介護休暇とは?取得条件や介護休業との違いを解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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介護休暇とは?取得条件や介護休業との違いを解説

女性

「介護休暇と介護休業の違いがわからない」

「同居していない家族の介護にも介護休暇は利用できる?」

介護休暇について、このような疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。

介護休暇は、家族の介護に使うことができる休暇制度で、従業員のもつ権利として法に定められています。正しく運用すれば仕事と介護の両立の助けとなり、従業員の離職防止にも効果的です。

本記事では、介護休暇の概要や取得条件、介護休業との違いについて解説します。企業にとっての意義や注意点もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

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従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。

◆この資料でわかること

  • 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
  • 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
  • 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
  • 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点

多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 介護休暇とは

女性

介護休暇とは、対象となる家族の介護や世話のために取得できる、育児・介護休業法によって定められた休暇制度です。年次有給休暇とは別に与える必要があります。

介護休暇は対象となる従業員や家族の範囲、取得日数などが法律で定められています。それぞれのルールを確認しましょう。

参考:仕事で介護を辞める前にご相談ください!|厚生労働省

1-1. 対象者(企業・従業員)

介護休暇は法律で従業員に認められた権利です。企業規模や業種に関係なく、従業員を雇う企業では制度として認める必要があります。

介護休暇は、日々雇い入れられる者以外、要件を満たせばすべての従業員が取得可能です。パートやアルバイトなど、いわゆる正社員でない方も取得ができます。ただし、労使協定を締結すれば、週の所定労働時間が2日以下の従業員は対象から除外することも可能です。

参考:子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(令和7年4月1日)|厚生労働省

1-2. 対象となる家族

介護休暇は要介護状態の家族の介護や世話をする場合に取得できます。対象となる家族の範囲は以下のとおりです。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

同居要件はないため、上記の家族であれば居住地が別々でも対象です。

1-3. 要介護状態の判断方法

介護休暇における要介護状態とは、ケガや病気、身体や心の障害により、2週間以上の常時介護を要する状態と定義されています。

厚生労働省では「常時介護」の状態について、次のように判断基準を設けています。

  • 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上
  • 厚生労働省が定める12項目のうち、[1]~[3]の状態において、[2]が2つ以上または[3]が1つ以上該当し、尚且つその状態が継続すると認められる
No. 項目 状態1 状態2 状態3
[1] 座位保持(10分間一人で座っていることができる) 自分で可 支えてもらえればできる できない
[2] 歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) つかまらないでできる 何かにつかまればできる できない
[3] 移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
[4] 水分・食事摂取 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
[5] 排泄 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
[6] 衣類の着脱 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
[7] 意思の伝達 できる ときどきできない できない
[8] 外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある ない ときどきある ほとんど毎日ある
[9] 物を壊したり衣類を破くことがある ない ときどきある ほとんど毎日ある
[10] 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある ない ときどきある ほとんど毎日ある
[11] 医薬品又は医療機器の使用・管理 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
[12] 日常の意思決定 できる 本人に関する重要な意思決定はできない ほとんどできない

引用:常時介護を必要とする状態に関する判断基準(令和7年4月1日適用)|厚生労働省

ただし、常時介護を必要とする状態の判断にあたってはこの基準にとらわれすぎず、従業員の事情に合わせて柔軟に運用することが望ましいとされています。

1-4. 取得日数や取得単位

介護休暇を取得できる日数は、対象家族の人数によって異なります。

対象となる家族の人数 年間取得可能日数
1人 5日
2人以上 10日

介護休業の取得日数は10日が上限となり、対象人数が3人、4人になっても日数は増えない点に注意しましょう。なお、1年の起算日は会社が自由に定められます。定めていない場合は、4月1日が起算日となります。

介護休暇は1日単位のほか、1時間単位でも取得が可能です。年次有給休暇で時間単位の取得を認めていない場合でも、介護休暇では認めなければなりません。

1-5.介護休暇中の給与の取り扱い

介護休暇は無給も可能です。無給とした場合、休むことはできますが休んだ分の給与は減ります。

この点だけを捉えると単に欠勤した場合と変わらないと感じるかもしれません。しかし、休暇は従業員に与えられた権利ですが、欠勤は権利ではないという点に大きな違いがあります。

つまり、欠勤した場合は労働の義務を放棄していることになり、働かなかった分の給与が減らされるほか、懲戒処分の対象になったり人事評価に影響が出たりする場合があります。介護休暇を取得して休んだ場合は労働の義務が正式に免除されるため、ペナルティの対象とはなりません。

関連記事:介護休暇の給与は払わなければいけないのか?給与計算方法や介護休業給付金について解説

2. 介護休業との違い

電卓

介護休暇と介護休業は、ともに育児・介護休業法で定められた休暇です。どちらも対象家族を介護するための制度ですが、目的や取得日数が異なります。

言葉が似ていて混同しやすいため、区別をつけておきましょう。

2-1.介護休暇と介護休業の違い

介護休暇と介護休業は、主に目的と取得できる日数が異なります。介護休暇と介護休業の違いをまとめました。

介護休暇 介護休業
目的 日常的な介護ニーズへの対応 仕事と介護を両立するための準備期間
取得可能日数 年間5日(対象家族2人以上の場合は10日)

※1日単位・時間単位での取得が可能

通算93日(対象家族1人あたり)

※3回まで分割しての取得が可能

対象 すべての労働者(日々雇用される労働者を除く) すべての労働者(日々雇用される労働者を除く)

※有期雇用の場合、取得予定日の93日後から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者

労使協定で対象外にできる労働者 所定労働日数が週2日以下
  • 勤続1年未満
  • 93日以内に雇用が終了
  • 所定労働日数が週2日以下
介護休業給付 対象 対象外

(休業開始時賃金日額の67%相当額)

参考:「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。|厚生労働省

関連記事:介護休業を取得できる条件とは?期間や注意点を解説

2-2.介護休暇の取得が適しているケース

介護休暇は、介護に関する日常的な対応に適しています。取得日数は年5日(2人以上の場合は10日)と少ないものの、1日単位や時間単位で取得でき、要件を満たせば毎年付与されます。以下のように、介護に関する単発的・臨時的な対応に向いているでしょう。

  • 通院の付き添い
  • 介護サービスの手続代行
  • ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせ

一方で、介護休業は、仕事と介護を両立するための体制を整えるための準備期間として取得することを目的としています。長期的にまとまった期間の休みを想定しているため、最大3回までしか分割取得ができず、通算93日取得したら、年度をまたいでもそれ以降は取得できません。

詳細は下記の記事をご覧ください。

関連記事:介護休業・介護休暇・有給休暇どれを優先すべき?それぞれの違いや優先度を解説

3. 介護休暇の時間単位取得や休暇中の給与はどうなる?

男性

介護休暇は時間単位での取得が可能ですが、年次有給休暇は必ずしも時間単位で取得させる必要はありません。企業によっては、時間単位の休暇の運用方法に不慣れな場合もあるでしょう。

また、介護休暇中の給与の扱いは法律上の定めがないため、無給にもできます。時間単位の取得方法と無給の取り扱いについて、もう少し詳しくみていきましょう。

3-1.時間単位の取得方法

介護休暇では1日単位の取得のほか、時間単位での取得も認める必要があります。年次有給休暇では、時間単位の取得には労使協定の締結が必要ですが、介護休暇では不要です。

「年休で時間単位を認めていないから、介護休暇も時間単位は認めない」という運用はできないため注意しましょう。

時間単位で取得する場合は、始業時刻から取得するか、終業の時刻まで取得する必要があります。勤務時間の途中で取得する、いわゆる中抜けを認める必要はありません。

3-2.無給の介護休暇は意味ない?

企業によっては、介護休暇を無給としている場合もあるでしょう。年次有給休暇とは異なり、介護休暇を無給にすること自体は法律上問題ありません。

介護休暇を無給にすると、従業員の経済的負担の増加が懸念となるでしょう。しかし、介護休暇を使えば、従業員は「労働義務を免除」されます。従業員が一方的に労働義務を放棄する欠勤とは異なり、法的に休みが認められ、結果的に懲戒処分のようなペナルティを避けられます。

無給によって労働義務が免除される点は、子の看護等休暇も同様です。万が一、介護休暇や子の看護等休暇の取得について、従業員から「無給なら意味がないのではないか」と質問された際には、労働義務の発生有無について説明すると納得が得られるでしょう。

関連記事:介護休暇の給与は払わなければいけないのか?給与計算方法や介護休業給付金について解説

4.介護休暇の法改正

虫眼鏡

育児・介護休業法は2025年4月に法改正がありました。介護休暇にかかわる改正は以下のとおりです。

  • 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
  • 常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し
  • 介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備
  • 介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認

4-1.介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする従業員が申し出れば、必ず応じなくてはなりません。しかし、令和7年3月31日までは、労使協定を締結すれば以下の条件に当てはまる従業員は対象外でした。

  • 週の所定労働日数が2日以下
  • 継続雇用期間が6ヵ月未満

その後の法改正により、令和7年4月1日からは除外できる労働者の範囲が見直され「継続雇用期間が6ヵ月未満」の要件が撤廃されました。そのため現在、労使協定で除外できる従業員の条件は「週の所定労働時間が2日以下」のみに変更されています。

除外要件は就業規則にも定めておく必要があるため、労使協定に加え、就業規則の見直しも忘れないようにしましょう。

4-2.常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し

家族の要件となる「常時介護を必要とする状態」については、厚生労働省から判断基準が示されています。

介護休暇は対象となる家族の年齢に関係なく取得できますが、従来の判断基準は子どもに障害がある場合や、医療的ケアが必要な場合の解釈が困難でした。この問題を解消するために、判断基準が次のとおりに見直されています。

改正内容 改正前 改正後
説明文 介護休業は、(中略)常時介護を必要とする状態にあるものを介護するための休業で(以下略) 介護休業は、(中略)常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)を介護するための休業で(以下略)
項目8 外出すると戻れない 外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある
項目10 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある
項目11 薬の服薬 医薬品または医療機器の使用・管理
注1 (なし) 「対象家族」とは、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母をいうものであり、同居の有無は問わない。
注3 各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。 各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者、障害児・者の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
注6 (なし) 「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、自発的に危険を回避することができず、見守り等を要する状態をいう。
注8 (なし) 「認知・行動上の課題」とは、例えば、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が、周囲のサポートがなければ日常生活に支障を来す状況(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)をいう。
注10 慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。 慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、支援等を必要とすることをいう。

参考:常時介護を必要とする状態に関する判断基準(令和7年4月1日適用)|厚生労働省

4-3.介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備

介護休暇を含めた介護両立支援制度等の申し出を従業員がしやすくなるよう、企業に以下の措置のいずれかを講じることが義務付けられました。

  • 研修の実施
    原則は全従業員が受講の対象です。全員に受講させることが難しい場合でも、管理職には受講させる必要があります。
  • 相談窓口の設置
    単に窓口を設置するだけでなく、企業内への周知を含みます。また、相談窓口は実際に機能するものでなければいけません。
  • 自社の取得事例の収集・提供
    取得事例を収集したうえで、企業内のイントラネットへの掲示など、従業員が閲覧できる状態にする必要があります。
  • 取得促進に関する方針の周知
    事業主の方針を記載した文書の配布や、イントラネットへの掲示などをおこないます。

上記のうち1つを講じれば法律上の義務を果たしたことになりますが、可能な限り2つ以上の措置を講じることが望ましいとされています。

4-4.介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認

家族を介護する必要があることを申し出た従業員や、40歳になる従業員に対して、企業は次の3点を個別に周知することとなりました。

  • 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(※)
  • 介護休業・介護両立支援制度等の申し出先
  • 介護休業給付に関すること
    ※「介護両立支援制度等」には介護休暇も含まれます。

周知方法は、面談や書面交付が原則です。従業員が希望した場合はFAXや電子メールなども認められています。厚生労働省が個別周知や意向確認のための書面の記載例を公表しているので、参考にしてください。

参考:育児・介護休業等に関する規則の規定例|厚生労働省

5. 介護休暇制度の運用ポイントと注意点

男女

介護休暇は年次有給休暇や介護休業と似ているようで、異なる点もいくつかあります。運用上のポイントと注意点を解説します。

5-1. 介護休暇は拒否できない

従業員から介護休暇の申し出があった場合、企業は原則として拒否できません。年次有給休暇では「事業の正常な運営を妨げる」場合に限り、取得時期を変更するよう命じることができます。一方、介護休暇には時季変更権がないため、要件を満たしていれば従業員が申し出た日や時間に取得させる必要があります。

急な申し出にも対応できるよう、日ごろから業務体制を整えくとよいでしょう。また、介護休暇は法律によって定められた制度です。従業員の権利として法で守られているため、社内の就業規定に定めがない場合でも取得させる必要があります。

5-2. 不利益な取り扱いの禁止

介護休暇の申し出や取得を理由とした不利益な取り扱いは禁止されており、代表例は以下のとおりです。

  • 解雇すること
  • 契約の更新をしないこと
  • 契約の更新回数を引き下げること
  • 退職や契約内容の変更を共用すること
  • 自宅待機を命ずること
  • 希望を超えて所定労働時間や時間外労働、深夜業を制限すること
  • 降格させること
  • 減給や賞与の減額をすること
  • 昇格・昇進において不利益な評価をすること
  • 不利益な人事異動を行うこと
  • 就業環境を害すること

これらはあくまで例ですが、記載されていない行為も不利益な取り扱いに該当する場合があるため注意しましょう。

5-3.介護休業給付は対象外

介護休暇は、介護休業給付の対象とはなりません。介護休業給付とは、介護休業を取得した従業員が一定の要件を満たす場合に支給される、雇用保険の給付制度です。休業開始時の賃金日額67%相当額を最大93日間受け取ることができます。

介護休業給付は、従業員が介護休業を取得した場合に申請できます。介護休暇は対象ではないため、従業員へ案内する際に注意が必要です。

参考:介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて|厚生労働省

6. 介護休暇で従業員をサポートし離職防止に活かそう

人形

介護休暇は、家族の介護や世話をする際に取得できる休暇制度です。数時間や1日など、単発的に取得できるため、上手に使えば従業員が介護と仕事を両立しやすくなります。

企業にとっても、従業員の働きやすい社内環境づくりに役立つため、正しく運用し、離職防止に役立てましょう。

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