追徴課税とは?各税金の計算方法や対象期間、払えない場合の対応も紹介
更新日: 2024.3.5
公開日: 2022.7.20
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税務申告を適切に行わなかった場合、追徴課税を課される可能性があります。たとえば、本来よりも少ない金額の税金を申告したり、期限までに税金の申告を行わなかったりしたケースです。追徴課税の内容によっては、不足分の納税額のほか、延滞税や利子税、加算税が課される場合があります。追徴課税の対象にならないため、正確に税務処理を行いましょう。この記事では、追徴課税の仕組みや加算税の種類、追徴課税の金額の計算方法を解説します。
目次
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1. 追徴課税とは?概要や注意点
追徴課税とは、税務調査で申告漏れや無申告が発覚した場合、本来の納税額との差額を支払うことを意味します。不足税額は自ら修正申告を行うか、所轄の税務署が行う更正処分によって算出されます。追徴課税の内容によっては、不足税額に加えて、延滞税や利子税、加算税などの附帯税が課される場合があります。追徴課税を課されると企業会計に悪影響が生じるため、適切に税務申告を行うことが大切です。追徴課税(税務調査)がいつくるのかのタイミングは、毎年8月~12月が多いとされています。
1‐1. 追徴課税の附帯税(延滞税と 利子税)
追徴課税の附帯税は、延滞税・利子税・加算税の3種類です。延滞税は本来の納付日から税務申告を延滞した日数に応じて課される税金です。一方、利子税は所轄の税務署に税務申告の延長を申し出た場合に、延長した日数に応じて課される税金を指します。利子税にはペナルティの意味合いがないため、延滞税よりも税率が低いほか、租税公課として損金に参入することができます。
・延滞税
延滞税=(納税額×延滞税の税率×延滞した日数)÷365日
・利子税
利子税=(納税額×利子税の税率×延長した日数)÷365日
また、加算税はさらに「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4種類に分かれます。以下の表の通り、追徴課税の対象となった場合、不足税額に加えて附帯税が課される可能性があります。
1‐2. 追徴課税は早めの納付を
もし追徴課税を課されたら、早めに不足税額を納付しましょう。通常の税金と違い、追徴課税には納付期限がありません。しかし、所轄の税務署からの督促や催告に応じなかった場合、差押えが執行される可能性があります。また、追徴課税の納付が遅れれば遅れるほど、延滞税の金額も大きくなります。銀行融資を受けている場合は、取扱金融機関への税務調査が行われる可能性があります。追徴課税を課された段階で、取扱金融機関へ早めに連絡することも大切です。
1‐3. 追徴課税は原則として一括払いが必要
追徴課税の支払いは、原則として一括払いとなっています。もし特段の事情によって不足税額の納付が難しい場合は、所轄の税務署に相談することで、追徴課税の分割払いが認められる可能性があります。ただし、分割払いが認められるのは1年程度の期間です。また、分割払いの期間中も延滞税が加算されるため、追徴課税の総額が増加します。
1‐4. 追徴課税は損金として計上できない
追徴課税は申告漏れや無申告に対するペナルティとして課される税金です。したがって、税務申告の際に追徴課税を租税公課として計上し、損金に参入することはできません。ただし、企業会計上は追徴課税を費用として計上することができます。たとえば、申告漏れによって100万円の過少申告加算税が課された場合、以下のように仕訳処理を行います。
1‐5. 追徴課税は不服申立が可能
もし追徴課税の内容に納得がいかない場合は、不足税額の修正申告を行わず、不服申し立てを行うこともできます。もし修正申告を行わなかった場合、所轄の税務署が更正処分を行い、納税通知書を送付します。その段階で不服申立ての手続きを行えば、追徴課税の再審査を要求することができます。不服申立てが認められた場合、追徴課税は課されません。
2. 追徴課税における加算税の種類
追徴課税の内容によっては、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4つの加算税が課される可能性があります。財務省のホームページによると、加算税の課税要件と課税割合は次の通りです。[注1]
2-1.過少申告税
課税要件は期限内の申告について、修正申告・更正があった場合で、課税の割合は10%、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分では15%
名称 | 課税要件 | 課税割合 |
過少申告加算税 |
・期限内の申告について、修正申告・更正があった場合 |
・10% ・期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分:15% |
無申告加算税 |
・期限後申告・決定があった場合 ・期限後申告・決定について、修正申告・更正があった場合 |
・15% 50万円を超える部分:20% |
不納付加算税 |
・源泉徴収等による国税について、法定納期限後に納付・納税の告知があった場合 |
・10% |
重加算税 |
・仮装隠蔽があった場合 |
・過少申告加算税・不納付加算税に代えて:35% ・無申告加算税に代えて:40% |
税務調査によって過少申告が発覚した場合、納税額の10%または15%の過少申告加算税が課されます。納付期限までに税務申告を行わなかった場合に課されるのが無申告加算税です。不納付加算税とよく似ていますが、不納付加算税は納付期限までに所得税などの源泉徴収を行わなかった場合に課される加算税です。意図的な所得隠しや国税関係書類の改ざんなど、悪質な仮装隠蔽があった場合、重加算税が課されます。重加算税の税率は35%または40%と非常に重く、重大なペナルティとしての意味合いがあります。
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3. 追徴課税の計算方法
追徴課税の金額は、申告漏れや無申告など状況によって異なります。ここでは、「過少申告をした場合」「申告を忘れていた場合」「重加算税を課された場合」の4つのケースを想定し、追徴課税の計算方法を市解説します。
3‐1. 過少申告をした場合
もし税務申告の内容に間違いがあり、過少申告をしてしまった場合は、過少申告加算税が課されます。過少申告加算税の金額は、不足税額が50万円以下の場合は納税額の10%、50万円を超える場合は超過分に15%の税率がかかります。たとえば、不足税額が100万円の場合、以下の計算式で過少申告加算税の金額を計算できます。
・50万円×10%+50万円×15%=125,000円
3‐2. 申告を忘れていた場合
税務申告を忘れていた場合、無申告加算税が課されます。無申告加算税の金額は、不足税額が50万円以下の場合は納税額の15%、50万円を超える場合は超過分に20%の税率がかかります。不足税額が100万円の場合、無申告加算税の計算式は以下の通りです。
・50万円×15%+50万円×20%=175,000円
3‐3. 重加算税を課された場合
重加算税の課税対象になった場合、通常よりも重い税率で追徴課税が課されます。たとえば、悪質な過少申告だと判断された場合、過少申告加算税に代えて35%の税率の重加算税が課税されます。不足税額が100万円の場合、重加算税の計算式は以下の通りです。
・100万円×35%=35万円
4. 追徴課税で支払いの対象となる期間
原則として、税務調査では3期分の税務申告を調べます。そのため、過去3期分の税務申告に対し、追徴課税が課される可能性があります。ただし、過去に追徴課税を課されている場合は5期分、重加算税を課されている場合は7期分の税務申告が調べられる可能性があります。もし申告漏れや無申告に気がついたら、すみやかに修正申告を行いましょう。
5. 追徴課税が払えない場合
追徴課税を支払わないと財産が差し押さえられる可能性があります。差し押さえの対象としては不動産や有価証券、保険やその他の金融資産などがあります。実際に差し押さえられるまでには催促状や財産調査などがありますが、最終的に取り押さえとなってしまうため、できるだけはやく追徴課税を支払うことが大切です。
6. 追徴課税の種類やリスクを知り、なるべく早く修正申告を
税務調査で申告漏れが見つかった場合、不足税額を追徴課税として徴収されます。追徴課税の内容によっては、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の加算税のいずれかの課税対象となる可能性があります。もし重加算税の課税対象となった場合、35%または40%の重い税率が課されます。税務申告のミスを見つけたら、すみやかに修正申告を行うことが大切です。
[注1] 財務省:加算税の概要
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
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