タクシー代の勘定科目や仕訳するときの注意点を解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2022.12.27
jinjer Blog 編集部
勤務中や出張先での移動や、接待で送迎する際など、タクシーを利用する機会は多いです。
業務に関連するタクシー代は基本的に経費になり、正しい勘定科目で仕訳しなくてはいけません。間違えるとあとで問題になる可能性があります。
本記事では、タクシー代の勘定科目と仕訳について解説し、間違いが発生しやすいポイントの注意点もお話します。
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1. タクシー代の勘定科目
業務に関連する移動にタクシーを使った場合、発生した代金は経費として計上できます。
仕訳をする際の勘定科目は、交通費か交際費です。
どちらに該当するのか、正しい仕訳方法は次項で解説しますので、ぜひお読みください。
タクシー代を交通費または交際費として計上できるのは、経費に認められる場合のみです。
経費に認められるタクシーの利用は、業務上の移動や接待に関連してタクシーを使った場合に限ります。
しかし、仕事をしたことが証明できない場合は、交通費や交際費に認められないことがあります。
たとえば、視察目的の旅行に家族を連れて行った場合に、視察をしたことや業務上必要な移動であったことが証明できないと、経費にはできません。
2. タクシー代の仕訳方法
経費に該当するタクシー代の仕訳は、正しく行わなくてはいけません。選ぶべき勘定科目と、該当するケースを把握しておきましょう。
2-1. 交通費または交際費に仕訳する
タクシー代は、基本的に交通費か交際費のどちらかで仕訳します。
多くが交通費に該当しますが、タクシーを使って移動しているからといって、安易に交通費として取り扱ってしまうのは問題です。
タクシー代が交通費と交際費のどちらに該当するのかは、租税特別措置法によって厳密に決められています。
これは交通費と交際費では損金として認められる条件が異なるからです。
交通費は全額が損金になるのに対し、交際費は資本金の額により損金として認められる額が異なります。
そのため、誤って交際費であるはずのタクシー代を交通費にしてしまうと、あとで問題になる恐れがあります。
2-2. 交通費に該当するケース
タクシー代が交通費に該当するのは、以下のようなケースです。
終電を逃した社員が帰宅のためにタクシーを使った
取引先が主催する懇親会に役員が出席するためにタクシーを使った
接待ではない目的で取引先の人をタクシーで送迎した
視察のために取引先へタクシーで行った
基本的には、接待をするために使ったタクシー代以外は交通費として仕訳します。
該当するのは、社員の通勤や移動に必要なタクシー代や、接待とは関係のない移動手段としてタクシーを使った場合などです。
また、接待を受ける側としてタクシーを使ったときの代金も交通費になります。
接待に関連するタクシー代が少し複雑ですが「接待するために使ったかどうか」を基準に考えるとわかりやすいです。
2-3. 交際費に該当するケース
タクシー代が交際費に該当するのは、以下のようなケースです。
自社主催の懇親会への出席のために、取引先の人をタクシーで送迎した
自社主催の懇親会で社員が会場を往復するためにタクシーを使った
接待ゴルフを自社が開催し、その送迎にタクシーを使った
タクシーを使った人が他社の人間でも、自社の人間でも、接待を主催する側である場合は、タクシー代が交際費になります。
自社が接待をする側の立場で、その接待に関連してタクシーを使った場合は、タクシー代がすべて交際費に該当すると考えておきましょう。
2-4. いずれの勘定科目にも該当しないケース
交通費と交際費に該当しないタクシー代は、基本的に経費として認められません。
仕事に関係のない移動や、仕事をしたことが証明できない場合は、交通費・交際費のどちらにも仕訳してはいけません。
同じ職場で働く妻と旅行した際にタクシーを使った
取引先の人と勉強目的で出かけた際にタクシーを使った
仕入のためにタクシーを使ったが、業務をした証拠が残っていない
いずれも仕事に関連する人間や業務が絡んでいます。しかし、プライベートの利用であるケースや、実際に仕事をしたことが証明できないケースでは、タクシー代を経費にできません。
対して、視察旅行に家族を連れて行った場合で、視察をした証拠が提示できる場合はタクシー代が経費に認められることがあります。
3. 個人事業主のタクシー代の取り扱い
個人事業主もタクシー代を経費として、交通費または交際費の勘定科目で仕訳できます。
しかし、個人事業主はその業務形態の性質上、仕事で必要なタクシー移動と、プライベートでのタクシー移動が混同しやすいです。
そのため、本当に経費として計上できるタクシー利用なのか、正しく判断しなくてはいけません。
個人事業主が経費として取り扱えるタクシー代は、基本的に売り上げを増やすためや、事業を継続するために必要な業務での移動時のみです。
取引先に行く場合や視察・仕入目的の旅行で使ったタクシー代は、企業と同様に経費として認められます。
経費に該当しないのは、プライベートでの利用です。この点も企業と同じですが、個人事業主は税務調査を受けた際に対応できるように、管理を十分にする必要があります。
4. タクシー代の勘定科目や仕訳に関する注意点
タクシー代を経費として処理する際の注意点について解説します。
正しい勘定科目を使うことと、タクシー利用時に証拠を残すことが重要です。
4-1. 追徴課税が発生する恐れがある
タクシー代の勘定科目は、会社が独自に決めてよいものではなく、租税特別措置法によって定められたものです。
そのため、勘違いや間違いだとしても、交際費であるはずのタクシー代を誤って交通費として取り扱ってしまうと、追徴課税が発生する恐れがあります。
仕訳をする際は、どんな状況で使ったタクシー移動なのか、十分に把握したうえで交通費と交際費を判断しましょう。
4-2. 交際費にしすぎると課税金額が増える
交際費であるはずのタクシー代を、交通費として処理すると問題になるとお話をしました。
しかし、反対に交通費で処理してよいタクシー代を、交際費にすることにもデメリットがあります。
交際費は、資本金の額によって損金として認められる範囲が定められています。
そのため、タクシー代のすべてを交際費にしてしまうと、損金に認められない部分がでてしまい、法人税をはじめとした税負担が増えてしまうのです。
タクシー代を正しく仕訳することは、節税にもつながります。
4-3. タクシーを使った際は証拠を残しておく
タクシーを利用した際は、領収書とメモを残しておくようにしましょう。
後日処理する際に、何のためのタクシー利用なのかを把握できていれば、仕訳がスムーズになるからです。
また、税務調査が入った場合や、経理部門から確認を求められた際は、メモがあればすぐに答えられます。
業務上必要な移動だったとしても、証拠がないと経費にならない可能性があるため、必ず証拠を残すようにしましょう。
4-4. 交通系ICカードへのチャージだけでは経費にならない
近年はタクシー代の支払いに交通系ICカードを利用できるようになりました。
利用を見越して、先にチャージを済ませることも多いですが、経費として計上できるのは実際にタクシー代を支払ったときです。
チャージをするだけでは経費になりません。
定期券は購入時に経費として計上できますが、交通系ICカードのチャージとは別の扱いです。
混同しないように注意しましょう。
5. タクシー代を仕訳するときは交通費と交際費に注意しよう
仕事中や出張中に使ったタクシーの代金は、基本的に経費として処理できます。
その際に使う勘定科目は、交通費か交際費のどちらかです。
通常の業務中や接待を受ける立場で使ったタクシー代は交通費、接待をする際に発生したタクシー代は交際費に該当します。
接待に関連する部分が少し複雑なため、誤って処理しないように注意しましょう。
また、業務での利用だとしても証拠がない場合は経費にできないことがあります。
どんな状況で使ったタクシー移動なのかを正確に把握し、処理することが大切です。
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