【従業員向け】年末調整はいつまでにおこなう?期限と提出書類の種類を紹介
更新日: 2023.9.27
公開日: 2021.3.26
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年末調整の書類の提出期限を過ぎると、自分で確定申告をおこなうことになります。まずは、年末調整の書類の提出期限を過ぎないように余裕を持って書類を準備すべきです。そこで今回は、年末調整の書類やその提出期限について説明します。
目次
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1. 年末調整とは
会社などが役員又は従業員に対して給与を支払う際には、所得税と復興特別所得税の源泉徴収をおこなっているのが通常です。
源泉徴収とは、所得税と復興特別所得税とを会社などが給与からあらかじめ差し引くことです。源泉徴収される役員又は従業員にとっては、基本的に確定申告をする必要がなくなるというメリットがあります。
国にとっても、確実に所得税を徴収でき、税収を安定的に得られるという大きなメリットがあります。
しかし、その年会社などが1年間に給与から源泉徴収をした所得税と復興特別所得税の合計額は、基本的に、源泉徴収された人が納めるべき所得税と復興特別所得税の合計額とは一致しません。
会社などが源泉徴収する所得税と復興特別所得税の額は、支払う予定の給与額に基づいて決めています。しかし残業代や昇進・降格などにより実際に支払われる給与額と予定の給与額が異なるケースが通常だからです。
そこで、給与から源泉徴収をした所得税と復興特別所得税の合計額と、源泉徴収された人が納めるべき所得税と復興特別所得税の合計額とを一致させる手続が必要になります。
この手続のことを年末調整といいます。
関連記事:年末調整とは?やり方や計算方法、確定申告との違いをわかりやすく解説
関連記事:年末調整とは?その必要性や基本的な書き方について解説
2. 年末調整で提出する書類
給与の支払を受ける給与所得者は、年末調整に関して大きく分けて、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書、の3種類の書類を提出しなければなりません。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書の記載例に関しては以下をご参照ください。
【参照】
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 記載例
給与所得者の保険料控除申告書 記載例
給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書 記載例
令和2年分以後の「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」との兼用様式となりました。また、令和2年分以後、所得金額調整控除という控除が新しく適用になります。
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するというものです。所得金額調整控除には、次の1又は2の2種類の控除があります。このうち1の控除は年末調整において適用することができます。
2-1. 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、(1)のa~cのいずれかに該当する給与所得者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
2-1-1. 適用対象者
a.本人が特別障害者に該当する人
b.年齢23歳未満の扶養親族を有する人
c.特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する人
扶養親族とは、その年の12月31日に、次の①~④の要件のすべてに当てはまる人です。
①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人であること。
②納税者と同一の生計で暮らしていること
③年間の合計所得金額が48万円以下でること (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
④青色申告・白色申告における給与の控除を受けていない
また、同一生計配偶者とは、納税者と同一の生計で暮らしている配偶者で、次のいずれにも該当する人のことです。
a.その年の大晦日時点で、納税者と同じ生計で暮らしている
b.その年の合計所得金額が48 万円以下である
c.青色申告・白色申告における給与の控除を受けていない
関連記事:年末調整の障害者控除とは?その範囲や金額を詳しく解説
2-1-2. 所得金額調整控除の金額
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額(1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。)
年末調整においてこの控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、会社に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。
この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの人に適用するという制限がありません。条件を満たせば夫婦が2人ともこの控除を受けるといったケースもありえます。
2-2. 給与所得と年金所得の両方を得ている人に対する所得金額調整控除
その年において、次の(1)に該当する人の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
2-2-1. 適用対象者
その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える人
関連記事:年末調整の対象者になるケースとならないケースの違い
2-2-2. 所得金額調整控除額
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額
上記1の所得金額調整控除の適用がある場合は、その適用後の給与所得の金額から控除します。
3. 年末調整の提出期限はいつまで?
年末調整は一般的に年末におこなわれます。この際、会社が所轄税務署に、役員・従業員が会社に書類を提出するタイミングは異なるため、スケジュールどおりにおこなう必要があります。
3-1. 会社の対応
年末調整は、その年の1月1日から12月31日の期間の給与などについて対象としています。そのため通常、会社は12月に年末調整をおこないます。そして、12月または1月支払の給与で還付もしくは追加徴収をおこなうという流れになります。会社は年末調整関係書類を1月31日までに、所轄税務署長に提出します。
3-2. 役員・従業員の対応
多くの場合、11月から12月にかけて、上記の3種類の書類の提出を求められることになるでしょう。
年末調整で生命保険料の控除などを受ける場合、給与所得者の保険料控除申告書だけでなく、一緒に添付する書類を提出する必要があります。生命保険、地震保険、小規模企業共済などを利用していると、10月あたりに各会社から控除証明書が自宅へ送られてきます。それを提出しましょう。
年末調整業務において、必要書類は複数あるため、書類の準備と作成に抜け漏れがないか不安なご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。年末調整にかかる書類は抜け漏れが発生したり、提出期限に間に合わなかったりすると、影響が大きい書類です。書類準備や提出においてミスが発生しないよう、当サイトでは、必要書類のリストや提出期限等をまとめた資料を無料で配布しております。年末調整業務を抜け漏れなくおこないたい方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、業務にお役立てください。
4. 年末調整はいつが提出期限?
先述のように年末調整1月31日までに提出します。書類によって提出期限が異なるので事前に把握しておきましょう。
4-1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
国税庁のホームぺージによると、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(年の途中から勤める場合には、最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出するよう記載があります。そのため、原則的には、その日が給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出期限です。
なお、当初提出した申告書の記載内容から異動があった場合には、原則的には、その異動の日の後で最初に給与の支払を受ける日の前日までが、変更の内容等を記載した申告書の提出期限です。
また、非居住者である親族についての扶養控除又は障害者控除の適用を受ける場合には、原則的には、その年最後の給与支払日の前日までが、その親族と同一生計で暮らしている旨を記載した上での提出期限です。
4-2. 給与所得者の保険料控除申告書
国税庁のホームぺージによると、給与所得者の保険料控除申告書は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに提出するよう記載があります。そのため、原則的にはその日が提出期限になります。
関連記事:年末調整の社会保険料控除とは?対象となる保険の種類まとめ
4-3. 給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書
国税庁のホームぺージによると、給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに提出するよう記載があります。そのため、原則的にはその日が提出期限になります。
上記3種の書類とも会社への提出期限は会社によって異なるため、会社の指示に従ってください。
関連記事:年末調整はいつ提出?時期や期限、申告書の種類をくわしく解説
5. 年末調整の提出が遅れるとどうなる?
年末調整の提出が遅れた場合、会社に迷惑がかかります。また、会社の対応が間に合わないと、3月15日までに従業員が自分で確定申告をおこなわなければなりません。期限を過ぎて変更された生命保険料等の保険料控除や扶養控除を申告したい場合には、確定申告をおこなうようにしましょう。
確定申告せずに放置した場合、還付金が受け取れないだけでなく、不足があった場合は追徴課税を科せられます。
確定申告の期限後に、自己申告した場合も追徴課税は免れないため、注意しましょう。
関連記事:年末調整をしないとどうなる?考えられる5つのリスクを解説
6. 提出期限を守って年末調整の書類を提出しよう
ここまで、年末調整で提出する書類、その提出期限、提出期限を過ぎた場合の対応について説明してきました。年末調整の期限についてよく理解できたという方もいらっしゃることでしょう。
書類の提出期限を守って、正しい年末調整をおこないましょう。
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