賃借料は土地や家賃だけじゃない!区分や仕訳例、勘定科目を解説
更新日: 2024.5.8 公開日: 2022.10.13 jinjer Blog 編集部

業務に使用するものを外部から借りている企業は、そのレンタル料を勘定科目「賃借料」として計上することが可能です。
賃借料は都度計上する方法のほか、1年分をまとめて計上する方法もありますので、ケースに応じて適切に仕訳しましょう。
今回は、賃借料の概要と、賃借料を1年分まとめて計上できるケース、賃借料の仕訳例をご紹介します。
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1. 賃借料とは?


賃借料とは、会社経営や業務に使用するものを外部から借りる際に支払う費用のことです。
外部からモノを借り、その対価を支払った場合は基本的に貸借料に区分されるため、その範囲は多岐にわたります。
具体的な貸借料の例には以下のようなものがあります。
1-1. 会議室・レンタルスペースの使用料
自社の会議室ではスペースが足りず、外部の会議室をレンタルした場合などは、その使用料を賃借料として計上できます。
個人事業主がレンタルスペースを借りて作業を行う場合や、催事場などの一角を借りて物品販売を行った場合なども同様です。
1-2. 自動車関連の使用料
業務でレンタカーを利用した場合や、社用車をリースして利用している場合などは、レンタカー代およびリース代を賃借料として計上できます。
1-3. 事務機器の使用料
業務に利用するパソコンやコピー機、複合機、FAX、プリンタなどの事務機器をレンタルやリースで利用している場合、その使用料は貸借料に仕訳されます。
業務用のデスクやキャビネットといったオフィス家具をレンタルしている場合も、貸借料として処理します。
1-4. 機械・器具のレンタル料
業務に必要な工具や機材などを借りた場合の使用料は賃借料として経費計上できます。
1-5. 土地・建物の賃料
貸事務所やテナントの家賃、月極駐車場の利用料なども貸借料に該当します。
自社が保有するビルであっても、借地に建てている場合は、その土地の賃料を貸借料として計上できます。
1-6. レンタルサーバー使用料
企業のホームページを立ち上げる際にレンタルのWEBサーバーを利用した場合も、貸借料として計上できます。
レンタルサーバーは機材が提供されるわけではないのであまりピンと来ないかもしれませんが、貸借料に仕訳して経費にできますので忘れずに記帳しましょう。
以上が賃借料に仕訳される主な例ですが、中には他の勘定科目に仕訳されるものもあります。
たとえば土地や建物の賃料は地代家賃または不動産貸借料という勘定科目に仕訳する場合もあります。
貸借しているものが多い場合は、勘定科目を複数に分けた方が整然と管理できるでしょう。また、車両や器具備品のリースに関してはリース料という勘定科目を使用するケースもあります。
貸借料の金額が膨らみ過ぎるときは、地代家賃やリース料も上手に活用して仕訳することを心がけましょう。
2. 賃借料を1年分まとめて計上できるケース


レンタルやリースは1ヵ月単位で利用する場合が多いため、貸借料は毎月計上するのが基本です。
ただ、レンタルやリースの中には、年間契約で利用するケースもあります。
必要経費は原則として債務が発生したとき、すなわち物の引き渡しや労力の提供、金銭の支払いなどを行った時に生じるとみなされるため、本来であれば数カ月先に予定された取引にかかる費用を経費として計上することはできません。
しかし、一部例外として、貸借料を1年分まとめて計上できるケースもあります。それが「短期前払費用」の特例です。
短期前払費用が適用されれば、役務を受ける前の段階でも貸借料を経費計上することが可能です。
短期前払費用が適用されるには、以下の要件を満たす必要があります。[注1]
・法人である
・支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合
・支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入している場合
たとえば、法人が社用車を年間契約でリースしていて、日常的に業務に利用している場合、上記3つすべての要件を満たすため、短期前払費用を利用して1年分の貸借料を経費計上することが可能となります。
2-1. 貸借期間が1年を超える場合
貸借期間が1年以内の場合は短期前払費用として処理できますが、1年を超える場合は長期前払費用として計上します。
長期前払費用として処理した分は、翌期首に、1年以内に債務を受けるものに関しては「前払費用」に振り替える作業を行います。
3. 貸借料の仕訳例


貸借料のよくある仕訳例を3つご紹介します。
3-1. 業務に利用する工具一式をレンタルした場合
業務に利用する工具一式を3万円でレンタルした場合の仕訳は以下のようになります。
借方 貸借料:30,000 / 貸方 現金:30,000
クレジットカード払いした場合は、以下のように未払金で計上します。
借方 貸借料:30,000 / 貸方 未払金:30,000
翌月になり、レンタル料金が口座から引き落とされたときは以下のように仕訳します。
借方 未払金:30,000 / 貸方 貸借料:30,000
3-2. 途中解約により、レンタル料の残金が戻ってきた場合
半年の契約で機材を借りたが、途中で解約したため、未使用分のレンタル料が戻ってきた場合、すでに計上した貸借料のうち、戻ってきたぶんを振り替えます。
たとえば残金2万円が口座振替で戻ってきた場合、以下のような仕訳になります。
借方 普通預金:20,000 / 貸方 貸借料:20,000
3-3. 1年分の家賃を前払いした場合
1年以内に債務の提供を受ける場合、貸借料は短期前払費用の特例を使うことで、支払時点で経費計上できます。
1年分の自動車リース代120万円を口座引き落としで支払った場合の仕訳は以下の通りです。
借方 貸借料:1,200,000 / 貸方 普通預金:1,200,000
なお、短期前払費用の特例が適用されない場合は、期末に翌年度分を前払費用に振り替える必要があります。
たとえば上記の例で、10月に1年分のリース代を支払い、3月に決算を迎えた場合、期末に翌年度4~9月分の費用は前払費用に振り替えます。
借方 前払費用:600,000 / 貸方 貸借料:600,000
翌期首になったら、振り替えた前払費用を登記分の貸借料に振り替えます。
借方 貸借料:600,000 / 貸方 前払費用:600,000
関連記事:勘定科目「賃借料」に該当する費用や仕訳上の注意点を紹介
4. 貸借料を計上するときは短期前払費用を使用すると便利


会議室や業務に使用する機材・機器・車両などをレンタルまたはリースする場合、その利用料は貸借料として計上できます。
貸借料の幅は広く、不動産からサーバーまで多岐にわたりますが、項目が膨らみ過ぎるときは地代家賃やリース料など他の勘定科目を使って整理することをおすすめします。
レンタル・リースするものの中には契約期間が長期に及ぶものもありますが、1年以内に債務を受け取る場合は支払時に一括で処理することも可能です。
本来なら振り替えが必要な処理を一度で済ませられるので便利ですが、適用にはいくつかの条件があります。貸借料を1年分まとめて計上するときは、まとめて計上できるかどうか取引内容をよくチェックしましょう。



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