年末調整の書類で間違いに気づいたときの正しい訂正方法
毎年11月頃から1月末に行われる年末調整は、給与所得者の所得税を正確な金額で納付をするための業務です。
従業員には、以下の書類を提出してもらいます。
- 配偶者特別控除申請書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の扶養控除等申告書
また、対象者には以下の書類などもあわせて提出してもらいましょう。
- 生命保険料控除証明書
- 前職の源泉徴収票
これらを提出してもらったあとに書類の内容に間違いが見つかったとしても、焦ることはありません。年末調整の書類は、提出してもらったあとで不備が見つかった場合も、書類を正確な内容へと書き直してもらえます。
従業員にも間違いに気がついた段階で、すぐに年末調整担当者へと申し出てもらうようにアナウンスしておくと安心です。間違いに気づかないといったことがないようにしましょう。
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1. 年末調整の間違いを正しく訂正する方法
年末調整では従業員から提出された申告書や今までの給与情報をもとに、支払うべき税金を計算して精算します。
このとき、提出された書類に誤りがあった場合、正しい税額を把握することができません。そのため、誤りが発覚した時点で可能な限り速やかに修正する必要があります。
ここでは、もし年末調整の書類に誤りがあった場合は、どのように対応したらよいのかを解説します。
1-1. 申告書の修正方法
訂正の方法として、修正液を使用しての訂正は認められていません。間違えてしまった箇所には二重線を引き、付近に正確な内容を記入し直してもらいます。
そのあと、二重線に重ねるような形で訂正印を押します。年末調整の書類の性質上、シャチハタ印は使用しないようにお願いしておく必要があります。
また、あまりにも間違い箇所が多く、訂正内容の確認が難しくなってしまうようなときには、新しい書類に書き直してもらいましょう。
1-1. 年末調整の提出期限は1月31日
この年末調整の訂正ですが、会社ごとに設定されている期限を過ぎていなければ、訂正してもらえます。
年末調整の最終期限は、1月31日とされていますので、その日までに訂正箇所がある従業員に書類の訂正をお願いしましょう。
もし期限を過ぎてしまったなどで修正が間に合わないときは、該当の従業員個人で確定申告をしてもらう必要があります。
関連記事:年末調整はいつまでにやるべき?気になる提出期限とは
2. 年末調整の書類不備を防ぐには?
年末調整の書類は毎年記入するものですが、年に1度のことなので毎回どのように記入すればいいか分からなくなってしまう人も少なくありません。
また普段使用することのない用語が多く存在するのも、年末調整ならではであるといえます。
具体的な例として、年収と所得です。所得というと、給与額のことのように間違いやすいところですが、年間収入より、給与所得控除を引いた額のことを、所得といいます。
こういったことを、記入例などと一緒に印刷し、渡すことで記入間違いを防げます。
2-1. 従業員に早めに年末調整書類を渡す
年末は業務が忙しくなるので、なるべく早めに年末調整書類を準備しておきましょう。書類を渡すのが遅いと、提出も遅くなりますし、それだけスケジュールもずれ込みます。
さらには添付書類の提出のチェックもおこなわなければならないので、提出が遅れる分だけさまざまな業務に支障が出る可能性があります。
そのため、従業員には、メールの一斉送信や書類などで、事前に早めの提出を呼びかけておきましょう。
2-2. 書類のチェックは複数人でおこなう
提出してもらった年末調整書類のチェックは、1人だけでなく、複数人でおこない、間違いのないよう十分備えておきましょう。
また、年末調整は、かなり多くの頻度で改正のおこなわれている分野でもあります。国税庁の公式ホームページや、国税庁発行の年末調整の冊子などには、改正内容がきちんと盛り込まれていますので、変更点に関して、常に気にしておくということも大切です。
2-3. 保険への加入なども記入ミスになりやすい
年末調整の書類に、多い間違いとして、今まで加入しておらず、初めて加入することになる生命保険や地震保険へと新たに加入をおこなったという場合があります。ほかにも、結婚・離婚・出産といった家族構成に変更のあった場合などに多く見受けられます。
新たな保険に加入をしたときには、やはり訂正が必要になりますし、家族構成に変更のあった際にも同様の手続きが必要です。
年末調整の書類を提出したときには確かな内容であったけれども、提出した日から12月31日までの間で、そうした手続きをおこなった場合などにも、同じように訂正が必要となります。
2-4. 配偶者の情報も忘れず確認
配偶者の年収に変化のあったときにも、間違いの見られるケースがあります。収入が一定以下の配偶者は、扶養されているとされ、世帯主の所得税が減額される制度が配偶者控除となります。
対象の配偶者が給与所得者であれば、年収103万円以下であれば、配偶者控除の対象となりますが、それを上回る場合には、書類の訂正が必要となります。
扶養家族に関しては「扶養に入っているが入っていないと記載してしまった」「扶養から既に外れているが扶養と記載してしまった」などの記入ミスも起こり得ます。
年末調整の書類不備は、提出した際に正確な内容であっても、そのあとの変更などによっては、訂正する必要のある書類です。例え提出をしてしまったあとであっても、全ての手続きを終えるまでは、訂正が可能です。
年末調整の期限直前での提出は、会社のためにダメージが大きくありますので、そのような事態を避けるためにも、書類の内容に間違いのないよう丁寧に作成、余裕をもって提出してもらいましょう。
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2-5. 添付書類もしっかりチェック
年末調整の書類に加える必要のある、控除証明書等の各書類そのものの記載に間違いがあるというようなことも、実際にあり得ることです。このケースでは、控除証明書の発行元へと問い合わせをおこない、正確な内容に変更してもらうことが必要です。
再発行手続きは、即日とはなりませんので、注意が必要です。控除証明書の種類によっては、1〜2週間ほどの時間がかかることもあります。
このように、年末調整をおこなう際には、添付書類まで確認が必要です。控除によって添付すべき書類が異なるため、それぞれ必要な書類が添付されているかを確認しましょう。当サイトでは、添付書類を含めた年末調整に必要な書類が一覧で確認できる資料を無料で配布しています。年末調整業務を抜け漏れなくおこないたい方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、書類に抜け漏れがないかのご確認にご活用ください。
2-6. 従業員自身で確定申告をおこなうことも
もし年末調整の書類ミスに気がつかなかったり、会社の期限までに間に合わせることができなかったというときには、従業員が自分で確定申告をおこなうことになります。
確定申告となると、その全ての手続きを自分自身でおこなうことになり、年末調整の書類の書き直し以上に、余計な時間や手間のかかる可能性も高いです。
従業員にはこういったリスクがあることを周知し、期限に間に合うように提出してもらうことが大切です。
▼ミスでやり直しがある場合の対処法はこちら
年末調整のやり直しを税務署から通知されたときの対処法
3. 年末調整は会社全体に関わる業務!しっかり準備しよう
年末調整は、会社全体に関わる大仕事です。
提出してもらった年末調整書類のミスを見落としたまま提出し、組織としての年末調整を終えてしまうと、きちんと源泉所得税を納付しなかったと見なされ、その会社には、不納付加算税や延滞税といった税金というペナルティーが、課されることになります。
従業員が提出した書類が原因であっても、最終的にはこのように、会社へとペナルティーが課されてしまうので、その責任は、重大であるといえます。
本来であれば全く課される必要のないペナルティーを、自分の属する会社に与えてしまわないためにも、記載内容をしっかり確認し、間違いがあった場合は訂正してもらうことが大切です。
注意して記入しなければ、間違えやすい書類が、年末調整です。所得税を確かに支払うということを意識し、作成する必要があります。
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