36協定の労働者代表とは?役割・選出方法や決め方も紹介! - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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36協定の労働者代表とは?役割・選出方法や決め方も紹介!

時計の写真

36協定を締結するためには、使用者と労働組合の間で書面による協定をする必要があります。
しかし、中小企業が9割以上を占める日本では、労働組合のない企業も多いため、実際は労働者代表を選出して36協定を締結するケースも多く見受けられます。

労働者代表の選出方法にはいくつかの決まりがあるので、これから36協定を締結する場合には、正しいルールを押さえておきましょう。今回は、36協定の労働者代表に関する基礎知識や、選出方法について解説します。

関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!


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36協定は毎年もれなく提出しなくてはなりませんが、意外に記載項目が多く、ミスや漏れなく正確に記入するには時間がかかります。

また、当然のことながら法律で定められた時間を超えて時間外労働をさせることはできないため、届出作成に際しては上限時間を正確に把握しておく必要があります。

当サイトでは、そもそも36協定とはどのようなもので、残業の上限規制はどうなっているかや、届出作成~提出の流れまで36協定の届出について網羅的にまとめた手順書を無料で配布しております。

これ一冊で36協定の届出に対応できますので、36協定届の対応に不安がある方は、ぜひこちらから「36協定の手順書」をダウンロードしてご覧ください。

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1. 36協定とは?

締結している様子

36協定とは、労働基準法36条において定められている労使協定です。
法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えた労働(時間外労働)や休日労働をさせる場合、労働基準監督署に36協定届の提出が必要となります。

36協定では、時間外労働でおこなわれる業務内容や労働者数、時間数、有効期間などを定めます。
36協定を締結することで、月45時間、年360時間まで時間外労働をさせることが可能となります。

特別条項付き36協定を締結することでそれ以上労働させることが可能ですが、上限は以下の通り定められています。

  • 年間の時間外労働は720時間以内
  • 1ヵ月の時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
  • 2~6ヵ月の時間外労働と休日労働の平均が月80時間以内
  • 限度時間を超えられる回数は年6回まで

また、届け出を提出する前には労使間で協定書を締結する必要もあるので、提出期限には余裕を持って対応するようにしましょう。

下記の記事では36協定を提出する方法はもちろん、提出時の注意点や電子申請についてもわかりやすく解説しております。36協定の提出方法について正確に理解できているか不安という方は、ぜひご覧ください。

関連記事:36協定届の提出方法とは?電子申請のやり方や注意点まで分かりやすく解説

2. 36協定の労働者代表は実際何をする?役割は?

書類のやり取りをしている人達の画像

労働者代表がやらなければいけないことは管理者ではない労働者(従業員)の意見をまとめて、会社の経営層に伝えることです。

具体的な業務としては、36協定締結に関する協議や締結作業に加えて、労使協定の協議や締結、また就業規則に関する経営陣とのすりあわせなどがあります。

実際に36協定を締結する際は、印鑑をもちいて押印や署名などをおこないます。任期に制限はありませんが、1年間が一般的です。

3. 36協定の労働者代表は労働組合がない場合に選出

従業員

36協定のベースである労働基準法第36条では、36協定を締結するにあたり、使用者は労働組合か「労働者の過半数を代表する者」と書面による協定を結び、行政官庁に届け出ることを義務づけています。[注2]

36協定における労働者代表は、事業所に労働組合が組織されていない場合に選出する必要があります。

労働基準法施行規則では「過半数代表者」とも呼ばれる労働者代表は、文字通り、労働者の過半数を代表する者として、使用者に意見を述べたり、使用者との間で協定を締結したりする役割を担うことになります。

使用者側も、36協定の内容を決めたり変更したりする際は、労働者代表を通じて労働者の意見を聴かなければならないこととされています。

協議の末、双方合意に至った場合は、必要事項を記載した協定書の内容をしっかり確認したうえで、署名・押印して36協定を締結するという重要な役割も請け負うことになります。

[注2]e-Gov法令検索「労働基準法」

4. 36協定の労働者代表に選出される条件・要件

条件

労働基準法および労働基準法施行規則では、36協定の労働者代表になる人について、いくつかの条件を設けています。ここでは、36協定の労働者代表になる人の特徴を3つにわけて解説します。

4-1.  労働者の過半数を代表していること

労働者代表は、その企業の労働者の過半数を代表する者であることが条件となります。
過半数を代表する者とは、挙手や投票などによって民主的な方法で選ばれる必要があります。

ここでいう「労働者」とは、正社員だけでなく、契約社員やパート、嘱託社員、再雇用者、アルバイトなど、その企業で働くすべての人を指しています。なお前述の通り、管理監督者は労働者ではありますが、労働者代表にはなることはできません。

また、アルバイトなどの非正規労働者も労働者代表になることができますが、出向してきた派遣社員はその企業に直接雇用されているわけではないため、労働者代表になることはできません。

4-2. 管理監督者でないこと

労働基準法施行規則では、36協定の労働者代表になる人について、労働基準法第41条2号に規定する監督または管理の地位にある者でないことを条件に掲げています。[注3]

同法第41条は、労働時間等に関する規定の適用対象外になる者を定めた条項で、同条2号ではそのうちの1つとして「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」を挙げています。

ここでいう「監督若しくは管理の地位にある者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人のことです。

36協定は使用者と労働者の間で締結するものですので、限りなく使用者の立場に近い人が労働者代表に選ばれると、労使間協定という根本的な構図が崩れてしまうおそれがあります。

「監督若しくは管理の地位にある者」の役職について、明確な定めがあるわけではありませんが、一般的には労働条件の決定やその他労務管理について経営者と一体的な立場にある人、たとえば部長や工事長といった役職にある人が管理監督者に該当するとみなされます。

ただし、部長や工事長であっても、人事や賃金などの決定を行う権限を持たず、かつ責任も負わない立場にいる人は「監督若しくは管理の地位にある者」とはみなされません。

労働基準施行規則で、明確な役職・地位について定めていないのも、企業によって管理監督者が担う役割に差があるためと考えられます。

以上のことから、36協定の労働者代表を選出する際は、役職や地位よりも、労働条件に関する決定権を有しているか否か、責任を負う立場にあるかどうかをもとに人選することが大切です。

[注3]e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

4-3. 使用者の意向によって選出された人でないこと

労働者代表を選出する際は、36協定の労働者代表を選出することを明らかにしたうえで、投票や挙手などによって選ぶ必要があります。

仮に企業の代表者が特定の労働者を代表に指名するなど、使用者の意向によって労働者代表を選出された場合、その36協定は無効になりますので注意が必要です。

一方の労働者側も、代表を選出するときは然るべき手続きを経て適任者を選ばなければなりません。

「いちいち選ぶのは面倒だから」などの理由で社員親睦会の幹事をそのまま労働者代表に任命した場合は、労働基準法施行規則第6条2の2で定めている「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等」に違反することになりますので、やはり36協定は無効になります。

36協定の労働者代表を選出する方法については、この後に説明します。

5. 36協定の労働者代表の選出方法(決め方)とは?

選出

労働基準法施行規則では、36協定の労働者代表の選出方法として、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法」を挙げています。

なお、投票・挙手は選出方法の一例であり、36協定の労働者代表の選出であることを明らかにしており、かつ使用者の意向が反映されない方法であれば、他の方法で選出することも可能です。

ここでは、36協定の労働者代を実際に選出する方法と、大まかな手順をまとめました。

5-1. 労働者に対して労働者代表を選出する必要性とルールを説明する

まずは労働者全員に対し、36協定を締結することと、労働者代表を選出することを説明します。

特に後者は、労働者代表を選出するにあたって必要不可欠な要素ですので、初めて「36協定」や「労働者代表」という言葉を聞いた人でも理解・納得できるよう、わかりやすい説明を心がけましょう。

とはいえ、資料もなく目的や必要性を伝えるのは難しいでしょう。当サイトでは、「36協定を締結する目的」や「締結しないで残業した場合の罰則」についてわかりやすくまとめた資料を用意しています。従業員や労働代表者に、協定を結ぶ必要性を説明する際に役立つので、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。

5-2. 適切な方法で労働者代表を選出する

労働者に36協定および労働者代表の必要性について説明したら、然るべき方法で労働者代表を選出します。代表的な選出方法としては、以下3つが挙げられます。

  • 無記名投票
  • 挙手、起立、回覧などによる信任投票
  • 各職場代表による互選

も公平かつ民主的な選出方法は、自身の名前を書かずに投票する無記名投票ですが、労働者の分母が大きい企業の場合、労働者全員を一同に介して投票させるのは、多大な時間と手間がかかります。

場合によっては本業に支障を来すおそれがありますので、労働者数の多い企業では、持ち回りによる選出を採用しているところも多いようです。

なお、持ち回りで労働者代表を選出する場合は、労働者の過半数から支持されて選ばれたことを証明するために、挙手や起立、あるいは回覧などによる信任投票を行う必要があります。

その他の方法としては、各職場(営業部、経理部など)であらかじめ代表者を選出し、それぞれの職場の代表者同士が集まって互選するという手段もあります。

5-3. 労働者代表の選出はリモートでも可能

近年、ICTの進展によりリモートワークが急速に普及し、従業員が遠隔で働く環境が整いつつあります。

このような状況下において、36協定の労働者代表をリモートで選出することが可能となりました。クラウドサービスやWeb会議システムを活用することで、場所を選ばず公平に代表を選出することができ、全従業員が参加しやすい環境を作り出すことができます。

これにより、労働者の声が企業にしっかりと反映されることが期待されます。

5-4. 労働者代表の選出方法について記録する

労働者代表の選出が適正に行われたことを証明するために、どのような方法で選出し、誰が労働者代表になったかを記録・保存しておきましょう。

また、選出方法や選出された代表者に関する詳細な記録は、万が一のトラブルや不正の疑念が生じた場合に重要な証拠となります。選出過程を透明にすることで、従業員からの信任を得やすくなり、代表者の役割がより強化されるでしょう。

さらに、選出記録は、将来的に労働者代表が変わる際にもスムーズな移行をサポートします。定期的にこの記録を更新し、労働者全員に周知することが重要です。

6. 36協定の労働者代表の名義変更はすべきか

変更

さまざまな事情によって労働者代表が不在となることが生じ得ますが、その際は名義変更をおこなうべきなのでしょうか。ここでは、場合別にどのように対応すべきかを解説します。

6-1. 労働者代表が異動または退職した場合

労働者代表が異動や退職するケースでは、迅速に新たな労働者代表を選出することが重要です。例えば、労働者の過半数を代表する者が不在になった場合、選出手続きが滞ると、労働者の意見が十分に反映されない恐れがあります。新しい代表者が選出された際には、必ずその記録を更新し、関係者に周知する必要があります。

また、新たな労働者代表の選出は、公平かつ透明なプロセスで行われるべきです。これにより、労使間の信頼関係が維持されるとともに、労働者の声が継続的に企業に届くことが保証されます。

6-2. 過半数代表者の要件に該当しなくなった場合

そのほか法改正などによって過半数代表者の要件に該当しなくなった場合でも、36協定の代表者は再選出する必要はありません。なぜなら、過半数代表者の法定要件は、協定成立時に求められるもので、存続要件ではないと考えられているためです。先述した通り、次の届け出をする際に新しい労働者代表を選出するようにしましょう。

このため考慮すべきは、労働者代表がその後の協定名称や内容に影響を及ぼさないよう、新たなルールや要件を常に把握しておくことです。

例えば、労働者代表の選出においては、公平性を確保するために、社内での透明なプロセスが重要です。

また、代表が変わる場合や、労働条件が変更される場合にも、労働者の意見を十分に反映させるための手続きが求められます。これにより、労使間の信頼関係を維持しつつ、法律に則った適切な運営が可能となります。

7. 36協定を締結する労働者代表は適正な方法で選出しましょう

選挙

労働組合のない企業が36協定を締結する場合は、あらかじめ労働者の中から労働者代表を選出しなければなりません。労働者代表は、管理監督者を除くすべての労働者の中から、投票や挙手などの方法で選び出すのが一般的です。

労働者代表が適正な方法で選出されなかった場合、その36協定は無効となってしまうため、労働者代表に選出される条件や、正しい選出方法を事前に確認しておくことをおすすめします。

関連記事:36協定の協定書とは?協定届との違いや書くべき項目を解説
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説

 

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また、当然のことながら法律で定められた時間を超えて時間外労働をさせることはできないため、届出作成に際しては上限時間を正確に把握しておく必要があります。

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MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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