役員報酬の決め方や一般的な給与との違いを解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.17
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会社を設立するにあたってはさまざまなことを決めなければなりませんが、その中のひとつに「役員報酬」があります。
役員報酬を決めるにあたっては決められた手続きを経る必要がありますが、納得感のある金額でなければ、その手続きを完遂することが難しいことも考えられます。
本記事では、役員報酬とは何か、役員報酬と給与の違い、役員報酬を決めるときの注意点などについて説明します。
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1. 役員報酬とは?
役員報酬とは、役員に対して支払われる報酬のことを指します。
役員は、「取締役」「執行役」「会計参与」「監査役」「理事」「監事および清算人」などの肩書をもった人物を指します。
役員報酬は株主総会で決定され、従業員に支払われる給与のように、一定額が支給されます。
2. 役員報酬と給与の違い
上でも少し触れましたが、役員に支払われる役員報酬と従業員に支払われる給与は、会社から支払われるお金という点では同じようなものに思われます。
確かに役員報酬も従業員給与も、所得税の計算方法や年末調整の対象となる点では同じです。
ただし、給与はあくまでも会社と雇用関係を結んでいる相手に対して支払うものなので、雇用関係を結んでいない役員に対しては給与は支払えません。
そのため、役員に対して支払うお金は役員報酬と呼び、区別されているのです。
また、役員報酬は従業員給与とは異なり、金額の決定時と変更時に以下のような税務上のルールが設けられています。
・原則として事業年度を通じて一定額にする
・事業年度開始日(期首)から3ヵ月以内に変更しなければならない
・役員報酬を変更する場合、株主総会を開催し、変更についての株主総会議事録(合同会社の場合は同意書)を作成する必要がある
・事業年度開始日(期首)から4ヵ月以上経過した後に変更した場合、変更した分の報酬は損金にできない。ただし、役員の地位や職務内容を変更した場合や、経営状況が著しく悪化し、第三者との関係にも影響を与える場合についてはこの限りではない
・賞与を支払う場合は事前に支払う金額と時期を決定し、「事前確定届出給与」を税務署に提出する
役員報酬を決定する場合は、こういった税務上のルールに則って決める必要がある点には注意が必要です。
3. 役員報酬の決め方
役員報酬は、会社法や法人税法などで「定款または株主総会の決議によって定める」と規定されています。
まず、株主総会で役員報酬の総額を決定する必要がありますが、そのためには株主総会で過半数の賛成票が得られなければなりません。
株主総会で過半数の賛成票が得られれば、取締役会にて株主総会で決められた枠内で役員の個別報酬を決定します。
こちらも株主総会同様に、過半数の賛成票が得られることで可決となります。
なお、役員報酬を決めるにあたっては、株主総会と取締役会のいずれにおいても議事録を作成する必要があります。
4. 役員報酬を決めるときの注意点
役員報酬を決めるときの注意点としては、主に以下のようなことが挙げられます。
・会社の年間収益との兼ね合い
・個々の役員の職務内容
・会社の業績や従業員の給与支払状況
・税金、社会保険料との兼ね合い
・同業種、同規模の他社との兼ね合い
それぞれの注意点について、説明します。
4-1. 会社の年間収益との兼ね合い
役員報酬は、売上予測をもとにして利益を算出したうえで決定されます。
そのため、役員報酬が自社の利益を逼迫することのないように、慎重に判断することを心がけなければなりません。
会社に利益を残したいなら役員報酬は抑えるべきですが、ひとり社長のように個人と企業との区別がなく報酬を増やしたい場合は、高めに設定してもかまいません。
4-2. 個々の役員の職務内容
従業員同士はそれぞれ職務内容が異なるように、役員の職務内容もそれぞれ異なります。
そのため役員報酬も、それぞれの職務内容に見合った金額にするのが一般的です。
株主総会で過半数の賛成票が得られるのであれば、金額の割り振りはどうなっていても問題ないのですが、過半数の賛成票を得るためにも金額の公平性や透明性は求められます。
4-3. 会社の業績や従業員の給与支払状況
役員は会社と雇用関係にないとは言え、会社とのつながりがあることは間違いありません。
そのため、会社の業績が芳しくなかったり従業員の給与をなかなか上げられずに困っていたりする状況で、役員報酬だけを上げることは難しいです。
会社の業績や従業員の給与支払状況を鑑みて、納得できるような金額に調整することを心がけなければなりません。
4-4. 税金、社会保険料との兼ね合い
役員報酬の原資は当然ながら会社の利益なので、役員報酬が増えると会社の利益が減って、法人税や会社の健康保険料などが少なくなります。
その一方、役員報酬が増えると役員個人が負担する税金や社会保険料は高くなります。
役員報酬は、会社としての支出と役員個人の支出を踏まえたうえで、税金や社会保険料をなるべく抑えられる金額に設定するのがよいでしょう。
4-5. 同業種、同規模の他社との兼ね合い
役員報酬を決定する際には、同業種や同規模の他社と比較して高すぎないように、または低すぎないように注意する必要があります。
役員報酬が同業種や同規模の他社と比べて高すぎると、税務署から損金への計上を否認される恐れがあるためです。
また、低すぎる役員報酬は役員のやる気を削いでしまう可能性があります。
役員報酬を決定する際には、他社とのバランスを考慮することを意識しましょう。
5. 役員報酬を決める際はさまざまなことを考慮する必要がある
役員報酬は、読んで字のごとく役員に対して支払われる報酬のことを指します。
役員報酬は株主総会で決定されて一定額が支給されますが、役員は会社と雇用関係にあるわけではないので、役員報酬と給与は別物です。
役員報酬を決めるためには、株主総会で過半数の賛成票が得られなければなりません。
会社の年間収益との兼ね合いや同業種、同規模の他社との兼ね合いなどを踏まえて、適切だと思われる金額を設定することを心がけましょう。
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