流動資産とは?固定資産や流動負債との違いや分析ポイントを解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.7
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企業の会計において処理する資産には流動資産や固定資産、繰延資産といった種類があります。
流動資産は、短期間で現金化することが可能な流動的な資産を指します。
本記事では、貸借対照表に表示される流動資産の種類や扱う際のポイントについて解説します。
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1. 流動資産とは?
流動資産とは、企業が所有する資産のうち短期間で現金化ができる流動性の高い資産のことをいいます。
流動資産を現金化する目安は一年以内です。
在庫を販売したり売掛を回収したりすることで現金化できるものが流動資産に含まれます。
1-1. 貸借対照表で、流動資産は資産の部に記載する
貸借対照表では、左側に資産の部、右側に負債の部を記載します。
流動資産は左側の資産の部、左上側に記載してください。
流動資産には、すぐに現金化できるものとそうでないもの、どちらにも分類できないものの3種類に分けられます。
すぐに現金化できる当座資産には現金や預金など、そうでない棚卸資産には製品や原材料などがあります。
仮払金や立替金、短期貸付金などの流動資産はどちらにも分類できません。
1-2. 流動資産と固定資産の違い
流動資産は商品や売掛金、約束手形などの「短期的に現金化しやすい」資産であるのに対して、固定資産には土地や建物、ソフトウェアなどの「短期的には現金化しにくい」資産が含まれます。
固定資産も流動資産と同様に会社の資産となりますが、現金化の容易さが異なるため、分けて記載してください。
1-3. 流動資産と流動負債の違い
流動負債は、買掛金や短期借入金などの「1年以内に支払う義務のある費用」が含まれます。流動資産はすぐに現金を得られる権利を有するもの(会社の資産)であるのに対して、流動負債はすぐに現金を支払う義務があるもの(会社の負債)になるのです。
1-4. 流動比率とは
流動比率とは、貸借対照表において「流動負債を100%としたときの、流動資産の割合を示すものです。
流動負債が多く流動資産が少ない場合、会社の現金が不足して支払いが滞る可能性があります。そのため、流動負債と流動資産の比率を見比べて事前に対策する必要があるのです。
また、固定資産はすぐに現金化しにくい資産のため、流動比率では考慮しません。
流動比率は以下のように算出します。
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
一般的には100%を下回ると危険、120%を超えれば良いと言われていますが、業種や会社規模によって水準は異なります。掛売りが多い業種では、流動比率が120%を超えていても現金が足りなくなる可能性があるため注意しましょう。
2. 流動資産に含まれる勘定科目の例
流動資産には現金や預金のほか、有価証券、棚卸資産などさまざまなものがあります。
それぞれの流動資産の具体的な内容や特徴について見ていきましょう。
2-1. 現金や預金
現金や預金は流動資産の中でも最も扱いやすいものです。
手元にあるお金や銀行に預け入れているお金はすぐに使うことができるため、流動資産という扱いになります。
なお、会計上の現金預金には、小切手、1年以内に満期となる預金も含まれます。
2-2. 売掛金
売掛金とは商品やサービスを販売し、後日代金を受け取る約束をしている場合に発生します。
売掛金として処理した場合、未回収であっても流動資産として計上します。
2-3. 受取手形
債務者が債権者に対して満期日や取引銀行を指定して手形金額の支払いを約束した有価証券を受取手形と呼びます。
受取手形には約束手形や割引手形、為替手形といった種類があります。
受取手形は満期を迎えれば現金化できるのが一般的なので、流動資産として扱われます。
ただし、債務者の倒産など不測の事態によって回収できなくなるおそれもあるので注意が必要です。
2-4. 有価証券
所有している株券や社債券、国債証券などは有価証券として処理します。
売買や満期保有を目的として所有している有価証券のうち、満期日が1年以内のものが流動資産に該当します。
有価証券は資産運用の一環として購入しますが、売却すればすぐに現金化が可能です。
2-5. 商品や製品
棚卸資産の代表例に商品や製品が挙げられます。商品とは販売目的で外部から仕入れた物品などを、製品は販売目的で自社にて生産した物品などを指します。
また、製品の製造過程である仕掛品、製品の原材料や買い入れ部品なども棚卸資産として流動資産に計上します。
2-6. 前渡金
商品や材料を購入するにあたっては、仕入れ前に取引先に前渡金を渡すことがありますが、これも流動資産のひとつです。
前渡金は前金、手付金、内金と呼ばれることもあります。
2-7. 未収入金
未収入金とは営業以外の取り引きによって生じる債権のことをいいます。
固定資産や有価証券等の売却代金をまだ回収していない場合には未収入金として処理します。
家賃収入など、継続的にサービス提供を受けるための代金を後払いで受け取るケースでも未収入金として処理するのが一般的です。
2-8. 前払費用
契約後継続的にサービス提供を受ける仕組みのものは、その費用を数ヵ月分または年単位で前払いすることがあります。
この前払費用も流動資産として処理します。
前払費用として処理できるのは、年度末を迎えた時点でまだ提供を受けていないものに限ります。
つまり、来期にサービスを受けられるものに限り、流動資産として処理できるのです。
2-9. 貸倒引当金
貸倒れが起きるリスクに備えて事前に貸倒引当金を計上しておくことがあります。
企業の売掛金や受取手形、貸付金などは回収できるのが原則ですが、ときには受け取れなくなるケースもあるものです。
大きな貸倒れが起きてしまった場合、企業の資金繰りに大きな影響が出ることもあります。
流動資産のひとつとして事前に貸倒引当金を計上しておけば、万一のリスクに対処できます。
なお、貸倒引当金は債権に対して計上する特性があるため、流動資産のマイナス項目として記載されます。
3. 流動資産を分析するときのポイント
流動資産の内容を定期的にチェックすることで、リスクの回避や業務効率アップが見込めます。
流動資産を分析する際にとくに気をつけたいのは以下のようなポイントです。
3-1. 在庫を分析して在庫を抱えすぎないよう調整する
企業にとって最もわかりやすい資産は現金や預金です。
流動資産には現在所有している現金や預金だけでなく、将来的に現金に変わる見込みがある資産も含まれます。
資産が企業の利益につながらなければ、その投資は無駄になってしまいます。
企業は資産の有効活用のため、その内容を詳しく精査しておく必要があります。
たとえば、棚卸資産である在庫の量には注意したいものです。
在庫は多ければ安心と思われがちですし、まとめて仕入れることで単価を抑えられるケースもあります。
しかし、在庫が多いということはそれだけ企業の現金や預金が少なくなることにほかなりません。
在庫を捌いて現金や預金にするのには一定の時間がかかります。
時間とともに劣化する製品の場合、損につながってしまうおそれもあります。
また、在庫を抱えている間は保管スペースも必要となります。
こういったリスクについても考え、在庫を持ちすぎないなどの管理を行いたいものです。
3-2. 流動資産がキャッシュフローに及ぼす影響を考える
流動資産が予定通りに現金化できなかった場合、資金繰りが悪化するおそれもあります。
たとえば、借り入れにあたって定期預金を担保にしたときには預金の取り崩しができなくなります。
時価が下がったことで有価証券の帳簿価額が下がってしまうリスクも考えられます。
流動資産がキャッシュフローに及ぼす影響を考慮しておけば、大きなトラブルを防ぎやすくなります。
3-3. 売掛金や受取手形は入金をこまめに確認しておく
流動資産である売掛金や受取手形の扱いにも気をつけましょう。
売掛金や受取手形は現金化できる見通しで計上しますが、ときには不良債権となってしまうこともあります。
期末時には支払条件通りに入金されているかを必ず確認し、入金がないなどの問題が起きているときには早めに対処しましょう。
3-4. 帳簿のデジタル化で効率アップを目指す
手書きの帳簿で流動資産管理をするケースもあるものですが、効率アップを目指すのであれば、会計ソフトの導入などデジタル化を検討したほうがよいでしょう。
会計ソフトを利用すれば、記帳したデータが自動的にレポートに反映され、グラフなどでの分析や出力ができます。
結果的に、それぞれの流動資産の動きや今後の見通しを把握しやすくなります。
4. 流動資産の理解を深めて正しく分析しよう
貸借対照表にはさまざまな資産が表示されますが、中でも流動資産を含む科目は企業のお金の流れを把握するうえで重要です。
即座に使える現金や預金のほか、現金化のスピードが遅い棚卸資産など、流動資産の種類に合わせて分析や運用を行いましょう。
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