電子帳簿保存法のタイムスタンプって何?最新の要件や改正内容を解説 | jinjerBlog

電子帳簿保存法のタイムスタンプって何?最新の要件や改正内容を解説

タイムスタンプ

1998年に施行された電子帳簿保存法により、かつては紙で保管されていた文書を電子データとして保存することが可能となりました。

しかし、電子文書での安全なデータ保存をおこなう場合には、データの信頼性を証明するものとして「タイムスタンプの発行」をおこなう必要があります。

2020年には電子帳簿保存法の緩和によって、より企業の経費精算業務は電子帳簿保存法に対応していきやすくなりました。

今回は、電子帳簿保存法により必須となっているタイムスタンプの概要のほか、その役割や発行方法、タイムスタンプのルール等についてご紹介します。

【調査レポート】2022年「改正電子帳簿保存法」に向けた各社の現状とは?

一部猶予が与えられた改正電子帳簿保存法ですが、各社の対応状況はいかがなのでしょうか。
そこで電子帳簿保存法に対応したシステムを提供するjinjer株式会社では「改正電子帳簿保存法対応に向けた課題」に関する実態調査を実施いたしました。

調査レポートには、

・各企業の電帳法対応への危機感
・電帳法に対応できていない理由
・電帳法の対応を予定している時期
・電帳法対応するための予算の有無について

などなど電子帳簿保存法対応に関する各社の現状が示されています。

「各社の電帳法の対応状況が知りたい」「いつから電帳法に対応しようか悩んでいる」というご担当者様はぜひご覧ください。

電帳法調査レポート

1. 電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの仕組み

法対応

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとはどのようなものなのでしょうか。

こちらでまず確認をしていきましょう。

1998年7月に制定された電子帳簿保存法は、かつて紙でのみの保存が認められていた取引関係書類の全部もしくは一部について、電子データで保存することを認めた法律です。

しかし、電子データ改ざんの可能性が危惧されたため、「タイムスタンプ」を付与することが要件となったのです。

電子帳簿保存法では、3つの要件について、具体的に定められています。

1-1. 電子帳簿保存法で定めている3つの要件

・国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存(記録をパソコンで作成した際の保存方法)
・国税関係帳簿書類をスキャナで読み取る電子保存(紙をスキャナで取り込む保存方法)
・電子取引の取引情報の電子保存(インターネットを利用した取引の保存方法)

電子データでの書類を紙と同レベルの信頼性をもつ正式な書類として保存するためには、保存されているデータが「改ざんされていない原本書類である」原本性を証明するものが必要です。

「タイムスタンプ」とは、この原本性を証明する技術として編み出されたものを指します。

タイムスタンプは、電子データと時刻を組み合わせて構成されており、

・スタンプを付与する時間にデータが確実に存在していたこと
・スタンプの付与を受けた時間からデータが変更されていないこと

の2点を証明する手段となります。

信頼性のある電子データであるかどうかを確認するためには、このタイムスタンプの情報を調べるとよいでしょう。

1-2. タイムスタンプがデータの信頼性を高める

タイムスタンプは、信頼できる第3者機関である時刻認証局(TSA:Time-Stamping Authority)が発行をおこなっていることから、より信頼性が高いものとして認識されています。

そのため、電子データにタイムスタンプを付与することが、改ざんのない、確実に存在した書類であるという証明へとつながります。

容易に改ざんできる可能性があるとみられがちな「電子データの信頼性」を高めるという意味でも、タイムスタンプは、非常に重要な位置付けにある技術といえるでしょう。

ここまで解説してきましたが、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの仕組みについては別途詳しい記事がございますので、興味のある方は併せてご覧頂ければと思います。

2. 2020年の電子帳簿保存法の改正で変わるタイムスタンプ

ポイント

今回の緩和は電子取引に重点が置かれており、電子マネーの普及や2023年に実施が予定されているインボイス制度を見据えた緩和だと予測することができます。

2020年の電子帳簿保存法の緩和では、次の2点が変化しました。

・受領者側のタイムスタンプが一部不要になる
・領収書が一部不要になる

以下、具体的にこれら2点の役割についてご紹介します。

2-1. タイムスタンプが一部不要になる

タイムスタンプとは「その時刻にデータが存在し、改ざんが行われていない」と証明するためのものです。

これまでは発行者側と受領者側の両方にタイムスタンプの付与が必要でしたが、電子帳簿保存法に対応した管理をしていれば、受領者側のタイムスタンプは不要となります。

3-2. 領収書が一部不要に

クレジットカードやSuicaなどの交通系ICカード、PayPayなどのQRコード決済を利用した場合、システムと連携されていれば利用明細が自動で会社のシステムに送られるため、従業員の経費処理も不要になります。

この場合は「利用明細が領収書の代わり」になります。

3. 2022年施行の電子帳簿保存法で変わるタイムスタンプ

変更

電子帳簿保存法は継続的に改正を続けておりますが、2022年1月1日から、タイムスタンプを始めとした電子帳簿保存法の要件の改正が施行されます。ここでは、タイムスタンプに関する最新の改正内容について解説します。

3-1. 要件を緩和する背景

電子帳簿保存法はスキャン保存制度による生産性の向上や納税者の負担軽減などを目的としていましたが、対応ハードルが高いことがやはり問題となっておりました。

電子保存のために事前申請をおこなう必要があることや、定期検査時の原本の確認などの煩雑な作業は引き続き必要だったため、制度の利用率が極端に低いという実態がありました。

そこで電子帳簿保存法は2022年1月1日から「書類のスキャナ保存制度」と「電子取引のデータ保存規程」の2つを緩和する動きとなったのです。

大きく分けて今回の改正のメリットは「電子帳簿保存法の申請準備が不要になる」「タイムスタンプが実質不要になる」「機能要件の緩和によって対応可能なシステムが普及する」の3つです。

ここからは、各要件の緩和に関して解説します。

3-2. 書類のスキャナ保存制度の緩和要件

ここでは、2022年1月1日から施行されるスキャナ保存制度の緩和要件を解説します。

① タイムスタンプ要件の緩和

一つ目はタイムスタンプ要件の緩和です。

画像データの修正や削除履歴が残るシステムを利用している場合は、タイムスタンプ要件が廃止になります。つまり、電子帳簿保存法に対応している経費精算システムを使用すれば、タイムスタンプは必要なくなるということです。

② 検査などが不要となり、1人でデータ化と書類の廃棄が可能に

これまでは「適正事務処理要件」として、事務処理の定期検査や相互けん制が必要でしたが、2022年1月1日からは不要となります。

これによって、担当者は一人でデータ化や書類の破棄が可能になります。

③ 書類の入力期限が書類の受け入れから「2ヶ月以内」に変更

書類の入力に関して、入力の期限が書類の受け入れから2ヶ月以内の入力に統一されます。

④ 検索要件の緩和

これまでの検索要件では、さまざまな項目での検索が可能な状態が求められていましたが、「取引年月日・取引金額・取引先名称」の最低3項目に緩和されます。

このように、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを使用することで、これまでよりも手間や煩雑な管理を必要とせずに電子帳簿保存法へ対応できるように法律の内容が変化しています。

3-3. 電子取引のデータ保存規程のポイント

ここでは、2022年1月1日から施行される電子取引のデータ保存規程での緩和要件を解説します。

① クラウドサーバ上での保存が可能に

電子取引のデータを定められた納税地で保存閲覧できれば、要件を満たしたことになり、クラウドサーバー上でデータの保存をすることが可能になります。

② データを保存する際の措置

【1】送信者側、受領者側においてタイムスタンプの検証および、受領者側においてタイムスタンプの検証と一括認証機能が必要になる。

【2】送信者と受信者において取引データにおいて遅延なく、タイムスタンプを付与する。令和4年の1月1日以降は、約2月以内にタイムスタンプを付与する。

【3】適切なシステムを利用する必要があります。電子取引データを訂正したり、削除できないシステム、またはデータを削除したり、訂正した際の履歴が残り、内容を確認できるシステムを使用すること(主にクラウドシステム)。

【4】訂正削除等の防止に関する事務処理規程を作成する必要があります。正当な理由がない訂正及び削除に対する防止のための事務処理の規程を定めましょう。

③ 電子取引データの保存要件

【1】関連書類の備付けが必要になります。電子取引データの授受システム等のシステム概要書や操作マニュアル等を準備しておきましょう。

【2】見読性の確保が必要です。保存期間中、電子取引データは整然とした形式で明瞭な状態で出力できる必要があります。

【3】電子取引データに対しては、取引データの種類ごとに「取引年月日」・「取引金額」・「取引先名称」のほか主要な項目で検索することができます。

電子帳簿保存法 資料

4. タイムスタンプの利用方法とルール

ルール

こちらでは、タイムスタンプの発行方法や、タイムスタンプ発行が可能な事業者、またにタイムスタンプ発行時の注意点等ついてご紹介していきましょう。

4-1. タイムスタンプの発行方法

タイムスタンプ発行の手順は、以下の通りとなります。

1. タイムスタンプの対象となる書類を用意する
2. 書類のスキャンまたは撮影をおこなう
3. 画像をタイムスタンプシステムにアップロードする
4. タイムスタンプ事業者からタイムスタンプを付与される

電子帳簿保存法で「スキャナ保存」を認められている書類については、タイムスタンプの付与が必要となっています。

次に、実際にタイムスタンプを付与する流れについても確認していきます。

4-2. タイムスタンプ付与の流れ

タイムスタンプ付与の流れは、以下の通りとなります。

1. 認定事業者にタイムスタンプ発行を依頼する
2. 保存したい電子データのハッシュ値をタイムスタンプ事業者に送信する
3. タイムスタンプ事業者側でハッシュ値と時刻情報を合成し、タイムスタンプトークン(証明書)を発行する

利用者側で証明が必要となった際は、タイムスタンプトークンとハッシュ値を照合し、データの信頼性を証明します。

なお、タイムスタンプトークンとハッシュ値を照合する際は、タイムスタンプ事業者から鍵を受け取る必要があります。

なお、ここでいう「タイムスタンプを付与するタイムスタンプ事業者」とは、一般財団法人日本データ通信協会の「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定を受けたスタンプ発行業者のことを指します。

4-3. 日本データ通信協会から認定を受けているタイムスタンプ事業者

日本データ通信協会から「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定を受けているタイムスタンプ事業者(時刻認証業務認定事業者)とサービスは、次の通りです。

・アマノセキュアジャパン株式会社「アマノタイムスタンプサービス3161」
・セイコーソリューションズ株式会社「セイコータイムスタンプサービス」
・株式会社TKC「TKCタイムスタンプ」
・三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社「MINDタイムスタンプサービス」
・株式会社サイバーリンクス「サイバーリンクス タイムスタンプサービス」

タイムスタンプは、この認定を受けている事業者のみが発行可能となっています。

4-4. タイムスタンプの付与が必要な書類

タイムスタンプの付与が必要な書類は、以下の通りとなります。

・契約書、領収書
・預かり証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形、有価証券受渡計算書、社債申込書、契約の申込書、請求書、納品書、送り状
・検収書、入庫報告書、貨物受領書、見積書、注文書、契約の申込書

なお、これらの書類の写しについてもタイムスタンプの付与が必要となります。

4-5. タイムスタンプの付与時の注意点

タイムスタンプを付与時には、以下の4点について注意しなければなりません。

ここで確認をしておきましょう。

1. 電子文書の原本は検査終了まで破棄できない
2. タイムスタンプ発行の実施時期
3. 担当者の設置
4. 定期的な検査の実施

以下、具体的にこれら4つの注意点についてご紹介します。

1. 電子文書の原本は検査終了まで破棄できない

原則、現在の電子データは、電子証明書とタイムスタンプが付与されている場合、原本の破棄が可能となっています。

しかし、タイムスタンプ付与が完了しているものであっても、定期検査が終了していないものについては原本の破棄が不可となっていますので、注意が必要です。

2. タイムスタンプ発行の実施時期

タイムスタンプの発行については、領収書や請求書の電子化を行ったあと、電子書類に署名をしたうえで3日以内に実施することとなっています。

3. 担当者の設置

書類のスキャン担当者と、担当の監督者については、あらかじめ決めておく必要があります。

4. 定期的な検査の実施

書類の受領からタイムスタンプ付与・承認までについては、必ず2人以上で実施すること、1年につき1回以上は担当者以外が検査を実施するようにしましょう。

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5. タイムスタンプを利用する際の費用

費用 注意

タイムスタンプを発行するためには、費用がかかります。

費用はタイムスタンプ事業者により異なりますので、利用の際には各タイムスタンプ事業者に問い合わせる必要があります。

電子帳簿保存法で必須のタイムスタンプ費用や導入方法については他の記事で解説しておりますので、別途併せてご確認頂ければと思います。

ここでは認定タイムスタンプ事業者の1つである、アマノ株式会社が発行する「アマノタイムスタンプサービス3161」を例に費用を確認してみると、次の通りとなっています。

メニュー 初期導入費用 月々のランニング費用
従量制 ・アカウント発行費用:1アカウントあたり¥6,000(税抜) ・月額基本料金:¥8,000(税抜)

※基本料金には、1000スタンプ利用分を含む

・アカウント管理費用:1アカウントあたり¥500(税抜)

定額制 ・アカウント発行費用:1アカウントあたり¥6,000(税抜) ・オープン価格

※秒制限の設定ごとで料金が異なる

(1スタンプあたり1秒・5秒・10秒・20秒・30秒)

※参考:アマノタイムスタンプサービス3161 Type-T 利用料金(アマノセキュアジャパン株式会社)

従量制は、1ヶ月ごとの利用数に応じた料金設定となっているため、利用数が少ない場合におすすめです。

定額制の場合は、利用数に依存しない料金設定となっているので、量の大小にかかわらず固定料金を希望する場合に、ぴったりのメニューとなります。

このように、利用内容により複数の料金メニューを設定しているタイムスタンプ事業者もありますので、タイムスタンプの発行が必要な場合は、直接事業者に確認をとってみましょう。

電子帳簿保存法 資料

6. タイムスタンプはこれからのペーパーレス化に欠かせない技術!

ペーパーレス化

今回は、電子帳簿保存法のタイムスタンプの仕組みや役割・費用等のポイントについてご紹介しました。

電子データの信頼性を証明するタイムスタンプは、今後さらに進むことが予想されるペーパーレス化社会の中において、データの信頼性を証明するためにも欠かせない技術となってくるはずです。

業務上のコスト削減や業務効率アップのためにも、積極的な技術活用をおすすめします。

関連記事:電子帳簿保存法に基づくタイムスタンプを付した契約書作成方法

電子帳簿保存法のタイムスタンプについてお調べ中の経理担当者様へ

1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月と2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。

しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。

「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。

資料では

・2020年10月の改正内容のポイント
・2022年の最新の改正内容とポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件

など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。

「電子帳簿保存法への対応を少しずつ考えたいが、何から始めたらいいかわからない」という経理担当者様は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。

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