不納付加算税とは?課される要件や計算方法、免除されるケースを解説
更新日: 2025.1.31
公開日: 2022.8.2
jinjer Blog 編集部
源泉所得税の納付が期日から少しでも遅れてしまったときには、不納付加算税を追加で支払わなければなりません。
不納付加算税の金額計算や納付のルールは、法律によって厳密に定められています。そのため、会社に余計な経費負担をかけないように、担当者の方は不納付加算税に関してしっかりと理解をしておかなければなりません。
ここでは、不納付加算税の対象となるケースやならないケースについて詳しく解説していきます。また、不納付加算税の税額を計算する方法や仕訳するときの方法についてもチェックしていきましょう。
関連記事:加算税とは?主な種類や税率、納付義務、端数計算の方法について解説
目次
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1. 不納付加算税とは源泉所得税の支払いが遅れたときに支払う税金
給与などから天引きされる源泉所得税は、給与支給日の翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。
ただし、従業員数が10人未満の小規模な事業所では、半年分をまとめて納付できるという特例があります。この特例では、1月から6月の上半期の所得税を7月10日までに、7月から12月の下半期の分は1月10日までに納付することになります。
こうした源泉所得税の納付が遅れてしまった場合に発生するのが、不納付加算税です。
1-1. 不納付加算税には同時に延滞税もかかる
源泉所得税の納付が遅れたときには、同時に延滞税も加算されることになるため注意しましょう。
延滞税の利率は、納期限翌日から2ヶ月間は2.7%、その後は9%となっており、納付までの日数にこの利率をかけて計算されます。
納付が遅れるほど不納付加算税や延滞税の金額は大きくなっていくものであるため、納期限に遅れてしまった場合にはできるだけ早く対処することが肝心です。
2. 不納付加算税が課される要件
不納付加算税は、源泉所得税の納付がおこなわれなかったときにペナルティーとして支払うことになる税金です。
例えたった1日であっても、納付期限に遅れてしまうと不納付加算税が課せられることになります。
納付期限を過ぎた後、自主的な納付をした場合には5%、税務署の指摘により納付した場合には10%の追加納付が必要です。
つまり、税務調査のあとに源泉所得税を支払った時には、当然ながら不納付加算税率は10%となるため注意してください。
ただし、税務署から納付確認の連絡があった段階や、税務調査の日時の連絡があった段階で速やかに納付をおこなえば、税率を5%に抑えられることがあります。
3. 不納付加算税がかからない3つのケース
源泉所得税の期限後納付が起きたときには原則として不納付加算税が課税されることになります。ただし、以下のような条件に該当していれば、不納付加算税が免除されることがあります。
源泉所得税の納期限に遅れてしまった場合には、以下の条件に合致しているかを確認してみましょう。
3-1. 期限から1ヵ月以内に支払った場合
不納付加算税は、納付する意思があると認められ、なおかつ法定の納期限から1ヶ月以内に納付したときには非対象となります。
例えば源泉所得税の納期限が7月10日という場合、8月9日までに納付を終えれば免除されることがあるのです。
納付する意思というのは、過去1年にさかのぼって税務署から納税告知を受けたり、期限に遅れて納付したりした事実がないことをいいます。
規定の納付期限までに納付できない状況が頻繁に続いているといった場合には、この要件は適用されません。
3-2. 不納付加算税の金額が5,000円未満の場合
国税通則法第119条第4項では、「加算税の金額が5,000円未満になるときには課税額が切り捨てとなる」という旨が定められています。つまり、不納付加算税の税額を計算したときに、その額が5,000円未満と少額であったときには、追加納付をする必要がないということです。
一般的に、源泉所得税の納付は月に一度となっていますが、従業員数が10人未満の事業所では、源泉所得税を半年に一回納める特例を採用することも可能です。
年に2回の納付を選択すれば手続きの手間がなくなり、事務コストを抑えられます。その一方で、一回ごとの納税額が高額になりやすいというデメリットも考えられます。
月に一度の納付であれば、納付が遅れたときの不納付加算税が5,000円未満となり免除される可能性があります。しかし、半年に一度納付をしており、一度に支払う納税額が5,000円を超えてしまうというときには、不納付加算税の免除が受けられなくなるので注意しましょう。
3-3. やむを得ない正当な理由がある場合
源泉所得税の納付が遅延する正当な理由があると認められた場合は、不納付加算税が免除される可能性があります。
ただし、単に税法を知らなかった場合や、事実誤認をしていたという理由で不納付が起きたときには、「正当な理由があった」として認められることはありません。
正当な理由とは、例えば、大規模災害や交通網の途絶、通信の途絶など大きな問題が起きたケースです。
また、従業員が申告書を誤って記入し、その申告に基づいて控除したために源泉所得税が過少となった場合、申請担当者の責任を問うことはできません。そのため、このようなケースは正当な理由があるとして取り扱われます。
4. 不納付加算税の計算方法
不納付加算税の税率は、担当者が未納に気付いてすぐに納付するか、税務署からの通知で納付するかによって変わります。つまり、どのタイミングで納付するかで計算方法が異なるので注意しましょう。
ここでは、不納付加算税の計算方法と仕訳の方法について解説します。
4-1. 課税率は条件によって変化する
不納付加算税の計算方法は、状況によって異なります。
納付期限を過ぎた段階で未納に気付き、自主的な納付をおこなった場合の税率は5%に設定されています。
しかし、未納に気が付かないまま納付期限を過ぎてしばらくすると、税務署から税額を明記した通知書が届きます。この通知を受けて追加納付をおこなうときには、不納付加算税の税率が10%に引き上げられます。
ただし、税率10%の不納付加算税が適用となるのは、源泉所得税が5万円以上だった場合です。これは、不納付加算税の額が5,000円未満のときには切り捨てのルールによって納付が免除されるためです。
さらに源泉所得税の計算では、基礎となる税額に1万円未満の端数があるときや税額が1万円未満であるときには端数または全額を切り捨てるルールもあります。
例えば課税対象となる源泉所得税が67,000円だった場合、7,000円分は端数とみなされ切り捨てられます。残りの6万円分に対して不納付加算税が適用されるため、例えば税率が10%なら不納付加算税は6,000円ということになります。
また、税務署からの通知で源泉所得税の納付が遅れたときには、この方法で計算した不納付加算税に一定の延滞税を足した額を支払うことになるので計算を間違えないようにしましょう。
4-2. 不納付加算税の勘定科目への仕訳方法
不納付加算税をはじめとした加算税は、損金に算入することができません。とはいえ、会計上は費用として処理することが可能です。
そのため、不納付加算税を仕訳する場合は、租税公課または雑損失の勘定科目を使います。借方には租税公課または雑損失の勘定科目を記載し、貸方には現金と記載してそれぞれの金額を記入しましょう。
また、租税公課または雑損失で仕訳計上するときには、法人税確定申告での調整が必須となります。後日調整するために、損金不算入の項目を補助科目で区分しておくのが最適です。
5. 源泉所得税の管理を徹底し不納付加算税が発生しないようにしよう
不納付加算税とは、源泉所得税を納付しなかったときに課税される税金のことです。
従業員数が多い企業では、処理する源泉所得税の金額も大きくなるので、万一納期限に遅れてしまった場合、ペナルティーとなる不納付加算税や延滞税の金額も膨大になってしまうため十分注意しましょう。
不納付加算税には細かいルールが決められていますが、1年以内に納付漏れがなく速やかに支払った場合などには免除されることもあります。また、源泉所得税の金額が低い場合にも不納付加算税が免除される可能性があります。
遅れないように納付するのが大前提ですが、ケースによっては免除されることもあるので、源泉所得税の未納が起きてしまったときにはルールを詳しくチェックしてみるとよいでしょう。
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