勤務間インターバル制度の義務化はいつから?労働基準法改正の最新動向と企業への影響 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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勤務間インターバル制度の義務化はいつから?労働基準法改正の最新動向と企業への影響 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

勤務間インターバル制度の義務化はいつから?労働基準法改正の最新動向と企業への影響

時計と働く人近年、従業員の健康確保や過労死防止の観点から「勤務間インターバル制度」の義務化に向けた議論が加速しています。現在は努力義務にとどまっている本制度ですが、厚生労働省の研究会報告書では「11時間の休息確保」を義務化する方向性が示されました。

2026年の法案提出は見送られたものの、将来的な義務化の可能性は残されており、企業には早期の対応準備が求められています。本記事では、義務化に向けた最新の動向やスケジュール、導入時に企業が直面する課題、適切なインターバル時間の設定方法について詳しく解説します。

勤務間インターバル制度の「義務化」が検討されています
義務化が決定してからでは間に合わないかもしれません

「勤務間インターバルの義務化はいつから?」「導入するためには何が必要?」など、今後の対応に迷われている方も多いのではないでしょうか。

勤務間インターバル制度の法規制強化が検討されている今、企業にはこれまで以上の対応が求められています。

当サイトで無料配布している『勤務間インターバル制度導入マニュアル』では、勤務間インターバル制度の概要から各社の対応状況、制度を社内に定着させるポイントまで解説しています。

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とお悩みの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 勤務間インターバル制度の義務化はいつ?【2026年の法案提出は見送り】

始業時間を繰り下げたもの引用:労働条件分科会(第193回)参考資料|厚生労働省

勤務間インターバル制度は、勤務終了時刻から翌日の勤務開始時刻までに一定以上の休息(インターバル)時間を置く制度です。現時点では、勤務間インターバル制度は2019年4月から「努力義務」であり、まだ全業種一律の法的義務にはなっていません。

一方で、制度の義務化に向けた議論は近年加速しています。厚生労働省は約40年ぶりとなる大規模な労働基準法改正を見据え、有識者会議である労働基準関係法制研究会において検討を進めており、2025年1月に公表された報告書では、勤務間インターバル制度の導入義務化が提言されました。

この報告書では、現在の努力義務から一歩進め、原則として11時間の休息確保を義務付ける方向性が示されています。2018年の働き方改革関連法といった過去の制度改正と同様に、企業規模に応じた段階的な適用がおこなわれる可能性もあり、大企業から先行して義務化され、中小企業へと順次拡大されることも想定されます。

当初、2026年の通常国会への改正法案提出も見込まれていましたが、関係者間の意見調整が十分でないことなどから、提出は見送られる方向となりました。ただし、法改正自体が撤回されたわけではなく、あくまで時期が先送りされたに過ぎません。

また、内閣総理大臣の高市早苗氏は労働時間規制の柔軟化に言及しており、勤務間インターバルの水準や義務化のあり方、さらには経過措置の設定などを巡る議論は、今後さらに活発化していくことも考えられるでしょう。

関連記事:勤務間インターバル制度とは?義務化のポイントや導入方法をわかりやすく解説

1-1. 義務化に向けて企業はいつから準備を始める?

厚生労働省の研究会では、勤務間インターバル制度について将来的な義務化を見据えた法規制の強化が提言されており、今後、制度導入が義務化される可能性があります。そのため、企業は正式な義務化を待つのではなく、できるだけ早い段階から導入準備を進めることが大切です。

まずは、現状の労働時間や勤務シフトを把握し、十分なインターバル時間を確保できていない部署や勤務形態を洗い出す必要があります。そのうえで、勤務シフトの見直しや勤怠管理ルールの整備を進め、必要に応じて就業規則や労使協定の改定も検討しなければなりません。

特に人員不足や長時間労働が常態化している職場では、制度導入にあたって業務体制そのものの見直しが必要になるので、短期間で対応するのは容易ではありません。そのため、遅くとも制度施行の1〜2年前、可能であればそれ以前から準備を始め、段階的に導入体制を整えていくことが望ましいでしょう。

参考:「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します|厚生労働省
参考:働き方の多様化で労働基準法改正の議論加速 ~ 日本成長戦略会議などで労働時間規制の緩和を検討 ~|Yahoo!ニュース

関連記事:2026年の労働基準法の改正は見送り?施行時期や議論中のテーマを解説

2. 勤務間インターバル制度の義務化に伴う企業の課題と対応するべきこと

カレンダーと時計

勤務間インターバル制度が義務化された場合、企業には法令遵守の観点から、就業環境や社内ルールの見直し・整備が求められます。加えて、制度を形式的に導入するだけでなく、確実に機能させるための運用体制を構築することも重要な課題となります。

こうした背景を踏まえ、企業はあらかじめ準備を進め、無理のない形で段階的に対応していく必要があります。ここでは、勤務間インターバル制度の義務化に伴って想定される課題と、企業が取り組むべき対応について解説します。

2-1. 自社に適したインターバル時間の設定とシミュレーション

現状では、どの程度のインターバル時間が適切か判断に迷う企業も多く、実態に合わない過度な設定や、逆に不十分な設定となってしまうケースも見受けられます。そのため、自社の労働実態や業務特性を丁寧に分析し、現実的かつ運用可能なインターバル時間を設定することが重要です。

あわせて、自社の業務に即したインターバルの長さを具体的に検討しておきましょう。今後の義務化においては、最大で11時間のインターバル確保が求められる可能性もあるため、自社でその確保が可能かどうか、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょう。

2-2. 就業規則や労働条件通知書の改定

勤務間インターバル制度を導入しているにもかかわらず、就業規則や労働条件通知書に十分に反映されていない企業も少なくなく、ルールが不明確なまま運用されている点が課題となっています。こうした状況では、制度の実効性が十分に担保されないおそれがあります。

また、勤務間インターバル制度が将来的に法的義務となった場合、終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みは、労働時間の設定そのものに関わる重要な事項となります。そのため、就業規則における明示が求められる「絶対的必要記載事項」に該当する可能性が高いと考えられます。

仮に絶対的必要記載事項に該当する場合には、インターバルとして確保すべき具体的な休息時間や、適用除外となるケースの有無・条件などについて、就業規則に明確に規定する必要があります。

さらに、労働条件通知書においても、各企業におけるインターバル時間の設定や運用方法は、「労働時間に関する事項」の一部として位置付けられ、絶対的明示事項に含まれる可能性が高いでしょう。そのため、従業員に対しても、制度内容を適切かつ具体的に明示することが重要です。

関連記事:就業規則の作成方法|記載すべき項目や注意すべきポイントを解説

関連記事:労働条件通知書とは?雇用契約書との違いや記載事項の内容、法改正の明示ルールを解説

2-3. 勤怠管理システムの対応

現状では、勤怠管理が手作業や簡易的な仕組みに依存している企業も多く、勤務間インターバルを正確に把握・管理できていないケースが少なくありません。このような状態のままでは、制度が義務化された際に適切な運用が難しくなるおそれがあります。

今後は、システム上で休息時間を自動的にチェック・管理できる体制の整備が求められます。具体的には、前日の退勤時刻と翌日の出勤時刻の間隔を自動で算出し、規定のインターバル時間を下回る場合にアラートを表示したり、場合によっては出勤打刻自体を制限したりする仕組みが考えられます。

そのため、現在利用している勤怠管理システムがこうした機能に対応しているかを確認するとともに、未対応の場合には今後のアップデート予定の有無を把握しておくことが重要です。アップデートの見込みがない場合には、ベンダーへの機能追加の依頼や、システムの見直しも検討する必要があるでしょう。

もしまだ勤怠管理システムを導入しておらず、どのようなポイントで選べばよいのか迷っている方は、ぜひこちらから資料をダウンロードして選定基準にしてみてください。

2-4. シフト管理と人員配置の見直し

インターバル時間を確保しようとすると、従来のシフト体制では対応しきれず、人員不足が表面化することがあります。特に交代制勤務や夜勤を伴う職場では、十分な休息時間を確保するために、連続勤務を前提としないシフト設計が求められます。

そのため、勤務開始時刻をずらした複数のシフトパターンを用意する、繁忙期には臨時スタッフを配置して既存従業員の負担を分散するなど、柔軟な対応が必要になります。

こうした見直しにより、追加の人員確保や勤務割り当ての再設計が不可欠となる場合もあります。あらかじめ増員計画や外部リソースの活用も視野に入れ、余裕を持って準備を進めることが重要です。

2-5. 従業員や現場の管理職への周知

制度の趣旨が十分に理解されておらず、「形式的に守るもの」と捉えられてしまうことが現状の課題です。特に管理職の理解が不十分な場合、インターバル違反が見過ごされやすくなるので、制度の目的や重要性を正しく伝えることが不可欠です。

そのためには、法施行前の段階から説明会の実施やわかりやすいガイドの配布などをおこない、勤務間インターバル制度の内容や導入の背景、遵守すべき理由を丁寧に周知していくことが重要です。

さらに、従業員一人ひとりが主体的に休息時間を確保する意識を持つことも欠かせません。「休息時間の確保は権利であると同時に責任でもある」という認識を共有し、繁忙期であっても過度な長時間労働を避ける行動につなげていくことが求められます。

2-6. インターバル期間中の「つながらない権利」の確保

現状では、勤務時間外であってもメールやチャットへの対応が求められるケースが少なくなく、形式上はインターバルが確保されていても、実際には十分な休息が取れていない状況が課題となっています。

こうした状況を踏まえ、近年注目されているのが「つながらない権利」です。これは、勤務時間外やインターバル期間中に業務連絡への対応を強いられない権利を指し、実効性のある休息確保の観点から重要な考え方とされています。

具体的には、インターバル期間中は原則として業務連絡を控えるルールを明確にするとともに、緊急時に限った対応範囲や連絡手段をあらかじめ定めておくことが有効です。従業員が安心して業務から離れられる環境を整備することが、実質的なインターバル確保につながります。

関連記事:つながらない権利とは?2026年以降の労働基準法改正との関係と企業の対策を解説

2-7. 【ポイント】勤務間インターバル制度の導入には助成金を活用できる

制度の導入には一定のコストや運用負担が伴うので、対応が後回しになっている企業も少なくありません。しかし、勤務間インターバル制度の導入や見直しにあたっては、国の助成金を活用できる場合があります。

例えば、働き方改革推進支援助成金の「勤務間インターバル導入コース」は、制度整備に取り組む企業を支援する代表的な制度です。助成金を受給するためには、対象となる事業主の要件を満たすことに加え、所定の取り組みを計画・実施する必要があります。

なお、令和8年度(2026年度)は「令和8年4月13日(月)」から申請受付が開始されており、従来より一部の交付・支給要件が緩和されています。最新情報を確認しながら上手く活用することで、コスト負担を抑えつつ制度整備を進められるでしょう。

参考:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)|厚生労働省

3. インターバル時間は何時間がベスト?

ポイントのブロック

勤務間インターバル制度を導入・運用するうえで悩ましいのが、「休息時間を何時間に設定すべきか」という点です。義務化後は法定のインターバル時間を遵守する必要がありますが、企業が自主的に制度を設計する場合、11時間に限らず9時間や8時間以下といった選択肢もあります。それぞれの時間設定にどのような意味や効果があり、自社の特性に合うかを考えてみましょう。

3-1. 11時間以上

11時間以上のインターバルは、国際的にも標準的な水準であり最も望ましい休息時間といえます。EUの労働時間指令は11時間のインターバルを各加盟国に義務付けており、多くの欧州諸国で11時間ルールが定着しています。

例えば、ドイツやフランスでは法律で勤務間インターバル11時間が規定されており、ギリシャやスペインではさらに厳しく12時間の休息を求めています。EU離脱後のイギリスでも11時間の休息と代替措置が設けられており、11時間はグローバルスタンダードといえるでしょう。

もっとも、日本企業では従来「深夜まで残業しても翌朝は通常通り出勤」という働き方が珍しくなく、11時間の休息を毎日確保するとなると業務運営上の工夫が必要になります。

またデメリットとして、長時間の中抜けを活用した柔軟な勤務はインターバル違反になりやすく、活用しにくくなります。典型的には子育て中の従業員が中抜けし、子どもの食事や寝かし付けを済ませてから業務を再開する場合などが挙げられます。

3-2. 9時間

9時間のインターバルは、11時間には及ばないものの最低限必要な休息時間として位置づけられます。日本では2024年から、自動車運転業務(バス・タクシー運転手など)に対して改善基準告示の改正により「継続11時間与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない(例外あり)」の勤務間インターバルが義務化されました。

参考:自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|厚生労働省

このように、9時間という数値は日本国内でも実効的な最低基準として採用が始まっている状況です。9時間休息があれば、従業員は短いながらも睡眠をとる時間を確保できます。

3-3. 8時間以下

8時間以下のインターバル設定は、推奨できない水準です。8時間の休息では、通勤や食事・入浴の時間を差し引くと十分な睡眠を確保するのは難しいとされています。厚労省のガイドライン等でも8時間は決して推奨される数字ではなく、「最低でも8時間」という文脈でのみ登場する時間です。

仮に制度として8時間を許容すると、「忙しければ8時間ギリギリまで働かせてもよい」という運用になりかねず、従業員の疲労が抜けないまま次の勤務に入るおそれがあります。それでは制度導入の趣旨である健康確保が果たせません。

たとえ暫定措置として8時間のインターバルから始めざるを得ない場合でも、将来的には9時間→10時間→11時間と順次引き上げる計画を立てていくことが望まれます。

3-4. 自社に適したインターバル時間の設定とシミュレーション手法

まずは勤怠データを活用し、自社の労働実態を正確に把握することが出発点となります。日々の始業・終業時刻や残業時間、深夜勤務の有無、シフトパターンなどを整理し、実際にどの程度の勤務間インターバルが確保されているのかを可視化しましょう。

そのうえで、インターバル時間を「11時間」「9時間」など複数のパターンで設定し、それぞれが現場に与える影響をシミュレーションします。現行の勤務実態に当てはめた場合に、どの程度の従業員が基準を満たせなくなるのか、またどの曜日や業務で支障が生じやすいのかといった点を具体的に分析していきます。

各パターンごとにインターバルを確保できない従業員の割合や発生頻度を算出することで、従業員の健康確保と業務運営への影響のバランスを定量的に把握しやすくなるでしょう。これらの分析結果をもとに、実現可能性の高いインターバル水準を設定するとともに、人員配置の見直しや業務プロセスの改善、ITツールの活用など、具体的な改善施策の検討につなげていくことが重要です。

4. 勤務間インターバル制度設計で判断に迷いやすいケース

はてなと虫眼鏡

勤務間インターバル制度は、現時点では努力義務とされており、具体的な設計や運用方法については各企業の判断に委ねられています。一方で、従業員の健康確保の観点からは重要性が高く、適切な制度設計と運用が求められます。

ここでは、制度設計にあたって判断に迷いやすい代表的なケースを紹介します。なお、厚生労働省が公表している「勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル」には具体的な企業事例も掲載されているため、実務上の参考として活用するとよいでしょう。

参考:勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル― 職場の健康確保と生産性向上をめざして―|厚生労働省

4-1. 突発的なトラブルへの緊急対応が必要なケース

システム障害や顧客対応、設備トラブルなど、突発的な事象によりやむを得ず長時間労働や深夜対応が発生する場合があります。このようなケースでは、結果として勤務間インターバルが確保できなくなる可能性があるため、例外的な取り扱いをあらかじめルール化しておくことが重要です。

具体的には、「緊急対応の定義」や「対象となる業務範囲」を明確にし、後日に代替休暇を付与するなど、インターバルを確保できなかった場合の代わりの措置を定めておく必要があります。また、例外対応が常態化しないよう、発生頻度の記録や原因分析をおこない、再発防止策につなげることも求められます。

4-2. インターバル確保のため翌日の始業時刻を後ろ倒しにするケース

勤務終了時刻が予定より遅くなった場合、翌日の始業時刻を変更しなければ、自社で定めたインターバル時間を確保できなくなるおそれがあります。

このような場合には、翌日の始業時刻を繰り下げて必要な休息時間を確保する運用が一般的です。また、インターバルが確保できなかった時間を働いたものとみなして取り扱う方法も考えられます。

運用にあたっては、従業員に不利益が生じないよう十分に配慮するとともに、賃金計算や人事評価への影響についてもあらかじめ整理しておくことが重要です。

さらに、このような調整が頻繁に発生している場合には、業務配分や人員配置に課題がある可能性もあるので、シフト設計や業務プロセスの見直しにつなげていく視点も求められます。

4-3. テレワーク・直行直帰勤務におけるインターバル時間の算定方法

テレワークでは、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、始業・終業時刻の管理が不明確になりがちです。勤務間インターバルはあくまで「前日の勤務終了時刻」から「翌日の勤務開始時刻」までの時間を指します。

適切なインターバル時間を確保するには、勤怠管理システムを導入し、始業・終業時刻を客観的に把握できる仕組みを整えることが有効です。システムを活用すれば、インターバル時間の自動計算やアラートといった機能を利用でき、PCログなどの記録との整合性を確保しながら制度運用の実効性を高められます。

また、直行直帰勤務については一律のルールが定められているわけではありませんが、「自宅を出発した時刻」から「自宅に到着した時刻」までを勤務時間とみなす運用も考えられます。通勤時間にも配慮した制度設計とすることで、従業員の十分な休息を確保しやすくなり、仕事と生活の両立に資する実効性の高いインターバル確保につながるでしょう。

参考:制度の導入・運用に向けて|厚生労働省

5. 勤務間インターバル制度の違反リスクと行政指導の可能性

はてなと吹き出し

勤務間インターバル制度に関して、現行制度下での扱いと将来的な義務化後の違反リスクについて整理しておきます。法律上の位置付けが変わることで企業の責任も大きく変わるので、リスク管理の観点から把握しておきましょう。

5-1. 現行の規定

現行では勤務間インターバル制度は努力義務であり、導入しなくても直ちに法違反とはなりません。そのため、インターバル未導入を理由に、労働基準監督署が是正勧告を出したり罰則を科したりすることもないと考えられます。

ただし近年の動きとして、2021年に過労死等の労災認定基準が約20年ぶりに見直され、そこで「勤務間インターバルが極端に短い勤務」や「休日のない連続勤務」が労働時間以外の負荷要因として新たに追加されました。

さらに、企業には安全配慮義務が課されており、従業員の生命・身体の安全や健康を守るために、適切な措置を講じることが求められています。そのため、勤務間インターバルを考慮しない労務管理が常態化している場合には、安全配慮義務違反と判断され、損害賠償責任などの法的リスクに発展するおそれがあります。

労務リスク管理の観点からも、インターバルを無視した働かせ方にはリスクが伴うことを十分に認識しておくことが重要です。

関連記事:労働契約法5条による「労働者の安全への配慮」の意味や注意点

5-2. 義務化後に想定される罰則内容

では、勤務間インターバル制度が法的に義務化された場合、違反した企業にはどのような罰則や指導が考えられるでしょうか。現時点で具体的な条文は決まっていませんが、いくつかの予想ができます。

5-2-1. 労働基準法に明記されるケース

最も有力と考えられるのは、労働基準法本体に勤務間インターバルの規定を新設する形です。労基法は強行法規であり、違反には刑事罰が科せられます。例えば、時間外労働の上限違反では「6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」という罰則規定があります。

ただし現実の運用では、まず労働基準監督署が是正勧告をおこない、悪質・継続的な違反のみ送検・罰則適用という段階的対応が想定されます。

労基法に基づく厳格な義務化は違反抑止力が高い一方、企業への影響も大きいため適用除外の設定や経過措置なども慎重に検討されるでしょう。

5-2-2. 施行規則・他法令で規定するケース

労働基準法施行規則や労働時間等設定改善法の改正によって義務づける案も考えられます。この場合、労働基準法そのものより柔軟な運用が可能で、違反しても行政指導による是正や企業名公表が中心になると見込まれます。

5-2-3. ガイドラインレベルの努力義務を維持するケース

2019年の法改正で勤務間インターバルは努力義務化されましたが、守らなくても直接の罰則はありません。この状態を維持しつつ、指導や助成金による普及促進を図り、法的強制はおこなわない案も考えられます。

導入率(令和7年調査:6.9%)が低迷している現状を踏まえると、単なる努力義務のままでは実効性に限界があるため、この選択肢の可能性は低いでしょう。しかし、現政権の政策次第では可能性はゼロとはいえません。

参考:令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

6. 勤務間インターバル制度を適切に導入することで期待できる副次的な効果

従業員ブロック

現状、勤務間インターバル制度の導入は努力義務にとどまっており、法的な義務ではありません。しかしながら、本制度を適切に導入・運用することで、企業にはさまざまな副次的効果が期待されます。ここでは、その主な効果について解説します。

6-1. 長時間労働の是正とコスト削減を促進する

勤務間インターバル制度を導入すると、終業から次の始業までの間に一定の休息時間を確保する必要があるため、過度な長時間労働の抑制が期待できます。

その結果、無計画な残業や突発的な深夜労働の見直しが進み、業務効率や生産性の向上にもつながります。さらに、時間外労働の削減によって割増賃金の支払いも抑えられることから、人件費の適正化が図られ、コスト削減にも寄与するでしょう。

6-2. 従業員の健康確保と安全配慮の強化につながる

勤務間インターバル制度によって十分な休息時間を確保することは、従業員の疲労回復や心身の健康維持に大きく役立ちます。慢性的な疲労や睡眠不足を防ぐことで、集中力や判断力の低下を抑制し、労働災害やヒューマンエラーのリスク軽減にもつながります。

さらに、従業員の健康を守ることは、企業にとって単なる福利厚生の一環にとどまらず、労働契約上求められる安全配慮義務を果たすうえでも重要です。勤務間インターバル制度を適切に運用することで、過重労働の抑制が図られ、法令遵守やリスクマネジメントの強化にも寄与します。こうした取り組みにより、従業員が安心して働ける職場環境の整備が促進されます。

6-3. 企業イメージの向上と採用力の強化に寄与する

勤務間インターバル制度の導入は、従業員を大切にする姿勢を示すものとして、企業イメージの向上に寄与します。働き方改革やワークライフバランスを重視する取り組みは、求職者や社会から好意的に受け止められる傾向があります。

さらに、働きやすい職場環境を整備している企業として認知されることで、優秀な人材の確保や定着率の向上にもつながるでしょう。このように、企業間競争を勝ち抜くための差別化戦略の一環として、勤務間インターバル制度の導入は有効な施策のひとつです。

7. 今後の勤務間インターバル制度の動向を注視しよう

人差し指を立てる女性

勤務間インターバル制度は現在「努力義務」ですが、過労死防止や健康確保の観点から将来的な義務化が有力視されています。2026年の法案提出は見送られたものの、11時間の休息確保を義務付ける議論は継続しており、企業は施行の1〜2年前を目安に準備を始めることが賢明でしょう。

導入には、就業規則の改定や自動アラート機能を備えた勤怠管理システムの導入、業務配分の見直しなどが不可欠です。助成金の活用も視野に入れ、自社の実態に合わせた無理のない運用体制を構築しましょう。早期の対応は、従業員の健康を守るだけでなく、生産性向上や企業イメージの強化にもつながります。

勤務間インターバル制度の「義務化」が検討されています
義務化が決定してからでは間に合わないかもしれません

「勤務間インターバルの義務化はいつから?」「導入するためには何が必要?」など、今後の対応に迷われている方も多いのではないでしょうか。

勤務間インターバル制度の法規制強化が検討されている今、企業にはこれまで以上の対応が求められています。

当サイトで無料配布している『勤務間インターバル制度導入マニュアル』では、勤務間インターバル制度の概要から各社の対応状況、制度を社内に定着させるポイントまで解説しています。

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jinjer Blog 編集部

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