半休取得日の残業はどう扱う?残業代の計算方法をわかりやすく解説
更新日: 2025.1.2
公開日: 2025.1.2
OHSUGI
半休制度の残業の扱いがわからず、悩んでいるのではないでしょうか。半休制度は0.5日分の有給休暇として扱われます。しかしその日に残業したとしたら、残業代はどのように計算したらよいのか戸惑う場合が多いでしょう。
半休取得日における残業代の計算は、残業した時間や業務をおこなった時間帯によって異なるので注意が必要です。
この記事では、半休取得日の残業の取り扱いと残業代の計算方法、残業代に関する注意点、取り決めのポイントを解説しています。制度の導入を検討している方や導入したばかりの方は、ぜひ参考にしてください。
1. 半休取得日の残業の取り扱い
半休取得日の残業の取り扱いについて、以下の2パターンが想定されます。
- 午前中に半休を取り残業した
- 午後の半休を取ったが午前中の勤務が伸びた
それぞれの取扱いについて詳しく解説します。
1-1. 午前中に半休を取り残業した
午前中に半休を取り、午後から出社して残業したケースでは以下の状況が考えられます。
- 終業時刻は過ぎたが法定労働時間は超えていない
- 働いた時間が法定労働時間を超えた
終業時刻とは各企業が定めている時刻であり、17~19時頃に設定されている場合が多いです。半休を取った日に残業し終業時刻を過ぎた場合には、各企業で定める賃金規程に基づいた残業代を残業した時間分支給します。
一般的に時給制で働いている従業員の残業代は、1時間あたりの時給と同じです。月給制の場合は、月給と諸手当を足した額を1ヵ月の平均所定労働時間で割った金額と定めるケースが多くみられます。
しかし、午前中に半休を取得した日に法定労働時間を超えて労働した場合は、計算の仕方が変わるので注意が必要です。1日に8時間を超えて働いた分に対しては、割増賃金を上乗せして支給する必要があります。
1-2. 午後の半休を取ったが午前中の勤務が長引いた
午後に半休を取ったにもかかわらず午前中の勤務が午後まで長引いたケースでは、残業としてでなく早退として扱うのが一般的です。半休は0.5日分の有給休暇として扱われますが、この場合は有給を取らなかったこととして扱われます。
しかし、有給休暇は従業員が希望している日に取得させることが基本です。業務上の都合で有給休暇が取り消しになることは、望ましいことではありません。
管理職の方は、午後の半休を取っている従業員が定刻通りに業務を終えられるよう、適切な対応をする必要があります。
2. 半休取得日の残業代の計算方法
半休取得日の残業代の具体的な計算方法を以下のケースごとに紹介します。
- 働いた時間が法定労働時間を超えない場合
- 働いた時間が法定労働時間を超えた場合
それぞれの状況に合った計算方法で残業代を算出しましょう。
2-1. 働いた時間が法定労働時間を超えない場合
午前中に半休をとり午後から勤務して残業したが、働いた時間が法定労働時間を超えない場合には、以下のように算出します。
残業代=1時間あたりの賃金✕残業時間(終業時刻から数える)
働いた時間が8時間以下なら、残業代に割増賃金を上乗せする必要はありません。
2-2. 働いた時間が法定労働時間を超えた場合
午前中に半休を取り午後から勤務した場合で、1日に働いた時間が法定労働時間である8時間以上となった場合の計算式です。労働基準法に定められているとおり、25%の割増率を上乗せして算出します。
残業代=1時間あたりの賃金✕8時間を超えない分の残業時間+1時間あたりの賃金✕割増率(1+0.25以上)✕8時間を超えた分の残業時間
以上のような状況では、業務は深夜に差し掛かると考えられます。業務が22時を過ぎた場合には、残業代にさらに25%以上の割増率が加算されるため割増率は50%です。
3. 半休取得日の残業代に関する注意点
半休取得日の残業代に関する注意点は以下のとおりです。
- 時間の区切りを明確に定義する
- 休憩時間を考慮して残業代を算出する
それぞれの注意点を詳しく解説します。
3-1. 時間の区切りを明確に定義する
残業代を正しく計算するためには、どの時間で業務を区切るかを明確に決める必要があります。主な分け方は以下のとおりです。
- 午前休と午後休で分ける
- 所定労働時間を均等に2分割する
多くの企業では、昼休みを挟んで午前休と午後休とする方法が採用されています。わかりやすく、業務の区切りがよい場合が多いのではないでしょうか。しかし、午前と午後の勤務時間が異なる場合も多く、必ずしも働く時間が均等になりません。
一方で、所定労働時間を均等に2分割する方法なら、1日を均等に分けられます。例えば、「前半の時間が9~13時」「後半の時間が13~17時」と決めることも可能です。
3-2. 休憩時間を考慮して残業代を算出する
残業代を算出する際には、休憩時間も考慮しましょう。労働基準法では、休憩について次のように定めています。
- 労働時間が6時間を超える場合には45分の休憩を取る
- 労働時間が8時間を超える場合には1時間の休憩を取る
午後から出社した場合でも、働いた時間が6時間を超えれば休憩を取らなければなりません。残業代を算出する際には、働いた時間から休憩時間を引きましょう。
4. 半休制度の残業に関する取り決めの3つのポイント
半休制度の残業に関する取り決めの3つのポイントは以下のとおりです。
- 制度取得日の割増賃金率について就業規則に記載する
- 残業の事前許可制の導入を検討する
- 時間有給制度を取り入れるべきか検討する
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
4-1. 制度取得日の割増賃金率について就業規則に記載する
半休取得日の割増賃金率は、就業規則に記載しましょう。労働基準法により、労働する時間が1日8時間を超える場合には、賃金に25%以上の割増賃金を上乗せする必要があります。22時以降に業務をおこなう際には、さらに25%以上割り増ししなくてはなりません。
時間外労働についての割増賃金率は、法改正によりたびたび変化します。従業員が割増賃金率を正しく把握できるよう、就業規則に記載しておきましょう。
4-2. 残業の事前許可制の導入を検討する
制度を適切に活用するために、残業の事前許可制の導入を検討するのもおすすめです。半休を取得したにもかかわらず以下のような状況では、うまく活用できているとは言えません。
- 午後に半休を取っていたが、午前中の業務が午後まで伸びた
- リフレッシュのために午前中に半休を取ったが、遅くまで残業をすることになった
制度を取り入れることで従業員のワークライフバランスを整えようと考えても、休んだ分残業が発生するのでは元も子もありません。
残業の事前許可制を導入すれば、従業員は自分の判断で残業できなくなります。時間内に業務を終わらせるよう努めるか、ほかの社員に業務を割り振ることになり、無駄な残業を削減できるようになるでしょう。
4-3. 時間有給制度を取り入れるべきか検討する
半休制度が活用しづらく従業員が不満を感じている場合には、時間有給制度を取り入れるべきか検討しましょう。
時間有給制度は、1時間単位で有給休暇を取れる制度です。業務時間が8時間の場合には1日の有給休暇を8分割し、必要な時間分だけの有給休暇を取得できます。
半休制度の場合、午後の半休を取得したけれど午後まで残業した場合、半休ではなく早退として扱われるのが一般的です。しかし、時間有給制度を取り入れていれば、時間単位で有給を取得できるでしょう。
多くの業務を抱えている従業員は、半休を取得するのにもためらう場合があります。時間有給制度は、そのような従業員にとっても利用しやすい制度です。
5. 半休取得日の残業に適切に対応しよう
午前中半休を取って残業した場合と、午後から半休をとるはずが午前中の業務が午後まで伸びた場合とでは取り扱いが異なります。
また残業代を出す際には、所定労働時間と法定労働時間を理解し、休憩時間や深夜手当を考慮しながら計算しなければなりません。
従業員が半休を適切に活用できるよう、残業の事前許可制を導入するのもよいでしょう。半休が取りづらいようなら、時間有給制度を取り入れるのもおすすめです。
企業側、従業員側の双方が半休制度について理解し、適切に対応できるようにしましょう。
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