任意監査の目的やメリット・デメリットを徹底解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.2.25
jinjer Blog 編集部
会社は活動を行なっていくうえでは、監査が必要となるケースがあります。監査とは社内規定や法令と照らし合わせて、対象となる事象が適正かどうかを検査することを指します。
監査のなかでも、会計監査には任意監査と法定監査があります。
今回は任意監査の目的やメリット、デメリットを法定加算との違いも交えて解説します。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 任意監査とは?
任意監査とは法的に求められている監査とは異なり、企業が監査法人や公認会計士に依頼をして行なう監査を意味します。任意監査は上場のための準備や企業売買、営業譲渡をするため、取引先や親会社からの要請など、さまざまな目的で行なわれます。
任意監査を行なうことで、自社の財務状況についての信頼性を高めることにつながるでしょう。
2. 任意監査と法定監査の違い
任意監査と法定監査の違いは対象となる会社の規模です。任意監査はあくまで法的な強制力はないため、対象となる会社の規模はありません。一方、法定監査は法的な強制力が備わった監査で、法定監査の対象となる以下などの企業です。
- 金融商品取引法に基づく監査
- 会社法に基づく監査
- 保険相互会社の監査
- 信用金庫の監査
- 信用組合の監査
- 学校法人の監査
- 地方公共団体の監査
例えば、会社法では対象となる会社を次のように定めています。
大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
2 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
また、 金融商品取引法においても、次のような会社は監査を受けることを定めています。
金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社その他の者で政令で定めるもの(次条において「特定発行者」という。)が、この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類で内閣府令で定めるもの(第四項及び次条において「財務計算に関する書類」という。)には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。
会社法、金融商品取引法で監査の対象としているのは、上場会社と大会社です。大会社とは資本金の金額が5億円以上もしくは負債総額が200億円以上の会社が当てはまります。
3. 任意監査のメリット
任意監査を行なうメリットは、次のとおりです。
- 財務状況の透明性を外部にアピールできる
- 自社の組織としての状況も確認できる
- 不正発覚にもつながる
自社の財務状況の透明性をアピールすることで新たな融資や取引につながる可能性もあります。
また、自社の状況に応じた監査が行なわれることでの組織力の見直しや、不正発覚にもつながるでしょう。
3-1. 財務状況の透明性を外部にアピールできる
任意監査を実施することで、自社の財務状況の適正を専門性のある第三者に判断してもらい、外部に信用力の高さをアピールできます。
例えば、相手が銀行であれば、新たに融資を受ける際の判断材料として活用できるでしょう。そのうえで、融資金額や融資期間、利率などが適正に定められます。また、任意監査は取引先や出資者に対して自社の状況をアピールするうえでも効果的です。取引先であれば支払サイトをはじめとした条件の設定に、出資者であれば新たに出資するか、出資を継続するかの判断につなげられます。
3-2. 自社の組織としての状況も確認できる
任意監査を依頼した先によっては、内部統制やガバナンスなど、組織の状況もチェックしてくれます。組織の状況についてのアドバイスを活用することで、業務の効率化にもつながる可能性があります。
また、専門的な観点から社内管理システムの刷新などを提案してもらえれば、新たなシステムの導入につながるでしょう。
3-3. 不正発覚にもつながる
任意監査は不正を見つけることが目的ではありません。しかし、監査を行なっていくうちに、不正が発覚する可能性があります。
不正は社内だけではなく、取引先や顧客にも悪影響を及ぼしかねません。そのため、任意監査によって早期に不正を防ぐことで取引先をはじめとした、ステークホルダーの保護も可能です。
4. 任意監査のデメリット
任意監査のデメリットとして、監査に必要な書類の準備や監査法人との関係悪化が招くコスト増加が挙げられます。
特に、監査法人と関係が悪化してしまうと、コスト増加に加えて、自社の状況に応じた監査も期待できなくなってしまいます。
4-1. 監査に必要な書類の準備
任意監査を行なうにあたっては、監査に必要な書類を事前に用意しておく必要があります。特に初めて監査を受けるとなると、流れが不明瞭なため、依頼先である監査法人とのコミュニケーションコストがかかってしまいます。
また、必要な書類が用意できなかったり、監査法人からの質問に答えられなかったりすると、監査業務は予定よりも長引いてしまい、コストがかさんでしまう可能性があるでしょう。
4-2. 監査法人との関係性が悪化するとコストがかさむ
任意監査を依頼した先である監査法人との関係性が悪化してしまうと、コストの肥大化が危惧されます。例えば、監査法人と経営者もしくは担当者の関係が悪化してしまうと、監査法人は会社の細かな点に目を向けなくなり、通常の監査を淡々と進めてしまいかねません。一方、会社側は監査法人の指摘に対しての協力姿勢の低下が懸念されます。
このような状況に陥ってしまうと、監査される側、監査する側ともに疲弊して、監査業務の長期化によるコスト肥大につながってしまいます。
5. 任意監査のメリット・デメリットを把握して自社の財務状況を見直そう
監査には法的監査と任意監査があり、任意監査は法的な強制力がありません。任意監査を行なう目的は上場のための準備や企業売買、営業譲渡、取引先や親会社からの要請などさまざまです。
任意監査には自社の財務状況の透明性を外部にアピールできる、組織としての状況も確認できる、不正を防止できるといったメリットがあります。一方で必要な書類の準備や関係性が悪化すると、望んだ監査結果が得られないかもしれないなどといったデメリットが挙げられます。
任意監査はメリットだけではなく、デメリットも把握したうえで依頼しましょう。
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