電子帳簿保存法の事務処理規程とは?必要な理由や作成方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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電子帳簿保存法の事務処理規程とは?必要な理由や作成方法を解説

電卓を使って帳簿を記入する人

事務処理規程とは、オンライン上での取引データを保存する際に必要なデータ処理ルールです。

データの訂正・削除の履歴が残ったり、タイムスタンプ付与できたりするシステムを導入すれば、事務処理規程は必要ありません。しかし、システムに不具合があった場合や未対応の形式データを受け取ったときに備えて、規程を定めておく方が良いでしょう。

本記事では、電子帳簿保存法に対応したデータ保存で知っておくべき事務処理規程について詳しく説明します。「企業内の電子帳簿保存法への対応を見直すために、事務処理規程について把握したい」と考えている企業担当者は、ぜひご一読ください。

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1. 電子帳簿保存法の事務処理規程とは

書類にパスワードをかける

事務処理規程は、真実性の確保を満たすために必要なデータ保存方法の条件です。電子取引データは、以下の二つを満たす必要があります。

要件 内容
真実性の確保 保存されたデータに改ざんや不正がないことを証明できる
可視性の確保 保存されたデータが速やかに検索・提示できる

要件の一つである真実性の確保のためには、以下のいずれかを満たさなければなりません。

  • 事務処理規程を制定し、則った運用をおこなう
  • タイムスタンプ後に取引情報を受け取る
  • 速やかに取引情報を受け取ったあと、タイムスタンプを付与する
  • 訂正・削除の記録が残るシステムで情報の授受および保存を実施する
  • 訂正・削除を禁止しているシステムで情報の授受および保存を実施する

2024年1月から施行される改正電子帳簿保存法では、電子取引データの保存が義務化されます。そのため、自社に合った「真実性の確保」の方法を検討することが大切です。

電子帳簿保存法の事務処理規程は国税庁のホームページからひな形をダウンロード可能です。テンプレートをダウンロードしておけば、フォーマットや書き方に迷うことがないでしょう。

関連記事:電子帳簿保存法のタイムスタンプって何?不要となる要件や保存方法を解説

2. 電子帳簿保存法において事務処理規程が必要な3つの理由

書類にタイムスタンプを付与する

タイムスタンプ付与できるシステムなどを導入していても、以下の理由から規程の作成が大切です。

  1. システムがデータ形式に対応できない場合がある
  2. システム導入後のデータ移行が難しい
  3. 内部統制の強化につながる
  4. 業務手順やノウハウを共有しやすくなる

この章で、事務処理規程が必要な理由を詳しく確認しましょう。

2-1. システムがデータ形式に対応できない場合がある

真実性の確保の1つを満たしていても、取引先から授受するデータ形式はさまざまなため、システムが対応できない場合があります。

電子取引データのフォーマットは定められておらず、取引先から送られてくる形式のデータは千差万別です。そのため、利用しているシステムだと授受できない可能性を考えておかなくてはいけません。

システムの改修や変更によってデータ形式に対応することもできますが、コストや手間の増加につながります。特にそのままのシステムを利用していく場合、規程を定めておくと不足機能を補えるでしょう。

2-2. システム導入後のデータ移行が難しい

システムだけで電子帳簿保存法に対応しようとすると、データ移行が難しい場合があります。真実性の確保を満たすためには、同じシステム内でデータ受け取りと保存をおこなう必要があるからです。

例えば、システムAで受け取ったデータをシステムBで保存すると、データ保存に係る条件を満たせているとは言えません。また、システムAで授受と保存をしたデータをシステムBに移動することも要件を満たしていないことになるため、注意が必要です。

データを移行することは、企業の業務効率化やコスト削減の目的でもおこなわれます。柔軟に対応するためにも、事務処理規程を定めておくと安心です。

2-3. 内部統制の強化につながる

事務処理規程を定めることは、企業の内部統制強化につながります。正当な根拠をもたない不正処理を防止できるからです。ルールが明確になることで、業務手順や内容を伝えやすくなります。

また、事務処理規程にはデータ管理の責任者や保存範囲を明記する必要があるため、問題発生時にもスムーズな対処が可能です。保存するデータが決められていることで、保存不要なデータの電子化も防げます。

2-4. 業務手順やノウハウを共有しやすくなる

事務処理規定を定めることで、業務手順やノウハウが共有しやすくなります。事務処理規程には訂正が発生した際の手順が記載されています。そのため、引継ぎをはじめ、業務手順やノウハウの共有負担を軽減可能です。業務手順やノウハウが共有しやすくなれば、業務の属人化も防止できます。

3. 電子帳簿保存法において事務処理規程が不要な場合

紙で事務処理をする人

事務処理規程は、以下の基準に適合するシステムを導入している場合は不要です。

  • タイムスタンプ付与ができる
  • 訂正削除の事実・内容が確認できる
  • 訂正削除が禁止されている

しかし、取引先から受け取る電子取引データの形式はさまざまです。また、1つのシステムの中で「授受」および「保存」の2つを満たさなければなりません。

システムの運用が早期に終了する可能性もあり、電子取引データ移行が必要となることの考慮も必要です。そのため、システムを導入していても、事務処理のルールを定めておくことで安心が得られるでしょう。

事務処理規程では、細かいルールを設定する必要があるだけでなく、データの訂正削除をおこなうために複雑な手順が必要です。基本的にはシステムを活用し、補助的な役割として事務処理規程を用意しておくと良いでしょう。

4. 電子帳簿保存の事務処理規程の項目

電子帳簿を作成する人

事務処理規程における記載が必須な項目は、以下のとおりです。

項目 概要
目的 定めた目的や引用している法律
適用範囲 規程が適用される役員および従業員の範囲
管理責任者 規程に関する責任者
電子取引の範囲 具体的な取引の範囲
取引データの保存 該当データを保存する場所と期間
対象となるデータ 具体的な保存するデータの情報
運用体制 保存する情報の管理・処理責任者
訂正や削除の原則禁止 基本的に訂正・削除が禁止であることの明記
訂正や削除をおこなう場合 訂正・削除をおこなう場合の方法やルール

9つの項目を記載しないと、事務処理規程を策定していると認められないため、注意が必要です。特に項目の中でも、以下の2つの記載内容に注意しましょう。

  • 電子取引の範囲
  • 取引データの保存

記載漏れやミスがないように、しっかりと確認することが大切です。

参照:参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁

4-1. 電子取引の範囲

電子取引の対象範囲は、明確かつ過不足なく記載することがポイントとなります。具体的な例は、以下のとおりです。

  • EDI(電子データ交換)取引
  • クラウド(インターネット経由の)サービスを利用した請求書など
  • 電子メールを利用した請求書など
  • Webサイトでの利用明細
  • クレジットカードで決済した利用明細
  • ICカードやアプリ決済サービスで決済した利用明細など

建替経費も電子取引の対象のため、取引の対象範囲を従業員へしっかりと周知しておく必要があります。

4-2. 取引データの保存

オンライン上で取引したデータは、最低7年間の保存が義務付けられています。しかし、青色申告の事業年度に利益がマイナスとなった場合、保存期間が最長10年に延びることに注意が必要です。

欠損金が生じた場合に備えるためにも、10年以上の期間を設定しておくと良いでしょう。

5. 電子帳簿保存法の事務処理規程のサンプル

事務処理の結果をPCに入力する人

国税庁が出しているサンプルを参考に、自社に合った規程を作成すると良いでしょう。サンプルには、事務処理規程に記載する事項が載っており、参考にしながらオリジナルの規程が作成できます。

事務処理規程は、運用体制に応じた定期的な見直しが大切です。現在の体制に、作成した業務規程が合っているか、定期的に見直すと良いでしょう。

サンプルは、法人・個人事業主ともに、Word形式でダウンロードできます。サンプルを雛形とすることで、作成時間や手間の省略が可能です。

参照:参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁

6. 電子帳簿保存法に対応した事務処理規程を作ろう

電卓を入力する人

電子帳簿保存法に対応した事務処理規程を備えておけば、会計システムやソフトが不要です。そのため、事務処理に予算をかけたくない企業は検討すると良いでしょう。

システムを導入していれば企業内で規程を確立する必要はありませんが、整備しておくことで、さまざまなメリットがあります。不具合への対応や内部統制強化につながるでしょう。

電子帳簿保存法の改正を機会に、一度自社の対応を見直してみてください。

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