電子帳簿保存法の請求書は受領側の要件が重要!保存方法や保存期間を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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電子帳簿保存法の請求書は受領側の要件が重要!保存方法や保存期間を解説

請求書の保存義務は5~7年あり、紙媒体で保存するにはコストや業務効率化の面で大きな負担がかかります。ペーパーレス化の促進運動もあり、請求書を電子化する動きが加速しつつあります。

しかし、請求書の電子化には発行者、受領者で注意すべきルールや保管方法がそれぞれ存在するため、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、電子帳簿保存法に沿って請求書を電子化するために押さえておく必要のある注意点や要件を解説します。

【調査レポート】2022年「改正電子帳簿保存法」に向けた各社の現状とは?

一部猶予が与えられた改正電子帳簿保存法ですが、各社の対応状況はいかがなのでしょうか。
そこで電子帳簿保存法に対応したシステムを提供するjinjer株式会社では「改正電子帳簿保存法対応に向けた課題」に関する実態調査を実施いたしました。

調査レポートには、

・各企業の電帳法対応への危機感
・電帳法に対応できていない理由
・電帳法の対応を予定している時期
・電帳法対応するための予算の有無について

などなど電子帳簿保存法対応に関する各社の現状が示されています。

「各社の電帳法の対応状況が知りたい」「いつから電帳法に対応しようか悩んでいる」というご担当者様はぜひご覧ください。

電帳法調査レポート

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1. 2022年の改正によって変化した請求書の保存方法

要件を記載している

請求書を含む国税関係書類は、電子帳簿保存法によって電子保存が認められています。2022年の法改正では、タイムスタンプの要件緩和や事前承認が不要になるなど、より電子化を進めやすい変更がされています。

しかし、一方で紙の請求書保存が宥恕措置を設けたうえで廃止されることになりました。

この宥恕措置は2年間ありますが、2023年末日に終了し、2024年からは電子データの書類をプリントアウトして紙で保存することができなくなります。

しかし、新たな猶予措置として特定の条件を満たしている場合に限り、改ざん防止や検索機能などの保存時に必要な要件への対応が不要になります。

準備が完璧でなくても電子データによる保存が認められることになるため、電子化が進んでいない場合でも対応しやすいです。

参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました|国税庁

2. 電子帳簿保存法における請求書の保管期間

請求書の電子化の話に入る前に、請求書の保管に関する法的規則をおさらいしておきましょう。個人と法人では保管期間が異なるため、混同しないように注意が必要です。

2-1. 法人の場合は7年間の保管期間

請求書を含む証憑書類の保管期間は7年間です。以前は大法人と中小法人で7年や5年と別れていましたが、現在は会社の規模に関わらず7年間の保管が必要です。

欠損金(赤字)が発生している場合は、保管期間が10年になる点に注意しましょう。

なお、控えを発行している場合は控えの保存義務も発生します。

2-1. 個人事業主の場合は5年間の保管期間

個人事業主における請求書の保管期間は5年です。ただし、消費税納税業者は7年間の保管が必要です。

インボイス制度への対応で消費税納税業者になっている場合は、この点に注意しましょう。

3. 請求書を電子保存する際のポイント

ここでは請求書の電子化における基礎知識を発行者・受領者に分けて紹介します。重要なポイントをしっかりと抑えて、正しい形で電子保存をしましょう。

関連記事:電子帳簿保存法で請求書をPDF化する際の送付・保存の注意点

3-1. 請求書を電子データで受け取る場合

請求書をPDFファイルなどの電子データで受領した場合は、以下の点に注意して保存しましょう。

受領した側は電子データで保管する必要がある

電子帳簿保存法の改正により、電子データで受領した書類は電子データで保管することが義務付けられることになりました。

そのため、社内で電子データ保存に対応できていない場合は、領収書や請求書を郵送してもらわなければなりません。

取引先にも手間をかけさせることになるため、急ぎ電子データを保存できるように整備する必要があるでしょう。

紙の請求書はスキャナ保存も可能

紙の請求書を受け取った場合は、そのまま紙の状態で保存できることに加えて、スキャナ保存することができます。

スキャナ保存すれば電子データとして取り扱えるため、ペーパーレス化の促進や保管コストの削減などができるでしょう。

ただし、スキャナ保存にはさまざまな細かい要件が規定されています。準備が整っていない場合は、国税庁が定めるスキャナ保存の要件を満たせるように準備しましょう。

参考:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】適用要件|国税庁

タイムスタンプの付与など、真実性を確保する必要がある

取引先から受け取ったPDFファイルの請求書をデータで保管する場合、データの改ざんを防ぐための措置も必要になります。

電子帳簿保存法における電子取引データ保存の要件では、「真実性の確保」として以下のいずれかを満たすことを義務付けているので、よく確認しましょう。

  • タイムスタンプが付与された書類を受領する
  • 受領後、入力期間内にタイムスタンプを付与する
  • 訂正や削除がおこなえない、または、訂正や削除の履歴が残るシステムを用いて保管する
  • 事務処理規程を定めて、規程に則った運用を徹底する

タイムスタンプは、電子データに固有のIDと日付データを付与して、特定の日付以降、データが一切変更されていないことを証明するものです。

以前は、タイムスタンプを発行者と受領者双方が付与しなければなりませんでした。

法改正により「どちらか一方が付与すればよい」と変更されただけでなく、「データが変更されていない」ことを確認できる仕組みを整えれば、タイムスタンプの代わりになることが明記されたのです。

3-2. 請求書を電子データで相手に送付する場合

受領する場合と同様に、送付する立場でも意識しなければならない点があります。受領時よりも注意点は少ないですが、確認しておきましょう。

電子データでの送付は可能

エクセルやワードでPDFファイルの請求書を作成して、取引先に交付することには問題ありません。

作成したPDFファイルでの保管も認められているため、ペーパーレスにできます。

先述のとおり、事前にタイムスタンプを付与してから送付する必要もありません。

ただし、取引先が電子データに対応していない可能性がある場合は、事前に確認しておくとトラブルを防げるでしょう。

電子データの請求書に印鑑はなくても良い

請求書には押印がされている印象が強いですが、法的には請求書に押印が必要であるとはされていません。

印鑑が押印されていれば、偽造しにくくなるメリットがありますが、絶対になければいけないものではないということです。

紙の請求書とは異なり、PDFの請求書に印鑑を押印するには印鑑の画像を用意する必要があるため、この点をしっておけばその手間を省くことが可能です。

取引先によっては、印鑑がないといけないという思い込みを持っている場合もありますが、丁寧に説明しておけば問題になることは少ないでしょう。

スキャナ保存も認められている

紙の請求書を受け取った場合と同様に、スキャナ保存して電子データとして保存することも可能です。

スキャナ保存の要件も同様であるため、導入すれば紙の請求書やそのほかの取引関連書類はすべて電子化が可能になります。

参考:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】適用要件|国税庁

相手企業と連携をとる

取引先企業に確認してから請求書の送付方法を決めるようにしましょう。

先述のとおり、電子データで受領した請求書は電子データで保管しなければなりません。

取引先が電子データの保存要件に対応できていない場合、再度郵送する必要が出てくるなど、お互いに手間が発生してしまいます。

4. 請求書を電子データで保管するための要件

請求書を電子データとして保管する際に必要な要件を紹介します。電子帳簿保存法で定められていますが、今後緩和や変更の可能性もあるため、2023年10月時点での情報として確認してください。

4-1. 電子データの保存要件(真実性・可視性の確保)

電子化した請求書を受領して電子データで保存するためには、真実性と可視性を確保しなくてはいけません。そのために必要な要件は以下の通りです。

① 訂正・削除履歴の確保(帳簿)

帳簿に係る電子計算機処理に、次の要件を満たす電子計算機処理システムを使用すること。

  • 帳簿に係る電磁的記録に係る記録事項について訂正または削除をおこなった場合には、これらの事実及び内容を確認することができること
  • 帳簿に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後におこなった場合には、その事実を確認することができること
② 相互関連性の確保(帳簿)

帳簿に係る電磁的記録の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと。

※2024年1月1日施行の電子帳簿保存法では、相互関連性の確保は「重要書類のみ」に限定されるようになります。

③ 関係書類等の備付け

帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書・仕様書・操作説明書・処理マニュアル等)の備付けをおこなうこと

また、電子帳簿保存法上の電子データの保存要件として、「可視性の確保」が求められています。要件は以下の④と⑤の2点です。

④ 見読可能性の確保

帳簿に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付けておくこと。

また、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。

⑤ 検索機能の確保

帳簿に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと。

(1)取引年月日、勘定科目、取引金額その他その帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
(2)日付または金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

※令和5年度の税制改正大綱にて、売上高5,000万円以下の事業者に対しては、求めに応じて提示・提出ができることを条件に「検索機能の確保が不要」となることが発表されました。

[参考]令和5年度税制改正大綱|自民党

4-2. スキャナデータの保存要件(真実性・可視性の確保)

紙の文書をスキャナでデータ化した際の保存要件は、電子データよりも厳格な規定がなされています。システムを整える際は要件を満たすように十分に注意しましょう。

①入力期間の制限

受領後概ね7営業日を目安に入力をおこなうこと。業務の処理に係る通常期間を経過した後に速やかに入力する場合は、最長2カ月+7営業日以内に入力をおこなうこと。

②一定水準以上の解像度及びカラー画像での読み取り

解像度が200dpi以上で、24ビットカラー以上でのカラー画像での読み取りであること。

一般書類はグレースケールでも問題ありませんが、誤って重要書類をグレースケールのまま取り込むと問題になります。そのため、すべての書類はカラーで保存したほうが確実です。

③タイムスタンプの付与

入力期間内にタイムスタンプを付与すること

※入力期間内に記録したことが確認できる場合は不要

④読み取り情報の保存

読み取った際の解像度やファイルサイズの情報を保存すること

※令和5年度の税制改正大綱にて、読み取り情報の保存を条件から削除することが発表されました。解像度と階調の水準は変更されていないため、注意しましょう。

⑤バージョン管理

訂正または削除をおこなった場合には、その事実と内容を確認できるシステムを使用すること

もしくは、訂正または削除をおこなえないシステムを使用すること

⑥入力者情報等の確認

スキャン処理をおこなう担当者とその監修者に関する情報を確認できるようにしておくこと

※令和5年度の税制改正大綱にて、入力者情報等の確認要件は廃止されることが発表されました。

また、紙の文書をスキャナでデータ化した際の保存要件として、「可視性の確保」が求められています。要件は以下⑦~⑩の4点です。

⑦帳簿との相互関連性の確保

スキャナデータと帳簿の記録事項の間の関連性を確認できるようにしておくこと

⑧見読可能装置の備付け

法令の要件を満たすディスプレイ・プリンタを備え付け、鮮明に、速やかに出力できるようにしておくこと

⑨システム関連書類の備付け

システム関係書類(システム概要書・仕様書・操作説明書・事務処理マニュアル等)の備付けをおこなうこと

⑩検索機能の確保

取引日、取引金額などの項目から保存データを検索できる機能が備わっていること

※2024年1月1日から、売上高5,000万円以下の事業者に対しては、求めに応じて提示・提出ができることを条件に「検索機能の確保が不要」となります

[参考]令和5年度税制改正大綱|自民党

5. 請求書を電子保存する際は電子帳簿保存法の保存要件を必ず満たそう

請求書は国税関係書類として5~7年間保存する義務がありますが、長期間大量の書類を保管するのはコストや業務効率の面から考えても負担が大きいものです。

しかし、そうした書類の大半は電子帳簿保存法によって、要件を満たせば請求書を電子化できるようになりました。

請求書の電子化を導入する企業にとっては、業務効率化や紙の使用量削減などのメリットがある一方で、要件を満たすために社内規定の整備やシステム導入・維持のコストが必要です。

今回ご紹介した内容を参考に、電子化システム導入前にしっかり準備をおこないましょう。

2020年、2022年の電子帳簿保存法改正を
わかりやすく総まとめ!

1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。

しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。

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・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
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など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。

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