収入印紙の仕訳は租税公課になることについて詳しく解説
更新日: 2022.12.9
公開日: 2022.5.10
FURUYA
収入印紙は一定金額以上の契約書や領収書に必要な証票で、貼り忘れると罰則もあるため注意が必要です。今回は、収入印紙の概要や勘定科目、収入印紙が必要ない場面について解説します。
1.収入印紙は印紙税を納税した証明
収入印紙とは、租税や手数料などを支払ったときに書類に添付する証票のことです。収入印紙がよく使われる場面として、印紙税の支払いの証明があります。印紙税とは、契約書や領収書を作成したときに、その書類に課税される税金のことです。
そのため、課税された文書や書類に添付することで印紙税を納税した証明になります。どの書類が印紙税の対象になるかは、印紙税法に明確に定められているので、漏れがないようにしなければいけません。
収入印紙は、郵便局や法務局だけでなく、コンビニエンスストアや郵便マークの看板のある酒店やたばこ店などでも購入することが可能です。必要となったときに身近なお店で買うことができるのは嬉しいポイントです。
1-1.印紙税を払わないと過怠税を徴収される
もし収入印紙を書類に貼らなかったり、印紙税を払わなかったら罰則を受ける可能性があることを知っておく必要があります。印紙税第20条には、印紙税を支払わなかった場合の罰則について以下のように明記されています。
第二十条 第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同項の規定により納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。
引用:e-Gov 印紙税法
つまり、納付しなかった場合、本来納付する額に、納付する額の2倍の額を加算して過怠税として徴収されることになります。収入印紙が必要な領収書は、高額なものもあるので、決して印紙税の納め忘れがないようにしなければいけません。
2.収入印紙が必要な書類
ここまで、収入印紙とは決められた書類に印紙税を納付した証として使用すると説明しました。ここからは、収入印紙が必要な書類にはどのようなものがあるのかを紹介します。
2-1.5万円以上の領収書
収入印紙がよく用いられる書類の1つが、5万円以上の領収書です。ただし消費税は含まないため、税抜きで5万円以下であれば税込みで5万円以上であっても非課税となります。
5万円以上であれば一定の金額の収入印紙を貼付すればいいわけではありません。
以上のように、領収書の金額に応じて印紙税の納付金額も以下のように定められています。
2-2.請負契約や不動産売買の契約書
請負契約書や、不動産売買の契約書など、契約書の一部に収入印紙が必要です。請負契約書への印紙税は、領収書と同じで契約金額に応じて異なるので注意しましょう。
また不動産売買の契約書も、請負契約と同じように契約の金額に応じて印紙税が異なります。不動産売買の場合は、売主又は買主どちらが印紙税を支払うかという規定はないため、多くの場合は平等に負担すると契約書に記載されているのが特徴です。
不動産売買の印紙税には、現在軽減税率が適用されています。平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成された10万円以上の契約書に関しては、本来の印紙税よりも税率が低くなることを覚えておきましょう。
3.収入印紙は租税公課として仕訳される
ここからは、収入印紙の勘定科目が何になるのか、2つのパターンについて解説します。
3-1.租税公課とは
租税公課とは、国や地方公共団体に納める税金を意味する租税と、公的な会費などの総称である公課という言葉を組み合わせた勘定科目です。収めている税金などがすべて租税公課として計上できるわけではありませんが、収入印紙に関しては租税公課の対象となります。
関連記事:租税公課とは?計上の可不可など知っておくべき点をわかりやすく解説
3-2.収入印紙は租税公課になる
なぜ収入印紙が租税公課の対象となるかというと、収入印紙は印紙税を納税するために用いるからです。そのため、収入印紙を買ったときの勘定科目は、租税公課を使用するようにしましょう。
収入印紙を購入する場合に注意しなければいけないのが、消費税があるかどうかです。基本的に収入印紙は郵便局や法務局、コンビニエンスストアで買った場合には消費税がつきませんが、金券ショップで購入した場合には消費税がつきます。
消費税込で収入印紙を購入した場合は、その消費税も加味して処理をする必要があります。収入印紙を購入するときには、購入する場所も考慮しなければいけません。
関連記事:租税公課消費税について経費計上のために覚えておきたいポイント
3-3.買い置きの場合は貯蔵品になる
収入印紙を購入してすぐに使用した場合には、勘定科目は租税公課です。しかし、収入印紙を購入してもすぐに使用しない場合もあります。収入印紙を買い置きなどした場合には、勘定科目が変わるので注意が必要です。
収入印紙を買い置きした場合の勘定科目は、貯蔵品です。購入時に計上しても、決算時に計上してもいいのですが、計上する際には、枚数を管理して正確に記載することが大切です。
4.収入印紙が必要ない方法
ここまで、契約書や領収書などの書類には一定の条件で収入印紙で印紙税を納税しなければいけないと紹介してきました。しかし、その収入印紙を使用する必要のない場合もあるので、ここからは、収入印紙がいらない方法をご紹介します。
4-1.クレジットカード決済
収入印紙が必要ない方法の1つ目が、クレジットカード決済です。クレジットカードで支払った場合の領収書には、収入印紙を付ける必要がありません。なぜならクレジットカード決済は信用取引になるためです。
クレジットカード決済は、決済時に現金の直接的なやりとりがありません。そのため、印紙税法の領収書には該当しないため、クレジットカード決済の領収書には収入印紙が必要なくなります。
クレジットカード決済の領収書で注意が必要なのは、領収書にクレジットカード決済であることを明記しておくことです。明記がなければクレジットカード決済であることがわからないため、収入印紙の貼り忘れと判断される可能性があります。
4-2.電子契約を行う
収入印紙が必要なくなる方法の2つ目が、電子契約を行うことです。収入印紙の対象となる書類は、あくまで紙で作成した書類となるのが理由となっています。
そのため、パソコンやスマートフォンなどを通して行った契約など、電子化した書類は、収入印紙が必要な書類には該当しなくなります。書類を電子化すると様々なメリットがありますが、そのうちの1つが印紙税がかからなくなることもメリットの1つです。
5.収入印紙の勘定項目は租税公課!買い置きや保管の場合は異なる
ここまで、収入印紙の役割や租税公課、収入印紙が必要なくなる方法について解説しました。一定金額以上の領収書や契約書などに必要な印紙税を支払うために用いられる証票です。勘定科目は、基本的には租税公課ですが、買い置きの場合には貯蔵品となることを覚えておくことが大切です。
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