無形固定資産とは?種類や減価償却の方法を紹介
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.13
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会社にはさまざまな「資産」があり、非常にさまざまなものが資産として考えられます。
その中には分かりやすい資産もあれば、具体的な形を持たずに一見すると資産かどうか分からないようなものもあり、それらは「無形固定資産」に該当することが多いです。
本記事では、無形固定資産とはどのような資産か、無形固定資産の減価償却方法などについて説明します。
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1. 無形固定資産とは?
会社の資産は大きく、「固定資産」「流動資産」「繰延資産」の3つに分類され、それぞれ以下のように定義されます。
固定資産:会社が長期間にわたり保有するものや1年を超えて現金化される資産
流動資産:1年以内に現金化される資産
繰延資産:その効果が将来にわたって及ぶものとして、税法上・会計上資産として計上すべき資産
そしてこれらの中でとくに「固定資産」は、具体的な形態を持っているかどうかによって、「有形固定資産」と「無形固定資産」にさらに分類されます。
つまり無形固定資産とは、会社が長期間にわたり保有するものや1年を超えて現金化される資産のうち、具体的な形態を持たないもののことを指します。
2. 無形固定資産の種類
・特許権
・商標権
・実用新案権
・意匠権
・借地権
・鉱業権
・ソフトウェア
・のれん
・電話加入権
それぞれについて、説明します。
2-1. 特許権
特許権は、工業所有権のひとつです。
特許法に基づいて登録された発明(発明とは、自然法則を利用した技術的思想のうち高度なもの)を、独占的・排他的に行使できる権利のことを指します。
2-2. 商標権
商標権は、工業所有権のひとつです。
商標法に基づいて登録された商標を、独占的・排他的に行使できる権利のことを指します。
2-3. 実用新案権
実用新案権は、工業所有権のひとつです。
実用新案法に基づいて登録された産業上の物品の形状・構造・組合せについての考案を、独占的・排他的に行使できる権利のことを指します。
2-4. 意匠権
意匠権は、工業所有権のひとつです。
意匠法に基づいて登録された意匠を、独占的・排他的に行使できる権利のことを指します。
2-5. 借地権
借地権は、建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる権利のことを指します。
借地権には賃借権と地上権の2つがあり、賃借権の場合は第三者に建物を売却する際に地主の承諾が必要になりますが、地上権の場合は自由に売却や転貸することが可能です。
2-6. 鉱業権
鉱業権は、鉱業法にもとづいて、一定の区域において鉱物のある地層から鉱物を採掘し、取得することができる権利のことを指します。
鉱業権は、許可を受ければすぐに権利として成立するものではなく、鉱業原簿と呼ばれる台帳に登録されないと権利にはなりません。
また、土地の所有権を持っている場合でも、鉱物を採掘してその鉱物を取得するためには、一部の例外を除いて鉱業権が必要になります。
2-7. ソフトウェア
ソフトウェアとは、コンピュータを働かせるためのプログラムの総称です。
コンピューターに一定の仕事を行わせるためのプログラムや、システム仕様書・フローチャート等の関連文書のプログラムなどまで含めて、「ソフトウェア」として扱われます。
無形固定資産の対象となるのは、自社で制作したソフトウェアです。
2-8. のれん
のれんとは、企業が買収や合併で支払った金額のうち、買収先企業の純資産を上回った差額のことを指します。
買収された企業にとっての「ブランド的価値」、と考えることも可能です。
のれんは買収先の企業の収益力と直結しており、買収元の企業によって見積もられた収益力が高ければ高いほど、のれんの金額も上がっていくことになります。
2-9. 電話加入権
電話加入権とは、固定電話の回線を利用できる権利のことを指します。
相続財産のひとつであり、譲渡・承継・改称が可能です。
3. 無形固定資産の減価償却方法
無形固定資産を含むすべての資産は、「減価償却資産」と「非減価償却資産」の2つに分類されます。
「非減価償却資産」とは、経年によって価値が下がらない資産のことを指し、無形固定資産の中では借地権や電話加入権などが該当します。
非減価償却資産以外の資産は減価償却資産となるので、減価償却という費用計上が必要になります。
減価償却とは資産の取得費を一括で損金に算入せず、その耐用年数に応じて少しずつ経費に計上する会計処理のことです。
減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2つがあり、定額法では毎年一定の金額を費用計上し、定率法では毎年の資産の価値に一定の割合を掛けて費用を計上します。
無形固定資産の減価償却を行う場合は、残存価額を考慮しない定額法が基本的に用いられます。
たとえば、商標権の当期における減価償却限度額が8万円の場合、決算整理における仕訳は以下のような形で行われます。
借方 減価償却費 8万円 / 貸方 商標権 8万円
なお、事業年度の途中から資産になったものがある場合は、月割計算しなければなりません。
たとえば決算月が9月の法人において、取得価額300万円、耐用年数5年のソフトウェアを1月から導入して使い始めたとしましょう。
この場合、取得時の仕訳は以下のようになります。
借方 ソフトウェア 300万円 / 貸方 現金預金など 300万円
このソフトウェアの当期中の減価償却費は「300万円÷60ヵ月(=5年)×9ヵ月=45万円」となるので、決算における仕訳は以下のような形で行われます。
借方 減価償却費 45万円 / 貸方 ソフトウェア 45万円
無形固定資産であっても、仕訳における基本的な考え方は有形固定資産と大きく変わらないので、適切に仕訳を行うことを心がけましょう。
4. 無形固定資産を適切に把握して減価償却を行うことが重要
資産が「固定資産」「流動資産」「繰延資産」のいずれに分類されるのか、さらに固定資産の場合は「有形固定資産」と「無形固定資産」のどちらになるのかを把握することは、会計の観点から非常に重要です。
無形固定資産には、特許権・実用新案権・ソフトウェアなどが含まれます。
借地権などの一部の資産を除いては、減価償却を行う必要があります。
減価償却の基本的な考え方は有形固定資産の場合と変わらないので、適切に処理するようにしましょう。
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