税効果会計とは?目的や適用対象をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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税効果会計とは?目的や適用対象をわかりやすく解説

解説する男性

企業会計と税法上の会計では、収益(益金)や費用(損金)の適用範囲が若干異なるため、税効果会計により、両者を一致させる作業が必要です。

本記事では、税効果会計とは何か、3つのメリットと作業手順を具体例と共に解説します。

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1. 税効果会計とは

PCをみる男性

通常、企業でおこなう会計処理では、収益から費用を引いて、税引き前当期純利益を計算します。これが会計上の利益です。

しかし、税法上の利益は上記とは異なり、益金から損金を引いて、課税所得として計算します。これが税法上の利益です。

収益と益金、費用と損金は勘定科目上同一のものが多いものの、中には費用には含まれるのに損金には該当しないものもあります。

上記のように会計上と税法上の差異を埋めるためにおこなう処理が税効果会計です。

関連記事:税務会計とは?重要性や注意点を詳しく解説

1-1. 税効果会計の目的と種類

税効果会計をおこなうことで、損益計算書の税引前当期純利益と、法人税、住民税及び事業税(以下、法人税等)が対応し、事業で本来発生した当期純利益が明らかになります。

通常、損益計算書の税引前当期純利益と法人税等は一致しません。理由は先述したとおり、税引前当期純利益は収益-費用で計算されるのに対し、法人税等は課税所得(益金-損金)に実効税率をかけて算出するためです。

そのため、損益計算書上には会計上の利益と、税法上の利益をベースにした税額、別々のルールで算出した結果が同居する形になってしまいます。これでは、正確な当期純利益が把握できません。

そこで、実務では「法人税等調整額」という勘定科目を使って上記の差異を解消し、企業会計上正しい当期純利益を把握します。

参考記事:法人税等調整額とは何か?実際の調整の対象や計算方法、勘定科目、注意点を解説

1-2. 税効果会計の適用対象となる会社

税効果会計はすべての会社が適用する必要はありません。対応が必須となる企業は以下のとおりです。

  • 上場会社
  • 金融商品取引法の適用を受ける非上場会社
  • 会計監査人を設置している会社(非上場も含む)

該当しない企業に関しては任意となっているため、税効果会計を導入していない企業も多く存在します。

2. 税効果会計の3つのメリット

メリット

税効果会計により損益計算書の整合性を保てれば、自社の状況を正確に把握できるだけでなく、利害関係者への情報開示の際にも役立ちます。税効果会計の3つのメリットを解説します。

2-1. 正確な当期純利益を把握できる

当期純利益は税引前当期純利益から法人税等を引くことで求められます。税効果会計を実施することで、会計上正確な当期純利益を把握できるため、自社の経営成績の把握にも役立ちます。

また、過去の資料を確認する際も、損益計算書に法人税等調整額を記載することで、税務申告書を確認しなくても正確な経営状況を確認できます。

2-2. 経営指標の健全化が期待できる

後ほど手順は説明しますが、税効果会計をおこなうことで前払いした税金を「繰延税金資産」として、貸借対照表上の資産の部に計上できます。

上記の処理により資産が増えれば、帳簿上の自己資本比率の改善が期待できます。自己資本比率は高いほど会社の安定性が良いとされるため、決算書を良く見せるためにも有効です。

しかし、「繰延税金資産」は将来税金を払う見込みがある場合のみ機能するため、赤字が続いている企業では健全化などの効果は期待できないため注意しましょう。

2-3. 利害関係者に正確な情報開示ができる

先述のとおり、自社であれば損益計算書上に「法人税等調整額」などを記載しなくても、税務申告書を確認すれば差異が分かります。しかし、銀行や投資家などの利害関係者は、経営状況を確認する資料としては決算書程度しか利用できせん。

そのため、損益計算書上に会計上のズレが記載されていれば、利害関係者が業績を把握する上でも役立ちます。正確な情報の開示により、銀行の融資審査や、投資家の投資判断の上でも有利に働くと考えられます。

3. 税効果会計の手順

ここでは具体例を元に簡単な税効果会計の手順を解説します。先に、税効果会計では、おおよそ以下の手順で処理を進めます。

  • 一時差異を集計する
  • 繰延税金資産の算出
  • 税効果会計上の仕訳をする

3-1. 一時差異を集計する

会計上の収益・費用と、税法上の益金・損金を確認し、一時差異を確認します。一時差異とは、会計上と税務上の期間の認識方法のズレなどから生じるもので、いずれ解消される差分のことです。

なお、会計上と税法上で解消されることのない差は永久差異といい、税効果会計は適用されません。

差異の性質から一時差異に該当するもののみ集計します。

3-1-1. 一時差異
  • 棚卸資産評価損
  • 貸倒引当金繰入限度額超過額
  • 減価償却費償却限度超過額
  • その他有価証券の評価差額
  • 繰越欠損金など
3-1-2. 永久差異
  • 交際費等の損金算入額
  • 寄付金の損金不算入額
  • 受取配当金の益金不算入額など

3-2. 繰延税金資産の算出

一時差異の額を集計したら実効税率をかけて、法人税等調整額や繰延税金資産の額を計算します。

法人税に未払いがある場合は繰延税金負債として、貸借対照表上の負債の部に計上します。

なお、繰延税金資産を計上するためには、回収可能性の検討も必要です。将来支払う税負担額の軽減効果が認められないときは、計上できません。

3-3. 税効果会計上の仕訳をする

上記が終わったら、税効果会計上の仕訳をおこないます。また、損益計算書上に法人税等調整額を追加し、会計上正しい当期純利益が表示されるようにします。

3-4. 税効果会計の計算例

ここでは、以下の例を元に税効果会計の計算をおこないます。

● 収益(益金):10,000円
● 費用    :5,000円
(内減価償却費1,000円で、300円は損金不算入)
● 実行法人税率:40%

税引前当期純利益=10,000円(収益)-5,000円(費用)=5,000円
課税所得    =10,000円(益金)-4,700円(損金)=5,300円
※損金は5,000円(費用)-300円(損金不算入)で計算

以上のように、差が生じています。

次に、税法上の法人税を確認します。
法人税は5,300円(課税所得)×40%=2,120円です。

(借方)法人税等/2,120円(貸方)未払法人税2,120円

上記を税効果会計前の損益計算書上の法人税として記載します。


しかし、会計上の法人税は本来5,000円(税引前当期純利益)×40%=2,000円のため、120円の差異が生じています。(損金不算入分300円に40%をかけても、差異を求められます。)

上記差異は会計上、以下の仕訳で処理します。

(借方)繰延税金資産/120円(貸方)法人税等調整額120円

確認した法人税等調整額を損益計算書上に表示すれば、会計上正しい当期純利益となります。

税効果会計前の当期純利益:
5,000円(税引前当期純利益)-2,120円(法人税等)
=2,880円

税効果会計後の当期純利益:
5,000円(税引前当期純利益)-[2,120円(法人税等)-120円(法人税等調整額)]
=3,000円

上記例では当期純利益の差分は120円であるものの、事業規模が大きくなれば1億2千万円など大きな差が生まれます。そのため、税効果会計をおこなうことで、正確な当期純利益を把握します。

3. 会計上と税法上の利益の差を埋めるために税効果会計をおこなおう

笑顔の女性

税効果会計とは、会計上と税法上の利益の差を埋めるための処理です。税効果会計を実施により、会計上正しい当期純利益を確認できます。

正確な当期純利益の表示は自社の状況把握に役立つだけでなく、利害関係者に正確な情報提供をできる点もメリットです。

なお、上場企業など、一部の会社では税効果会計の適用が義務づけられているため、間違いのないように処理しましょう。

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jinjer Blog 編集部

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