年末調整の2020年変更点4つの重要ポイントをまとめて解説 | jinjerBlog

年末調整の2020年変更点4つの重要ポイントをまとめて解説

2020年の年末調整における変更点は、2019年と比較をしても、さまざまな点で変更がなされています。国税庁のホームページでは電子化への移行を推進していく方針を明らかにしています。こうした社会の動向から、今年の年末調整では、書面から電子への流れを促進させようとする動きが活発になっています。

今回は、2020年の年末調整における変更点の4つのポイントや、変更で注意すべきこと、申告書の書き方までを、詳しく解説していきます。

1. 年末調整の2020年変更点のポイント

2020年の年末調整書類の変更点を紹介していきます。さまざまな変更点がありますので、時間に余裕を持ち、しっかり理解してから記入するようにしましょう。

1-1. 源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者に関する変更

まず「給与所得者の配偶者控除等申告書」の中央に書かれる(注)の欄に表記の変化が挙げられます。

(注)1に書いてある源泉控除対象配偶者の所得が、2019年の書式では85万円の記載になっていましたが、2020年の書式では、95万円以下の人へと変更されています。

同じように(注)2の同一生計配偶者の所得が、2019年の書式では、38万円と記載されていましたが、2020年の書式では、48万円以下の人へと変更されています。

変更となった背景には、2020年1月からの所得税法が改正となり、基礎控除が48万円へと引き上げられたことや、その一方で給与所得控除は、65万円から55万円へと縮小されたことによる影響があります。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」の(注)1にあります源泉控除対象配偶者とは、年末調整の対象となる本人と、生計の同じ配偶者のうち、38万円満額の配偶者控除あるいは配偶者特別控除が受けられるとともに、毎月の給与計算についても、甲欄の被扶養者1名として数えることのできる配偶者のことを指しています。

この年末調整の対象となる本人に関しては、所得が900万円以下である必要があります。そして、源泉控除対象配偶者にあたるかどうかの配偶者の所得判定基準が、2020年より、85万円から95万円へと変わります。

実質的に意味がないようにも感じられる給与所得控除と基礎控除のバランス変更が行われた理由には、一般的な所得者に影響のないように配慮しつつ、一定水準を超える高所得者にだけ増税となるような工夫をしながら、所得税法の改正を行ったことの影響によるものです。

1-2. ひとり親への所得控除制度が変更

2020年からは、未婚のまま子を持つひとり親であっても、所得控除の対象となり、寡婦に適用される所得控除制度全体の見直しが実施されました。

これは、2019年までの寡婦への所得控除は、寡婦、寡夫、特別の寡婦の3つのタイプでしたが、どれも配偶者との死別であったり、離婚といったことが、適用条件となっていたものです。

新制度のポイントとして、子どもを扶養するひとり親であるならば、離婚や死別、未婚の理由や本人の性別に関係なく、本人所得が500万円以下である場合に、ひとり親に該当する場合には35万円の所得控除を受けられるようになります。

1-3. 単身児童扶養者欄の変更

次に、2020年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、新たに単身児童扶養者欄が設けられるようになりました。この単身児童扶養者とは、2020年の1月より開始される、地方税法の改正から、新たに誕生した概念であって、下記の条件を満たす者に限られます。

●児童扶養手当の支給を受けている児童の父または母であること
●現に婚姻をしていないか、配偶者の生死が明らかでないこと
●児童扶養手当の対象児童の総所得金額などの合計額が48万円以下であること

ひとり親世帯の経済的負担を見直すため、単身児童扶養者から、前年の総所得金額が、135万円以下であるときに、その年の住民税の非課税措置を受けることが可能となりました。

この非課税措置を受けるための申告書の役目を、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書へと任せることになったので、2020年の申告書には、単身児童扶養者欄が追加となった形です。

この単身児童扶養者に当たる場合には、欄にチェックを入れましょう。そして、児童扶養手当の対象となる児童の名前などの情報を記載する必要があります。

但し、途中で制度の変更や改正がなされることも想定できます。そのため2020年4月1日以降に提出分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に関しては、記載が不要となっています。

ひとり親控除の適用が確認されることで、単身児童扶養者であるということも、行政側で把握することが可能であるので、単身児童扶養者の項目において、重ねての申告は不要となったわけです。また、2021年の「扶養控除等(異動)申告書」については、単身児童扶養者の項目そのものが申告書より削除されています。

運用として、2019年の年末調整の際に、事前に提出済みの2020年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、その状態のまま使用するケースなど、2020年3月31日以前に提出済の申告書にて年末調整を行うときには、必ず記載に間違いがないかどうかを、きちんとチェックしておくといった基本的なことを行っておけば、安心できるでしょう。

1-4. 給与所得者の配偶者控除等申告書の変更

配偶者控除等申告書に関しては、2019年であれば「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書式であったものが、3つの役目のある「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書式に変わりました。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」にあたる箇所の内容については、給与所得控除と基礎控除のバランスに変化が見られる以外で、変更点はありません。

ただし、単一の書式であったものが、兼用書式へと変化したので、レイアウトが少し圧縮されています。その一方、2019年よりも記載のしやすい書式へと変更されることとなりました。

また「給与所得者の基礎控除申告書」と「給与所得者の所得金額調整控除申告書」については、2020年より新たに追加となった新書式となりますので、詳細な内容を確認しておくことが大切です。

またこの他に「給与所得者の保険料控除等申告書」にも変更点が見られます。2020年の年末調整の際に提出を行う書類となっていますが、微妙なレイアウトの変更がありました。

それ以外には、特に変更点はありませんので、レイアウトに新たな調整が出たと覚えておくだけで良いでしょう。

2. 年末調整の2020年変更で気をつけること

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は従来のものとさほど変わりはありません。しかし、同一生計であるから同居していなければいけないというわけではないということは、覚えておくと良いでしょう。

別居していても、送金することによって家族を扶養しているのならば、同一生計親族となります。扶養する家族が外国にいるときには、送金や親族関係の証明を行うことが必要です。

この他に、障害者控除の対象が、扶養親族であれば所得要件は問われないことや、対象が配偶者であれば、所得要件に注意が必要であって、勤労学生控除の所得要件の変化にも気をつけておきたいところです。

「基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に関しては、もっとも間違いやすい書類であるといえるでしょう。基礎控除、配偶者(特別)控除、所得金額調整控除は、それぞれ全く条件が異なりますので、それを認識しておくことが大切です。

基礎控除は、2019年までは、何もしなくても適用されていた項目ですが、今年から、書かなければ適用されない制度となりました。配偶者控除、配偶者特別控除は、配偶者の収入額だけでなく、本人の合計所得金額も差し引くことの可能な額に影響します。

そして、所得金額調整控除の要件は「扶養する子どもが23歳以下」であって、「本人・同一生計配偶者・扶養親族の誰かが特別障害者」という場合のみに適用されます。

配偶者や扶養親族の合計所得金額が、48万円以下でなくても良いとされていて、扶養控除の対象外である16歳未満も含まれていることや、本人の合計所得金額が1000万円を超えていても控除可能であるなど、制度が違うことにも気をつける必要があります。

次に「保険料控除申告書」に関してですが、この申告書は、地震保険料や生命保険料、小規模企業共済等掛金控除などに必要となる書類です。こちらも従来と変わりませんが、地震保険料や生命保険料の区分には気をつけましょう。

社会保険料に関しては、国民年金保険料のみ証明書の添付を求められます。

3. 年末調整の変更点に基づいた申告書の書き方

源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者に関する変更点では、表記内容に変化がありましたので、それらの箇所に注意しながら、作成していくことが大切です。

ひとり親への所得控除制度が変更となった点に関しては、2020年「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」では、ひとり親に当たるケースでの記載欄改訂が間に合っていません。そのため、特別の寡婦欄に手書きで二重線を引き、その上にひとり親との訂正をして、きちんと申告をするようにしましょう。

また「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、新たに単身児童扶養者欄が設けられるようになりましたので、項目の条件を満たす方は、チェック欄にチェックを入れてください。それだけでなく、対象となる児童の名前などの情報も記載する必要があります。

そして「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書式は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書式へと変更になり、単一の書式から兼用書式へと、変更になりましたので、レイアウトの圧縮も見られます。

こちらも前述の書類などと同様に、大事な書式になりますので、よく覚えておくようにしましょう。

4. 2020年の年末調整書類は変更点がたくさん!余裕を持って準備しよう

年末調整は、年を追うごとに複雑になってきていています。2020年からは、書類だけでの対応は非常に困難であるといっても間違いではありません。

年末調整の電子化というシステムが、完全に構築されるまでは大きな負担がありますが、そのシステムが完璧に構築されたときには年末調整にかかる負担も、大幅に削減される可能性が高いでしょう。

所得税法の改正による、2020年の年末調整に関して、深く理解することによって、書面での年末調整を行うことの手間や、業務効率化のための最善策ができるようになります。これを機に、年末調整の電子化の波に乗り、さらに快適な年末調整作業を遂行していくことが、今最も望まれます。