電子帳簿保存法でスマホが活用可能に!申請から要件まで総まとめ!
更新日: 2022.12.7
公開日: 2020.11.27
古屋匠憲
1998年に制定された「電子帳簿保存法」は、時代とともに改定されてきており、書類や領収書の電子化・ペーパーレス化は着々と進んでいます。
2016年にはスマホやデジタルカメラで撮影した画像データも認められるようになりました。
しかし、単にスマホで撮影しただけでは、実は不十分なのです。
電子帳簿保存法におけるスマホでの撮影・保存方法について、その注意点とともに解説します。
【調査レポート】2022年「改正電子帳簿保存法」に向けた各社の現状とは?
一部猶予が与えられた改正電子帳簿保存法ですが、各社の対応状況はいかがなのでしょうか。
そこで電子帳簿保存法に対応したシステムを提供するjinjer株式会社では「改正電子帳簿保存法対応に向けた課題」に関する実態調査を実施いたしました。
調査レポートには、
・各企業の電帳法対応への危機感
・電帳法に対応できていない理由
・電帳法の対応を予定している時期
・電帳法対応するための予算の有無について
などなど電子帳簿保存法対応に関する各社の現状が示されています。
「各社の電帳法の対応状況が知りたい」「いつから電帳法に対応しようか悩んでいる」というご担当者様はぜひご覧ください。
1. 電子帳簿保存法で電子データ化できる書類・できない書類
2005年に施行された「e-文書法」では、紙の書類や領収書などを電子化する場合は原稿台と一体となったスキャナを使うことが規定されていました。
しかし、2016年からはスマホやデジタルカメラで撮影して電子化することも認められています。
1-1. スマホで電子保存ができる書類
領収書(レシート含む)以外にも、以下のような書類が電子保存の対象となります。
1-2. スマホで電子保存ができない書類
2. 電子帳簿保存法におけるスマホ撮影の要件
電子帳簿保存法では、書類をスマホで撮影・保存する際の要件が規定されています。
この要件を満たしていない場合、認められない可能性が高くなります。
スマホで撮影する際のルールを理解して、不安なく電子帳簿保存法への対応をしましょう。
2-1. 解像度387万画素以上、24ビットカラー以上であること
スマホやデジタルカメラで撮影する際、解像度は「25.4ミリメートルあたり200ドット以上」を満たしていなければならないことが、規則第3条第5項第2号イ(1)に規定されています。
これに基づくと、たとえばA4サイズの書類を保存する際には387万画素以上の解像度が必要となります。
さらに、24ビットカラー(256階調)以上で撮影しなければなりません。
2-2. 領収書の画像には「タイムスタンプ」が必要
スマホやデジカメなどで撮影した画像には、「タイムスタンプ」が必要になります。
① 電子データを「原本」扱いにするタイムスタンプ
電子データは比較的データの改ざんが容易なため、それを防ぐためにタイムスタンプが必要になるのです。
また、タイムスタンプが押されていない領収書は「原本」として扱うことはできません。
経費精算自体は電子化しておこなうことができますが、紙の原本は引き続き保管する必要がありますので注意が必要です。
② タイムスタンプは領収書の受け取りから「概ね3日以内」に付与する
※2021年の電子帳簿保存法改正により、2022年の施行より最長約2か月と概ね7営業日以内になります。 |
書類を電子化する際は、「概ね3日以内」にタイムスタンプを付与できるようにしましょう。
紙のまま長い間電子化をせずに領収書を所持していると、紛失や改ざんなどの可能性が出てしまうためです。
領収書を受け取った際は速やかにタイムスタンプを付与して安全性を確保しましょう。
電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについても別途解説しておりますので、興味のある方はご検討ください。
2-3. 「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出する必要
※2021年の電子帳簿保存法改正により、税務署長への事前承認制度が廃止されました。 よって2022年の施行より申請が不要となります。 |
電子帳簿保存法を利用するためには、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出する必要があります。
利用を開始する3カ月前には提出して承認をもらっておきましょう。
2-4. 領収書を撮影後にすぐ捨てるのはNG
スマホで撮影・保存が終わったからと、すぐに書類を捨ててしまってはいけません。
タイムスタンプを付与したから原本はもういらないと思われがちですが、定期検査が終わるまで原本は保管する必要があります。
1年に1回以上おこなう「定期検査」が終わってから原本を処理するようにしましょう。
※2021年の電子帳簿保存法改正により、適正事務処理要件(相互けん制、定期検査等)が廃止されました。 よって2022年の施行より不要となります。 |
3. スマホを使用した領収書電子化の業務フロー
書類をスマホで撮影・保存する方法は、清算システムごとに異なります。
ここでは、領収書を例にとって、一般的な撮影・保存の流れをご紹介しましょう。
1.領収書を受け取り後、すぐに自分の名前を書きこむ
2.スマホの専用アプリで領収書を撮影する
3.撮影データをクラウドにアップすると、自動的にタイプスタンプが付与される
4.システムが、領収書から日付や金額を自動的に読み込んで表示する
5.表示内容を確認し、必要に応じて用途などを入力して、承認ボタンをタップする
6.上司→経理担当の順に承認申請通知が送られ、承認が進むと清算が完了する
上記のように、清算を申請する人は、スマホで撮影し、必要事項を入力、ボタンを押すだけで清算作業が完了します。
上司や経理担当者も紙ベースで確認する必要がないため、どこにいても承認処理が可能です。
4. 要件に注意してスムーズな電子化を
書類の電子化がスマホで行えるようになったことで、いつでもどこでもすぐに処理ができ、作業や管理のコストが大幅に削減できます。
しかし、決められた要件をクリアする画像でなければ、取り直しや差し戻しの手間が発生することになります。
そのような些細なミスが重なれば、経理システムを導入したとしても、その安くない初期コストが回収できません。
ぜひ、要件をきちんと把握したうえで、書類のスマホ撮影をおこなってください。
2020年、2022年の電子帳簿保存法改正を
わかりやすく総まとめ!
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。
しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。
「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
資料では
・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
・2020年10月の改正内容と2022年の最新内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件
など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。
「電子帳簿保存法への対応を少しずつ考えたいが、何から始めたらいいかわからない」という経理担当者様は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
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