損益分岐点とは?損益分岐点の計算方法や活用方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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損益分岐点とは?損益分岐点の計算方法や活用方法をわかりやすく解説

改善ポイント

損益分岐点とは、企業の利益や損失がゼロになっているポイントのことをいいます。損益分岐点売上高を計算し、数値を分析して経営判断に役立てましょう。
本記事では、損益分岐点の計算方法について解説いたします。

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1. 損益分岐点とは?

重要

損益分岐点は、売上が費用と釣り合っており利益がゼロになっているポイントのことで、BEP(break-even point)とも呼ばれる指標です。

損益分岐点を超えたときには利益が出る状態になり、逆に売上が損益分岐点以下になったときには損失が発生します。このことからわかるように、企業の経営状態や事業の安定性を見るためには、損益分岐点を計算する必要があるのです。

会計の目的は、所定の期間内における企業の利益を計算することです。利益は企業の売上高から費用を差し引くことで求められます。会計において利益を計算し分析することによって、利益の最大化を目指すための効率的な対処をおこなえるようになるため、売上と費用が釣り合っていることがわかる損益分岐点はとても重要な指標といえます。

1-1. 限界利益とは

損益分岐点は利益を出すための指標ですが、同じような指標に「限界利益」や「営業利益」というものがあります。

限界利益とは、売上高から変動費を引いた金額のことです。営業利益は、売上高から変動費を差し引き、さらに固定費も差し引きます。

限界利益が「その事業を続けることで黒字になる見込みがあるか」をはかる指標であれば、営業利益は「現時点で黒字になっているのかどうか」をはかる指標となるでしょう。

限界利益:売上高 – 変動費
営業利益:売上高 – 変動費 – 固定費

1-2. 損益分岐点売上高と損益分岐点販売数量

損益分岐点売上高とは、会社の売上から費用を引いたときにちょうどゼロになるポイントの売上高を指します。

損益分岐点販売数量とは、損益分岐点に到達するまでの商品やサービスの販売数量のことです。どちらの計算方法も後述しているので、確認してみましょう。

2. 損益分岐点の計算に必要となる指標

損益分岐点を算出するには、以下の指標が必要です。

  • 売上高
  • 固定費
  • 変動費

ここでは、損益分岐点の分析に必要なこれらの指標について解説します。

2-1. 売上高

売上高とは、商品の販売やサービスの提供などをおこない、取引先から得た代金(売上)を指します。

基本的に、売上高が高くなるほど利益は多くなり、少なければ最終的に赤字になる可能性が高まります。事業を継続するためには、できるだけ多くの売上高を上げる必要があるのですが、「いくら上げれば黒字になるのか」という指標が損益分岐点です。

売上高は会社の主な収入源となるため、損益分岐点で正確な指標を出し、売上をいかに増やせるかが経営において重要となります。

2-2. 固定費

企業運営において発生する費用には、売上に応じて増えていく変動費と、売上と関係なく発生する固定費の2種類があります。固定費には、人件費や家賃などの「売上額に関わらず、毎月一定発生する費用」が含まれると覚えましょう。

固定費は、売上の有無に関係なく、毎月必ず発生する費用です。

企業によって固定費の内容は異なりますが、オフィスの賃借料やリース料、水道光熱費、人件費、広告宣伝費などが挙げられます。水道光熱費や人件費、広告宣伝費は月によって変動しますが、損益分岐点を算出するために、年間で平均いくらかかっているかを把握しておかなければなりません。

変動する費用だとしても、毎月固定でかかるものなので、企業にとってはとても重要な指標です。

2-3. 変動費

変動費は、売上によって変動する費用のことです。業種によって内容は違ってきますが、例えば商品を仕入れるときの仕入原価、製品を製造する時の原材料費などが挙げられます。他にも、外注費や販売手数料なども変動費として計上します

基本的に「売上が上がるごとにかかる費用」が含まれると考えましょう。

3. 損益分岐点の計算方法

計算している様子

損益分岐点の計算には、いくつもの種類がありますが主な計算式は下記の4つです。

  • 損益分岐点売上高の計算式
  • 損益分岐点売上数量の計算式
  • 損益分岐点比率の計算式
  • 安全余裕比率の計算式

ここでは、それぞれの計算式について具体的な例を挙げて解説していきます。

3-1. 損益分岐点売上高の計算式

損益分岐点売上高は、以下の方法で計算できます。

固定費÷{1-(変動費÷売上高)}

この計算式のうち、{1-(変動費÷売上高)}にあたる部分を限界利益率と呼びます。限界利益率は、売上高に対する限界利益の割合を表す数値です。

例えば売上高が1,000万円あり、固定費に400万円、変動費に200万円かかるケースの場合、計算式に当てはめると1-(200万円÷1,000万円)ということになり、限界利益率は80%と算出できます。この限界利益率から損益分岐点を計算すると、400万円÷80%で500万円という値が出ます。

つまり、このケースにおける損益分岐点は500万円ということになります。

また、損益分岐点は固定費÷(1-変動費率)という計算式でも算出できます。
変動費率とは売上高に対する変動費の比率で、変動費÷売上高という数式によって計算できます。

3-2. 損益分岐点売上数量の計算式

経営工学では、損益分岐点売上数量を求め分析にフィードバックすることがあります。

損益分岐点売上数量は以下のような計算式で求められます。

固定費÷(売上単価-1個あたりの変動費)

この数式における売上単価-1個あたりの変動費を、1個あたりの限界利益と呼びます。
例えば売上単価が1個1,000円、仕入単価が1個400円、固定費に600万円がかかるケースの場合、売上単価の1,000円から仕入単価の400円を差し引いた600円が限界利益です。

この限界利益から算出すると、損益分岐点売上数量は600万円÷600円で1,000個ということになります。

3-3. 損益分岐点比率の計算式

企業の売上高が損益分岐点のどれくらいの水準に達しているのかを知るために、損益分岐点比率を計算することもあります。
損益分岐点比率の計算式は以下のようになります。

損益分岐点売上高÷実際の売上高×100

損益分岐点比率が低いほど、損益分岐点と比較して大きな売上が得られているということになります。目安としては、比率が80%未満であれば優良企業に分類できます。

比率が91~100%になる場合には損益分岐点のギリギリ、100%を超えた場合には赤字ということになります。

例えば損益分岐点売上高が150万円、実際の売上高が200万円の場合は、150万円÷200万円×100で75%という数字が導き出されます。

損益分岐点比率が75%であれば優良企業に分類され、売上が低下しても赤字に陥る可能性は低いと判断できます。

3-4. 安全余裕比率の計算式

安全余裕比率とは、損益分岐点と実際の売上高との差の比率のことです。

安全余裕比率は、以下のような計算式で求めます。

(実際の売上高-損益分岐点売上高)÷実際の売上高×100

安全余裕比率が高いほど、損益分岐点と比較して大きな売上を得られていることになります。
例えば損益分岐点売上高が150万円、実際の売上高が200万円の場合、(200万円-150万円)÷200万円×100という計算によって、25%という安全余裕比率が算出できます。

この場合は、売上が25%以上落ちたときには赤字になってしまうということになるため注意が必要です。

4. 損益分岐点を活用する方法

経営理念などは企業によって異なりますが、どの会社でも事業を継続できなければ理念を達成できません。事業継続のためには、「利益を上げるための正確な指標」が必要です。

この「正確な指標」となるのが損益分岐点です。経営というのは、単純に売上を上げればよいというものではなく、より具体的に目標数値を設定しなければなりません。

ここでは、黒字経営に必要な損益分岐点の活用方法を解説します。

4-1. 利益目標の指針にする

企業を成長させるには従業員の業務効率化が重要ですが、そのために必要となるのが「利益目標」です。

利益目標が明確になっていれば、部署ごとに「何をすればいいのか」も明確になるため適切な業務をおこなうことができます。とはいえ、利益目標が無謀な数字だと逆に従業員のモチベーションを下げてしまう可能性があります。

損益分岐点を活用すれば、目標を達せいするために必要な売上高がわかるので、適切な利益目標を設定することが可能です。無理のない、しかし確実に利益を上げられる利益目標は、従業員の理解も得やすく、モチベーションアップにもつながるでしょう。

このように、損益分岐点を活用して適切な利益目標を設定すれば、経営も効率化できるのです。

4-2. 適切な販売価格の把握

販売価格というのは製品のクオリティも重要ですが、安ければ売れますし、高くすれば売れにくくなるという側面があります。しかし、単純に安くすれば売れるといっても、原価割れをしてしまえば、売れるほど赤字という状況になってしまいます。

損益分岐点を算出しておけば、適切な販売価格を把握することが可能です。損益分岐点は、固定費や変動費を踏まえてゼロポイントを割り出せるので、適切な販売価格を決められます。

販売価格の目安がつけられれば、より効果的な販売戦略も練ることができるので、販売価格を検討する際には損益分岐点を活用しましょう。

4-3. 経営方針の指標にする

経営方針の指標を決める際にも、損益分岐点を活用できます。

損益分岐点があれば限界利益率も分析できるので、採算の悪い事業や利益率の高い商品などを的確に判断できます。つまり、どの事業に力を入れればいいのか、どの分野にリソースを集中させればいいのかがわかるので、適切な経営方針の指標ができるのです。

また、損益分岐点は固定費の見直しにも活用できます。売上に関係なく発生する固定費を見直すことは、利益率の改善に役立ってくれるので、より適切な運営をおこなえるようになります。

5. 損益分岐点を下げる方法

ポイント

損益分岐点の数値を計算する際には、その数値をもとに経営改善を目指すことが肝心です。

ただし、現状の経営がうまくいっていない場合は、損益分岐点が高すぎるということもあるかもしれません。経営改善を目指すには、損益分岐点の数値が重要ですが、現状に釣り合っていなければ改善するのは難しくなってしまいます。

ここでは、経営効率化のためにも必要な、損益分岐点を下げるための方法を解説します。

5-1. 売上高の増加

限界利益率を上げて損益分岐点を下げる、もっとも単純な方法は売上高を増やすという施策が有効です。

当然ですが、売上高が増えれば固定費との比率を下げられるので、結果的に損益分岐点を下げることができます。

しかし、売上を増加させるというのは、単純でありながら難しい方法かもしれません。製品開発や店舗拡大などは失敗のリスクや損失が大きいので、まずはSNSを使った広告宣伝をおこなったり顧客単価を上げたりするなどマーケティング戦略にチャレンジしてみるといいでしょう。

5-2. 固定費の見直し

固定費を下げるための方法として、人件費の削減やアウトソーシングの活用が考えられます。ただし、人件費削減によって従業員のモチベーションが低下すると、事業に思わぬ影響が出るおそれがあるので気をつけましょう。
また、光熱費の削減や設備の見直し、テレワーク推奨による事務所家賃の削減などの方法で固定費を下げるのも有効な方法です。

損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率という計算式で求められます。この分子となる固定費を下げることによって、損益分岐点の数値を下げることが可能になります。

5-3. 変動費を抑える

損益分岐点を下げるためには、変動費に着目する方法もあります。

例えば仕入単価を下げれば損益分岐点が下がり、利益率が高まりやすくなります。運送費の見直しや在庫管理の徹底といった方法で変動費を調整するのもいい方法です。
ただし、変動費削減によって製品やサービスのクオリティが下がってしまった場合、クレームや顧客離れのリスクが高まるので注意が必要です。

6. 損益分岐点を分析して経営に活かそう!

計算する手

損益分岐点は、売上と費用が一致し利益がゼロになるポイントのことをいいます。

つまり、損益分岐点を把握していれば、事業の収益率が理解できるということです。企業が損益分岐点に達する売上を獲得していない場合には、赤字経営ということになるので、企業の経営判断のためにも損益分岐点を適切に計算しなければなりません。算出された数値に問題があるときには、コストカットなどの適切な対処をおこうことも可能です。

このように、損益分岐点を分析すれば明確な利益目標がわかるので、正しい経営判断をするために上手に活用していきましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

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「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

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