未実現利益を消去する必要性や消去の方法を詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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未実現利益を消去する必要性や消去の方法を詳しく解説

コインから芽

親会社と子会社の間の取り引きでは「未実現利益」という言葉を耳にすることがあります。
未実現利益とは何か、どのような会計処理が必要になるか知っておくことは重要です。
当記事では、未実現利益の概要と消去の方法について詳しく解説します。

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1. 未実現利益とは?

手の上にはてな

未実現利益とは、連結グループ内の取り引きで生じた利益のうち、まだ実現していないもののことです。
たとえば、親会社であるA社が3,000万円分の商品を、子会社のB社に4,000万円で売却したとします。
この場合、A社は利益を上げているものの、親会社と子会社という連結グループ内では利益が発生していません。
連結グループとして利益が上がるのは、B社が仕入代金4,000万円に利益を乗せて外部の企業や個人に商品を販売した後です。
B社が連結グループ外のC社に4,500万円で商品を販売できれば、連結グループとして利益が実現したことになります。
子会社のB社にまだ商品が在庫として残っている間は、未実現利益がある状態なのです。

2. 未実現利益の消去とは?

計算している様子

未実現利益が発生している場合、消去する必要性が生じます。
未実現利益の消去とは、商品を販売した側の売上や売却益、買い手の仕入原価などを消す仕訳が必要になるということです。

2-1. ダウンストリームとは?

未実現利益には、ダウンストリームという言葉があります。
ダウンストリームとは、下流という意味で、親会社から子会社へ商品を販売したケースを指します。
通常、親会社が上、子会社が下と判断されるので、ダウンストリームと呼ばれるのです。
このケースでは、未実現利益の消去にともない、非支配株主は関係しないのが特徴です。

2-2. アップストリームとは?

ダウンストリームに対して、未実現利益にはアップストリームもあります。
アップストリームとは、子会社から親会社に商品を販売したケースのことです。
親会社が子会社の株式を100%保有しているのであれば問題ありませんが、被支配株主は未実現利益の消去による利益の減少の影響を受けます。
この点がダウンストリームとアップストリームの大きな違いです。
たとえば、子会社のB社が3,000万円の商品を親会社A社に4,000万円で売却したとします。
B社とすれば1,000万円の利益が出ていますが、外部に売却しない限りは未実現利益の消去が適用されます。
1,000万円の利益は消去され、被支配株主が受けとる利益も減ることでしょう。

2-3. なぜ未実現利益の消去が必要なのか

未実現利益の消去が必要なのには理由があります。
未実現利益の消去を行わないと、企業の資産や費用を不正に申告できてしまうからです。
たとえば、親会社のA社が3,000万円の価値のある商品を子会社のB社に4,000万円で売却した例を考えましょう。
A社が商品を売却せずに保管しておけば、在庫は3,000万円分です。
しかし、B社が商品を購入した後に保管していると、在庫は4,000万円分となり、在庫の価値が1,000万円分上がってしまうのです。
未実現利益の消去を行わないと、連結グループ内で商品をやり取りするだけで資産を増やしたり、費用を減らしたりできます。
もちろん、これは違法であり、実情を反映していません。
こうした不正が行えないようにするため、未実現利益の消去が必要なのです。

3.  未実現利益の消去が必要なケース

悩んでいる男性
未実現利益が生じているのであれば、基本的にすべてのケースで消去が必要です。
ただし、未実現利益の金額が小さく、重要性に乏しいと判断される場合には、まれに未実現利益の消去が必要ないとされる場合もあります。

3-1. 未実現利益の消去が必要ないケース

未実現利益の金額が小さければ消去が必要ないとされるケースもありますが、ほかのケースでも未実現利益の消去が適用されないことがあります。
それは、連結グループ内で利益や損失が発生していないケースです。
たとえば、親会社であるA社が3,000万円の商品を、子会社のB社に3,000万円で売却したとしましょう。
このケースでは、売却による利益も損失も発生していません。
未実現利益が発生していないので、消去の必要もないのです。

4. 未実現利益を消去するときの方法

仕訳

未実現利益が発生しているのであれば、それを消去して会計処理と実態が合うようにしなければなりません。
未実現利益の消去はアップストリームとダウンストリームで異なるので、それぞれのケースで消去の方法を見ていきましょう。

4-1. ダウンストリーム

例として、親会社であるA社は子会社B社の80%の株式を保有しているとしましょう。
A社は外部から2,000万円で商品を仕入れ、子会社であるB社に2,500万円で売却しました。
B社は期末の時点で、まだ商品を販売しておらず、在庫として残っている状態です。
未実現利益の消去前は、A社の売上は2,500万円、売上原価は2,000万円、利益は500万円です。
ここで、まず売上と売上原価を消去します。
借方に「売上 2,500万円」、貸方に「売上原価 2,500万円」と記載します。
売上原価は本来2,000万円で、2,500万円と記載すると、500万円分を余計に消去しすぎることになるでしょう。
そこで、未実現利益の消去を行います。
借方に「売上原価 500万円」、貸方に「商品(未実現利益) 500万円」と記載するのです。
これにより、売上と売上原価がゼロになり、未実現利益が消去された商品の価額である2,000万円だけが残ります。
実態を反映した仕訳が行えるのです。

4-2. アップストリーム

ダウンストリームとは異なり、アップストリームは子会社が親会社に商品を売却するケースです。
親会社であるA社は子会社B社の80%の株式を保有しているとしましょう。
つまり、A社以外の被支配株主が20%いるということです。
子会社であるB社が外部から2,000万円で商品を仕入れ、親会社A社に2,500万円で売却したとします。
B社の売上は2,500万円、売上原価は2,000万円、利益は500万円です。
利益が500万円なので、非支配株主の持ち分は20%の100万円となります。
当期純利益を非支配株主に負担させる必要があるので、借方に「非支配株主に帰属する当期純利益 100万円」、貸方に「非支配株主の持ち分 100万円」と記載します。
これだけでなく、ダウンストリームと同様連結グループ内での利益は消去しなければなりません。
ダウンストリームと同様、借方に「売上 2,500万円」、貸方に「「売上原価 2,500万円」と仕訳します。
当然売上原価が多く消去されているので、未実現利益の消去によって調整しなければなりません。
借方に「売上原価 500万円」、貸方に「商品 500万円」です。
さらに、さきほど非支配株主が負担した当期純利益を減らすために仕訳が必要です。
借方には「非支配株主持分 100万円」、貸方に「非支配株主に帰属する当期純利益 100万円」と逆の仕訳を行い、調整を行います。
これで、アップストリームの仕訳は完了です。

5. 未実現利益が生じている場合は消去が必要

注意する男性

未実現利益は、連結グループ内で発生している利益のことです。
連結グループ外の企業や個人に商品を販売しなければ利益が実現しないので、親会社と子会社とのやり取りでは未実現利益の消去が必要となります。
連結グループ内の売買で利益や損失が発生しているのであれば、ほとんどのケースで消去が必要となるので注意しましょう。
仕訳をきちんと行うことで、実態を反映した会計処理が行えるのです。

 

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jinjer Blog 編集部

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