エクセルで出勤簿を作成するときのポイントや注意点を解説
勤怠管理に欠かせない出勤簿は、表計算ソフトのエクセル(Excel)で作成することが可能です。すでにエクセルを導入済みの企業の場合、コストをかけずに労働時間を管理できます。自動計算機能を利用したり、レイアウトを工夫したりすれば、見やすく使いやすい出勤簿にすることが可能です。本記事では、エクセルでの出勤簿の作り方や、作成するときのポイント、注意点をわかりやすく解説します。
2019年から2023年にかけ、改正労働基準法の施行が数多くありました。中には罰則が設けられているものもあるため、確実に対応する必要があります。
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1. 出勤簿とは?
まずは出勤簿がどのような書類で何を記録するものなのか、正しく理解しておきましょう。出勤と欠勤を管理するだけでなく、休憩時間や時間外労働など、労働時間に関連する多くの情報が集まった重要な帳簿です。
1-1. 労働時間を管理するための帳簿のこと
出勤簿は、従業員の勤務時間や時間外労働時間を記録し、労働時間を適正に管理するための帳簿です。労働者名簿と賃金台帳と並ぶ法定三帳簿のひとつで、会社の規模や業種を問わずすべての会社に整備が義務付けられています。
違反した場合は、労働基準法違反になり罰金が科せられる可能性もあります。
1-2. 出勤簿はエクセルで作成が可能
労働時間を管理する場合、勤怠管理システムを導入することが一般的です。しかし、勤怠管理システムを使わなければいけないという取り決めはありません。
従業員の勤務時間を正確に記録できれば問題がないため、表計算ソフトを導入している場合は、エクセルを用いて出勤簿を作成することもできます。
次の項目からは、エクセルで出勤簿を作るメリットや方法を解説していきます。
2. エクセルで出勤簿を作るメリット
エクセルで出勤簿を作成するメリットは3つあります。
- エクセルを導入済みの場合は無料で出勤簿を作成できる
- エクセルの計算機能で自動計算が可能になる
- 使いやすい出勤簿にカスタマイズできる
エクセルをすでに導入済みの場合、コストをかけずに出勤簿を作ることができます。また、エクセルの計算機能を活用すれば、手間のかかる集計作業を自動化することも可能です。これから出勤簿を作成する場合は、便利なテンプレートの利用も検討しましょう。
2-1. エクセルを導入済みの場合は無料で出勤簿を作成できる
出勤簿を作成する場合、勤怠管理システムの導入が一般的です。しかし、勤怠管理システムの導入には、初期費用や月額費用などのコストがかかります。
そうしたコストをかけたくない場合は、エクセルを使って自作することが可能です。エクセルをすでに導入済みの場合は、新たにコストをかけず、無料で出勤簿を作ることができます。
2-2. エクセルの計算機能で自動計算が可能になる
エクセルには、数式や関数を用いて、自動で計算を行う機能があります。たとえば、出勤簿を作成する場合、毎日の労働時間や時間外労働時間、休憩時間などを入力するだけで、毎月の総労働時間を自動計算することが可能です。
出勤簿の作成であれば、複雑なエクセル関数の知識は必要ありません。エクセルの最低限の運用経験があれば、誰でも簡単に出勤簿を作成できます。
2-3. 使いやすい出勤簿にカスタマイズできる
エクセル向けのテンプレートを活用することで、簡単に出勤簿を作成できます。無料で配布されているテンプレートも多くあります。
テンプレートはレイアウトや項目を自由にカスタマイズできるため、自社に合った出勤簿に作り直すことも可能です。使いやすさや見やすさを考え、選んでみましょう。
3. エクセルで出勤簿を作る方法
エクセルで出勤簿を作る際は、3つのポイントを抑えることが大切です。
- 出勤簿に必要な項目
- 自動計算ができるように計算式を入れる
- 見やすいようにレイアウトを調節する
必要な項目を網羅するとともに、入力や確認作業の効率を考えた構造にすれば、使いやすい出勤簿が作れます。それぞれのポイントを見ていきましょう。
3-1. 出勤簿に必要な項目
出勤簿を自作する際は、以下の項目を満たす必要があります。必要に応じて項目を追加しても問題ありませんが、項目に不足がある場合は出勤簿として認められない可能性があります。
- 従業員の氏名
- 出勤日
- 始業時刻
- 終業時刻
- 休憩時間
- 時間外労働時間
- 休日出勤時間
- 深夜労働時間
- 総労働時間
これらの項目は、従業員の労働時間を正確に把握するために必要な項目です。出勤簿を作成する際は、項目に抜けがないように注意しましょう。
なお、出勤簿は正社員やパート、アルバイトなど雇用形態を問わず記入しなくてはいけません。
3-2. 自動計算ができるように計算式を入れる
出勤簿に必要な項目を毎回すべて入力していては、非常に効率が悪いです。エクセルには自動計算機能があるため、それを利用して入力項目を減らしましょう。手入力が減ればミスも防ぎやすくなります。
たとえば、出勤時間・退勤時間・休憩時間をそれぞれ入力すると、実労働時間が自動で計算されるようにできます。計算式はとてもシンプルです。実労働時間を表示させたいセルに以下のような計算式を入力すれば、実労働時間が自動計算されます。
=A1(出勤時間のセル)-A2(-退勤時間のセル)-A3(休憩時間のセル)
ほかにもSUM関数を使って総労働時間や残業時間を自動計算することや、給与計算をおこなうことも可能です。
テンプレートを利用する場合は、これらの計算式が最初から入力されています。エクセルの計算式に慣れていない場合でも、そうしたテンプレートを活用すれば簡単に作成できるでしょう。
3-3. 見やすいようにレイアウトを調節する
計算式を入れても、一部の項目では必ず手入力が必要になります。その際に入力ミスを防ぎ、見やすくするためにレイアウトを工夫することも大切です。
- セルの幅を調節する
- 項目ごとに色分けをする
- 重要な項目や情報は太字にする
- 文字の中央揃えを活用する
これらは簡単にできて効果的なレイアウトの調節です。セルが細かくなりやすい始業時刻・終業時刻・休憩時間・時間外労働時間などは、うっかりしていると誤った項目に入力してしまいます。色分けをしておけば、そうしたヒューマンエラーを防ぎやすくなるでしょう。
また、総労働時間や残業時間のように、重要な数値は太字で表示されるようにするのも効果的です。
使用していく中でレイアウトを工夫し、使いやすい出勤簿にカスタマイズしていきましょう。
4. エクセルで出勤簿を作るときの注意点
エクセルには、無料で手軽に出勤簿を作成できるというメリットがあります。しかし、より効率的に労働時間を管理したい場合は、勤怠管理システムの導入が必要です。また、厚生労働省が平成29年1月20日に作成した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の内容を確認し、遵守することが大切です。
エクセルで出勤簿を作るときの注意点を2点紹介します。
参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
4-1. 細かい勤怠管理には勤怠管理システムが必要
エクセルで作成した出勤簿には、基本的な計算をする程度の機能しかありません。より多くの機能を求める場合は、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。たとえば、勤怠管理システムには、勤怠データをリアルタイムに集計する「自動集計」機能や、PC・スマホ・タブレットなどで打刻する「出退勤管理」機能、有給休暇などの申請・承認を行う「申請承認」機能など、豊富な機能が用意されています。もちろん、出勤簿のレイアウトを自分で作成したり、出勤時間や退勤時間を手作業で入力したりする手間もかかりません。より細かく労働時間を管理したい場合は、勤怠管理システムの導入が必要です。
4-2. 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を確認
厚生労働省は、平成29年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しました。「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」とは、使用者(企業)が労働者一人ひとりの労働時間を適正に記録し、賃金台帳(出勤簿を含む)を作成する責務を定めたものです。
ガイドラインでは、出勤簿をはじめとした賃金台帳の作成方法や、保存期間についても定めています。
賃金台帳の適正な調製
使用者は、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならない
厚生労働省のガイドラインを確認し、法令に遵守した出勤簿を作成することが大切です。
関連記事:勤怠とは?管理方法や管理項目など人事が知っておきたい基礎知識を解説!
4-3. 法改正がおこなわれた際は修正が必要
勤怠管理システムを導入している場合は、法改正によって労働に関する規定が変更した場合も自動的に更新されます。エクセルで作成した出勤簿にはそうした機能がないため、法改正があるたびに計算式や項目の変更をしなければいけません。
近年は残業時間の上限が設定されたり、育児・介護休業法の改定がおこなわれたりするなど、労働に関連する法律の改定が増えています。エクセルの出勤簿は、法律が変わるたびに対応に追われる可能性があることを覚えておきましょう。
4-4. 入力ミスや改ざんのリスクを理解する
エクセルの出勤簿は、数字を入力することで労働時間が計算されます。そのため、誤った数値や故意に事実とは異なる勤務時間が入力される恐れがあります。遅刻や早退が隠ぺいされる可能性もあるでしょう。
エクセルで出勤簿を作る際は、従業員の自己申告制になることでのリスクも十分に考えておく必要があります。それと同時に、タイムカードやアプリによって、労働時間の確認ができるようにしておくことも大切です。
5. エクセルでの出勤簿の作り方を知り、勤怠管理を効率化しよう
表計算ソフトのエクセルを導入している場合は、コストをかけずに出勤簿を作成できます。計算式や自動計算を活用しレイアウトを工夫することで、使い勝手のよい出勤簿にすることも可能です。ただし、労働時間のリアルタイム集計、休暇の申請や承認、PCやスマホ、タブレットを用いた打刻など、さらなる利便性を求める場合は勤怠管理システムの導入を検討しましょう。また、厚生労働省が平成29年1月20日に作成した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を遵守することが大切です。
2019年から2023年にかけ、改正労働基準法の施行が数多くありました。中には罰則が設けられているものもあるため、確実に対応する必要があります。
法律に則った勤怠管理をしていきたい方に向け、当サイトでは、法律で定められた勤怠管理の方法について解説した資料を無料で配布しております。
資料では2019年以降でに施行された改正労働基準法に則った勤怠管理の方法も解説しているため、自社の勤怠管理が法的に問題ないか確認したい方は、こちらから資料のダウンロードページをご覧ください。
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