勤怠管理システムの要件定義とは?基本の流れとポイントをチェック
更新日: 2024.10.18
公開日: 2023.11.20
OHSUGI
勤怠管理システムを開発・導入する際は、最初に要件定義をおこないます。要件定義が不十分だと、自社が求めるシステムは完成しません。
とても重要な工程ですが、「具体的な方法がわからない」「失敗しないか心配」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、勤怠管理システムを開発する際の要件定義の流れを解説します。自社開発と既存製品導入の違いや要件定義のポイント、既存製品を導入するメリットとあわせて解説します。
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目次
1. 勤怠管理システムの要件定義とは?
要件定義とは、クライアントの要求をもとにどのような方向性・工程でシステムを構築するのかを文章にまとめることです。勤怠管理システムを開発するときに、最初の工程としておこないます。
勤怠管理システムの開発を進めるため、システムの具体的な内容や機能、開発スケジュール、開発予算などを明確にすることが目的です。要件定義に抜け漏れがあると開発がスムーズに進みません。
修正作業の工程が増加したり、想定以上に費用がかかったりする可能性があります。理想の勤怠管理システムにするために、詳しい方法を確認しておくことが重要です。
2. 勤怠管理業務のシステム化には自社開発と既存製品導入の2パターンがある
勤怠管理業務をシステム化する方法は、2つのパターンに分かれます。
- 自社開発
- 既存製品の導入
2-1. 自社開発
勤怠管理業務をシステム化する1つ目の方法は、勤怠管理システムを一から開発することです。機能やレイアウトに制限がないため、自社にとって使いやすいシステムを追求できます。
機能を最適化した、オリジナルの勤怠管理システムを構築できることがメリットです。拡張性が高いので、導入後の機能追加にも柔軟に対応できます。
2-2. 既存製品の導入
勤怠管理業務をシステム化する2つ目の方法は、勤怠管理業務に必要な機能を備えた既存製品を導入することです。初期費用やランニングコストを抑えつつ、短期間で導入できます。
既存製品は多機能なものが多く、勤怠管理業務の効率化が可能です。既存製品の勤怠管理システムはオンプレミス型とクラウド型に分かれるので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
オンプレミス型 | クラウド型 |
・自社のサーバーにインストールして運用
・保守運用にコストがかかる ・社内ネットワークが必要 ・セキュリティが強固 ・カスタマイズ性が高く機能の追加に対応 ・法改正には自社で対応が必要 |
・クラウド上のサービスを利用
・初期費用やランニングコストを抑えられる ・自社でのシステム構築・管理が不要 ・インターネット環境があれば使用できる ・短期間で導入できる ・アップデートで法改正にすぐ対応できる |
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
3. 勤怠管理システムを自社開発する際の要件定義の流れ
勤怠管理システムを開発する際の要件定義の流れは以下の通りです。
- 要求定義
- システムの全体像を明確化
- 機能要件の定義
- 非機能要件の定義
- プロジェクト内容の決定
- 要件定義書の作成
それぞれの工程について詳しく説明します。
3-1. 要求定義
要件定義における要求定義とは、システムに何を求めているのかを明確にすることです。使用する側の視点から、勤怠管理システムへの要求・要望を洗い出しましょう。
例えば「より簡単に打刻したい」「残業や休暇の申請・承認をシステム化したい」などの要求・要望があげられます。
規制製品の勤怠管理システムで何ができるのかを確認して、参考にすることもおすすめです。
3-2. システムの全体像を明確化
勤怠管理システム全体の構成や内容を検討します。サーバーやパソコンなどの必要な構成要素と役割を明確にしてください。
さらにシステム全体のロジックを簡単に整理します。業務フロー図を作成して、勤怠管理システムによる業務の流れを可視化するとわかりやすいでしょう。
3-3. 機能要件の定義
勤怠管理システムに搭載する機能を定義します。勤怠管理システムの基本的な機能は以下の通りです。
- 打刻
- ワークフロー
- 勤怠情報の集計
- 残業超過の通知
要件定義で明確にした要求・要望をかなえる機能をリストアップしてください。例えばより手軽に打刻したいなら、スマートフォンで打刻できる機能があるとよいでしょう。
一から開発するため、一般的な勤怠管理システムに搭載していない機能も加えられます。自社にとって本当に必要な機能を明確にすることが重要です。
3-4. 非機能要件の定義
勤怠管理システムの非機能要件を定義します。非機能要件とは機能以外の品質全般に関連する部分です。具体的には以下が該当します。
- 性能
- ユーザビリティ
- 拡張性
- 移行性
- 画面レイアウト
- セキュリティ
非機能要件の定義は操作性や使い勝手、安全性を大きく左右します。実際に利用するシーンを具体的に想定して、非機能要件を検討しましょう。
機能要件と非機能要件を兼ね備えたシステムにすることが、要件定義の重要なポイントです。
3-5. プロジェクト内容の決定
プロジェクト内容を決定する工程です。下記の項目を一つずつ決めていきます。
- スケジュール
- メンバー構成
- 予算
- コミュニケーションの方法
まずは必要な工程を洗い出し、詳細な日程計画を立てましょう。いつまでにどの工程を終わらせればよいのか、プロジェクトの進行の詳細を確認しておくことが重要です。
それから設計や開発、テストなどそれぞれの工程で、必要な人員を明確にします。対応する人材の単価を考慮したうえで人件費を設定し、ほかに必要な費用と足して計算しましょう。
情報の共有方法などコミュニケーションのやり方をあわせて決定します。窓口となるメンバーを選定しておくことが重要です。
3-6. 要件定義書の作成
勤怠管理システムの開発に必要な情報を、要件定義書に記載します。これまでの手順で決めてきた内容を盛り込んでください。
要件定義書は、勤怠管理システムを開発するうえで重要な指針になります。完成後に見直して、抜け漏れや曖昧な部分がないかチェックしましょう。
4. 勤怠管理システムの要件定義をおこなう際の3つのポイント
勤怠管理システムの要件定義をおこなう際のポイントは以下の3つです。
- 現行のシステムと業務フローを確認する
- 優先順位をつけて取捨選択する
- 新制度導入を検討したうえで要件定義をおこなう
3つのポイントをチェックして、勤怠管理システムの開発に役立ててください。
4-1. 現行のシステムと業務フローを確認する
要件定義をおこなう準備として、現行システムと業務フローを把握することが重要です。現状での課題が明確になり、どのような勤怠管理システムにするべきかが見えてきます。
現行システムと業務フローのそれぞれについて問題点や効率化したい工程をリストアップしましょう。現状の課題をすべて解決できる勤怠管理システムを構築することが理想です。
4-2. 優先順位をつけて取捨選択する
要件定義をおこなう際には、搭載したい機能に優先順位をつけて取捨選択します。思いついた機能をすべて搭載すると費用がかさみ、開発期間も長くなるため注意が必要です。
業務の発生頻度によって必要な機能を絞り込みます。ほとんど発生しない業務に関する機能であれば、なくてもあまり困りません。
例えば海外進出や外国人労働者雇用の予定がない場合、多言語表示は不要でしょう。日常的に使用する機能を優先することが要件定義のポイントです。
4-3. 新制度導入を検討したうえで要件定義をおこなう
勤怠管理システムの開発・導入は新制度を始めるよい機会です。例えば勤怠情報集計やスケジュール作成の機能を搭載すれば、フレックスタイム制にもスムーズに対応できます。
テレワークを導入するなら、社外からアクセスできるように設定しましょう。導入後の働き方を想定したうえで、要件定義をおこなってください。
5. 勤怠管理システムは既存製品の導入がおすすめ
勤怠管理システムを手軽に導入したいなら、既存製品を活用することをおすすめします。勤怠管理システムを一から開発することは大きな手間と費用がかかるためです。
さらに、自社開発は開発後もシステム障害への対応やセキュリティ対策などの保守対応、法改正への対応などのコストが継続的にかかります。
既存製品を活用すれば開発コストや運用コストをかけず、手軽に導入を実現可能です。自社独自の機能を搭載したいなど特別な理由がないのであれば、一から開発をおこなうメリットはほとんどありません。
勤怠管理システムの導入を検討するなら、まずは既存製品をチェックしましょう。
既存製品の勤怠管理システムを導入する際の流れをあわせて紹介します。
- 導入の目的・必要な機能の明確化
- 勤怠管理システムの選定
- プロジェクトチームの設立
- 勤怠管理システムの導入と設定
- スタッフのトレーニング
- フィードバックと改善
要件定義で何を求めているのか明確にしたうえで、勤怠管理システムを選択してください。機能や料金、操作性、サポート体制を徹底的に比較しましょう。
6. 勤怠管理システムの要件定義は適切におこなおう!
勤怠管理システムを開発するなら、何をどうシステム化するのか要件定義をおこなう必要があります。曖昧だったり抜け漏れがあったりすると、開発の失敗につながるでしょう。
開発を成功させるために、要件定義の基本的な流れやポイントを、確認しておくことが重要です。一方で勤怠管理システム開発にはリスクがあり、期間やコストもかかります。
より手軽に導入したいなら、勤怠管理業務に必要な機能が揃った既存製品がおすすめです。機能にはそれぞれ違いがあるため、十分に比較したうえで自社に適した勤怠管理システムを選びましょう。
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