単身赴任手当とは?相場や条件、公務員と民間会社員の違いを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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単身赴任手当とは?相場や条件、公務員と民間会社員の違いを解説

単身で働く人

「単身赴任手当とはどういうもの?」
「単身赴任手当を支給したほうがいい?」

このように疑問をお持ちではありませんか。

単身赴任手当は、従業員・職員が転勤や異動にともない単身赴任する際、出費の負担を軽減するために支給するものです。

本記事では単身赴任手当を支給する条件や相場、同時に支給できる手当・補助金、手当の課税・非課税について紹介します。

単身赴任手当の支給や、制度改善にぜひ役立ててください。

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1. 単身赴任手当とは

本を読んでいる様子

単身赴任手当とは、家族の元を離れ単身で転勤先に赴任する従業員・職員に毎月支給される手当です。

単身赴任者は、すでに家族と暮している自宅を残し、新たにひとり暮らしをしなくてはなりません。そのため、自宅の家賃や光熱費、家族の生活費のほか、単身赴任者の生活費も必要となり負担が増えます。

単身赴任手当は、従業員や家族の負担を軽くすることが目的です。家族から離れて暮すことを前提としているため、「別居手当」として支給されることもあります。

2. 単身赴任手当の支給条件

荷物をかかえている

単身赴任手当の支給条件は公務員か民間企業かにより異なります。

公務員の単身赴任手当は人事院規則で定められており、支給条件が明確です。一方、民間企業における単身赴任手当には法律がなく、支給条件はそれぞれの企業によって異なります。

公務員で単身赴任手当が支給される条件と、民間企業で支給される条件の一例を見てみましょう。

2-1. 公務員の支給条件

公務員が単身赴任手当を受けるには、人事院規則により以下の条件に当てはまる必要があります。

  • 配偶者が介護を必要としている
  • 配偶者が父母または同居の親族を介護する
  • 配偶者が学校・教育施設に通う子どもを養育する
  • 配偶者が引き続き仕事を続ける
  • 配偶者が自宅管理のため引き続き居住する
  • 通勤距離が60km以上である
  • 通勤距離が60km未満でも交通状況から通勤が困難である

参照:人事院規則九―八九(単身赴任手当)|e-Gov法令検索

上記いずれかに当てはまる、または上記と同等の理由で配偶者が同居できないと認められた場合、単身赴任手当が支給されます。

2-2. 民間企業の支給条件

民間では、単身赴任手当の支給条件が法律で定められていないため、企業により条件が異なります。民間企業で単身赴任手当を受ける条件の一例は、以下の通りです。

  • 配偶者が仕事をしている
  • 養育する子どもを引き続き同じ学校に在学させる
  • 持ち家を配偶者や家族が居住して管理する
  • 病気や通院、介護など配偶者が転勤先に同伴できない

転勤先で配偶者や家族が同居できない理由があれば、単身赴任が認められることがほとんどです。一般的には公務員と同等の支給条件を設けている企業が多く、条件に満たない場合、単身赴任手当は支給しません。

ただし、単身赴任手当そのものがない企業もあります。手当の有無も含め、どのような条件で単身赴任手当が支給されるかを確認しましょう。

3. 単身赴任手当の相場|公務員と民間会社員の違い

パソコンを打とうとしている

単身赴任手当として支給される金額は、公務員と民間企業で異なります。公務員は人事院規則で毎月の支給額が決められているのに対し、民間では企業によって支給額はまちまちです。

公務員の支給額と民間企業の支給相場を紹介します。

3-1. 公務員に支給される単身赴任手当の金額

公務員の単身赴任手当は、人事院規則で月額30,000円と決まっています。

さらに、家族が暮す元の自宅から赴任先までの距離により算出された、以下の一定額を加えて支給されます。

自宅から転勤先までの距離 加算額(単位:円)
100~300km未満 8,000
300~500km未満 16,000
500~700km未満 24,000
700~900km未満 32,000
900~1,100km未満 40,000
1,100~1,300km未満 46,000
1,300~1,500km未満 52,000
1,500~2,000km未満 58,000
2,000~2,500km未満 64,000
2,500km~ 70,000

参照:人事院規則九―八九(単身赴任手当)|e-Gov法令検索

例えば、東京から名古屋に単身赴任する場合、直線距離はおおよそ260kmです。そのため、単身赴任手当の支給額は30,000円+8,000円で、合計38,000円となります。

加算表では7万円が限度額であるため、基本の3万円と合算すると、公務員が単身赴任する場合は最大で10万円の手当てが支給されます。

3-2. 民間会社員に支給される単身赴任手当の相場

厚生労働省の調査によると、令和2年に民間企業が支給した単身赴任手当の平均額は月額47,600円でした。企業規模別の平均額は、以下のようになっています。

企業規模(従業員数) 単身赴任手当の平均支給額(単位:円)
1,000人以上 47,600
300~999人 47,700
100~299人 46,100
30~99人 49,600

参照:令和2年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

同じ厚生労働省による平成27年調査での平均支給額は、月額46,100円でした。民間企業での相場は、平均して月額47,000円前後と考えてよいでしょう。

参照:平成 27 年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

4. 単身赴任手当以外の手当・補助金の種類

チェックマークをつけている

民間企業では、従業員の状況や転勤先を踏まえて、単身赴任手当以外の手当・補助金が支給されることがあります。支給されることが多い手当・補助金は、以下の通りです。

  1. 住宅手当(家賃補助)
  2. 引っ越し手当(転居補助)
  3. 地域手当(勤務地手当)
  4. 帰省手当(一時帰宅支給)

企業により支給される手当・補助の有無があるだけでなく、適用される範囲も異なります。自社がどのような手当・補助を支給しているのか、しっかり確認しましょう。

それぞれの手当・補助金について紹介します。

4-1. 住宅手当(家賃補助)

単身赴任先でかかる、家賃など住宅費の補助として支給します。厚生労働省の令和2年調査によると、住宅手当の平均支給額は17,800円です。

民間では家賃の何割まで支給するかなど、ほとんどの企業で上限額が決められています。社宅や借り上げ住宅があり家賃が発生しない場合、住宅手当の支給がないこともあるでしょう。

また、民間企業と同じように国家公務員にも住宅手当はあります。単身赴任先の家賃に関しては支給額の上限が28,000円となっており、家族分の住宅家賃も支払っていれば、さらに上限14,000円内で支給されます。

参照:令和2年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

参照:国家公務員の諸手当の概要(1/2)|人事院

4-2. 引っ越し手当(転居支度金)

単身赴任先へ引っ越す際にかかる費用の補助です。一般的には、家財を運搬する引っ越し業者への支払い額に適用されます。会社によっては、単身赴任先で必要となる家具や生活家電の購入費用を一部または全額負担してくれる所もあるようです。

まれに新居の敷金・礼金、火災保険料などを負担する場合もあるため、支給する範囲の確認が必要でしょう。

なお、引っ越し手当は、毎月支給される住宅手当や地域手当などとは違い、一時金として支払われるパターンが多いです。

4-3. 地域手当(勤務地手当)

地域手当(勤務地手当)は、単身赴任で勤務する地域にあわせて支給する手当です。物価や家賃が高い大都市部、交通や生活に不便な離島・遠隔地などで勤務する場合、単身赴任手当や基本給に加算されます。

冬が長く、暖房費が高くなる寒冷地に勤務する場合の「寒冷地手当」も、地域手当の一種です。

関連記事:地域手当とは?計算方法や対象地域、会計処理を詳しく解説

4-4. 帰省手当(一時帰宅支給)

従業員が単身赴任先から元の自宅へ帰省・帰宅する際、支給する手当です。

交通費の一部負担、往復の交通費を全額支給、実費にかかわらず一律額支給など、企業により支給方法や支給額が異なります。

よくあるケースでは、事前に帰省回数を設けてその分の帰省手当を支給するものがあります。この場合、月単位や年単位で回数を設定していることが多いです。

5. 単身赴任手当は課税対象に含まれる

税金を表している

単身赴任手当は給与所得と考えられており、住宅手当などの補助も含め、基本的に課税対象です。

毎月一定額の支給、単身赴任者の帰宅旅費として月または年単位での支給、どちらの場合でも課税対象となります。

そのため、単身赴任手当は給与所得に含めた上で、所得税や住民税などの計算をおこなう必要があります。

ただし、職務遂行に必要な帰宅であれば、旅費や帰省手当が非課税になるケースも少なくありません。例えば、会議に出席するため単身赴任先から元の自宅に帰省し、職務をおこなう場合です。

出社・出張先が、自宅がある帰省先と同じであれば「旅費交通費」として扱われるため、必要な旅費は非課税となります。

参照:単身赴任手当等|国税庁
参照:単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費|国税庁

6. 単身赴任手当を支給する際の注意点

ポイントを紹介する

ここでは、単身赴任手当を支給する前に知っておくべき2つの注意点について解説します。

トラブルを防ぐためにも重要なポイントなるので、しっかりと要点を抑えて単身赴任手当の運用や支給をおこなうようにしましょう。

6-1. 単身赴任手当を支給する場合は就業規則に明記する

単身赴任手当や住宅手当、引っ越し手当など、単身赴任にかかる諸手当を支給する場合は、就業規則にも事前に明記しておくことが必要です。

就業規則に規定されていないと、支給条件や支給額についての認識の違いから従業員との間にトラブルが起こりやすくなります。場合によっては不服を覚えた従業員から提訴されるケースも少なくありません。

このようなトラブルを未然に防ぐためにも、就業規則に支給条件や支給方法、支給額などについて細かく明記しておくことが望ましいでしょう。

6-2. 単身赴任手当を設定しなくても法律違反にはならない

そもそも単身赴任手当は、法律で支給することが義務付けられてはいません。どちらかというと、福利厚生的な側面のある手当の一つです。

そのため、支給条件や支給方法、支給額などは会社が自由に決めることができます。単身赴任手当を設定しなくても、法律違反とされることはありません。

しかし、単身赴任手当がないと従業員の負担が大きくなってしまうため、場合によっては、離職に繋がってしまう恐れがあります、また、単身赴任手当がないことで求職者から敬遠され、採用面に大きな影響がでる可能性もあるでしょう。

転勤の多い会社は特に、単身赴任手当の設定に関しては慎重に検討する必要があります。

7. 単身赴任手当は相場や条件を踏まえて支給しよう

タブレットを操作している

本記事では、単身赴任手当の条件や相場、公務員と民間企業の違いについて紹介しました。

公務員の単身赴任手当は人事院規則で支給額が決められていますが、民間ではそれぞれの企業により条件や金額が異なります。

単身赴任する従業員の赴任先や家族の状況を踏まえたうえで、企業が定める条件にあわせて支給しましょう。

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