な働き方、労使協定手続きに関する項目です。ここでは、研究会報告書などで示された主な論点を整理し、どのような企業で影響が大きくなりやすいかを解説します。

2-1. 労働時間の情報開示義務

研究会報告書では、企業が自社の時間外・休日労働や有給取得状況など労働時間の実態を、正確に把握・公表することを義務化する方向性が示されました。従業員・求職者が各企業の労働時間や休暇取得状況を容易に比較できるようにし、労働環境の改善を促す狙いがあります。

現状でも女性活躍推進法などに基づく情報開示制度はありますが、社内での開示形式が項目ごとにばらつき、わかりにくくなる可能性もあります。そのため、今から形式をそろえるなど準備を進めて、法改正後にスムーズな開示ができるように準備を進めることがおすすめです。

2-2. 副業・兼業時の労働時間通算ルール見直し

副業・兼業時における原則的な労働時間通算の考え方

引用:労働条件分科会(第193回)参考資料|厚生労働省

1人の従業員が複数の企業で働く場合の労働時間管理と割増賃金算定ルールが見直される予定です。現行では、複数雇用先の労働時間を通算して、時間外労働の割増賃金を計算する方法が示されていますが、計算が非常に複雑でした。

報告書では健康確保のための労働時間通算は維持しつつも、割増賃金の支払いについては通算不要とする制度改正を提言しています。これにより企業間での割増賃金精算の煩雑さが解消され、副業を許容する企業の負担が軽減される見込みです。

関連記事:副業の労働時間通算ルールはいつから見直される?改正の最新動向

2-3. 13日超の連続勤務禁止

現行の制度では変形休日制(4週4日以上の休日)により理論上最大48日連続勤務が可能です。しかし、長期間の連続勤務は健康リスクが高いことが問題視されてきました。

提案では「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨を規定し、変形休日制の4週4日の特例を2週2日に見直すことが検討されています。これにより13日を超える連続勤務が法律で禁止され、定期的な休日確保が強化されます。

関連記事:連勤は何日まで可能?上限の12日や法律上違反になる場合も解説

2-4. 部分的なフレックスタイム制の導入

現行のフレックスタイム制は、通常の出社日とテレワーク日が混在する場合、活用しづらいことが課題でした。そのため、特定の日(コアデイ)は通常の始業・終業時刻で勤務して、そのほかの日はフレックスを使える「部分フレックス制度」を導入できるような法整備が提言されています。

部分フレックス制度のイメージ

2-5. 勤務間インターバル制度の義務化

勤務間インターバル制度の例

引用:労働条件分科会(第193回)参考資料|厚生労働省

勤務間インターバル制度は、終業時刻から次の始業時刻まで一定時間の休息を確保する制度です。現在は努力義務ですが、研究会報告書では義務化に向けた検討が示されています。

欧州では11時間以上のインターバルが義務付けられており、日本でも原則11時間程度の休息確保を求める方向で議論が進んでいます。

なお、2026年1月に実施したアンケート調査では、現在改正が検討されている項目のうち最も対応が難しいと感じるものは「勤務間インターバル制度の義務化」という結果でした。

現在法改正が検討されている項目のうち最も対応が難しいと感じる項目についてのアンケート

また、同アンケート調査では、現状の勤務間インターバルへの対応を尋ねたところ、「特に対策やルールがない(27%)」「ルールはあるが個人の意識に任せている(20%)」と回答した企業が合わせて47%でした。交替制やシフト制で働く人数が多く、法改正の影響範囲が大きい企業にとって、高いハードルになりそうです。

参考:40年ぶりの労基法改正、対応が最も難しい項目は「勤務間インターバル制度の義務化」。 「システム未導入」や「手作業による人事データ集計」が各種法対応の壁に。 システム対応が遅れている「医療」・「飲食」・「教育」の3業種では、 手作業での人事データ集計にかかる人件費は年間最大約397億円|jinjer

法改正を見据えた就業規則の変更や、アラート機能のある勤怠システムの導入など、今から就業環境を整えておくとよいでしょう。勤務間インターバル制度の義務化に向けた対応のポイントについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事:勤務間インターバル制度の義務化はいつから?労働基準法改正の最新動向と企業への影響

2-6. 過半数代表の選出方法見直し

研究会報告書では、36協定などを締結する労働者代表(過半数代表)の選出プロセスの厳格化が論点とされています。現在は、現場では企業の指名に近い形で選ばれるケースも見受けられます。

研究会報告は、現行の施行規則上の要件を前提に、法律上の定義、役割、情報提供、便宜供与、任期などの明確化を論点にしています。

これにより労使協定締結の透明性・適正性を高め、労使コミュニケーションの強化につなげる狙いです。

労働者代表制度を単なる手続きとして扱うのではなく、従業員の“生の声”を継続的に吸い上げ、制度や職場運営に反映するための土台と捉え、仕組みを整えることが、これからの人材戦略と組織づくりの基礎となるでしょう。

関連記事:36協定の労働者代表とは?役割・選出方法や決め方、実務のQ&Aも紹介!

2-7. テレワーク時の新たな「みなし労働時間制」

在宅テレワークについて、実労働時間にとらわれず業務遂行できる、新たなみなし労働時間制度の導入可否が議論されています。現行の事業場外みなし労働制や裁量労働制は要件が厳しく、テレワークでは労働時間の把握とプライバシー保護との両立が課題です。

現在、従業員の健康確保措置や本人同意を条件に在宅勤務に限定した選択制のみなし労働時間制度を設けることが提起されています。一方で、長時間労働の温床になりかねないとの懸念も強く、慎重な継続検討課題とされています。

2-8. 法定労働時間週44時間の特例廃止

小規模事業場(常時従業員10人未満)かつ特定業種では、法定労働時間を週44時間まで緩和できる特例措置があります。この制度の対象となる事業場の約87%が特例を利用していない実態から「制度の役割を終えた」と指摘されています。

このため週44時間特例措置を撤廃し、一律週40時間制に統一する改正が提案されています。

特例が廃止される場合、対象事業場では所定労働時間、シフト、人員配置、残業代計算の見直しが必要になります。小規模な商業、接客、医療、福祉などの現場では影響が大きくなる可能性があるため、自社が特例を利用している場合は確認しておくとよいでしょう。

2-9. 法定休日の特定義務

現行法では「毎週少なくとも1日」の休日付与義務はありますが、どの曜日を法定休日とするかの指定義務はありません。法定休日と所定休日が混在し従業員にわかりにくいため、法定休日をあらかじめ就業規則などで特定することを義務付けるべきと提言されています。

法定休日が特定されることで、労働時間管理の正確性が増し法令遵守に寄与するほか、割増賃金や振替休日の運用も明確になります。法改正が実現すれば、未払い賃金リスクを低減しやすくなるでしょう。

関連記事:所定休日と法定休日の違いとは?休日出勤時の割増賃金の考え方も解説

2-10. 年次有給休暇取得時の賃金算定方法の変更

有給休暇取得時の賃金について、「通常働いた場合の賃金」で支払う方式を原則にする方向で検討が進んでいます。現行法では①平均賃金、②通常の賃金、③標準報酬日額の3方式のいずれかで計算しますが、平均賃金や標準報酬日額方式では日給制・時給制従業員に不利となる場合があることが論点です。

改正により算定方法が「通常働いた場合の賃金」に統一されれば、有給休暇中も働いたときと同じ賃金を受け取れるため、従業員は安心して有給休暇を取得できるでしょう。

関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介

2-11. 「つながらない権利」の明確化

勤務時間外や休日に仕事の連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」についても議論されています。欧州では勤務時間外の連絡禁止や権利行使による不利益取扱いの禁止などの制度があり、日本で導入するなら労使で社内ルールを検討すべき、という議論がされています。

現時点では、当面は法律による義務化ではなくガイドライン策定などで労使の話合いを促す方向性が提言されています。

企業は、法制化を待たず、深夜・休日の連絡ルール、緊急対応の範囲、チャット通知の扱いなどを整えておくとよいでしょう。

関連記事:つながらない権利とは?2026年以降の労働基準法改正との関係と企業の対策を解説

ここで挙げた論点は、あくまで労働基準関係法制研究会報告書などで示された検討項目です。現時点で法案として確定したものではなく、今後の労働市場改革分科会や労働政策審議会の議論により、法改正の対象から外れる可能性もあります。

反対に、現政権の成長戦略や人口動態、人手不足への対応を踏まえ、裁量労働制の見直しや労働移動を後押しする別の改正が追加される可能性もあります。

そのため、「すべて義務化される前提」で過剰に動く必要はありません。一方で、労働時間データの集計、法定休日の区分、連続勤務日数の把握、副業・兼業の申告ルール、過半数代表者の正しい選出などは、法改正の有無にかかわらず整備しておきたい基礎的な労務管理です。

法案成立を待つのではなく、今のうちに運用を棚卸しし、改善点や検討すべきポイントを洗い出しておきましょう。

解説:大手外資企業HRCoE/社会保険労務士 迫 まり恵

3. 企業タイプ別|今検討すべき実務対応

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労働基準法の改正内容はまだ確定していませんが、企業タイプによって優先して見直すべきポイントはすでに見えています。今から確認すべき実務対応を整理しましょう。

3-1. シフト制・交替制の企業が見直しを検討すべきこと

シフト制・交替制の企業では、13日超の連続勤務禁止、勤務間インターバル、法定休日の特定義務が特に影響しやすい論点です。飲食、小売、医療、介護、宿泊、警備、製造など、人員配置に制約がある業種では、欠員時や繁忙期に長期連勤が発生しやすくなります。

まずおこないたいのは、個人別の最大連続勤務日数を把握することです。過去の勤怠データを確認し、職種別に連続勤務の実態を洗い出します。あわせて、法定休日と所定休日がシフト表や勤怠システム上で区別されているかも確認しましょう。

実務上は、シフト作成時に連続勤務日数のアラートを出す、法定休日をシフト確定時に明示する、欠員時の応援ルールを策定するといった対応が有効です。法改正が未確定でも、健康確保と未払い賃金防止の観点から、現時点で整備する価値があります。

3-2. フレックスを導入したい企業が検討すべきこと

フレックスタイム制を導入したいものの、定例会議や顧客対応日があるために導入を見送ってきた企業は、部分的なフレックスタイム制の議論に注目するとよいでしょう。例えば、週1回の全社会議、部門朝会、出社必須日、顧客対応日などがある企業では、すべての日を完全にフレックスにすると運用しにくいことがあります。

今の段階で検討したいのは、どの日・どの時間帯を固定としたいのか、どの業務なら柔軟化できるのかなどです。制度導入時には、就業規則、労使協定、勤怠システム、会議設定ルールを一体で見直す必要があります。

また、制度だけを導入しても、現場の会議文化や承認フローが変わらなければ効果は限定的です。そのため、従業員への周知や管理職への教育・研修もあわせて検討するとよいでしょう。

3-3. 労働時間の集計・管理体制が弱い企業が見直すべきこと

労働時間の情報開示義務や勤務間インターバル、連続勤務の規制などが議論されているため、労働時間データを正確に集計できる体制が必要となる場合は迅速に対応できるよう準備しておきましょう。

Excelや紙の出勤簿で管理している企業では、月次集計に時間がかかったり、客観的な履歴が残っていなかったりすることがあります。

出退勤時刻、休憩、時間外労働、休日労働、深夜労働、年休取得、法定休日、連続勤務日数を確認できる勤怠管理システムの導入を検討するとよいでしょう。すでに導入している企業も、法改正にシステムが対応できるか注視する必要があります。

特に、勤務間インターバルの集計、法定休日の区分、連続勤務アラート、労働時間情報の出力機能は確認しておきたい項目です。

また、データが出せるだけでなく、誰が、いつ、どの基準で確認するかも重要です。人事担当者だけでなく、部門長が月次で労働時間レポートを確認し、過重労働のおそれがある場合は面談や業務調整につなげる運用体制を作りましょう。

関連記事:法改正による勤怠管理システムへの影響は?労働基準法に対応するポイント

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3-4. 副業・兼業を認めている企業が検討すべきこと

副業・兼業を認めている企業では、割増賃金のための労働時間通算が不要となる可能性がある一方で、健康管理の観点が重要になります。今後、兼業先の労働時間をどこまで把握すべきか、どのような健康確保措置を講じるべきかが改めて議論される可能性があります。

実務では、健康管理のために定期的に副業先の労働時間を入手し、通算する仕組みが必要になるかもしれません。さらに、長時間労働となった場合の面談、就業制限、副業・兼業許可取消し基準も検討しておくとよいでしょう。

3-5. 柔軟な働き方の制度が未整備の企業が検討すべきこと

柔軟な働き方の制度が未整備の企業では、労働基準法改正をきっかけに、自社の人事ポリシーを見直すことが重要です。少子高齢化や人手不足が進むなかで、働き方の選択肢が少ない企業は、採用や定着の面で不利になりやすくなります。

例えば、テレワークやフレックスタイム制、短時間勤務などは、単独の制度として導入するだけでは十分ではありません。自社がどのような人材に働き続けてほしいのか、どの職種で柔軟化できるのか、どこまで現場の裁量を認めるのかを整理する必要があります。

人的資本経営の観点でも、労働時間や休暇の状況、働き方の選択肢といった健康確保の仕組みは企業価値や採用力に関わる要素です。今後の人事労務には、法改正対応を単なる義務対応で終わらせず、従業員が能力を発揮しやすい制度設計につなげることが求められるでしょう。

参考:人的資本経営 人材の価値を最大限に引き出す|経済産業省

4. 人事労務担当者のための改正対応チェックリスト

書類に記入する女性

労働基準法改正に備えるには、論点を知るだけでなく、就業規則、労使協定、勤怠システム、管理職教育まで実務へ落とし込む必要があります。ここでは、人事労務担当者が法案成立前から確認しておきたい項目をチェックリスト形式で整理します。

カテゴリ チェック項目(人事労務が確認すべきポイント)
過半数代表者の選出 □ 候補者には選出目的を明確に周知し、投票・挙手など民主的な手続きで選出しているか?

□ 管理監督者ではない従業員を対象としているか?

□ 選出記録が残っているか?

労働時間の集計体制 □ 時間外労働、休日労働、深夜労働、連続勤務日数、勤務間インターバルを集計できるか?
休日・連勤管理 □ 変形休日制(4週4日)を採用している場合、実態として14日以上の連勤が発生していないか?

□ 法定休日と法定外休日が明確に区別され、就業規則に特定されているか?

休息時間の確保 □ 深夜労働やシフト制の職場において、終業から始業まで「11時間」のインターバルが空いているか?

□ インターバル不足時の「始業時刻繰り下げ」の運用ルールは決まっているか?

有給・賃金計算 □ 有給休暇取得時の賃金計算について、「通常賃金方式」で算定しているか?

□ シフト制の場合、「有給をとった日は何時間働いたことにするか(所定労働時間)」を明確に規定しているか?

未申告残業・「つながらない権利」対策 □ テレワーク中のPCログイン履歴と勤怠打刻に「乖離(未申告残業)」がないか?

□ 勤務時間外のチャット・メール送信を制限する、または通知する仕組みがあるか?

副業・兼業管理 □ 副業者の労働時間申告フローが確立されているか?

□ 自社と副業先の合計労働時間が36協定の上限を超えない管理体制があるか?

勤怠システム設定 □ 法改正後に必要な集計項目やアラート機能、部分フレックスなどの設定に対応できるか?

法改正にあわせて就業規則や運用ルールなどを変更したものの、その内容が基準を満たしているか不安な場合や、具体的な条文の書き方に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

専門家のアドバイスを受けることで、法的なリスクを回避し、自社の実情に合った適切な制度設計が可能になります。

5. 労働基準法の大改正に備え人事制度の見直しを検討しよう

笑顔の女性

労働基準法の大改正は、2026年5月10日時点で施行時期が確定していません。しかし、労働時間の情報開示、副業・兼業時の健康確保、連続勤務の抑制、勤務間インターバル、部分的なフレックスタイム制、テレワーク時の労働時間管理など、今後の人事労務に影響する論点はすでに示されています。

法改正がどのような形で進んでも、労働時間データを説明できる企業、法定休日や連続勤務を管理できる企業、柔軟な働き方と健康確保を両立できる企業は、対応しやすくなります。労働基準法の大改正を、自社の人事制度や働き方を見直すきっかけとして活用しましょう。

【最新版】改正ポイントもまとめて解説 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
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